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玉蟲色のバジリスク騒動だね

宜しくお願いします。

キュラリンの鼻歌を聞いていると何だかテンションが上がり、少し駆け足になりながら荷車を引いていると......前に馬車が走っている様だが、追いついてしまった。


「おや?」

「ど〜したのぉ?」


馬車が、狼の様な魔獣に襲われていた。


「あれ、ガルムじゃないか?」

「あっ本当だぁ」

「ヤバそうだな」

「ど〜するのぉ?」

「一応助けてみるか?」

「うん、助けるぅ〜」


荷車を止めて、俺とキュラは馬車へと近づき狼の鼻っ柱を殴りつけ撃退した。


馬車は止まり、自分達が助かったのを確認すると、安堵していた。


「大丈夫ぅ〜?」 キュラは馬車に話しかける。

[ カチャリ ]

馬車の戸が開き、中から人が出て来たのだ。


「助かりました」

「何でまたこんな夕暮れ時に...」 普通では夕方から夜にかけては森に入らない。それは暗黙の了解の筈なのだが....


「ええ、実は私の娘が気になりまして...」

「にんしんしたの?」

(キュラさん、何故その様な言葉を知っているのかなかな?)

「いいえ、娘はまだ11歳ですので...」

黒髪で少し吊り目のとても色っぽい美しい女性が出て来たのだ。


「何方まで行かれるんですか?」

「はい、カンテラ村までなのです」

「一人で?」

「はい...私も武術を少し嗜んでいたので問題無いなどと高を括っておりました」

「カンテラ迄は後2時間程だと思いますが、宜しければご一緒しましょうか?」

「そんな、悪いわ」

「大丈夫だよぉ〜、私達もカンテラに帰る所だからっね♡」

「ああ、そうですよ一緒に行きましょう」

「ありがとうございます、それではお言葉に甘えさせて頂きます」


[ グッググゥ〜〜〜〜 ]


何処かで盛大にお腹が鳴った。

「すいやせんねぇ〜私腹が減っちまって」


どうやらガルム達に襲われた時に自分達の食料を捨てて時間稼ぎしたようで食料を何も持ってはいないとの事だった。

(そりゃあ、腹も減るか.....)


「それでしたら、肉しか無いですが食べますか?」


「えっ本当でやすか?」

「あらあら、そんな....」

「あっ気にしないで下さい、丁度余ってしまっていたので」

「は....はい...では....」 [ クゥ ] 黒髪の美女も肉の話をした為なのか、お腹が鳴ってしまった様だ。 しかしそこは大人の対応。聞こえないフリをしたのでした。


早速荷車を持ってきて余ったバジリスクの肉を焼いた。


「........................................」

「........................................」

何故か二人は無言で積荷を眺めていた。


「こっこれは一体..............」

「ああ、依頼の品ですよ」

「あなた達が?」

「そだよ」

「.........................バジリスク」

「そうですよ?」

「しかも、玉蟲色.................」

「ええ」

「あなた達はSランクの方達なのですか?」

「いいえ、いいえ、」手を横にブンブン振り

「私達はFランクになりたてだよぉ〜」


「はぁ〜?冗談いっちゃいけねぇよ」御者のおじさんが興奮しだした。

「こいつぁ....まぁ冒険者さん達は秘密主義が多いからなぁ深くは聞かねぇよ」

「ええ、そうよね.....そうですよね」


その後無言が続いてしまった。


「とりあえず、焼けたので食べませんか?」

「はい、頂きます」

「こいつぁウメェや!所で何の肉なんだ?」

「ああ、このバジリスクだよ」


[ ぶふぉ〜〜っ ] おじさん汚いです。

「あ〜食べ物は粗末にしたら.....メッ!」


「あっあのぉ〜私はその、貴族とかでは無く....」

「ああ、問題ないですよ、私達の食べきれなかった食材なので差し上げます」

「ゴホッガホッブホッ・・・」 汚ねぇオヤジだ。

「おじさん、大丈夫?水のむ?」

(キュラリン....何故そんなに天使なの?)

「ジン、私も食べて良い?」

「当たり前だよ」

「じゃあ、みんなでいただきま〜す」


御者のオヤジはまるで犬の様に食べまくった。

黒髪美人もパクパクパクパクパクパクと一定スピードで食べ続け......

(あの身体の一体何処に入っているのだろう.....)


完食!


バジリスクの肉は全て無くなりました。

食べカスを残すと又魔獣が寄って来そうなので、炎で完全に灰に変え、出発したのだった。


カンテラには、20時に到着したのだった。


馬車が止まり、黒髪美人がお礼とお金を差し出してきたのだが....


