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72/104

その36の2



 午後の授業をこなすと、放課後になった。



 カイムたちはいつものメンバーで集まった。



 ルイーズがこう尋ねてきた。



「カイムさん。次はどちらへ向かわれるのですか?」



「んーと。


 次はレオハルトさん月面襲撃事件……は飛ばして


 レオハルトさん男子寮潜入事件の証人に


 会いに行こうと思う」



「それの調査は止めにしませんか?


 どうせ大した噂でもありませんし」



「え? それじゃあ


 レオハルトさんパーティメンバー失踪事件の証人に


 会いに行くかな」



「その証人というのは?」



「C組のティボー=ソワイエってやつだ」



「ああ。彼ですか」



「知り合いか?」



「知り合いというほどでもありませんが、


 一応は同じクラスでしたからね」



「んじゃ、行くか」



「そうですね」



 カイムたちは2年C組へと向かった。



 放課後なので、既に教室を出た生徒も居るようだ。



 目当てのやつは残っているだろうか。



 カイムはそう考えながら、教室に残っていた生徒の一人に声をかけた。



「ソワイエって居るか? ティボー=ソワイエ」



「ああ。あいつだけど」



 質問の答えを得ると、カイムはティボーの方へと向かった。



 そして彼に声をかけた。



「ちょっと良いか?」



「え? っ……! レオハルトさん……!」



 カイムに視線を向けたティボーは、カイムの後ろに立つルイーズに対して驚きを見せた。



「こんにちは」



 ルイーズが挨拶をすると、ティボーはカイムに苛立たしげな視線を向けた。



「何の用だよ……!?」



(こいつ……。ルイーズのことをかなり嫌ってる感じだな?)



 内心でそう感じつつ、カイムは平坦な声でこう尋ねた。



「ルイーズの噂に関して話を聞かせて欲しい」



「話す事なんて無い」



「そうはいくか。


 俺はルイーズの噂について、いろいろと出所を調べた。


 出所がわからない噂も有ったが、


 はっきりとわかる噂も有った。


 いま調査してるレオハルトさんパーティメンバー失踪事件は、


 出所がわかった方の噂だ。


 そして……その出所ってのがおまえだ。


 ティボー=ソワイエ」



「それで……? それがどうした?」



 カイムに非難の目を向けられても、ティボーは悪びれた様子を見せなかった。



「開き直る気か?」



「真実を広めて何が悪い?」



「真実……か。


 それじゃあ聞くが、


 おまえが見た真実ってのは何だ?」



「決まってるだろ。


 その女のせいでレリアが居なくなったってことだ」



(レリア=セリエール。失踪事件の張本人の名前か)



「もっと具体的に言ってくれよ。


 おまえはいったい何を見て


 ルイーズが失踪事件の犯人だなんて思ったんだ?」



「……見たんだ」



「だから、何をだよ?」



「まず、レオハルトさんは、


 レリアたちのパーティから


 事実上の追放処分を受けた。それは知ってるか?」



「そうらしいな」



「それで、レオハルトさんがパーティ追放されてから少しして、


 レリアがレオハルトさんと二人きりで話してるのを見たんだ。


 そのときのレリアの様子は普通じゃ無かった。


 何かに怯えたみたいな様子だった。


 そして……。


 その日から少しして、レリアは姿を消した。


 俺は確信した。


 レオハルトさんがレリアを消してしまったんだって……!」



「いや待てよ。話をしてたって……それだけか?」



「それだけか……だと?


 それでじゅうぶんだろう!?


 レリアは怯えてた!


 それにその女は、あのレオハルトさんなんだぞ……!?」



「それでじゅうぶん……なワケねえだろうが」



「なんだと……!?」



「ルイーズ。


 こいつに反論できる具体的な証拠とかは有るか?」



「ええと……その前に。


 ソワイエさん。あなたはいったい


 私が彼女をどうしたと思っているのですか?」



「殺し……いや。レリアが死ぬはずが無い。


 おまえはレリアをどこかに閉じ込めてるんじゃないのか?


 暗くて冷たい地下牢かどこかへ」



(想像力たくましいな。


 こんな奴が居るなら


 ウワサも無くならんわけだ)



「つまり……。


 レリアちゃんの無事さえ確認できれば


 問題は無いというわけですね?」



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