23話 骸骨軍行進ダンジョン❷
続き
震える脚に鞭を打ち立ち上がった。
間も無くして、スケルトン軍の猛攻が始まる。
「ルシアーネ!」
俺は咄嗟に彼女を抱きこんで回避を始める。
武器を振り落とす速度が今までのモンスターに比べて圧倒的に速い。
『心眼』と『獅子奮迅』の両スキルを同時に発動して難を逃れようとする。
「始まってしまった……なんとかならないか……?」
「主、主、模索中。待って」
数的有利、絶対的格上相手に俺達の声は上ずる。
隙のない攻撃。
最善得手を取っても必ず二、三発攻撃が当たる始末。
体力と知力が湯水のように流れ出していく。
「……強過ぎる。いくらなんでもコレはヤバい」
「スモーク弾。視界を遮る」
「頼む!」
“ボンっ……シュルシュルシュルシュル”
ルシアーネが白煙を炊く。
俺は心眼で次の相手の出処を探れる。
名案だと思ったがーーーー
『下ラン! タカガ砂埃ゴトキ【蹂躙】セヨ!」
スケルトン中将がそう唱えると一瞬にしてスモークが晴れる。
軍を鼓舞するかのように武器を地面に突き立て、ガコガコと骨音が鳴り響く。
「…………ルシアーネ、さっきのミサイルまた使えるか?」
「……使える。でも倒せて精々下っ端1体」
返ってくる言葉に生気はない。
俺は彼女の言葉を受け、更に質問を続けた。
「そうか……。俺がもし倒れてもルシアーネにはまた会えるんだよな?」
「うん……でも、デスペナルティーは痛手」
さすがにレベルの桁が違う相手を前にしてまで好戦的ではいられない。
躊躇なく突き進んできたルシアーネでさえも萎縮してしまう始末。
現実を苦しくも受け入れ始めていた。
「……デスペナルティー?」
「死亡するとステータスの数値が一気に減る。この差分は一生取り戻せない」
マジか……。
ここで負けるとセカンドワールド内で一生負の遺産を背負って歩むことになる。
レベル、加護、スキル全て同じ同一人物がいたとする。
でも、デスペナルティーの有無によって力関係が大きく変わってくるそうだ。
1、2回死ぬくらいはレベルを上げ続ければステータスをごまかせる。
だが、それ以上になるとステータスの数値減少が厳しくなるらしい。
何も考えずただ突っ込んで死に続けた場合、モンスター討伐はおろかまともに冒険すらできなくなる程弱体化したステータスになるという訳だ。
「……死の対価か。ふざけた加護も手に入れて、ますます現実味が帯びてき……っ!」
「主!」
会話している間も休みなく攻撃の雨が降り注いでくる。
少佐の突進による猛攻、中佐の火魔法による中距離攻撃、大佐の空気を押しつぶすかのような槌が舞う。
レベルが100オーバーになり、多少持続戦闘が可能になったものの行き着く先の未来は見えていた。
「ぐっ……」
「主……」
ルシアーネにはスケルトン軍への攻撃をやめさせていた。
当然の如く届かない攻撃。
ただ魔力を消費して終わる。
俺達は最後の足掻きとして相手の出方、戦い方を画策しつつ準備を始めていた。
「魔力を一気に放つことはできるか?」
「できる」
「最後に何匹か道連れにしてやろう」
「分かった!」
俺が逃げ惑う中、ルシアーネの右腕は異様に変化していた。
ゴッソリと魔力が抜きとられルシアーネに変換されていく。
10000あった魔力も10桁代までになり、コレが正真正銘の最後の一撃となる。
今回は学ぶことが多かった。
ダンジョンの知識と恐ろしさ。
俺とルシアーネのコンビネーション。
不測の事態への対応。
俺が新たに手に入れた【混沌の加護】の一部始終。
ここまで苦難はあれどなんとかなってきた。
そのツケが今、回ってきたのかもしれない。
今日ここで身をもって知ることで次に生かす。
ルシアーネの準備ができたようだ。
俺は彼女に告げる。
「ルシアーネ、今日の無念を忘れないように精々派手にやってやれ!」
「了解!」
ルシアーネの腕が一気に変貌を遂げる。
「グレネードランチャー。対集団殺戮特化」
「頼んだ!」
“ヴァァーンヴァァーンヴァァーンヴァァーンヴァァーンヴァァーン……”
『『『ガラガラガコガコ』』』
グレネード弾が降り注ぐ。
着弾の衝撃と同時に閃光が上がり爆発が舞い起こる。
「スケルトン少佐が3体……倒れたか?」
「主、限界……」
爆炎があがる先にはスケルトンが数匹転がっていた。
ルシアーネも限界がきてここに留まるだけで精一杯なようだ。
倒れてきた体を担ぎ込み支える。
『下ラン。何ヲ寝テイル? サッサト起キロ【蘇生】!』
スケルトン中将が前方に手をかざす。
攻撃の余波の炎や煙が消え失せる。
更にあろうことか、今さっき倒し光の泡になりかけていたスケルトンを元に戻した。
「「………………」」
俺とルシアーネは目を剥いてその光景を見ていた。
崩れ落ちた骨がパズルが組み上がるように戻る。
手から落ちた盾と剣を持ち直し、再び俺達に向けて構え直した。
『行ケ! 八裂キニシロ!!』
スケルトン中将の支持の元、大佐以下が一斉攻撃を繰り出してきた。
周囲を囲み攻めてくる盾剣、その合間を縫って追い討ちの槌。
上空からは炎魔法が隙なく襲いかかってきていた。
「まさか……ここまで理不尽だとはな…………」
「主、ごめんなさい……私もっと強かったら…………」
視界を埋め尽くす攻撃という名の壁。
体力もない、魔力もない、知力もない。
俺とルシアーネはこの世界で初めて死を覚悟した。
が、
次の瞬間、攻撃は止んでいた。
スケルトン少佐、中佐、大佐が目前に迫りその場で停止していたのだ。
ーーそして、俺達の目の前には“2人のプレイヤー”が現れていた。
忙しくて更新頻度が滞っています。すいません。
是非今後とも宜しくお願いします!




