42話 ジャイアントメテオタートル戦①
続き
あれは隕石か?
それとも巨大なモンスターか?
突如、王都中を暗転させた緊急依頼。
俺達の頭上の視界を全て埋め尽くす謎の巨大物体。
まるで大地が降り注いでくるようで俺は腰を抜かしそうになる。
「あれはモンスターなのか……?」
そんな疑問が頭の中を走る。
「アレは確かにモンスターですな。名前にあるようにアレは亀系のモンスター。かなり大きく見えますが間違いありませんな」
「……だったらアレは全部甲羅なんですか? 手足と頭が見えないんですが……」
「おそらく殻の中に閉じ籠っているんでしょうな。何もせずとも王都を破壊できる……これは参りましたの」
ジャイアントメテオタートル。
隕石かのように思えた物体は、まさかの亀系モンスターの甲羅だった。
まるで大地がのように木が生え緑が有る様は、巨大浮城の名をうかがわせる。
どうやら、あのモンスター自身は変に手を出してこない様子。
ただ一刻と地面に落ちるのを待ち、破壊を企んでいるのだった。
「着弾までもって1時間弱でしょう……さてどうしたものかあの体力……」
「体力……?」
白老が重々しい表情で口を開く。
そう言えば、緊急依頼とはいえヤツはモンスターだ。
俺はジャイアントメテオタートルの体力を確認した。
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巨大浮城:ジャイアントメテオタートル Lv.130(↑↑)
甲羅 Lv.130(↑↑)【体力】999999999/999999999
頭 Lv.130(↑) 【体力】999999/999999
右腕 Lv.130(↑) 【体力】999999/999999
左腕 Lv.130(↑) 【体力】999999/999999
右脚 Lv.130(↑) 【体力】999999/999999
左脚 Lv.130(↑) 【体力】999999/999999
心臓 Lv.130 【体力】99999/99999
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「「「「…………」」」」
俺達4人は思わず絶句してしまう。
レベルの隣にある上矢印の存在。
体力に表示された気持ち悪い程に並ぶ9の数字。
更に一体のモンスターの中のそれぞれの部位に体力があった。
どれをとっても破格のボスクラス級。
そして、今目に見える甲羅の体力の多さに戸惑いを隠しきれない。
「見えましたかの……。あの上矢印2本……2回限界突破の怪物モンスターですな」
白老の言葉に息を呑む。
2回限界突破に更にレベル130だから……。
単純計算してもレベル20000越えの化け物だ。
帝国レベルのプレイヤーが総動員され、初めて対処できるイベント。
それだけに破格の次元の存在だ……。
「更に厄介なことにーーーー」
「……空に浮かんでいて迂闊に手が出せない」
すると、白老の説明を遮る者が現れた。
どこかで聞き覚えのある声。
俺達の背後からし咄嗟に振り返って見た。
「師匠ー!」
「ああ、お前らさっき振りだな!」
そこに立っていたのはルシアーネの師匠。
こと、俺たちが偶然通りがかった時に出会った露店の販売人【ダダン】だった。
「師匠、大丈夫だった?」
「当たりめぇだ! ガキンチョ共が生きていて俺が死ぬことがあるか!」
2メートル弱ある金槌を背負いやってくる。
筋肉ムキムキの黒人でガハハと笑いながらやってきた。
「そこのドワーフのお方、もしかして貴方は……」
「おうっ! この国の国王じゃねぇか! 俺達のクランに救援要請が出て、丁度この街にいた俺が真っ先に来たんだが……ヤバい状況だな」
空を見上げて苦笑いを浮かべるダダン。
白老も頭を下げているようで状況がいまいち理解できない。
「此度は応援要請を受けて頂いて、ありがたくーーーー」
「ああ、湿っぽいことはいい! ウチのクラマスが勝手に引き受けたんだ。お人好しだからなアイツは。あんたのとこのクラメンも俺達のとこと一緒に、帝都を出て向かっている筈だ」
どうやら国王が援軍要請を求めていたプレイヤーら。
それが偶然、ダダンの所属していたクランらしい。
確か、帝国のレイド戦に出るとかなんとか。
と、言うことはダダンもまたかなりの実力者なのか?
そのことを含めルシアーネが質問してくれた。
「師匠、ドワーフ? クランどういうこと?」
「ああ、言ってなかったか。普通の人間には分かり辛いが俺の種族はドワーフなんだ。人一倍力があって鍛冶士ジョブ持ち、その腕を買われてクランに入っていたわけなんだ。今回、ここにいるのもレイド戦に出る為で、その暇な間にこの王都で武具を売っていた」
どうやらそんな理由でここにいるようだった。
「それより国王。クラマスが一応他のクランにも声をかけているが正直見込みはねえ。レイド戦前で本調子も崩したくないようだ。誰もデスペナルティーを喰らうような真似はしたくはない。あんたのところのクラメン半数と俺達のところの100人弱。コレで今回はなんとか治めるぞ」
「了承しておる。助太刀感謝する」
するとダダンが状況を整理し伝えてくれた。
白老も感謝して頭を下げている。
「師匠! 私と主、皆んなもいる!」
「本当は『逃げろ!』……なんて言いてえがお前らもやる気はあるようだな! 戦力はある分に越したことはない。緊急依頼は何も1人で抱えこむ必要はないし、今回の相手は自らは手は出してこない。攻撃をひたすら当て続けるだけの防衛戦だから、お前らにも必ず何かできることがある筈だ!」
そう言うと、ダダンが俺達4人の背中を1人ずつ叩いていく。
「よし! 気合が入ったな? 各々あの亀に遠距離攻撃を当てて着実に体力を減らせ! もう数十分したらウチのクラマスが着くはずだ! それからはアイツに判断を仰いで戦闘になるからな! それまでに削り切るところまでは削り切るぞ!」
「「「「「はい!(うん!)(うむ)」」」」」
そして遂に王都防衛戦。
対巨大浮城:ジャイアンメテオタートル戦の火蓋が切られた。
今日は早めの更新です。
この件の話が終わったら一旦、章区切りを設けようと思ってます。




