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43話 ジャイアントメテオタートル戦②

続き


 遂にジャイアントタートルとの最終戦が始まった。


 白老は持っていた木刀を抜いた。

 どうやら中に仕込み刃があるようで今まで本気を出していなかったらしい。

 和服の片腕を拭い、晒された古風な刺青入りの腕。

 老人とは思えない程、逞しい体に貫禄を感じた。


「白老さん……」

「いやはや、若い頃ヤンチャしたもので。この世界にいるとあの頃を思い出しますの……」

「爺さん、アンタやるじゃねえか? 俺も黙っちゃいられねえ!」


 するとダダンも何故か上裸になった。

 ボディービルダーのように鍛えられた逞しい筋肉。

 両肩に弾帯を斜め掛けして荒々しく笑っている。


「【収納】、重機関銃(ヘビーマシンガン)此処(ヒア)へ!」


 ダダンがスキルを唱えると、彼の前には立派な銃器が召喚された。

 全長3メートル近くに渡る重々しい銃火器。

 腰の横に構え、銃口を上空にいるジャイアントメテオタートルに向けた。


「師匠の銃! 私の方がもっと凄いの!」


 それを見ていたルシアーネが右腕が動き出す。

 ガチャガチャと金属部が重機関銃に変形していく。

 その大きさはダダンの物を大きく超える物だった。


「おい嬢ちゃん……そんなデカいもん扱えんのか?」


 彼女の体よりも上回る大きさ。

 ダダンの懸念も当然だ。

 その体格に見合わない不恰好な様でフラフラと足元をふらつかせる。


「大丈夫! 主達が手伝ってくれるから!」


 ルシアーネが地面に座り込んで右腕を上空に向ける。

 それから俺と背中に背負われている咲を手招きした。


「主達、私の体抑えてて」

「発射衝撃だったな。ルシアーネ背中から補助すればいいか?」

「うん!」


 ルシアーネは自分の体格と見合わない武器の使用に難点がある。

 以前、骸骨ダンジョンでスケルトン共と戦った時もそう。

 ミサイルを数発撃つ時、衝撃を殺すためルシアーネは俺の背中に固定し発射したんだった。


 それに実際のところ、俺自身がジャイアントメテオタートルに攻撃する手段をもたない。

 何しろ高く上空に浮かんでいて、俺の刀の近接攻撃が届かない。

 なら、俺は遠距離攻撃も使えるルシアーネのサポートに入った方が良かった。


「僕も大丈夫だよ。魔力が空で実際のところ、まともな攻撃ができそうになかったんだ。ルーちゃんの為に僕も体を張るよ!」


 咲が俺の背中から降りてきてルシアーネの腰に手を回した。

 俺もそれに続いてルシアーネの右腕を支える。


「2人共、ありがと」


 ルシアーネは微笑むと右腕を更に変形した。

 銃器から三脚架が伸び、地面に釘を打ち込むかのように固定された。

 

「ほう? 3人で扱うか? それでそっちの金髪の子はどうするんだ?」


 ダダンは感心するとその視線を翔に向けた。

 

「俺の斧も届かないからな。俺は騎士ジョブらしく支援に徹するぜ!」


 翔は斧をを地面に突き立てた。

 柄の部分を両手で強く握りスキルを唱える。

 

「【従者】!」


 さっきも耳にしたスキル。

 すると次第に俺達全員は全身に光を帯び始めた。

 ステータス欄を見ると、全ての数値が通常の×1.2になっている。

 どうやら全体バフ系統のスキルなようだ。


「ほう……ワシら部外者2人にまでかけて貰って魔力の方は大丈夫かの?」

「別に1人や2人増えることなんてどうってことねえ! 攻撃は任せる! 爺さんらのクランの増援が来るまでは効果は続く筈だぜ」


 翔はニカっと笑いそれに答える。

 

