25話 骸骨軍行進ダンジョン❹
続き
「おっと、宝箱が出たようだぞ!」
戦闘が一通り終わった後、スカーレットが出現した宝箱を見つける。
装飾は銀色のメタリックで俺達が一階層で見た木の宝箱より十分良いものだ。
「ほら、少年受け取れ!」
「……? っとっと危なかった!」
いきなり宝箱をヒョイと投げられて何とかキャッチする。
「何で……俺?」
俺は当然とも思える疑問を抱いた。
倒したのは彼女ら2人だ。
戦闘報酬なら俺は受け取るのはおかしい筈だ。
「ゲームシステムによって、宝箱の所有権は始めにモンスターと相対したプレイヤーもしくはパーティーの物です。自分達は飛び入り参加したのでその権利は君達の方にありますです」
疑問に思っていると、イザベラが説明してくれた。
でも、流石に戦ってもいないのに悪いような気がする。
「気にすることはないです。勝手に飛び込んだのは自分達です。経験値は貰えたので満足です」
イザベラはそれでも気にしている俺を気遣ったのか事を付け加える。
さすがにそこまで言って貰って断るのは逆に気が引ける。
ここは感謝を伝えてありがたく貰っておこう。
「ありがとうございます!」
「ありがと!」
俺とルシアーネは頭を下げる。
すると、スカーレットは何やら思ったのかこちらに近づいて来た。
「あれ……? そっちの子、もしかしてプレイヤーじゃない……?」
そのことか。
俺はなんとなく納得していた。
でも、他のプレイヤーが初めて見ると普通そんな反応をする。
王都の中では全身を白いローブで包んでいたからバレなかった。
だが、今は戦闘のせいか所々破れている。
ローブの裾がボロボロになって切れているせいで、機械化した右脚が丸裸になっていた。
「ルシアーネは俺の戦闘用NPCなんですよ。始めてまだ少しなので、詳しいことは分からないですけど……」
「へぇー。珍しいな。私は動物系を従えている者しか見たことなかったが。イザベラはどうだ?」
「私も同じようなものです。以前、似たような精霊を使う者は見たことがありますです」
こんな強い人達が言うから、本当にルシアーネは珍しいらしい。
褒められたルシアーネは『フフン!』と鼻を鳴らし胸を張る。
「それより早速だ! 是非、私達にもその宝箱の中身を見せてくれ! 自分で開けるのも楽しいが、人が開けているのを見るのも楽しいからな」
「そうだった……では早速……」
俺は銀色の宝箱箱に手をかける。
木箱とは違い重厚感があり、これだけで大層な代物だと分かる。
「「「「……おお!?」」」」
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白銀の屍刀
【所有者】バンドウカイセイ
【特性】骨刀
【耐久値】20000/20000
【能力】『肉喰らい』実体のある相手に特攻効果
『死線渡り』体力の減衰と共に武力上昇
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そこには一振りの刀があった。
全体的に銀色の彩色が施され、高級感のある刃渡り。
異質な冷気を発しているようでかなりの掘り出し物のようだ。
「おお! やったな! ついにこのナイフに代わる武器を手に入れたぞ!」
「カッコいい!」
「私は武器は使わんが、なんというかクールで良いな!」
「耐久値に能力がかなり良いです!」
俺達は出てきた白銀の屍刀に声を上げる。
手に持ってみると意外にも軽い。
素振りをしてみても特に違和感はなくむしろよく手に馴染んでいる。
「では自分達はこの辺で失礼するです」
「そうだな。少年少女も強いモンスターには気をつけるんだぞ! ……ってイザベラ! 一番大事なことを忘れていたぞ!」
しばらくして解散しようとなった時、不意にスカーレットが声を上げた。
俺とルシアーネ、イザベラも何事かと思い彼女を振り返る。
「皆んなして忘れて……ほら! クランの件だ! 少年少女、いやこの場合少年に私達のクランに入って貰えないかと思ってな!」
「炎帝騎士団でしたか? 今、お二人で活動しているとかって言ってましたよね」
「すっかり忘れてた」
確か、さっきの戦闘中に是非にと誘われていたんだった。
途中色々なことがあって忘れていたが確かスカーレットが熱心に語っていた。
「クランとパーティーは何が違う?」
ルシアーネが首を傾げる。
確かに俺もよく分かっていない。
この刀もほぼ無償で貰ったものだし役に立てるのだったら勿論入りたい。
「パーティーは5人まで、クランは100人まで入れるんだ。クランを結成すると国盗り、つまりレイド戦ができるようになるんだ。これでも私は世界を目指している。その第一歩となるクランメンバーを今募集しているんだ。勿論、パーティーに入っていてもクランには入れるぞ! どうだ是非是非!」
スカーレットが鼻息を鳴らして寄ってくる。
顔が近い。
美人すぎて立ちくらみしてしまいそうだ。
パーティーを抜けなくてもいいだったら、別に断る理由もないし良いだろう。
「なら是非入れさせて貰おうか? ルシアーネもいいな?」
「クラン、面白そう!」
俺はスカーレットと握手をする。
ーークラン名【炎帝騎士団】から招待が届きましたーー
脳内に音声が流れる。
俺はそれを快く承認した。
「おお! 来たぞ! クランメンバー数が3人に増えているな。名前はバンドウカイセイ? 日本人か? で、そっちの少女はルシアーネだな」
「そうです! えっと……俺のことはカイセイって呼んでくれればいいです。スカーレットさんとイザベラさんこれから是非よろしくお願います!」
「双対のルシアーネ、よろしく!」
俺はスカーレットとイザベラと互いに握手を交わす。
「改めて自分はイザベラです。スカーレットさんとはリアルの友達でアメリカに住んでますです。よろしくです」
「私はスカーレットだ。ここに来たのも今回のハーレイ帝国のレイド戦の観戦目的だ。私が独立する前のクランのリーダーが出るみたいでな。ここ数日間は私達は近くの宿屋にマイホームを置いているから、また会うかもしれんな! 今度、有用そうなプレイヤーがいたらクランに誘っておいてくれると助かるぞ! カイセイとルシアーネ、またな!」
そう言い残すと2人はこの場を去って行った。
「俺達よりも格段に強かったな……」
「うん、もっと強くなる!」
俺達の波乱万丈のセカンドライフ2日目はここで終わった。
そして、果てしない高みを目指して俺達の真の冒険はここから始まる!
しばらくはまた1日1話は投稿できると思います。
是非よろしくお願いします!




