11話 上位ランカー
続き
時計の針がちょうど21時になる。
俺はセカンドワールドにログインしてマイホームにいた。
予定の時間までにはあと一時間弱ある。
モンスターを狩りに行ってレベルを上げてもいい。
だが、昨晩みたいなイレギュラーが起きるかも知れない。
ひとまずマイホームで待つことにした。
「主、今日は狩りに行かない?」
「後で親友に会う予定なんだ。それにしても戦えるようになったのか?」
ベッドの上でゴロゴロと転がるルシアーネが聞いてきた。
相変わらずシーツがグチャグチャになっている。
だが、俺が寝る訳ではないからまあいいだろう……。
「主のレベルが上がった。魔力も回復」
「そうか。だったらまた一緒に行けるんだな」
俺はそう返しTVをつけた。
実際のところ、冒険以外にこれもかなり気になっていた。
家が貧乏アパートということもあり、TVを買う金も置くスペースもない。
あとネットにも繋がることから使用用途は多々だ。
俺はチャンネルを適当に回していると気になるものが目についた。
番組の内容の趣旨は、この世界セカンドワールドの上位ランカーのセカンドライフに密着というものだ。
そこでは、黒髪の1人の青年が国内トップ10のランカーとして出演していた。
『皆さん〜こんばんは〜。前回に引き続き、今回は国内ランキング9位の黒雷さんに来て頂きました〜。今日はよろしくお願いします〜』
『低ランクの雑魚諸君、俺様が黒雷だ!』
真っ黒なコートを着て黒サングラスをかけた黒雷という少年。
俺様キャラのなかなかに恥ずかしくて痛々しい。
容姿から推測するに中高生だろうか?
『はい! ということで早速色々と聞いていきたいところなんですが、二つ名である黒雷を世に知らしめた所以をお聞きしても良いですか?』
『俺様の名の由来か? そんなもの落雷の如く解き放たれる俺の剣戟のことに決まっているだろう? 剣神の加護を持つ俺の両手剣だ。知らないとは言わせないぞ?』
「コイツ、キモい」
一緒に見ているルシアーネから早速不評が出た。
俺も若干、共感性羞恥が発動している。
だが、上のプレイヤーがどれほどまでの力量なのか見定めるにはちょうどいい。
『次にセカンドライフにての黒雷さんの過ごし方を教えて頂けますか?』
『そんなもの上位のダンジョンに潜って潜って潜りまくる。この地位を維持できるのもそう容易くない、貴様舐めているのか?』
やはり上位ランカーともなるとモンスター狩りの日々なんだろう。
受け答えの態度は悪いが、一流のプレイヤーというべきか。
「誰も舐めてない。コイツ頭悪い?」
辛辣な言葉が出てきた。
一人呟いて満足しているようなのでそのままにしておこう。
『では、現在のレベルをお教え願いますか?』
『ふん、レベル32だ。おいおい雑魚諸君、普通の32だと思うなよ? フルカンスト3段階目だぞ。低いだのと下らないことを思った奴は死んで詫びろ』
「下らないのはコイツの頭」
どうやら番組の内容にのめり込んでいるようだ。
ベッドの上で脚をバタバタとさせている。
というか、ワンチャン煽られてイライラしているのか?
だとしたらこの娘、物凄く可愛らしいな……。
『初心者に分かりやすく説明すると、黒雷さんのいうことはレベル上限9999を2回達成して、更にもう32レベルあるということです。つまり、レベル1から20029レベル上昇させたということです。流石、国内トップ10。次元が違いますね〜』
『ふん!』
「「…………っな!?」」
俺とルシアーネは目を丸くし画面を見つめる。
異次元の数値に2人して困惑していた。
『では、是非ともレベル上げのコツなんか伝授して頂けますかね?』
すると、ルシアーネはベッドから飛び起き画面の前に座りこんで張り付いた。
俺もさっきまでは別世界だなと半ば呆れながら見ていたが、それは気になる。
『マイホームあるだろう? あそこの壁に頭を数回ぶつけてみろ。するとアイデアがな…………』
すぐさま、立ち上がってルシアーネが実践する。
ゴツンゴツンと音が鳴り『うぅ……』という漏れた声が聞こえてくる。
『…………んて言うことはなくてだな。それよりお前ら? 今実践したバカいるだろうな? お前らはレベルが上がるなら平気で靴でも舐める勢いだ。本当に滑稽な奴らだ……クハハ!』
「コロス……」
ルシアーネから冷たい視線が画面内の彼に飛ばされる。
確かに咲の道場の件もあった。
この少年の言うことを実践する輩も多少なりともいるのかも知れない。
煽りが子供の域に過ぎない。
だが、その光景を想像してみるとなんだかバカらしくなってくる。
彼もまた、この感情を楽しんでいるのかもしれないな。
『ふざけてみたが、真面目に教えてやる。雑魚どもめ。簡潔に言うとパーティーを組むことだな。俺様は経験値増幅の加護を持ったガールフレンドを数人組み込んでいる。パーティー上限は5人までだからな、頭を使って選ぶことだ。だが、こんなクソ番組見る奴なんて大抵ボッチかクソ…………』
『はい! 今日はここまでです! 次週は国内ランキング26位の回復職の方をお呼びします! では、さようなら〜』
『26位? カスったれだな。次週も呼んでくれたら来てやることもーーーー』
生放送なのか、最後の方はかなりグロテスクだった。
司会者が原稿を話している間も、ずっと中指を立て続ける始末。
黒雷の喋りの途中で次の番組に切り替わった。
もしかしてアレで案外ツンデレだったのかもしれない。
まあ、頭のネジが5、6本吹き飛んだような奴だったが。
他のランカーもああいうのばかりなのだろうか……?
でも、世界のレベルを知れて俺としては参考になった。
「主、パーティー作る。私クソ陰キャ。違う」
ここに若干一名、良いのか悪いのか影響を受けた少女がいるが…………。
少しずつ読んで下さる方が増え嬉しい限りです。
是非、今後ともよろしくお願いします!




