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66話 朝の騒動

続き


 休日が明けた。

 俺は朝の眠気の欠伸(あくび)を噛み締めながら学校に来た。

 いつもみたく静かな教室の片隅で一人椅子に座って勉強。

 

 とはいかず現実、俺はひしめき合う教室の真ん中でクラスメートの視線に晒されていた。


 その原因は忌々しきにも何せーーーー



「チョリーッス! え? 緊急依頼? 強かったよね? 序盤、中盤、終盤、隙がなかったよね。でも、俺たち? 勝っちゃったんだよな! なぁカイセイ?」

「……っクソ! おい、離せって……お前バカかよ!!」


 雷門翔こと、妖怪:金髪プリンヘッドが今日朝来たら調子に乗っていた。

 週末が明け、熟成プリンと化したあの男は学年中に自慢し回ってていたのだ。

 全世界が震撼したセカンドワールドでのイベント。

 その一端にいたのだから噂はすぐさまに学校中に広まった。


 挙げ句の果てに口を滑らせて、俺の名前を出す有様(ありさま)

 その人混みに巻き込まれ、質問攻めに遭うのは必然的になるというわけだ。

 

 コイツの口が発端の不良に絡まれた事件という前科もある。

 そろそろ一発殴っても文句の付けようがないのでないか?


「おい、マジかよショウ!? レベルはいくつになったんだ? あのバカデカイ亀倒したんだから、相当のもんだろ?」

「レベル……? ああ、気になっちゃうよねー。ああ、どうしよっかな? 見せよっかな?」

「おい、バンドウも一緒だったんだろ? 見せてくれよ!」


 残念ながら今の俺の方が翔よりもレベルが高い。

 自分へと向いたヘイトが削がれるのを恐れてか、瞬く間の手の平返しで答える。


「……ああ! 見せちゃおう! レベルは3473レベルだぜ? 見てみろよ!」

「おおおおおお! マジかよ、3000レベル越えはヤバくね!?」

「ワンちゃん、国内ランキング入ってる? ある? いや、流石にないか?」

「ライモン君ー! 私たちにも見せて欲しいなー」

「おうぅ…………近う寄れ! 近う寄れ!」


 翔がモバイルのガラス板を掲げ、自分のステータスレベルを見せつける。

 完全な成金ムーブに(たか)るクラスメイト。

 他クラスの奴らもそれを聞きつけてやってきて、騒動になり過ぎている。



 まあ、朝からこんなことをしているものだ。

 勿論妬みの声もちらほらと聞こえてきたりもする。


「フン……King Lordのおこぼれを貰った奴らが何イキってんだよ」

「あーあー。陽キャ様様ですねー。羨ましいこった」

「いやー、普通に席つけなくて目障りなんですけど……なんなのあの2人?」


 痛烈な批判も入ってくるわけなんですが……。

 はい、全くその通りです。

 俺だってこのバカに巻き込まれていなかったら、おそらくそちら側に立っていたはずだ。


 俺自体は何も自慢していないのに、巻き添えで言葉の槍に刺さるハメに。

 全く、冗談はよしてくれよ……。



「あれ? 今日は一段と騒がしいね? 何が事件でもあったのかい?」


 すると、何も知らない咲が廊下から教室を覗くようにやってきた。

 流石、女子人気の高い咲。

 外から見たら、まるで朝から美青年が女子を(たぶら)かしハーレムを形成しているような図だ。

 

 周囲にいる取り巻きの女子数人に状況を説明して貰っている。


「ライモン君とバンドウ君があの緊急依頼の件に偶然居合わせたんだって! そう言えばサクちゃんもよく、あの2人と…………」

「へ、へぇ……。そうなんだね。僕はあの時は確かどうだったかな…………?」


 咲が少し(わずら)わしそうな顔をしているのが分かる。

 それから事の発端の翔の顔を睨みつけるが、当の本人は気づいていない様子。

 しかも、ーーーー


「おおっ!! どうやら第3当事者も到着のようですぜ! おい、サクもこっち来いよ!」


 コイツ…………やりやがったな。

 咲も露骨に嫌な顔をして俺に苦笑いし、自分の教室へと帰って行ってしまった。

 そんな只中でも、なお翔は呑気に脚色がかった話を続ける。

 もう、ちょっとした怒りを通り越して呆れてしまった。



 しばらくしていると、奥の方からザワザワとした別の騒音が聞こえてくる。

 心なしか皆んなが離れて行っているようで何事かと思ったがーーーー


「あなた達、もうチャイムはなっているのよ! 自分の教室に戻りなさい!」

「おい、騒がしいぞ! さっさと席に座れ!」

「お前ら一体、朝から何を騒いでいるんだ!? 全く!」


 どうやらホームルームが始まるようで教師らがやってきた。

 人並みをかき分けてやってきて徐々に人混みが雲散としていく。


「おい、先生もう来たぞ! もう、本当にやめろって…………」

「あ、うん。それでさぁ、俺なんと世界ランキング11位になった千眼さんとコンビ組んで戦ったんだよね。それでさーーーー」



「原因はお前らか? ライモンとバンドウ? 昼休みに生徒指導室に来るように!」



 ついに俺たちの元に辿りついて生徒指導の教師がそんな事を言う。

 俺はもうどこか諦めたような顔。

 翔は自分の世界から戻り、周囲の状況を見渡して動きが止まっている。


「あっ、すまん……カイセイ」

「…………へぇ? 一発殴らせろや」


次話は夜に投稿します!

宜しくお願いします!

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