第1話 闇の森の恐れられし伝説の王
ディアネス国には、リズル王国とセンラ王国のとの国境に大きな森があります。
貴族達の王都の屋敷の裏手側から国境にまで及ぶ森で、言わば国境の森です。
人々はその森のことを、闇の森、と言います。
なぜなら、森には森の王がいるから。
森の王は人狼だと言われ、恐れられています。
森の王は、この森を守る守護神であり王なので神王と呼ばれています。
森の王の名前は、ジャン·ジャック·バジル·セルヴィール·セルリオール·ウィルフリーズア。
どこかで聞いた名前だと思いませんか?
「バジル·セルヴィール」。
そう、バジルは実は森の王。バジルの姿は、仮の姿です。
バジルの時の姿は、黒髪に深緑色っぽい黒い瞳。
ですが、ジャンの時は違います。髪は白銀色。瞳の色は、夜の闇の様な色に、金色の線が斜めに走っています。
ちなみに、狼の時は白銀色の毛並みに金の瞳です。
これは、世界に1匹しかいない銀月狼の特徴です。
「ジャン·ジャック」。
この名前は、他に誰もこの名前を子供に付けません。
なぜなら、恐れられているから。
森にさえ入りません。
それもそのはず。
入らないのではなく、入れないのです。
善人なら森に入るようなことはしないし、悪人が入り込んだら弾き出されるから。
こうして、この国境の森は、恐ろしいものとして知られるようになっていったのでした。