「それじゃ……行くぞ!!」




 ダダンの掛け声と共に攻撃は始まった。

 ルシアーネとダダンは銃弾のリロード、翔は仁王立ちし支援に徹する。


 その間、先行し初撃を与えたのは白老だった。

 空に舞い上空で静止すると抜きの構えを取った。


「抜刀…………【一閃】!」


 刀身を鞘から抜いた瞬間に発せられる一撃。

 斬撃の弧が空中を消え、数秒後にジャイアントメテオタートルに到達した。

 巨大さゆえに傷跡は見えないが、体力の数値は確かに減っていた。


「斬撃を飛ばしたのか……!」


 思わぬ攻撃に目を見張る。

 それでも白老は納得がいかないようで、肩を回し再度武器を手に取った。


「まだまだですのお……」

「嬢ちゃんら! 準備は出来たか! 一斉総射行くぞ!」

「「「はい(うん)」」」


 

“ヴァヴァヴァヴァヴァヴァヴァヴァヴァヴァヴァヴァヴァヴァ”

“ヴァヴァヴァヴァヴァヴァヴァヴァヴァヴァヴァヴァヴァヴァ”

“ヴァヴァヴァヴァヴァヴァヴァヴァヴァヴァヴァヴァヴァヴァ”

“ヴァヴァヴァヴァヴァヴァヴァヴァヴァヴァヴァヴァヴァヴァ”

“ヴァヴァヴァヴァヴァヴァヴァヴァヴァヴァヴァヴァヴァヴァ”

“ヴァヴァヴァヴァヴァヴァヴァヴァヴァヴァヴァヴァヴァヴァ”

“ヴァヴァヴァヴァヴァヴァヴァヴァヴァヴァヴァヴァヴァヴァ”



 耳元でえげつない程の発射音が聞こえてくる。

 ルシアーネとダダンの二丁の銃火器が火を吹いている。

 ダダンのからは溢れるような廃弾が。

 ルシアーネからは俺の魔力が次から次へと消費されていく。


「物凄く強い……衝撃だねっ! 支えている僕の体も悲鳴を上げているよっ!」

「…………何を言っているか全く聞こえないなっ! ミサイルもヤバかったが、こっちは絶え間なく続く……。ルシアーネ、大丈夫か!」

「……楽しい」


 俺はルシアーネの顔を覗き込むと彼女はニヤリと笑った。

 さすが、生粋の戦闘狂。

 自分で生成した武器があの巨体のダメージになっていることに興奮しているようだ。


「おい、坊主! お前は魔力切れ起こすなよ!」


 ダダンを見ると俺たちの銃撃に驚き満足の笑みを浮かべた。

 ただ、俺の魔力消費に依存していることも知っているよう。


「【収納】、魔力回復薬(マジックポーション)此処(ヒア)へ!」


 ダダンは再びスキルを唱える。

 すると、彼の右手には青色の液体の入った試験管のような容器が召喚された。

 輝かしい光を放ち、見る者全員を魅了する。


「坊主、空になりそうになったらコレを飲め! 魔力を全回復してくれる回復アイテムのような代物だ!」


 そう言うとソレをこちら側に投げてきた。

 俺はそれを危なげなく右手でキャッチしダダンに問う。


「回復アイテム…………貴重な物ですよね? いいんですか?」

「ああ、そんな大層な代物でもねえ! それよりお前らに穴があく方が問題だ。勿体無がらずちゃんと飲めよ!」

「分かりました! ありがとうございます!」


 俺は魔力の減少が激しくなる前にコレを飲むことにする。

 魔力回復薬(マジックポーション)

 初めて知った代物だが俺達の戦闘スタイルにはかけがえのない物になりそうだ。

 戦略の幅も広がるし、自分でも数本携帯しておいたほうが良いかもしれない。


「お前ら、ドンドン削っていくぞ! 誰一人遅れをとるなよ!」


 するとダダンが皆んなに再び喝をいれた。

 



 まだ、俺達の戦闘は始まったばかりだ…………。


500P達成ありがとうございます!

戦闘シーンの話はいつもながらくどく申し訳ないです。



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