「いや、結構ですよ」

「うん、いらなぁ〜い。楽しかったし♡」

「いえいえ、その様な訳には...」

「いやいや本当に...」

「私はジンに一杯ヨシヨシしてくれたから満足だよぉ〜」

「いえいえ、お納め下さい」

「いやいや....」

いつまで続くんだ、コレ....

「はぁ〜分かりました。では、冒険者様が名乗らないのにお名前を聞くのはマナー違反と存じておりますが、せめてお名前だけでも.....」

「あっお姉ちゃんだぁ〜」

センちゃんグッドタイミング!

「あっ友人が来た様なので、失礼....「あら?センじゃない」

「えっ?お母さん?何で?」

「もう、何で?じゃ無いわよ!一体いつまで遊んでいるの!」

(えっえっええええ〜〜お母さんなの?)

「おお、ジン帰っ...「お゛い!ギィィィン゛」黒髪美人の拳が銀色に輝き、まるで金属の様に硬質化した。


[ ゴガン ] [ ゴキッ! ] ぶべぇえええええええ・・・


黒髪美人が縮地?を使ったかの様な流麗な動き、そして硬質化した拳がギンの顎を完全に捉えて金属の鈍器でぶん殴った様な音が鳴り響きクリティカルヒット!顎が変な角度変形したギンだったものは奇声を発しながらクルクルと回転付きで何処か遠くに逝ってしまったのだった。


「ありゃ、死んだな......」

「南無..........」


村の人達も手を合わせたのだった。


「さよなら、ギン.......意外と良い奴だったな.....」


[ ゴキッ ] 骨が鳴る音がしたかと思い振り返ると...顎の角度を強引に直しながらギンが近付いて来た。

(コイツ....不死身か?いや、人間なのか?)


「ジン、勝手に殺すな!お〜〜痛てえ」

顎をさすりながら!戻って来たのだ。

(不死身かよ!)


「あんた、ど〜ゆ〜つもりなのよ!」


「だって....「だってもヘチマも無い!」


「すんませんでしたぁあああ」直角に腰を折った姿に俺は美しいとさえ思えたのだった。


「何だよ、ギンのお嫁さんだったのかよ」

「あら、ウチのバカと知り合いでしたの?」オホッオホホホ・・・

(少し照れながら取り繕っていたけど....もう無理だろな....)


どこから集まって来たのか、辺りは人集りが出来上がっていた。キュラリンが荷台に乗っかり足をブラブラしながら乗っている荷車の積荷のバジリスクにマッチョでゴツイおっさん達が群がり騒ぎ立てている。

時間も時間でキャラバン会場からの帰宅者も多く、銀色の拳で旦那を粉砕する嫁さんに....かなり遅れてから喝采が沸き起こったのだ。


「あら、やだ、私ったら...」オホッオホホホ

「皆さん、ご機嫌よう...」オホッオホホホオホホホホホホホ・・・しっかりと、センとギンを小脇に抱えながら小走りで消えて行った......


「キュラリン、お待たせ!ギルドへ行こうか」

「うん、行く行くぅ〜」

依頼完了に向けて荷車を引きギルドへ向かった。


[ カララン ]


「ん?ジンか!こんなに早く....見つけられなかったのか?」

何時もは奥の部屋にいる事が多いギルマスが酒を飲んでいた。

「いや、依頼の品持って来たぜ」

「はぁあああ?ジョウダンだろ?」

ギルマスと同席で酒を飲んでいたのは、今回の依頼の発注者であるカンザンだった。

「こんなに早く....ホントかよ?」

「このギルド前に置いてある」

「ちっと見に行くか、カンザンよぉ」

二人は立ち上がりギルドの扉を開け外へ....

「まぁ、討伐対象を間違える何てたまにあるからららっらぁあああああああ」

「うほぉおおおお! ワシ初めて見た、ワシ初めて見たん♡」 ギルマスはパニックを起こしていた。

ギルド内にいた冒険者達もゾロゾロと出て来て荷車の積荷を見て絶句していたのだ.......


「なんなんなぁああああああああああああああああ」


「おい!コイつぁよぉ、依頼のバジリスクとは桁違いだぜぇ」

「何だ、違ったのかよ」

「バッカヤロォウ!チゲェ〜シそんなん...こんなん、マジおったん?」 (何故なまる?)

