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38話 オークの女②

続き


 戦闘態勢を整えたプレイヤーらと俺達は鞭女に相対する。

 

 人集りは意外にももう少なくなっていた。

 ある者は王都から逃げ出し、またある者はログアウトしている。

 すると、必然的にこの広場は空きガラリとしていた。


 ここにいる者達は鞭女を抑えようとするプレイヤーら。

 さすがにこんな化け物、俺達だけでは倒しきれない。

 思わぬ応援が入り、ひとときの間安堵していた。


「お前ら……とんでもない化け物引き連れてきたな!」

「僕達も厄介なプレイヤーにただ巻き込まれただけなんだけどな……」

「ハハっ! それは悪運に尽きるな……お前たちも勿論付き合えよな!」


 苦笑いする咲に知らないプレイヤーが受け答えする。

 どうやら、一緒に戦ってくれるよう。

 広場に集合していた十数名の戦闘待機していたプレイヤーが目を向ける。

 一緒に戦ってくれるのなら本当に助かる……。


「そこの金髪の子? アイツ……お前らの仲間か?」

「なわねぇだろ……。俺らを追ってたストーカーが暴走したんだよ……怖気付いたか?」

「まさか……心置きなく叩き潰せる」


 翔も会い合わせたプレイヤーと会話していた。

 互いに背後を預けているようで、初めてなのに息ピッタリだ。

 熟練者の余裕か?

 舌舐めずりをし、今にも飛び出していきそうな戦闘狂ら。

 普段街で見ている分には少し恐いが、今の状況においてはこれほど頼りになる人はいない。


 すると、俺とルシアーネにもその内のプレイヤーが喋りかけてきた。

 手には槍を持つ女性のプレイヤー。

 俺の持つ刀をジロジロと嗜めるように見て言う。


「そこの黒髪の君は刀を使うのかい?」

「そうですね。あと、相棒のルシアーネが銃で遠距離攻撃を……」

「ウチのボスも偶然、刀を使うんだよ。やっぱり日本刀って強いのかな?」

「さあ……どうなんでしょう? ここに集まる皆さんは同じクランかパーティーですか?」

「そうそう。私達はこの国の国王のクランでね。さっき言ったボスがリーダーなんだよ」


 この人達、どうやら咲が助けを求めようとしていた国王らのクランだった。

 この国が潰れてしまったら自分達の身が危ない。

 俺達よりも背負うものが大きい、立派な大義があるらしい。


「お喋りは済んだかぁぁい?」


 鞭女が咆哮を上げる。


 俺は咄嗟に新武器『白銀の屍刀』を抜いた。

 刀身に謎の冷気がかかり、ドライアイスのように白煙が舞う。


「私達が基本的にヤツを取り押さえる。遠距離攻撃を使える者は援護射撃を! 近距離型の者は私達の一時的な戦闘離脱の際の穴に入ってくれ!」

「「「「はい!(うん)」」」」




 俺達がそれに返事をすると、遂に戦闘が始まった。


 国王のクランメンバーらが目にも止まらぬ速さでかけていく。

 さすが王国戦を勝ち抜くだけのメンバーらだ。

 パーティーと同じ5人1組で動き、加護の影響を相互に受けている。



 すると、早速もその内1人が鞭女に刃を突きつけた。


「喰らえぇぇぇぇぇぇ!」


 衝突猛進。

 地面に引きずられた大剣を一気に引き上げ裂く。

 巨大な背中に重厚な傷跡がはいり悲鳴を上げる。

 が、次の瞬間ーーーー


「避けろっ!!」


 辺りでそれを見守っていたプレイヤーからの指示が入る。

 鞭女が態勢を立て直し、足蹴りを喰らわせようようとしていたのだ。


「……ん? マジか間に合わねっ!? ガードするしーーーーゴフゥゥっ!?」


 鞭女の追撃を逆に喰らってしまった。

 大剣の腹で咄嗟にガードするも衝撃は殺せず……。

 数十メートル先に飛ばされ、防具も悲惨に砕かれていた。

 【治癒術師】と思わしきプレイヤーが回復をかけている。

 が、以前のように本調子でなさそうだ。


 地面に血唾を吐き口元の血を手で拭う。

 それから周囲に控えていたプレイヤーらに状況を伝えた。


「大剣、防具……2つ挟んでガードしてもこの威力か……かなり厄介だぞ!」

「アイツはここにいるメンバーの中でも上位の防御を誇る奴だ。それ相手にまさか……」


 その様子に場の空気がガラリと変わる。

 先程までの侮る様子が消え、一同に更なる緊張が走る。


 近くにいたプレイヤーの1人が俺に耳打ちをしてきた。


「アイツ一体なんなんだ……? 無理とは言わないがかなり厳しいぜ……」

「確か、今回の帝国のレイド戦に出場するとかなんとか……」

「格上じゃないか。……泣いてもいいか?」


 それに加えあの鞭女は同等のパーティーメンバー3人相手に勝っている。

 戦闘能力だけで言えば、更にそこから抜きん出ているのも確実だ。


 ここに集まるのは王国(・・)のレイド戦を勝ち上がった猛者。

 だが、相手は帝国(・・)のレイド戦に招集されるような歴戦の猛者だ。

 俺達が相手と釣り合うような役者でないことを重々と承知させられた。


「仲間が丁度、今集まっているレイド戦出場者らに緊急依頼の件で応援要請に行っている……。それまで何とか持ち堪えるしかねぇ」

「今日は10年間セカワやってきた中で一番最悪な日さ……」

「☆×1の王国で緊急依頼にコイツの出現。終わったらニューエッジに直談判してやろう……」

「過去に一度も見たことのない例。良くも悪くも明日のネットニュースは一面問題になるだろうよ」




 すると、リーダー格っぽい1人の男が声を上げた。

 

「緊急依頼用装備も惜しみなく使え! ここで人的被害を出す方が痛手だ! 依頼内容公開とモンスター出現はおおよそ30分後だ! それまでに何としてもでも無力化するぞ!!」


『おおおおおおおおおお!』


 その言葉にプレイヤーらが気合を入れ直す。




 空気を揺らす雄叫びは負け戦のようなムードを一瞬にして捨て去った。

日曜日分です!

よろしくお願いします!


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