59話 神域星
続き
神域星に着いた。
俺とルシアーネの2人は人通りの多い広場の真ん中に立っている。
あれからマイホームで地図を開いて選択するとすぐさま転送されたのだ。
「…………凄い。未来都市みたいで王国とは全然違うんだな……」
「高い建物いっぱいある!」
周囲を見渡すと至る所に超高層ビルのようなものが立ち並んでいた。
外見のカラーは黒を基調としたモノトーン風。
投光に虹色が彩色されているゲーミング模様が印象的。
どこか近未来感があって、空を見上げると銀河の星々が見える。
まるでSFの世界に入り込んだかのような夜の街だった。
「主、主! あっち見て! 空に映像が浮かんでる!」
ルシアーネに引っ張られそちらの方を覗く。
すると、空中に浮かびあがったモニターが目にはいった。
プレイヤーらが今まさにダンジョンに挑戦している映像が映し出されている。
その下ではたくさんのプレイヤーらが観戦して応援で白熱していた。
「おい、ザックス! そっちは明らかに罠だろうがよお!」
「ふふはぁはぁ、ふふはぁはぁ……ニーナたん今日も可愛い……」
「レインいっちまえ! おおおおお!」
「アイツら、着々とランキングを上げてるな! 見応えのある奴らだぜ!」
「今のコンビネーション最強過ぎだろ!? 痺れるぜぇ」
「きゃーーー!! レイン様かっこいい!!!!」
周囲の雰囲気に飲み込まれそうになる。
アワタスト王国とはまた随分と違った雰囲気。
人々の熱気や喝采も今までに感じたこともないくらい多く、驚かされるものばかりだ。
「それで、俺たちは今一体どこに居るんだ? 武器屋の位置もこれだとよく分からないし……」
俺が若干、困り果てているとアナウンスが鳴った。
ーー現在位置は神域星:第七都市セブンスホースですーー
ーー近場の武器屋の検索をします…………ーー
「……お! アナウンスさんが意図を汲み取ってくれているな」
この近未来な街の情景に合わられているのか?
異様にアナウンスの性能も高くなっているような気がする。
現実感が湧かないが、確かにここもセカンドワールドの中なんだ。
俺は好奇心を抑えられず、周囲をチラチラと眺めていた。
しばらくしていると検索が引っかかった。
ーー徒歩圏内5分……『ALLーWEPONN 第七都市セブンスホース支店』ーー
ーー目的地までのナビゲートを開始しますか?ーー
「へぇ……ナビゲートまでしてくれるのか神域星では。さすが☆×0の地域だな。気遣いが違う」
「主ー。行くお店決まった?」
「ひとまず、5分圏内にある近場の店に行ってみようと思う。いい物がなかったら別の店にも行くってことで」
「分かった! 早く行こ!」
俺たちはナビゲートの指示に従い足を進める。
行方には巨大なカジノの入ったタワーが羅列されていて高級街のよう。
プレイヤーの身だしなみも冒険者スタイルが3割、残り7割がスーツ、ドレスのような格式張ったものだ。
俺の初期装備は明らかに場違い感がする。
が、目を向けられることなどは特になかった。
皆、ここにある私欲を満たす為の施設に恍惚としているようで、ガヤガヤと賑わっていたからだ。
「主ー! キラキラしたのがいっぱいある!」
「……っておい! 勝手にふらつくなよ。迷子になったら流石に探しきれないぞ」
その誘惑に拐かされたルシアーネを連れ戻す。
が、結局いつもの通り俺が背中におんぶすることになった。
「主、まだー?」
「ここの角を曲がったところにあるはずなんだが……」
しばらく歩いていると俺はふと足を止めた。
ナビゲートのアナウンスもここだと言っているがーーーー
「…………ただの武器屋、なんだよな?」
「すごく大っきい!」
俺たちは大気圏を突き抜けるかのような超高層タワーを目の前にした。
正面には『ALLーWEPONN』と記されたクールなフォントの看板がある。
入り口は野球のスタジアムのような様式で、キラキラとした装備を着こなすプレイヤーらが出入りしていた。
「ちょっと……俺にはかなり格式の高い場所なような気がするな」
思わず声が出るがそれもその筈。
俺は今まさに初期装備をしていて、明らかにドレスコードで拒否されてしまいそうだ。
「武器屋っていうからには、もっと気軽に入れるところばかりと思っていたんだが……」
「ここに装備売ってる?」
「いや、一応金貨1000枚あるけど流石に予算がすぐに尽きそうな場所だからな……別のところにーーーー」
「いらっしゃいませお客様。ALLーWEPONNのご利用は初めてでしょうか? よければこの私がご案内をさせて頂きたく存じあげます」
俺がそう言って他の店を探しに行こうとした時、急に誰かに呼び止められた。
執事服のチョビ髭の男でローションで硬く固められた黒髪オールバック。
右胸には名札が付けられており、まさしくこの店のNPCの店員だった。
「あの……ちょっと俺たちには敷居が高いようで。えっと、その…………」
「僭越ながら、先程ご予算の方をお聞きしたところ金貨1000枚と仰っていましたね。そちらの方であれば、当店でも十分良いものをお客様に提供できると自負しておりますので……是非!」
小慣れた客引きで無意識の内に店内へと進められていく。
「いやでも……予算全部使う訳にはいかないので……」
「お連れの方もいかがでしょうか?」
「カッコいい銃、見られるー?」
「ええ、勿論ですとも。ご購入頂けなくとも、当店ご自慢の武器の紹介も承りますので……是非!」
すると、隣にいたルシアーネを誘惑してきた。
彼女は銃という単語が出ると、強く興味を示して1人で中に入っていく。
「…………はぁ。まあいいか」
必死の浅知恵な断りの文言も相容れない。
そのまま強引に引き戻すこともできず、俺は若干の苦笑いを浮かべながら入店することとなってしまった……。
忙しく7月は更新できない日が出てくると思います。
すいません…………。




