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その45の1「カゲトラとねこアーマー」


 翌日。



 週末に二日ある休日の、後半が始まった。



 この日はジュリエットとの約束が有る。



 カイムは自室で身だしなみを整えると、ごろごろしているカゲトラに声をかけた。



「カゲトラ。行くぞ」



「みゃう……」



 この黒猫は、防具などフヨウラ!!と思っているのか。



 それとも単にお出かけ気分ではないというだけの話なのか。



 あるいはもう少し眠っていたいのだろうか。



 とにかく。



 カゲトラは、気乗りがしない様子を見せた。



「今日はおまえの防具を買うんだから、


 おまえも来ないとダメなんだよ」



「みゃー……」



 仕方ないにゃあ。



 カゲトラはそう言うと、しぶしぶ体を起こした。



 二人は自室から出て、寮の玄関へと向かった。



 そこから外に出たカイムは、カゲトラの背に乗って公園に向かった。



 公園の時計の辺りにたどり着くと、そこには既にジュリエットたちの姿が有った。



 カイムはカゲトラから下りると、ジュリエットに近付いていった。



「おはようカイム。カゲトラさんも」



 ジュリエットが先に口を開いた。



 ナスターシャはジュリエットのそばで沈黙を保っていた。



「みゃ」



 カゲトラが挨拶を返し、次にカイムが口を開いた。



「悪い。待たせたか」



「ううん。実はね、


 今日はわざと早く待ち合わせに来たんだ」



 ジュリエットが穏やかにそう答えた。



 じっさい、カイムが待ち合わせに遅れたわけではない。



 時計を見れば、待ち合わせ時間まで5分以上の猶予が有るとわかった。



「わざと?」



 妙なことをするんだな。



 そう思い、カイムは疑問符を浮かべた。



「うん。前のデートの時は、


 私がキミを待たせてしまっただろう?


 だから今回は、


 キミを私が待ってみることにしたんだ」



「やりたいなら好きにすりゃ良いとは思うが……。


 退屈だっただろ?」



「ううん。そうでも無かったかな。


 ひょっとしたらキミが


 時間になっても来てくれないんじゃないかと思ってドキドキしたし」



「心配するな。俺は寝坊はしないタイプだ」



「そうなんだ?


 それで、他にもね、


 キミの姿が見えたと思った時、


 胸のこの辺りが、なんだかふわっとなったんだよね。


 とても新鮮な体験だったよ。


 だから私の今日の選択は、


 そんなに悪いものでも無かったと思うんだよね。うん」



「なら良いが。……行くか」



 カイムたちは猫車のりばへと向かった。



 のりばに着くと、ちょうど猫が来ているのが見えた。



 カイムは猫車に乗り込むと、ジュリエットと隣り合って座った。



 ……何か話題を振ってみるか。



 そう思い、カイムは二人が共有する話題を思い浮かべた。



「そういえば、昨日のブロスナンとのデートはどうだった?」



 身近な話題をと考えた時、カイムの脳裏にロジャーのことが思い浮かんだ。



 日常会話の範疇。



 カイムはそのつもりで話題を振った。



 だがジュリエットは、カイムの話題えらびに驚きの反応を見せた。



「えっ? デート中に他の男の話を聞きたいの?」



「ダメか?」



「そんなに聞きたいの?


 カイムは脳が頑丈な人なのかな?」



(脳?)



「話しても良いけど……ブロスナンくんには絶対に言わないでね?」



「ちょっと気になっただけだから、無理に話さなくても良いぞ」



「む……。そう言われると逆に話したくなってくるよね。


 作戦かな?


 聞き上手だねカイムは。策士なんだ。


 ブロスナンくんとのデートは……実はそこまで盛り上がらなかったんだよね。


 私にとっての初デートじゃ無かったからかな?


 初めてのドキドキってものは有るよね。何にでも」



「どうかな」



 カイムはそう言うと、通路向かいに座る怖いメイドさんを見た。



「何か?」



 ナスターシャは真顔で視線を返してきた。



「んにゃ。何でも」



「…………?」



 意味がわからなかったジュリエットは、二人の顔を交互に見た。




 ……。




 やがて猫車は、冒険者街へとたどり着いた。



 猫車から下りると、ジュリエットが口を開いた。



「それじゃあまずは、ねこアーマーを見に行こうか」



「そうだな。オススメの店とか有るのか?」



 普通の防具屋にも、猫防具の売り場は有る。



 とはいえ、あくまでもおまけ程度の規模だ。



 真剣に選ぶのであれば、専門店に行った方が良いはずだが……。



「実はねこアーマーに関しては


 そんなに詳しくは無いんだよね。


 王宮にも猫は居たけど、


 私の飼い猫ってわけでも無かったし。


 けどまあ、ねこ術部の友だちから話は聞いてきたから、


 たぶんだいじょうぶだと思うよ」



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