その24の2
5時限目の始まりが近い。
ナスターシャがちらりと時計を見た。
「ジュリエットさま。5時限目まであと5分です」
するとルイーズが、皆に向かってこう言った。
「あの、どうぞ教室へ向かってください。
私が食べるのが遅いだけなのに、
みなさんを巻き込むわけにはいきませんから」
「一人だけ置いていくなんてできないよ」
ジュリエットがそう言うと、ナスターシャがジュリエットに反対した。
「このペースでは、
彼女があと4分で
食事を終えられるとは思えません。
メイドとして、
ジュリエットさまを遅刻させるわけにはいきません。
行きましょう」
「嫌だ」
「ジュリエットさま」
「なあ、ルイーズ」
カイムが口を開いた。
「カイムさん?」
「ちょっと貸して」
「あっ」
カイムはルイーズの皿を取った。
そしてあっという間に料理をたいらげてしまった。
カイムの乱暴なやり口を見て、ジュリエットが眉をひそめた。
「ストレンジくん……。
それはものすごくマナー違反だと思うよ?」
対するカイムは、真顔で短くこう返した。
「そうか」
「けど、これで遅刻は無くなったね。行こうか」
「間接……」
ルイーズはぼんやりとした顔で、料理が無くなった皿を見ていた。
「ルイーズ?」
「あっいえ」
「何してるの? 早く行こうよ」
ジュリエットがカイムたちを急かした。
四人とカゲトラは教室へと向かった。
教室の時計を見ると、次の授業までにあと1分の余裕が有った。
「なんとか遅刻せずに済んだね」
そう言ったジュリエットに、カイムが声をかけた。
「本当だったろ?」
「え?」
「ルイーズは本当に、食べるのが遅い」
「そうだけど……。
それを自覚しているなら
うまいやりようが有ると思うんだけど?」
「不器用なんだろ」
「…………。
あのさ、ストレンジくん」
「ん?」
「放課後あいてる?」
「あいてない」
「あけといて」
「……了解」
チャイムが鳴った。
「カゲトラ。座学は立ち入り禁止な」
「みゃー」
学校の授業には興味がないのか、カゲトラはおとなしく出て行った。
(聞き分けが良いのか悪いのか……)
そう思いながら、カイムは自分の席に座った。
すぐに先生が入ってきた。
2コマ授業をこなすと放課後になった。
「カイムさん。猫車のりばまで一緒に……」
帰り支度を整えたカイムに、ルイーズが声をかけてきた。
だが、それを遮るように、ジュリエットがカイムを呼んだ。
「ストレンジくん」
「ああ……」
ジュリエットの方が先約だ。
カイムはジュリエットを優先することにした。
「悪いなルイーズ。ちょっとジュリエットと話が有るから」
「わかりました。それでは」
ルイーズはそう言うと、教室の出入り口に足を向けた。
「それで? 用事ってのは?」
カイムはジュリエットに用件を尋ねた。
「あしたの先休日-さききゅうじつ-(※土曜日)さ、
一緒に防具でも見に行かないかな?
三人っきりでさ」
「防具か。良いけど。
三人って、ルイーズとかも誘っちゃダメか?」
「うん。ダメだよ」
「そうか。ダメか。カゲトラは?」
「それは良いけど」
「待ち合わせはどうする?」
「公園の時計の所にしようか。
時間は朝の9時で」
「わかった。話はそれだけか?」
「そうだけど」
「それじゃあもう行って良いか?」
「あっうん……」




