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28話 校舎裏

続き


 今日は週に2日の『遊戯処』でのバイトの日だ。

 俺に無償でVRゴーグルをプレゼントしてくれた岩尾さんの店。

 


 今は放課後の下駄箱。

 ちょうどバイト先へ向かおうとしていた頃だった。


「岩尾さんに持っていく話考えてなかったな……。まあ、今日話したのと同じ話でいいか?」


 そんなことをポツポツと呟きながら校門を出る。

 すると不意に誰かに手をかけられた。


「もしもーし? 君ーバンドウ君だよねー?」

「……?」


 振り返ってみると4人の少年が立っていた。

 同じ学校の制服を着崩し、耳にピヤスを空けたチャラい格好。

 変な奴に声をかけられたな……。


「……ん? お前ら誰だ?」


 警戒を敷いておく。

 こんな連中らに絡まれるような覚えはない。

 翔の友達かとも思ったが、こんな風の悪いのとは(つる)んでなかった筈だ。


「おっ! 合ってるー? お前らそうだってよ?」

「え? 何コイツだったの?」

「図体だけデカいなんかパッとしない奴だな?」

「へぇ? マジで? マジで?」


 何かギャーギャーと喚いてるな。

 ……シフトの時間もあるし無視して良いか?


「ちょっと、お話したいことがあるんだけど……いいよなぁ?」

「いや、急いでるから……」


 俺はその人溜まりから抜け出そうとする。

 が、腕を掴まれ行手を阻まれてしまった。


「おい、お前ら逃げないように囲いこめ! 場所変えるぞ!」

「っておい! 後輩のくせして無視し行くんじゃねえよ!」

「俺らの言うこと聞いてくれたらさ? すぐ返してあげるし」

「何か案外チョロかったな? 笑えるぜ!」


 俺は校門を再度、潜り抜け校舎裏まで連れて行かれた。

 昼なのに薄暗くてジメジメとしている。

 学校の中にこんな人気のない場所があったのか。


 4人は馴れ馴れしくも俺と肩を組んできた。

 タバコ臭い匂いが鼻につく。

 本当に関わるのが面倒臭い存在に出くわしてしまったな……。


「バンドウ君ってさぁ? セカワでクラン入ってるんだってー?」

「……それが何か問題か?」


 それを聞くとニヤリと笑みを浮かべ更によってくる。

 というか、何故こんな赤の他人のコイツらが知っているんだ?


「全然問題ないよー。むしろ俺達にとっては好都合、的な?」

「学校の廊下歩いてる時、君のことを話している後輩がいてね。ちょっと(つら)出してもらったら、すぐ教えてくれたんだよ」


 昼休み話していたことがもう広まっていたのか?

 翔のバカが大声でクランのことを叫んで驚いてたからな。

 それ経由でクラスの連中に伝わって、それからコイツらに渡ったということだな。


「それでさ? 結論から言うと俺達4人、君のクラン入れてくれって話! 簡単っしょ?」

「…………は?」


 意味不明なことをほざき始めた。

 クラン入れてくれってリーダーでもない俺ができる訳ないだろう?

 それにこんな柄の悪い奴らを入れて何の得になるんだ?


「え? 嫌だよ」


 本心のままスッと口から出た。

 

 4人はさも分かってたかのように互いを見遣って頷く。

 それからゴキゴキと拳を鳴らして態度を急変させた。


「いいんだよ。いいんだよ。皆、最初はそうだからさ?」

「ちょっと痛い目みるぜ? あんま調子乗ってんなよ? ああ?」

「泣いても知らねぇぞ? おい? 言うこと聞くなら今のうちだぞ?」

「なぁ? 誰にもチクンなよ? 後からもっと痛い目みるからな?」


 完全にヤンキーに囲まれた。

 言葉で通じない人間。

 暴力で屈服させ我を通そうとするしょうもない輩だ。


「泣き喚くなよ?」


 そのうちの1人が殴りかかってきた。


 顔ではなく、服の上一見しても分からない腹へのパンチ。

 大の男であれば腹筋のおかげで(あざ)もできにくいと考えているんだろう。

 証拠も残さず、痛みだけ与えられるごく安易な手段。

 

 彼は随分と手慣れた手つきでやって退けようとしている。


「…………った!? ゲホっゲホっ!!」


 だからこそーーーー

 俺は真正面からその拳を()で無理矢理受けた。


 口の中が切れたようで血の味がする。

 思っていたほど痛くはなかったが、頬がヒリヒリとしていた。


「殴……ちゃった……ね?」

「……!? な、なんで顔で受け……」


 俺は口元をハンカチで拭きながら語りかけた。

 殴ってきた男が青い顔になる。

 周りにいた3人も騒然として狼狽(うろたえ)始めた。


「ヤマダ、お前寸止めだっつたろ……?」

「軽く脅すだけだって言ったのに何やってんだよ……?」

「おい、マズイぞ! バンドウ君……お、俺達はソイツに無理矢理やらされただけで……」


 どうやら本気で危害を加える気はなかったらしい。

 いつもはここまで行く前に相手が堕ちてくれたのか?

 だが、コイツに関しては許してやる義理がない。

 

「うちの高校の3年生で、ヤマダ先輩だっけ……?」

「ちょ、ちょっと待ってくれ! 本気じゃなかったんだ……軽い冗談のつもりで。チクらないでくれ……俺、今高3でやられると推薦入学取り消しになっちまうんだ!」


 ここまできて自分の保身に走るのか……。

 そういえばコイツら全員受験生だよな。

 こんな時期に後輩のこと引っ捕らえて、脅迫まがいのことをしているのかと思ったが……。


 本当にセカンドワールドの影響は大きいな。

 咲の家の件もそうだった。

 一定数の人間がゲームに振り回され人ならざる行動をとってしまう。


 セカンドワールドへの関わり方を間違えると悪影響を被る。

 一種の薬物か何かのようだ。


「それで……君達3人の名前は?」


 周囲を見渡し尋ねる。

 俺が見やると彼らは萎縮していた。

 

「もう二度とやらないので……ごめんなさい!」

「あ、あの! すいませんでした!」

「お、俺も心から反省しています!」


 名前を聞いたのに謝罪された。

 まあ、別にコイツらには実質的な危害は加えられていない。

 多少、時間を取られただけだ。


 というか、もうバイトの時間の10分前だ。

 こんなことでグダグダしている余裕はない。


「ああ、君達はもういいや。そこに座ってるヤマダ君、先生のところまで連れてってくれたらいいよ。今あったことをちゃんと伝えてくれればいいから…………もし、(いつわ)ったり何かしたら……分かってるよね?」


「「「も、勿論です!」」」

「お、お前らぁぁぁぁ! 裏切るなよおぉぉぉ……」


 泣きじゃくり顔面が無残になる男は3人に連れて行かれた。

 俺はそのまま急いでバイト先へと向かった。






 後日、学校から黒い噂が1つ無くなったのは言うまでもない……。

稚拙なご都合主義展開。

ご容赦頂けたら幸いです……。

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