26話 昼休みの団欒①
続き
昼休みの教室。
俺はいつものように購買で買ったパンをかじっていた。
そして目の前には何故か当たり前のように咲と翔がいる。
今までも一緒にとることはあったが、こんな頻繁ではなかった。
「……で? なんでお前らは俺の席を囲んで食っているんだ?」
「おいおい、つれないこと言うなよ! 俺とお前の仲だろ! 一緒にセカワを語ろうぜ」
「この金髪は知らないでも僕は昨日の夜メールしたじゃないかー」
2人がなにか色々と言っている。
今日は咲がいるせいでチラチラとクラスの奴らの視線を感じる。
それよりもメールってなんだ?
「メールなんてもの俺は受け取ってないぞ?」
「あれ? ちゃんと昨日の夜、今日の昼一緒にご飯しながらおしゃべりしようって送ったんだけど……」
咲がポケットから小型の液晶板を取り出した。
慣れた手つきで操作しソレと思わしきグループチャットを見せる。
「ほら! ちゃんと送ってるよ!」
「いや、そもそも俺そんな通信機具持っていないんだが……」
「何言ってるんだカイセイ? ゴーグルに付いているカセットみたいなのだよ。ユキっちに教えて貰わなかったのか?」
もしかして咲の今持っている液晶板はVRゴーグルに搭載されていたのか?
翔が雪に教えて貰わなかったのかと言っているが残念ながら聞いていない。
雪はあれで結構抜けているからな……。
「へぇ……初めて知ったな。ってことはショウも持っているのか?」
「見るか? 流石にゴーグルを持ち歩くのはかさばるからな。普通コレを持ち歩いているんだ。帰ったらユキっちに教えて貰えよ?」
翔も取り出し掲げてみせる。
手の平くらいのコンパクトサイズ。
ガラス板のように透けて見えるが、電源を入れると画面が映り出す。
旧世代のスマートフォンのような役割をしているようだ。
「確かにクラスの奴らもよく持っているなと思っていたが……」
「おい、そこはちょっとは疑問に持てよ!?」
翔からツッコミが入る。
俺も仲が良くない限り人には無頓着だからな。
改めてクラスを見渡してみると殆どの人がソレをいじっている。
視野がかなり狭かったらしい……。
「あれ? でも僕にユキちゃんがよく12時過ぎにメールくるけど?」
「雪、俺に内緒で布団の中で夜更かししてたのか……コレも初めて聞いたぞ。帰ったら叱らないとな……」
「はは、ユキっち……これはドンマイだな」
「えっ!? 知らなかったの? えーごめんね雪ちゃんー」
まさか俺の知らないところでそんなことが起きているとは。
咲や翔はまだしも雪はまだ小学生だ。
ここは一度注意しておかないと雪の健康にも悪い。
「そんなことよりセカワだよ! セカワ! あの後、初級ダンジョン行くって言ってどうだったんだ?」
「そうだよそうだよ! カイ君初めてのダンジョンの感想は?」
翔が話を切り出した。
それに乗っかるように咲もまた興味を示す。
「ダンジョンか……かなり痛い目を見たな。次からはちゃんとパーティーで行くべきだと学んだ。一応なんとか生還できたが……」
「そうだと思ったぜ! 初級ダンジョンとはいえソロでの攻略は気を張るもんだ!」
「うんうん! デスペナルティーを受けなかったことだけでも幸いさ!」
俺は昨日のことに苦笑いする。
咲も翔もしょうがないと言った感じで慰めてくれている。
「でもダンジョンはレベルの上がる速度は速いからな。強敵も多いけど俺達が倒せたスケルトンの経験値だけでレベル131までいった」
コレは昨日分かったことの1つだ。
やはりダンジョンのモンスターは外にいる一般的なものより強い。
色々と大変だったがレベルはそれなりに上がったと思う。
「……ん? 今、レベル131って言った? 骸骨ダンジョン潜ったんだよね?」
「そうだぞ」
咲があの余裕を持った満面の笑みから急変する。
隣の翔はというとーーーー
「ブフゥゥゥ!? ゲホっゲホっ……カイセイお前おかしいぞ!? ☆×1のダンジョンでそんな経験値稼げるモンスターなんかいないぞ? 例えお前の加護があったとしてもだ! 一体何と戦ったんだ!?」
「おい! 人の机に茶を吐くな!」
翔が動揺したのか咳き込む。
それから形相を変えて血気迫るようによってきた。
「スケルトン一等兵、二等兵っていうのを数百匹……」
「……ちょっと多い気もするが妥当だな。それから?」
「その上のスケルトン兵長、伍長、軍曹、曹長を一体ずつだな……」
「おお……骸骨ダンジョンでも最高レパートリーだ……よく倒せたな」
翔が何か勝手に納得している。
俺はその様子を横目に更に続ける。
「それからボスでスケルトン少尉、中尉、大尉のトリオに会ったんだよ」
「「…………!?」」
すると翔が目を見開いて驚く。
隣で優雅に弁当を摘んでいた咲もオカズを箸から取りこぼしていた。
「……はぁぁぁ!? ソイツら全部☆×3の準中級ダンジョンに出てくるモンスターだぞ!?」
「カイ君本当に言っているの!? 流石に嘘だよね? ね?」
「いや実際にルシアーネと共闘してなんとか倒せたんだよな……」
2人は信じられないといった様子だ。
確かにあの時は若干絶望しかけたが、その後の出来事によって俺の中で風化していた。
やはり、普通に考えてアレはおかしかったんだろう。
「ま、まあ。カイセイの他にお嬢もいるし倒せたのか……?」
「ハハ……予想以上だよ。これだったらすぐに僕達にも追いつくね」
2人は乾いた笑みを浮かべこんな様子だ。
まだ話は終わっていないんだが。
この後のことを話したらもっと大変なことになりそうだ……。
ーー祝【PV数】10000達成!!ーー
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