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その22の2



(そうなのか……。


 俺が読んだ本には


 学校で運動する時は


 ジャージを着用するものと書いてあったんだが……)



「ひょっとして、


 特注のダンジョンマテリアル製のジャージで


 防御用の魔導器なんかが


 仕込まれてたりするのかな?


 それかそのマフラーの方が伝説級の防具だとか」



 ……またミスをしてしまった。



 内心でそう思いながら、カイムは言い訳を考えた。



「いや……。


 その、転校のゴタゴタで


 装備が間に合ってなくてな」



「そうなんだ?」



 とっさのカイムの言い訳を、ジュリエットは素直に信じたらしい。



「けど、どうしよう。


 そんなジャージ姿で魔獣の攻撃を受けたら


 ひとたまりも無い気がするけど……」



「だいじょうぶだ。


 俺は避けテイマーだからな」



 当たらなければどうということはない。



 カイムはそんな自信に満ちた表情を見せた。



「そんな避けタンクの親戚みたいに言われても」



「とにかく、


 自分の面倒くらいは自分で見られるから、


 気にしないでくれ」



「そうだね。


 たとえジャージ姿でも、


 ストレンジくんは私が守ってみせるよ。


 まあ、今日はストレンジくんにとっては初日だから、


 そんなに無理をするつもりは


 最初から無かったけどね」



 次にターシャが口を開いた。



「もしその貧相なジャージが損傷したら、


 ある程度までなら


 私の治癒術で修復できます」



「ありがとう。ええと……ターシャ」



 カイムはメイド少女のことを、ジュリエットと同じ呼び方で呼んだ。



 すると少女は冷たくこう返してきた。



「愛称で呼ばないでもらえます?」



「えっ?」



「私のフルネームはナスターシャ=グラスです。


 グラスさんと呼びなさい」



「分かったよ。グラスさん」



 ナスターシャの高圧的な態度に対し、カイムは負の感情を見せなかった。



「…………」



 ナスターシャは観察するような視線をカイムへと向けた。



 そのとき。



「お待たせしました」



「わっ!?」



 いつの間にか現れたルイーズに、ジュリエットが驚きを見せた。



 だがすぐに表情を整えると、仲間たちに声をかけた。



「それじゃあ出発しよう。


 今日は20層くらいから様子を見ようと思う。


 ウェルムーアダンジョンドームには、


 王国が設置した転移陣が有る。


 ほら、向こうに有る部屋だよ。


 転移陣を使うことで


 私たちは5層刻みの好きな階層に転移することができる。


 陣の設置が完了してる50層までだけどね。


 転移陣で20層に向かうよ」



「転移陣……ですか?」



 ルイーズが何かを言いたそうな様子を見せた。



 それに対し、ジュリエットはつまらなさそうな視線を向けた。



「何か文句でも有るのかな? レオハルトさん」



「……いえ。行きましょうか」



 パーティ全員で、転移陣が有る部屋に向かった。



 歩きながら、カイムは仲間たちの格好を見た。



 ナスターシャはいつものメイド服のままだった。



 メイドの戦闘服はメイド服。



 そういうことなのかもしれない。



 手にナイフを持っていることだけがいつもとは違っていた。



 ロジャーの戦闘服はスタンダードなデザインだと言えた。



 映画などでも見かけるタイプの軽装の戦闘服に、若干のオシャレを加えた程度のものだ。



 武器は長剣一本のようだった。



 ドスの戦闘服は頑丈そうな鎧型だった。



 さらに右手には剣を、左手には大きな盾を装備していた。



 防御寄りの戦闘スタイルで戦うらしい。



 最後にカイムはルイーズの格好を見た。



 ルイーズは黒いドレスの上に、同じ色のマントをまとっていた。



 魔女っぽい。



 カイムはルイーズの服装を見て、そんな印象を抱いた。



 カイムたちは複数ある転移陣の間の一つに入った。



 部屋の中では、直径20メートルは有る大型の魔法陣が輝いていた。



 カイムたちは魔法陣に足を踏み入れた。



 そして陣を作動させ、ダンジョン20層にある転移陣へと瞬間移動した。



 陣の外に出ると、ジュリエットは仲間たちに声をかけた。



「それじゃあ、ここ20層から


 探索を始めてみよう。


 普段ならきちんと陣形を組んで


 全力で戦うところだけど、


 今日は二人の力を見せてもらおうかな。


 決闘の時は、


 ストレンジくんの戦い方は見られなかったね。


 ハーストのダンジョンだと


 どうやって戦ってたのかな?」



「基本はこいつで遠距離戦だな」



 カイムはホルスターから魔弾銃を抜き出して見せた。



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