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その33の1「実技授業と選択」



「……………………」



 ジュリエットの明るさに反比例するかのように、ルイーズは渋い顔を見せた。



 妙な様子のルイーズを見て、カイムがこう尋ねた。



「どうした?」



「あまり嬉しい記事では無かったので……」



 いったいどんな記事だったのか。



 何にせよ、ルイーズが気にしているのなら、掘り返すのはやめておくか。



 カイムはそう考え、ルイーズにこう提案した。



「そうか。新聞を当たるのはやめとくか?」



「いえ。だいじょうぶです」



 ルイーズは渋い顔を崩すと、なんとか真顔にまで戻してみせた。



 だいじょうぶだと言うのなら、もう少し掘り下げてみるか。



 そう思ったカイムは、周囲にこう尋ねた。



「当時の新聞ってのは、保存されてるもんなのか?」



「どうかな? 新聞部の部室を訪ねてみようか」



 ジュリエットがカイムに答えた。



「新聞部ってのは朝から活動してるのか?」



「んー。取材なら朝とか昼休みとかにもやってる気がするけど、


 部室に集まるのは放課後……かな?


 私もそんなに詳しくは無いけどね」



「それじゃ、続きは放課後にするか」



「はい」



 カイムたちはA組の教室へと戻った。



 1時限目が始まる10分前になると、ルイーズが声をかけてきた。



「次は選択授業ですね。


 カイムさんの選択はどちらですか?」



「剣術だけど」



 この学校には、選択科目というものが有る。



 剣術か魔術か。



 生徒それぞれが学びたい科目を選び、別れて授業を受ける。



 カイムは魔術を使えない。



 ひょっとすれば修行をすれば使えるのかもしれないが、試したことすら無かった。



 一方で、体を動かすのは得意だ。



 だから剣術を選ぶしかないと思っていた。



 それに対し、天職が魔術師であるルイーズがこう言った。



「そうですか。私の選択は魔術なので、別々になってしまいますね」



「そうか。残念だな」



「はい」



「カイム剣術なの? それなら一緒に行こうか」



 二人の会話を見ていたジュリエットが声をかけてきた。



 彼女も選択は剣術のようだ。



「ああ。じゃあな。ルイーズ」



「はい」



 カイムはジャージを持って体育館へと移動した。



 魔術より剣術の方が人気らしく、7割ほどの生徒が体育館に集まった。



(この床、ただの木じゃないな。ダンジョンマテリアルか)



 カイムが体育館の床板を観察していると、隣でジュリエットが壁の方を指さした。



 そこには二つの扉が並んでいるのが見えた。



「あそこが更衣室だね。男子の更衣室は右側だよ」



「ん。ありがと」



 カイムは更衣室へと向かった。



 中でジャージに着替え、更衣室から出た。



 少しするとジュリエットが女子更衣室から出てきた。



 ジャージ姿で近付いてきた彼女に、カイムが声をかけた。



「剣術の授業って、具体的に何をやるんだ?」



「基礎的な部分は


 1年生の時に習ってるから、


 2年生は試合形式での授業をすることになるね」



「なるほど」



 それから少しすると、教師らしい男が体育館に入って来た。



 カイムはその男に見覚えが有った。



 ダンジョン実習の先生、コンラート=シラーだった。



(ダンジョン実習とかけもちなのか)



 カイムがそう考えていると、生徒たちはコンラートの前に集まっていった。



 カイムもそれに倣うことにした。



 生徒たちが集合すると、コンラートが口を開いた。



「それじゃあいつも通り


 ペアを作って試合をしてもらうわけだが、


 ストレンジは今日が初めての実習だな。


 剣を習ったことは?」



「有ります。基礎の部分は問題ないと思います」



 カイムが銃とナイフを使うのは、それがスパイの基本装備だからだ。



 べつに他の装備を使えないわけではない。



 素手でも重火器でも何でも行ける。



 剣術の訓練も、しっかりと経験済みだった。



「そうか。それなら普通に試合をしてもらうが、


 どう組ませるのが良いかな」



「こういう時って、


 余った生徒とは


 先生がペアを組んだりするものじゃないんですか?」



 カイムがそう尋ねた。



「小学校の遊びじゃないんだ。


 教師は責任をもって


 全体を見張らないといけない。


 俺が相手をしてやることは、


 悪いができないな。


 誰かストレンジと三人で組んでやってくれないか?」



「私に任せてください」



 コンラートの頼みに、ジュリエットが名乗りを上げた。



 初日にカイムに最初の質問をしてきた女子が、上げていた手をこっそりと下げた。



「そうだな。ヴィルフに任せておけば問題は無いか」



 話がまとまりかけたそのとき。



「待って下さい!」



 ロジャーが異議を唱えた。



「男同士、


 俺たちがめんどうを見ますよ。


 それで良いよな? ストレンジ」



「ああ」



 べつに何でも言い。



 そう思っていたカイムは素直に頷いた。



「ならそれで良いか」



 コンラートもロジャーの意見を認めた。



「ふっ。残念だったな。ストレンジ」



「何がだよ?」



 話がまとまると、コンラートはオリハルコンリングから二つの箱を出現させた。



 大きい方の箱には剣が、小さい方の箱には指輪が入っていた。



「装備を取りに来い」



 生徒全員に、剣と指輪が配布された。



 指輪は魔導器のようだ。



 魔石がはめられていた。



 カイムは指輪を装着し、周囲の様子を見た。



 他の生徒たちが、指輪のイシを突き合わせるのが見えた。



 すると生徒たちの周囲に、半透明のドームが出現した。



 カイムはその光景に見覚えが有った。



「ん? この指輪って決闘に使ったやつか」



「いや」



 ロジャーがカイムの疑問に答えた。



「似てるけど違う。


 こっちは剣が一発当たると


 威力に関係なく勝負が終わるようになってるんだ」



「そうなのか」



「ああ。来いよ」



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