69話 タイムアタックダンジョン①
続き
タイムアタックダンジョンと思わしき場所に着いた。
洞窟の中にあるダンジョンのようでプレイヤーはそこそこいる。
外観を言うならば、テーマパークのマウンテン系アトラクションの待合場所。
あと、特筆すべき点は天井にスコア表のようなモニターが映し出されていることくらいだろうか?
「ユキの転移、本当に物凄く便利だな……」
「主の妹、凄い!」
俺たち未体験2人組は周囲の景色が変わったのを確認して言う。
雪は俺たちの驚きの顔を満足気に見て頷く。
「よし、じゃあ皆んな! ここからはリーダーの僕が仕切らせてもらうね! カイ君とルーちゃんは初めてだから、まず初めに大まかにこのダンジョンの説明をしたいと思うんだけど……いいかな?」
「「よろしく!!」」
すると、まず咲が上空に浮かぶモニターを指差した。
そこにはランキング、パーティー名、プレイヤー名、タイムが載っている。
「まず、ここのダンジョンのルールの説明からだね。ここはただモンスターを倒していればいいだけのダンジョンではないんだ。名前にあるタイムアタックの通り、ダンジョンの攻略スピードを他プレイヤーと競い合うのが主旨さ」
なるほどな……。
ここではただモンスターが倒せるだけではダメということらしい。
他プレイヤーと競い合って、より良い成績を修める。
闘争心が掻き立てられて、なかなか面白そうな感じだ。
「攻略には2種類あってソロ攻略とパーティー攻略。今回はどちらともやる予定だけど、まず肩慣らしにパーティーの方からやってみようか!」
俺たちは攻略フロアの入り口の方へと近づいていく。
すれ違う中で、幾人ものプレイヤーが喜怒哀楽しているのが分かる。
何度も何度も挑戦しているようで、あのモニター表を見たところ1位のパーティーは最短の10分ちょっとで攻略していた。
案外、軽めに周回できるのかもしれない。
「それでサクたちも初めてなのか?」
「そうだね。ここにいる3人もカイ君たちと同じで初めて挑戦するよ」
「へぇ。随分と詳しいからもう何度か挑戦しているものかと思っていたが……」
意外にも3人ですらも初挑戦のようだ。
「いやいやカイセイ。ここのダンジョン結構シビアだぞ! 今回、咲と俺とお前が急速成長したから一回ここに来てみた訳なんだぜ? ランキングに食い込むのも難しいし、そうなるまでは経験値の恩恵も大したものじゃないから以前の俺たちには到底無理だった。今回も最低限、攻略さえできればいいと思ってるしな」
と、いうことは意外と上級者向けだったりするのか?
実際、急成長してから俺は一度も自身で戦ったことがない。
今の自分の力を把握しきれていないし、大丈夫だろうか?
「主、大丈夫! 心配しない!」
「おう、そうだな。あの巨大亀の絶望に比べれば大したこともない。ちょっと考え過ぎていたな」
俺はルシアーネに激励を受け、気を強くもつ。
実際、パーティーでのちゃんとした活動はこれで最初になる。
張り詰め過ぎて足を引っ張らないようにしないとな……。
「じゃあ、最後に実際の攻略に関してだね。タイムアタックの記録ランキングに参加する条件として、まずダンジョン内にいるモンスターを一定数倒さないといけないんだ。それはモンスターの種類、レベルによって討伐数も変わってくるから効率よく選りすぐっていかないといけない。ここはリーダーの僕から指示を出すからOK?」
「よし、了解した。ルシアーネも大丈夫か?」
「完璧!」
翔と雪の2人も頷きあい納得したところで話は続く。
「あとは、攻略する為の陣形の確認だね。前回はショウが前衛でカイ君に遊撃を任せていたけど変えようと思う。ここ数日で、パーティーでのパワーバランスが大きく変化したからね。一番高レベルのカイ君が前衛を。ショウが後衛で移動補助に徹しているユキちゃんの支援、防衛。僕が変わらず中衛で状況の判断と指示、攻撃を。ルーちゃんも変わらず遊撃で機転を利かせて攻守を担って欲しいんだ」
俺が前衛か…………責任重大だな。
後は騎士ジョブの翔がレベルの1番低い雪の支援だな。
ルシアーネと咲が適宜、攻撃に入ってくれるようだが俺がメインアタッカーだ。
そういえば、前衛は攻略路の罠感知も含まれると思うが……。
そこのところはどうするんだ?
さすがにスピード攻略できるような、経験や実力は備えていない。
「あと、質問なんだが攻略の足はどうするんだ? 申し訳ないが、不足の事態があったら詰まる自信があるんだが……」
「それに関しては安心してくれていいよ。ここのダンジョンは特に一方通行の色が濃いし、さっきも言った通り移動に関しては転移が使える移動専門職のユキちゃんがいる。カイ君は安心して前方にいるモンスターを倒してくれさえすれば良いさ」
「お兄ちゃーん! ユキのこと頼りないかもしれないけど、そこのところだけは任せてよね!」
「そうだったな。すまない、これで安心できた。俺たちに関してはもう大丈夫そうだ」
そう言い残すと、俺たちは遂に戦闘フロアへと足を踏み入れた。
モンスターがひしめき合って俺たちを待っている。
ところどころに他プレイヤーの足跡も見え、いかにもという感じだ。
「全員、準備はいいかい? 気合入れていくよ!」
「「「「おう!!!!」」」」
叡智の星による初のダンジョンパーティー攻略が今始まった……。
次話は今日のお昼頃に更新します!




