52話 勝機への道
続き
甲羅が破壊され上空からはプレイヤーらが落ちてくる。
千眼を筆頭にして総勢150名弱の最終の攻城戦が始まったのだ。
「僕に続いて頭の攻略をぉ、【戦鬼】に続いて左腕の攻略をしてねぇ! 右脚は黒竜達が受け持って貰うからぁよろしくねぇ! 途中の【銀姫】のところにも何人か入ってくれると嬉しいなぁ。心臓は破壊し終わったところの早いもの勝ちだよぉぉ」
『おおおおお!!!!』
千眼が次々に指示を出していく。
すると、落ちてきたプレイヤーらはドスンッと着地する共に、自分の受け持つ戦場へと別れていく。
あの鋼鉄の大地を突き破った者たちだ。
残り20分という短い時間の中でも、なんとかやり通せるだろう。
俺達の元へはお馴染みのルシアーネ、咲、そして白老ら数人のペア集団がきた。
他の部位より人数は少ないが、俺たちが先んじて攻撃していたこともあり大丈夫そう。
しかも、ここには銀姫と白老という今回の戦闘のコアメンバーが2人もいる。
一番最初に心臓への攻略へ踏み出せそうなメンツだ。
また、仲間外れかと思う翔は千眼の元へいる。
彼はクランリーダーの千眼と組んでいる為、頭の攻略だ。
しばらくしていると後続のプレイヤーらが降りてきた。
俺と銀姫に続いて攻撃を開始し始める。
「手を抜きでもしたら、貴様らとて光の泡に変えてやるぞ! 死ぬ気で攻撃を続けろ!」
銀姫から激励の言葉がはいった。
上に立つ者としての統率に阿吽の呼吸で答える、俺含めその他プレイヤー。
ルシアーネを見るも、咲を見るも実力はメキメキと向上していた。
俺もそれにならい、今再び自分の体に鞭を打つ。
「斬ーーーー」
刀での重厚な一撃を与える。
初撃と違って10万ものダメージは何故か出なくなってしまった。
だが、あの時のような構えで断つと通常よりは遥かに高い攻撃力をもつ。
攻撃スピードは落ちるものの、総合的にこちらの方が効率が良いことが分かった。
すると、俺の与えた傷口に合わせて攻撃が繰り出された。
空いた肉壁に複数の弾丸が撃ち込まれていく。
「……!? よく来てくれたなルシアーネ!」
「うん! 主と一緒にこの肉倒す!!」
後ろを振り返ると、散弾銃化した右腕のルシアーネがいた。
「カイ君! 僕もいることを忘れないで欲しいな! 【必殺】!!」
「坊主、あのコミュ症と組んだのか!? まあ、実力は折り紙付きだ。一応はちゃんと学べたようで何よりだ」
更にその背後で戦うダダンと咲。
ダダンはその巨大な大金槌で空気を揺らすほどの重撃を。
咲は見覚えのある格闘戦術を織り交ぜた、獣人らしいパワフルな連撃を与えている。
「これならもう百人力だなーーーー」
ーージャイアントメテオタートル:頭が破壊されましたーー
ーー完全討伐後、ダメージ概算0.5%の頭経験値報酬を受け取りますーー
突如アナウンスが鳴る。
頭が破壊されたということはつまり千眼と翔のいるところだ。
さっき降りてきたと思ったら、すぐに破壊されてしまっていた。
「流石だな……クラマス。私の想像の遥か上を超えていく。だが、もう遅れは取れない」
銀姫がボソリと呟くと、彼女の体から銀色のオーラが湧いてきた。
ヒリヒリと伝わってくる重々しい空気感。
俺たちはそれに少し動揺しながらも攻撃を続けようとしたが…………。
「【銀河倒瀉】」
彼女がスキルを唱えると、上空からあられもない雨が降り出してきた。
銀色の水滴のような物が、ジャイアントメテオタートルの右腕に当たり肉を削る。
そのポツポツとした水滴はやがて、大雨となりその効果は激しさを増した。
右腕の体力数値がありえないほど速く減少していき……遂に0となった。
ーージャイアントメテオタートル:右腕が破壊されましたーー
ーー完全討伐後、ダメージ概算11.6%の右腕経験値報酬を受け取りますーー
「「「…………」」」
俺達3人は思わずその光景に見惚れてしまった。
まるで蹂躙するが如くの攻撃に声もでない。
が、更にまたアナウンスが二連で鳴り響いてくる。
それと共に遠くでもまた二箇所、天地を揺るがすような爆撃音が聞こえてきたのだ。
ーージャイアントメテオタートル:左腕が破壊されましたーー
ーー完全討伐後、ダメージ概算0.5%の左腕経験値報酬を受け取りますーー
ーージャイアントメテオタートル:右脚が破壊されましたーー
ーー完全討伐後、ダメージ概算0.5%の右脚経験値報酬を受け取りますーー
一気に3箇所攻略されたのだ。
その現実離れした光景に呆然とする俺たちに声がかかる。
「心臓に行くぞ!! ボケっとしていないでさっさとついて来い!!」
『おおおおおおおお!!』
空気を支配した銀姫による喝により勝機の雄叫びが上がる。
そして俺たちは間も無くして心臓への道を一斉に駆け出した。
長かったので52話と53話の2話分割を行いました。(6/28改稿)




