その43の2
今までのルイーズとは違う。
そんな手応えを感じたのか。
そしてチャンスに乗るなら今しかないと思ったのか。
男子は今までろくに話もしてこなかったルイーズを、勇敢に誘った。
「二人で……。
つまりデートのお誘い……ということですか?」
「まあ、うん。そうだね」
「申し訳ありませんが、今の私はあなたに対して
恋愛感情を抱いてはいません」
「うぐっ……」
やはりダメか。
ルイーズ=レオハルトという少女は、難攻不落の魔王城なのか。
少年は戦闘ダメージを受けたかのように怯んだ。
だが。
「ですが……」
そのときルイーズは、カイムの方をちらりと見た。
そして誘いをかけてきた男子に視線を戻し、こう言った。
「まずはお友だちから……ということであれば、
友好を深めてみるのも悪くないかもしれませんね」
「それってひょっとして……オッケーってこと……!?」
「ひょっとしなくてもそうですよ」
閉ざされていた魔王城の門扉が開かれた。
魔王軍へようこそ。
「やったああああぁぁぁぁっ! レオハルトさんとデートだっ!」
少年は叫んだ。
その叫びは、少し前であれば狂人あつかいされていたであろう内容を含んでいた。
だが、今の彼を狂人あつかいする者は居なかった。
「マジかよ……。やりやがったアイツ……」
「勇者だな」
「俺、トマ。トマ=テーヌ」
少年はルイーズに名乗った。
「はい。存じていますよ」
「えっ? ホントに?」
「はい。クラスメイトですから」
「そっかぁ。それじゃ、デートコースとかは俺が考えとくから」
「よろしくお願いします」
トマ=テーヌは、してやったぜという顔で友人たちの所へ戻った。
「ふふん」
「いや、すげえけどさ、ムカつくわ。すげえけど」
やがてホームルームの時間になった。
ホームルームが終わると、ダンジョン実習の時間だ。
2年生はねこ車でダンジョンドームへと向かった。
カイムはドームの更衣室で戦闘服に着替えた。
白。
そしてジュリエットたちと合流した。
パーティ全員がそろうと、一行はダンジョンへと入って行った。
ダンジョンでの移動中、ルイーズがカイムに声をかけてきた。
「カイムさん」
「ん?」
「テーヌさんという方と、デートをすることになりました」
「知ってるよ。見てたから」
「……そうですか。
デートということは、
キスくらいはしてあげた方が良いのでしょうかね?」
「べつに好きじゃねえんだろ? 止めとけよ。
勘違いするぞ。相手が」
「そうですね。
勘違いというのは悲しいものですから」
「…………」
それからカイムたちはダンジョン内を探索した。
そして魔獣を見つけると、次々に討伐していった。
一行は苦戦することなく、快調に戦闘をこなしていった。
やがて時間が来たので、カイムたちは地上へと帰還した。
それから制服に着替えると、帰りの猫車に乗り込んだ。
猫車の中で、ジュリエットがこう提案してきた。
「このパーティもだいぶこなれてきたね。
来週あたり、本格的に階層更新を狙ってみても良いかもね。
みんなはどう思う?」
「まあ良いんじゃない?
……ストレンジも足手まといにはならないみたいだし」
ロジャーはジュリエットに賛同した。
「そうだな」
ドスも同じ意見のようだ。
「…………」
ナスターシャは最初から、ジュリエットと意見を違えるつもりは無いのだろう。
ただ沈黙を保っていた。
次にカイムが口を開いた。
「皆が良いのなら、俺も構わんが。ルイーズは?」
「私も構いませんが……」




