【閑話】ダダンとルシアーネ②
続き
俺は今、この謎の嬢ちゃんにいろんな銃を教えている。
隠密にモンスターを倒す為のサプレッサーの存在。
軍用機に使われるミサイル弾の放出口。
もちろん、一番初めに興味を持った銃剣についてもそうだ。
嬢ちゃんはその武器の特徴を言うと、右腕を次々に変形していく。
あれやこれやと試行錯誤をしながらも、教えたことはすぐに吸収していった。
俺もいつの間にか、それが異様に楽しくて年甲斐にも随分調子に乗っちまった……。
「それでもまた、なんで銃剣なんかに異様に興味を持ったんだ? 嬢ちゃんなら近接戦闘でも散弾銃に変形すればいいだろう?」
俺はふと疑問を投げかけた。
こんなにも色々な高性能な武器に変形できるんだ。
今さら、たかが銃剣のような付け焼き刃な武器を必要とするのか?
言ってしまえば、この嬢ちゃんが作り出す銃の弾で倒せないモンスター。
そいつは銃剣如きが活躍する暇も与えないだろう。
「私の銃弾は主の魔力を消費する」
「ほう…………魔力弾か」
「そう。だから逆に言えば、魔力がないと戦うことすらできない。もっと自分の力だけでも戦えるようになりたい」
嬢ちゃんから返ってきたのは切実な願いだった。
確かに魔力弾と言うものは自身の魔力に依存する。
嬢ちゃんの存在は武器判定。
いわば、全ての魔力銃器が人間化したものと等しい。
自身の主にしか頼ることのできない、高知能なNPC。
そんな状態の打開策をなんとか模索していると言う訳だった。
本当に嬢ちゃんの主って奴は随分と愛されているぜ……。
ったく……仕方ねぇな。
乗りかかった船だ。
最後まで付き合ってやろうじゃないねえか!
「嬢ちゃん、俺が知っている銃器全ての知識を授ける。ついてこれるか?」
「うん! ありがとう師匠!」
「師匠? ……まあいい! 一端の神武器にしてやらぁ!」
これが俺と嬢ちゃんの初めての出会いだった。
次の日、今日もまた同じように露店で武具を販売していた。
いつも通り客の質は悪いが、別に大したことでもねえ。
今日は特にこのアワタスト王国にいろとクラマスからお達しが来た。
アイツ曰く、何やら悪い予兆のようなものを感じるらしい。
こんな平和ボケした国で、一体何を言っているんだと思うが黙って従っておくことにした。
俺はアイツに一定の信頼を置いている。
また、昨日の嬢ちゃんとの会話が鮮明に心に残っていたのも大きい。
幼女趣味ではないが、あの右腕実はかなり気になっている。
嬢ちゃんとその主は、この国に在住していると言っていた。
もしかして、ここにいればまた会えてその仕組みについても理解できる。
なんていう甘い期待を持っていたのかもしれない。
そんなことを考えていると当の本人が通りがかった。
後ろには10代のアジア系っぽい男女のトリオが歩いている。
「嬢ちゃん! 数時間ぶりだな! そっちが前言っていた主って奴かい?」
「師匠! また会った!」
俺が声をかけると嬢ちゃんはすぐさま反応した。
昨日の無垢な表情とは違い、笑みを見せている。
だいぶ慣れてもらったように思ったが、正体は後ろに控えていた1人に青年にあった。
「ルシアーネの知り合い?」
「うん。主いない時仲良くなった」
この青年が嬢ちゃんの主か……。
身長はアジア系のこの歳にしては高いほうか?
筋肉もほどほどに付いていて、全身が初期装備といかにも初心者という感じだ。
だが、腰に据えているあの銀色の刀。
あれはダンジョン産のそれもかなりの業物のように見える。
「はじめまして、カイセイと言います。えっと……ルシアーネが世話になっています」
「おう! おっさんが名前を出すのも恥ずかしいからな。偽名だが【ダダン】と呼んでくれると助かるぜ!」
快晴と言う青年は畏まって挨拶してきた。
ここは俺も返しの挨拶をしないとな。
生憎、大したクランに入っている癖に二つ名もありやしねえ。
ここはいつも通りの名で通す。
「えっと……ダダンさんはルシアーネとどこで知り合いに?」
「ちょうど、俺が依頼で帝国のイベントと同時期にこの王都にやって来た時、出会したんだ。やけに俺の作った武器を眺める少女がいてな。声かけてみたら嬢ちゃんだったと言うわけだ」
まあ、普通困惑するよな。
こんな訳の分からないオッサンにいきなり声をかけられたりでもしたら。
俺は嘘偽りなく昨日のことを話す。
すると、納得した様子で逆に感謝されちまった。
他の2人にも俺の作った武器を大層褒めてもらい、印象としてはかなりいい。
『これから随分と長い付き合いになる』。
俺は運命に充てられたのか、心の何処かでそんな直感めいたものを感じていたのだ……。
祝【ユニーク数】10000人突破!
閑話はこれにて終わりです。
2章に関しましてはモチベーションと話のストックが溜まり次第、随時更新していきます。
恐らく一週間もかからないのでお待ち頂けると嬉しいです!