「依頼は完了で良いんだろ?」

「ああ、ああ、ああ、いや期待以上だぁ」

「しかもこいつぁ、抜け殻か?」

「ああ、軽かったし一応何かに使えんじゃね?てきな」

「こんなに、状態の良い綺麗な抜け殻初めて見たぜ」

「後何だよこのバジリスクの数は...」

「ああ、ついでに荷台に乗ってる奴も買い取って貰おうと思って....」

「しかしこのバジリスクって途中で食べたけど、マジで美味いな!」

「ん?途中で?なぁジン....空飛んだのか?」

「違うよぉ〜、走ったんだよ ねっ♡」

「ああ、本当だぞ」

「まぁ、深くは聞かねぇよ」

「んじゃあ、素材の状態を見させて貰うぜ」

「あ〜クソ!こんなに暗くちゃ見えねぇな」

「コイツは蔵にしまって明日だ明日なっ!」

「ああ、構わないよ」

貴重な素材の為、厳重に結界が施された蔵に仕舞われた。


「キュラリン、帰ろうか?」

「少し飲みたいな♡」

「それもそうだな。晩御飯も未だだったし....」

俺とキュラはジャポネズリーに立ち寄った。


[ カララン ]


席は奥の小さなテーブル席に座り、改めてキュラを目の前にすると気恥ずかしくなり...会話が.....少し無言になってしまっていた。


「ジ〜ン、どうしたのぉ?」

「あっいや、その....何だ....今日はお疲れ様」

「うん♡お疲れ様ぁ」

「ジン、ずうっと荷車引いて疲れた?」

「キュラリンの顔を見たら疲れも吹き飛んだよ」

「エヘヘ、嬉しい♡」

「なぁ、ソロソロ旅に出ないか?」

「どこへ行くのぉ?」

「先ずはアルメア国に行きたい」

「チャコさんのところ?」

「ああ、元気で暮らしているのを見るだけで良いんだ」

「う〜ん...............分かったぁ.......」何だか元気が無くなっちまったな....

「何か、悪いな....」

「ううん、良いよ私もチャコさんの顔を見たい」

「ありがとうな」

「だって今はジンを独り占め出来てるんだもん」

「今はじゃなくて、これからも!だろ?」

「うん♡」

「まっ旅の前にセンちゃんと冒険が、待ってるよな」

「うん、そだね」


酔っ払いが俺達に絡んで来そうになったが、この雰囲気を邪魔されたくなかったので、威圧を行使....相手はチビってました....


次の日俺とキュラはギルドへ向かった。


すでに蔵から出された素材は綺麗に並べられ鑑定をしていた。

「おお、ジン来たか」

「早いな!」

「当たり前だろ、こんな素材滅多にお目にかかれねぇからな、興奮して昨夜は寝られなかったぜ」

「子供かよ!」

「ああ、この素材を見れば国王だって子供になっちまうぜ」

「そんなになのか?」

「ところで、ジン相談なんだが今俺の全財産を渡してもこの素材を買えねぇんだ....」

「そんなにかよ」

「だから、金貨200枚を払い後はこの素材を売って後払いじゃダメか?本当に都合の良い事を言ってるのは重々承知してんだけどよ、これだけの素材を見ちまうと他の奴に渡したくねぇんだ.........頼む、この通りだ」


「構わないが?」

「いや分かってる。そうだよな、この素材をみせりゃあ買いたい奴なんて星の数ほど....はぁ?」

「だから、構わないって言ったんだよ」

「良いのかよ」

「自分でお願いしたんだろう」

「いや、そうだけどよ」

「んじゃあ良いじゃないか」

「ジン、お前商売の駆け引きってなぁ....」

「俺...商売を始めようとも思ったけど、やっぱり冒険者が肌に合うんだよ」

「いや、恩に着るぜ」

「まぁ、金貨200も有れば、今の俺達には十分だ」

「カンザン、これからも宜しくな」

「ああ、こっちこそな!残りの支払いはお前のギルドカードに入れていくからよ」

「了解した」

「カンザンさん、りょ〜かい♡」キュラは手をおデコに添えて敬礼をして見せた.....

(ぐわぁあああああ!かわぇええええ) キュラリンの奴絶対に魅了を使っているのでは?などと勘ぐってみたりした。


(キュラリン....なぜ敬礼を知っているんだろう.....)


その後カンザン指示のもと解体作業をこなして依頼を完了したのだった。

抜け殻はそのままの形で持ち帰ると言い出した為、コーティングを強化して壊れない様にもしたのだ。これはサービスだね。


カンザンとギルマスへ軽く挨拶をしてキュラと俺はギルドを後にしたのだ。

読んで下さり、ありがとうございました。

次回も宜しくお願いします。

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