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72話 タイムアタックダンジョン④

続き


ーー第6階層〜08:22



 あれから俺は翔に背負われ攻略を続けていた。

 行く途中に俺と同じく、デスプラントの麻痺によってダウンしてしまったパーティーがちらほらと見える。

 やはり、あの第5階層は第一の難所のようらしい。


 基本的にダンジョンを即時退出することはできない。

 ダンジョンをオールクリアして戻るか、来た道を戻るかの2つの方法だけだ。

 その為か、不都合で途中で棄権したいパーティーは、同じ目的の者たち同士で固まって帰還する。

 また、先行するパーティーに同行する許可を貰い寄生して帰還する場合もある。

 後者に関しては、俺も一度スカーレットとイザベラに同じように助けられた経験がある。


「この階層はそんなにモンスターが沸いていないんだな」


 俺は周囲を見渡して言った。

 さっきまでと比べてみても襲いかかってくるモンスターの量が少ない気がする。

 その分、この階層は走っているだけでいいのだが……。


「ここにいるプレイヤーが大半倒しちまったんだろうな。モンスターが沸いてくるよりも早く」

「へぇ……ラッキーだったな。俺の麻痺がここを抜けるまで回復すればいいだが……」

「まあ、結局このフロアのボスモンスターはちゃんと倒さなきゃいけない。あんまり無理せず、素直に背負われとけ!」


 男2人、体を寄せ合い密接に話をする。

 しかも、翔に関しては上半身ほぼ裸だ……。

 一体どうしてコイツはこんな装備にしたんだ……?

 (はた)から見たらかなりキショい光景になっていそうで、かなり恥ずかしい。

 これは早急にパーティーに治癒術師が必要だな……。



「皆んな、ボス部屋に来たよ! 気を引き締めて!」


 しばらくしているとそんな声が咲からかかる。

 視線を移すと、目の前には巨大な岩石型モンスターがドッシリと構えていた。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


ミスリルゴーレム   Lv.1000【体力】1000000/1000000


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



 体力がさっきのデスプラントの比にならないほど高い……。

 しかも、今回は敵自ら重々しい一撃を与えてくる。

 ここからはもうタイムアタック以前の問題になってきそうだ……。


「ショウはスキルの全体バフとカイ君の防衛を! ユキちゃんは僕の移動補助をお願いね!」

「おう、任せとけ!」

「分かったよ!」


 やはり、事前情報による力の差なのか、咲が怯まずに的確に指示を出していく。

 今度ソロでダンジョンを攻略する時は、ちゃんと調べていこう。

 と、呑気ながら翔の背中の上で思っていた。


「メインアタックは僕とルーちゃんの2人でやるよ! 僕がヘイト管理と近距離攻撃をするから、ルーちゃんはいつも通りお願いね!」

「うん!」


 すると、咲とルシアーネの即席コンビによる攻撃が始まった。

 翔が騎士ジョブのスキルを一通りかけ、パーティー全員にバフがかかる。

 雪も咲の指示がいつでも飛んできて対応できるよう、杖を構えて準備している。


「徹甲弾。発射準備」


 ルシアーネが右腕を変形させ戦闘準備を整える。

 最近は、レベルが急上昇で魔力量が格段に上がったことによりミサイル系の攻撃が主体になりつつある。

 速くかつ瞬間的な高威力は明らかにこちらの方が絶大だ。

 ダダンに教えて貰ったのか、いつの間にか弾のレパートリーも増えている。

 普段一緒に戦っていると、自分のことだけで精一杯で気づきにくかった。

 が、こうして落ち着いて見てみると彼女もまたレベル共々成長していることが分かる。



 ルシアーネが準備している間、咲は既に攻撃を始めていた。

 俺と同じ近距離型と言っても、咲はかなりのスピード重視の攻撃スタイルだ。

 獣人の利点、俺以上に身に付いた武道技術を用いて軽快にミスリルゴーレムを翻弄する。


「『獣化』『威嚇』!! こっちだよっ!」



“ドゴォッォォン!!”



 スキルを適宜(てきぎ)発動した抗戦をしている。

 ヘイトを買ってはミスリルゴーレムの動きを上手く阻害し、尋常ならざるスピードをもってヘイトを切った隙を突いて攻撃。

 敵の動きが遅いのもあるが、危なげなく攻撃を全て(ひるがえ)す惚れ惚れとする動きだ。


「今だルーちゃん! ミスリルゴーレムが態勢を崩した隙に!」


 咲だけで体力の三分の一を刈り取った頃。

 動きが不穏になった一瞬の隙を見出し、今の今まで準備していたルシアーネに指示が飛ぶ。


「主の分も私が倒す! 一斉発射…………!」



 “ブシュウルルルルルルルル…………ドガッドガアアアアアアン!!“

 “ブシュウルルルルルルルル…………ドガッドガアアアアアアン!!”

 “ブシュウルルルルルルルル…………ドガッドガアアアアアアン!!”

 “ブシュウルルルルルルルル…………ドガッドガアアアアアアン!!”

 “ブシュウルルルルルルルル…………ドガッドガアアアアアアン!!”

             ・

             ・

             ・


 魔力が大量消費された時の脱力感が一気に襲ってくる。

 流石にやり過ぎだろと若干、呆れてしまうのも束の間。

 ミスリルゴーレムの体表に刺さるように着弾して爆発する。

 更に破裂により弾体が砕け散り、二次災害を及ぼす地獄のような攻撃の雨だ。


 しばらくしていると、前もって準備していた弾が切れたのか攻撃が止む。

 だが、煙の中から出てきたのはボロボロになりながらも今だに立つミスリルゴーレムの影。

 アレを受けてすら倒れないのか……。

 と、かなり拍子抜けしてしまったが、その静寂を断つように咲の指示が飛ぶ。


「ユキちゃん! 今だ! 頼むよ!」

「了解! 任せておいてー」


 雪が杖を振り『高速転移』と唱える。

 すると同時に咲の姿が見えなくなり、いつのまにかミスリルゴーレムの頭上に存在していた。


「これでラストだァァァァァ!」



“バゴォォォーーン! …………バギィバギィバギィ!!”



 体の回転軸を使い蹴り落とした一撃が見事に決まる。

 体表のミスリルを蹴散らしながら、遂に光の泡となって消えていった。



ーー経験値600000取得しましたーー


ーーレベルが1上昇しましたーー



「どう? カイ君を模倣してみたけど、ルーちゃんと僕のコンビも中々のものだろう?」

「主、驚いたー?」

「凄いな……本当に2人だけで倒してしまったんだな」


 俺にニコリと笑みを浮かべる咲とルシアーネ。



 初めて2人で組んだのにもうここまでのクオリティ。

 若干、心の中で色々と焦りを感じるものの第6階層攻略は見事に達成されたのだった。


次話はお昼に投稿します!

日曜日、もしかしたら2話になるかもしれないので先に免罪符うっておきます……。

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