76話 世話係
続き
俺たちはダンジョンから戻ってきて元いた入り口にいる。
近くにある休憩用テーブルチェアに座り、黄金の卵を眺めていた。
「キラキラしてるー! 何の卵? 何の卵?」
ルシアーネが好奇心旺盛に身を乗り出してツンツンと突ついて言う。
宝箱から装備判定出ててきたから、敵モンスターでないのは間違いない筈。
だが、能力、名称共に謎なのは少し警戒したくなる。
「……おいおい。間違いねぇぞ!? コ、コイツ……従魔だぞ! 超激レアの!!」
「いきなり興奮してどうしたんだショウ? 従魔? 何だそれ?」
「ほらほら! アレだよアレ! King Lordが騎乗していた黒竜みたいな味方モンスター! あの卵がコレだよ!」
翔が興奮しながら教えてくれた。
まさか、あの竜達の元々の原形は卵だったのか……。
何故、プレイヤーがモンスターを手懐けられていたのか?
と、いささか疑問に思っていたが、ようやく解決した。
「……ってことはこの卵からも黒竜が生まれるのか?」
「いや、それはランダムだから分からないぜ! 既存から新規まで多種多様ものが出てくる。まあ、格は黒竜と同じだしそれなりに期待していいんじゃないか?」
なるほど……。
ランダム要素強めのガチャみたいな感じなのか。
そう考えるとKing Lordがあの数を黒竜一色で統一していたこと。
アレは本当に大変なことだったんだな……。
黒竜がクランのファングッズになるのも十分頷ける。
「一応、競売とか貿易交換に出すと金貨一万枚相当はするけどーーーー」
「「ダメ!!」」
咲の補足提案に瞬時に反応したルシアーネと雪。
まあ、自分たちで引き当てたんだ。
そんな簡単に手放せるものでもないだろう。
「それでコレって誰が管理するんだ? それと勝手に孵化したりだとかしないのか?」
「詳しいことは分からないけど、マイホームに一ヶ月くらい置いておくと孵化するらしいね」
意外にそこのところは簡単そうだ。
つまり、一ヶ月間部屋に放置しているだけで勝手に産まれてくる。
ハードな育成ゲーム要素を懸念したが、その心配はいらないらしい。
「それで誰のマイホームに置いておくかなんだけど……ここが問題なんだよな……」
すると、咲が少し困った風に考え込む。
別にこの卵の大きさくらいだったら難なく入りそうな気がするが……。
他に何か問題でもあるのか?
孵化した瞬間に暴れ回るとか?
「そんなに危険だったりするのか?」
「そういうことじゃないんだ。この卵、実は育成者によって出てくる子の傾向が変わるんだ」
出てくる傾向?
さっきランダムって言ってなかったか?
「例えばなんだけど、ジョブが焔の剣士みたいなプレイヤーが育てると火系統の従魔が生まれやすくなる。雷の騎士だったら雷系統のモンスターが。つまり属性ジョブによって左右されるんだ」
そういうことか……。
それを利用することで自分に最適解な従魔を生み出しやすくなる。
つまり、ガチャでいう一種の確率の絞り込みの選択というわけだ。
「逆に、属性ジョブがないプレイヤーだとどうなるんだ?」
「いわゆる標準的な汎用性の高い従魔が生まれてくるね。悪い言い方をすると器用貧乏。だから、育てるとしたらユキちゃんかカイ君の元で育てるといいね」
俺か雪のどちらかか……。
ちなみに俺の属性ジョブは唯一無二の【双対】。
雪はワールド内でもかなり希少な【速性】だ。
どちらにせよ、誰もまだ見ぬ従魔にお目にかかれるとかなり期待値が高い。
問題は、ルシアーネと雪どちらかが納得するかだがーーーー
「これはお兄ちゃんとルーちゃんの元がいいと思う! ユキはログアウトしている時間の方が長いし、ルーちゃんの方がいいよ! それにお兄ちゃんもいるし安心できる!」
意外にも雪があっさりと折れた。
別に言い分としては妥当だが、本当にいいのか?
「ユキがそれでいいなら、俺としてもいいのだが……本当に良かったのか?」
「うん。ちょっとは育ててみたい気持ちがあったけど、この子にとってはそっちの方がいいと思うし……。それに絶対、お兄ちゃんの世界にひとつだけの属性ジョブなら、まだ誰も見たことのない子に会えるんだよ!! ユキも見てみたいし!」
確かに唯一無二の属性ジョブなら、その従魔も誰も知らないようなのが生まれるかもしれない。
色々と未開なところがある分、好奇心も止まらない。
ルシアーネも満足気に『私に任して!』と言っていることだ。
なら、これでいいんじゃないか?
「そうだな……。だったらこの卵は俺たちが責任を持って孵化させようと思う」
「生まれたら、皆んなに1番に見せる!」
そういうことで俺たち基、叡智の星に今後、初めての従魔が加わる予定となった……。
今週も溜まった分、金土日に投稿します!
もしかしたら平日にも何話か投稿するかもしれません……。




