87話 属性開花
続き
あれから一夜が明け、いつもの如く学校にいた。
今は放課後の校舎の屋上にて1人ベンチに腰掛けている。
そこから見えるグラウンドの運動部の姿を眺めながらひと時の時間を過ごしていた。
ちなみに今日のバイトはない。
本来なら遊戯店でのバイトの日だが今は生憎休業している。
別に解雇されたとかの悪い意味でなく、岩尾さんが今週から夫婦旅行に出かけているからだ。
毎年恒例でこの数日だけは俺にとっても気兼ねなく休める日となっていた。
ただ家に1人帰っても特に別段やることはない。
セカンドワールドは夜からやっても十分時間が取れるし、雪もまだ学校にいるだろうから早く帰る必要もなかった。
定期テストも数日前には終わり、ひとまず勉強も一段落ついている。
「へぇ……この高校意外に部活盛んなのか。翔は確かバスケ部だったし、放課後でもこんな賑やかなもんなんだな」
こんなことを考えるのも入学式以来だ。
いつもは授業が終わってすぐにバイトに向かっていたから知らなかった光景。
実際、この学校の部活動は充実しているらしく文化系はESports部、運動系は格闘系スポーツ部が人気らしい。
つまり、どれももろにセカワに通じているものだ。
他にも教室の中には数人残ってセカンドワールドにログインしている生徒らもチラホラと見かけた。
結局、内でも外でもセカンドワールド。
開発発売されてからもう10年経ったら今では生活の根幹となってきている。
「おっ……まだ帰っていないと思ったらここにいたんだ! 今日はバイトの方は大丈夫なのかい?」
呼びかけと共に咲が駆け寄ってきた。
ちなみに咲は俺と同じで部活動には入っていない。
言わずもがな、家の道場の手伝いがあり俺と同じでそこまで時間を割けることができないからだ。
「まあな、それよりもよくここが分かったな。それで何か用事か?」
「そう! 話したいことがあったんだよ! ちょっとこれ見てくれないか!!」
するとテンション高めな咲が俺の掛けていたベンチに座り体を寄せてきた。
手には透明板があり、そこに何やら映像が映っている。
俺と咲の2人はその画面を覗き込んで確認した。
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サクラバサク 女性 Lv.4922〜〜叡智の星〜〜
【種族】獣人
【ジョブ】鬼謀の開拓者
【加護】『成長の加護』『獣の加護』『鬼謀の加護』
【体力】3022000/3022000
【魔力】1500000/1500000
【知力】2145000/2145000
【武力】3700000/3700000
【経験値】10000/4922000
【スキル】『獲得経験値上昇』『獣化』『威嚇』
『起死回生』『必殺』『軌跡』
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咲のステータスが映し出されている。
ステータス数値的には特に変わったことはないなと思っていたが途中、ジョブの部分が大きく変わっていることに気づいた。
『鬼謀』というジョブの属性があり、それに準じて専用スキルと加護も新たに加わっている。
「もしかして属性ジョブのことか!」
「そうなんだ! もしかしなくても遂に僕の属性が開花したんだよ!!」
咲が満面の笑みを浮かべて俺に語りかける。
ジョブ属性の判明のタイミングはプレイヤーによってまちまちだ。
俺みたく初ログイン時に既にある人や翔みたく数年経っても未だ出てこない人もいる。
つまり一種のおめでたい出来事なのだ。
「いつからなったんだ? フレンド欄からちょくちょく皆んなのステータスレベルとか確認してたつもりだったんだが……」
「実は昨日なんだ! ソロでタイムアタックダンジョンを攻略してた時、不意に覚醒したんだよ!! カイ君は先に戻ったから昨日のうちに伝えられなかったけど、遂に僕にもきたんだよ!」
extraモンスターに会って俺が先にログアウトしたあの時か……。
昨日今日と雪や翔からは何度か教えてもらえそうなタイミングはあった。
だが、俺には咲の口から直接伝えたかったらしく皆んなに口止めしてもらったようだった。
わざわざこんな屋上まで探しにきてくれたのも恐らくこのこと。
何よりも咲がこんな満足そうで良かった。
しばらく覗いていると上画面から通知がきた。
セカンドワールドのニュースのようで、俺たちにも顔馴染みのあるレイド戦関連の記事だ。
タイトルがーーーー
『波乱の帝国レイド戦、【King Lord】最有力候補争い失墜か!?』
と、いう一瞬目を疑いたくなるような見出しがされている。
正しくダダンと千眼さんのクランのことについて書かれている……一体どうしたんだろうか?
「ちょっと、そこの記事読ませてくれないか?」
「そうだね。僕も気になっていたところだよ」
疑問を抱いたままそのニュースサイトへと飛んだ。
俺は適当に流し読みをして内容を辿る。
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………………昨日のレイド戦での参加クラン合同会議に
より詳細なルールが確定されました。その中のいくつ
かの項目が他クランに比べKing Lordにかなり不利な点
であったと予想されます。この大戦を勝ち切るには総
じて革新的な人員補強が必要不可欠な模様です。各々、
次第に課題が浮き彫りになりつつあります…………
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「……このニュースだといまいちよく分からないね」
「まあ、千眼さんにダダンさんあと一応、銀姫さんもいることだしどうにかするんだろうな」
一般への詳細なルールの開示はまだされていないようで詳しい内容は濁されている。
ただここからでも分かることが1つあるとすれば、ランキング上位クランが必ずしも勝てる戦いではないということだ。
大戦というからには人員諸々、様々な問題もある筈だ。
他人事にはなるが是非、乗り越えて頑張って欲しいなと今の俺はただ俯瞰していた……。
遂に執筆用端末が逝ってしまいまして……;;
遅れてすいません……;;




