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42/104

その21の2



 生徒たちは列を崩し、それぞれのパーティメンバーと合流していった。



 準備ができた者からドームの中に入っていった。



 カイムはルイーズ、カゲトラと一緒にジュリエットの方へと向かった。



「よろしく。リーダー」



 カイムが声をかけると、ジュリエットは柔らかい笑みを返してきた。



「うん。よろしくね」



「…………」



 ターシャは冷めた顔で無言を貫いていた。



「よろしくお願いします」



 ルイーズもジュリエットに声をかけた。



 するとジュリエットは、固い笑みを見せた。



「……よろしく」



 ジュリエットの周囲には、他に二人の男子が集まっていた。



 すらりと背が高い黒髪の男子と、陽気そうな茶髪の中肉中背の男子。



 カイムはその二人にも声をかけた。



「そっちの二人もジュリエットのパーティか?


 よろしくな」



「ああ。よろしく。


 俺はドス=ハインスだ」



 背が高い方の男子が、真顔で返事をした。



 一方……。



「やっぱり……」



 茶髪の男子が眉をひそめて口を開いた。



「ロジャー?」



 ドス=ハインスが、その男子の名前を口にした。



 茶髪の男子はカイムを睨んでこう言った。



「やっぱり納得いかない!


 せっかくヴィルフさんと同じパーティになれたのに、


 何の苦労もしてないおまえが


 このパーティに入るだなんて……!」



「苦労って、何したんだ?」



「くじ引きで勝った!」



「苦労……?」



「とにかく、


 おまえが一緒のパーティだなんて、


 ぼくは認めないからな!」



 妙なタイミングで妙な問題が起こったな。



 カイムはそう思いながら、ロジャーと呼ばれた少年にこう尋ねた。



「それでどうするんだよ?


 もう実習の時間なんだが」



「このパーティを抜けろ!」



 ロジャーの要求は簡潔だった。



「良いぜ」



 カイムが反発せずにそう言うと、ロジャーは意外そうな様子を見せた。



 自分の要求の横柄さを理解していたのだろうか。



「えっ? 良いのか?」



 カイムが冒険者志望の生徒であれば、パーティ選びは慎重に行うべきだろう。



 パーティの質は学校の成績に直結するし、将来のキャリアや生き死ににも関わってくる。



 だがカイムは、冒険者志望のフリをしたクセモノにすぎない。



 べつにダンジョン実習のことなどはどうでも良かった。



 どこのパーティに入れられても、ほどほどにやるだけだ。



 そう思って、カイムはロジャーにこう言った。



「ルイーズまで一緒に抜けろとか言うんじゃ無けりゃ、


 別に構わんぜ。


 俺はどこか別のパーティにでも入れてもらうさ」



 だがそこで、ジュリエットが口を挟んできた。



「それはちょっと厳しいんじゃないかな?」



「ジュリエット?」



「キミはもう、


 レオハルトさんの一味だと思われてるからね。


 そんなキミとパーティを組みたがる子たちは


 あんまり居ないと思うけど」



「べつに一人でも構わんが」



 カイムがそう言うと、カゲトラが短く鳴いた。



「みゃ」



「そうだな。おまえも居る」



「構わんが……で済むわけが無いだろう?


 大型ダンジョンを舐めてるのかな?


 そもそも、


 ルールでソロは禁止だって決められてるから


 レオハルトさんをウチで引き取ることになったんだろうに」



「そうか……。


 それじゃ悪いが、


 このパーティに居座らせてもらうぜ」



 カイムが残留の意思を見せると、ロジャーが彼に闘志を向けてきた。



「引く気は無いってことだな。


 なら決闘だ!


 ぼくが勝てば、このパーティは諦めてもらうぞ!」



「良いけどさ、授業中だろ?」



「すぐに決着をつけてやるさ。


 さあ、指輪を取れ! 勝負だ!」



「わかったよ」



 ロジャーはオリハルコンリングから二つの指輪を取り出した。



 そして片方をカイムへとほうった。



 決闘のジャマにならないよう、ルイーズたちは二人から離れていった。



 カゲトラはカイムの隣に残った。



 受け取った指輪を装着し、カイムはロジャーへと拳を伸ばした。



 二人はイシを突き合わせた。



 決闘用の結界が展開された。



 それから10歩離れ、二人は向き合った。




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