84話 ソロ攻略❽
遅れてすいません……。
衝撃ダメージが全身を襲う。
視界がぼやけ一瞬、状況把握が追いつかない。
両隣には俺と同じく倒れているルシアーネと癒弓の姿。
3人ともゴッドスライムの粘液でベタベタだが光の泡とはなってない。
まあ、なんとかひとまず一命は取り留めたようだ。
だが、俺のステータス値がかなりシビアなものとなっている。
体力が残り三分の一、武力と魔力が半分、知力が三分の二ほどまで削られた。
回復薬は体力回復薬が全消費、魔力回復薬が少し残っているかといったところ。
この状況を打開するにはかなり骨の折れそうだ……。
「ウチは夢を見てたんすっよ……夢を。今日は待ちに待った念願のスカウトが来た記念日。……なんて喜んでいたらこんな落差っすよ。あんな幸せなことがあったのに今はもうこの有様。このまま不貞寝したいっすよぉぉ…………」
癒弓が相変わらず不貞腐れていた。
ルシアーネの方は俺に続き黙々と立ち上がって周囲の判断をしている。
さて一体これからどうしたものか……?
「ひとまず癒弓。ステータスの損傷具合は?」
「ウチなんかが無理なんすよ……ホント無理なんすよ…………」
「何言ってるんだよ……さっさと戻ってこい」
「……へっ!? あっ……生きてる……っす? あれ? お二人も一緒で……え? どういうこと?」
「ステータス! 早く教えてくれ!」
まだ現実に上手く戻れないようで意味の分からないことを言っている。
危機一発でやっと初撃を翻せただけで、この危機的状況は未だ変わっていない。
むしろステータス数値の減少も含めて悪化している……。
挙げ句の果てに体中に付いた粘液。
コイツがさっきからずっとベトベト粘着してくる。
イライラしてストレスが溜まりこちら側の集中力を欠いてきていた。
あまり上手く頭が回ず、刻々と焦燥だけが積もっていくばかりだ。
「体力はほぼひ、瀕死っす……。知力、武力、魔力は…………そ、そこそこっす!」
「なんで途中詰まったんだよ。結局のところ2人共ジリ貧なんだよな……」
そう呟きながらも状況把握にも努める。
いつの間にかゴッドスライムは前後の通路を塞いでいた。
袋の中の鼠とはまさにこれのこと。
いつの間に後ろにも回られていたんだ……?
「囲まれたな……。ステータスも弱くなっているし強行突破も無理か……。引くに引けなくなったぞ……」
「ステータス……? そうっす!! その方法があったっす!!」
すると、急に癒弓が叫んだ。
何事かと考えていると彼女が上に向かって弦を弾いて矢を放った。
こんな地獄で絶望的な状況にとち気が狂ったのか……?
と、思ったが次の瞬間にその行動の意図が分かった。
「『癒陣』ーーーー!!」
「ステータスが回復している……? これまさかお前がやったのか……?」
俺は思わず顔を上げて彼女を見た。
放たれた弓矢らは俺たちを囲むように円状に地面に突き刺さる。
そこから虹色の魔法陣がそれぞれ召喚され、いつの間にか魔力数値以外のステータスが回復していたのだ。
「コレがウチが『癒弓』と呼ばれる所以っす! 魔力は回復できないっすけどコレでどうっすか? どうっすか?」
癒弓が自信満々に聞いてくる。
今のでステータスは及第点の8割には戻ってきたのだが……。
流石にチーミング行為にカウントされはしないのか?
「これってチーミングなんじゃ…………」
「あっ……。だ、大丈夫っすよ! 今のは設置型の全体回復スキルで……た、たまたま偶然、他の人も恩恵を受けただけで……。そ、そもそもお兄さん達だってさっき、あんなにウチにドバドバ回復薬使ってたじゃないっすか! そうっすよ……そうっすよ! ウチだけが悪いことはないっす……ウチだけ悪くないっす……ウチは悪くないっす」
確かに焦っていたが俺だって同じことをしていたな……。
ペナルティーのラインがいまいち分からない。
が、棄権するんだから厳罰なは流石に受けないだろう。
それにしても俺は勢いで随分ととんでもない博打をしていたものだ……。
ひとまず後は両脇を塞いで迫りきているゴッドスライムなんだがーーーー
ーー…………『融解』…………ーー
次なる攻撃が来てしまった……。
固形化していたスライムボディーは砂の如く崩れ去る。
それと同時に液状化し一気にスライムの津波が両端から攻めてきた。
「右もダメ……左もダメ……。どうするっすか!? 絶対絶命の大ピンチっすよ!?」
「主、コレはマズイ……」
2人がこの状況に思わず声を漏らした。
入り口出口ルートは完全に塞がれ、あと数十秒も経てば奴の餌食になる。
『心眼』を発動してみてみるが、まさにその通りでゴッドスライムに捕らえられた俺たち3人の姿が映った。
進んでも、戻っても、止まっていても終わる。
ならばーーーー
「捨て身の覚悟で前を切り拓くしかないな……」
俺は屍刀を構えながらそう告げた。
さっきの固体の壁の状態ではルシアーネの攻撃では壊しきれなかった。
だが今の形状は運がいいことに液体だ。
流動し動くスピードが上がった分、防御面に関していえば弱体化している。
つまり、俺たちの全力をのせた攻撃を与えることができれば倒さずとはいかずとも、多少有利な態勢にはもっていける筈だ!
「攻撃は雲散させず、一部分を集中的に攻撃した方がいい」
「高密度な攻撃の方が良いからそういうことになるな」
「お二人とも、初撃のポインティングは任せてくださいっす! できるだけ層の薄い弱点を見抜くのは弓使いの十八番っすからね!」
俺の一言で続々と作戦が構築されていく。
が、話し合いをする時間はもうなくなってしまった。
後はアドリブでどうにかするしかないようだ。
「それじゃあ…………行くぞ!!」
祝【pv数】200000達成!!
次話は明日更新です!




