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3話 謎の少女

続き


「おぉ……見たことのない部屋。遂に俺もセカンドワールドに来たのか……」


 目を覚ました。

 白いモノトーンの一室のベッドの上で起き上がる。

 

 部屋の中にはテレビ、観葉植物といった必需品。

 他にはログインボーナスと思わしき貨幣の入った麻袋とナイフ。

 それに茶色の外套が置いてある。


 歓喜に震える。

 体の感覚も現実と変わらずそのままで、布団の肌触りも良い。

 家の座敷布団よりよく感じてしまうのはいささか悲しくなるが、今は悦びに満ちている。


 が、一つだけ気になることがあった。


「なぁ、そこに何かいるのか?」


 目線の先は足元にある掛け布団の膨らみだ。

 俺がログインした時に既に“ソレ”はそこにあった。

 スースーと寝息を立てているようで明らかに何かがそこにいる。

 

「寝ているのか……? ログイン後はマイホームっていう自分だけの空間に転送されるって言ってたよな?」


 恐る恐る手を伸ばし布団を剥がす。


「っ!? おいおい……なんで人間がいるんだよ!?」


 驚いてベットからずり落ちた。

 痛覚もちゃんと作用している。

 そんなことよりも…………。


「ヒィィィっ!? だ、誰なんだよお前! ……それになんで服着てないんだよ!?」

「…………?」


 俺の目の前には肌白の裸の幼女がいた。

 銀髪のロングヘアで翡翠色の目をした現実離れした容姿。

 色々とアウトな部分が曝け出されている。

 右腕と右脚が機械じみたサイボーグのようになっていて異様だ。

 

 セカンドワールドで初ログイン時に18禁要素のイベント?

 そんなこと起こるわけがない。

 

「……あぁ、とりあえず外套にでも包まっておけ!」


 俺は近くに丁度あった外套をその謎の少女に投げた。

 頭がパニックを起こして全身が熱くなる。


 動揺して呆然としていたがこの状況はかなりまずい……。

 誰かにでも見られたら変な勘違いをされる。


 バグでも起きて衣服が透過するアクシデントでも起きたのか?

 そんなことが脳裏によぎる。

 でも、俺は初期装備の綿の衣服を着ている。

 システム運営をしているのは独自開発された世界一の人工知能。

 ゲーム内では過去一件もバグ、グリッチ、チートの類いは発見されていないと聞く。

 

 ということは、この状況は必然的に引き起こされたのか?


 俺はひとまずその少女に話しかけて見ることにした。


「あの、君どこから来たのかな?」

「ここ」


 ここ?

 もしかして俺が彼女の裸を見て嫌われたのか?

 それだったら理不尽すぎる。

 もう少しまともな回答が欲しい。

 質問を続けよう。


「俺の名前はカイセイって言うんだ。君の名前は?」

「知ってる。私は【双対のルシアーネ】。システムの中の存在」


 システムの中の存在。

 この少女は現実世界の人間ではないということだ。

 ゲーム中にはプレイヤー以外にモンスターや原住民といったNPCの類がある。

 彼女もまた、そういう括りの存在なのかもしれない。


 それに俺のことはどうやら知っているようだ。

 これは俺の手に負えないな……。

 早く雪に来てもらって説明して貰わないと面倒くさいことになりそうだ。


 俺は彼女をこの部屋に置いて外の世界に出て見ることにした。

 部屋のドアノブに手をかける。



ーー定住国を選んでください。一度選択すると再変更は一ヵ月後となりますーー



 そんな音声が流れ、目の前にセカンドワールドの地図が表示される。

 地球とはまた違った大陸が沢山あり、その中にも国という選択肢がある。

 これからの俺の所属地域が選べるらしい。

 その土地によってダンジョンや娯楽施設の諸々があるらしい。

 また土地のランク分けもされていて、☆の数が多い程熟練者向きらしい。


「アワタストだったよな? これのことか! 人口一万人の国で☆×1の冒険を楽しみたい初心者向けか。日本人の割合も50%を超えていて馴染みやすいところなんだな」


 ちなみにセカンドワールドではどの国の人達とも楽しめる。

 なぜなら、他人の会話を母国語に自動翻訳してくれる機能があるからだ。

 だが基本的にナショナリズムが強い。

 故意に思わない限りは基本的に自分の国籍人の多い国に所属するようだ。

 


 俺は表示された【アワタスト王国】の詳細を見て確認した。

 面積は他国より少し小さく、のんびりとした田舎の情景が浮かぶ。



ーー【リゲル大陸】の【アワタスト王国】の所属を確認しましたーー

ーー次回の所属地域変更は一ヵ月になりますのでご注意下さいーー



 これで遂に初期設定の方は完了したんだな。

 結構長く感じたが、現実世界ではまだ十分ほどしか経っていない。

 このゲーム内では時間の流れる時間が現実より少し遅いらしい。



ーーマイホームから退出されると王都の門へと繋がりますーー

ーーあなたに良きセカンドライフが在らんことをーー



 そう言い残すとアナウンスは音沙汰を絶った。

 さて、どうしようか?

 このセカンドワールドには一人一人にステータスというものがある。

 あの少女のこともあるが、俺にも確認したい事が色々とあった。



 何をしようかと迷っている時、再びアナウンスが入った。





ーーユーザー名:バンドウユキからのフレンドの申請が届きましたーー

よろしくお願いします!

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