指名依頼だね
宜しくお願いします。
チュン、チュン、チチチチチチ、チュン、チュン
朝起きると、トップさんの姿は無く、手紙が残されていた。
書かれていたのは[ 死なない程度に、頑張んな! ] だった。
(トップらしいな...)
隣には、キュラが気持ち良さそうに規則正しい寝息を立てながら寝ている。
また、顔にちょっかいをかけてみる...手がのびて来て顔を手で擦る仕草はヤバイ程可愛い、何だか癖になりそうだ....
キュラリンが、もし居なくなったら.......かぁ........
今のところ考えられないし、考えたくも無いな.....
「んにゃあぁ?」 眠そうに顔を擦りながら目を覚ましたようだ。(子猫っぽいな...)
「ふわぁ〜あ...おはぁよぉ〜」
「キュラリンおはよ」
「俺はこれから風呂に入って来るね」
「ふぁ〜い、いってらっしゃ〜い」
「行って来ます」 (う〜〜何かこの感じ良いよね)
朝風呂を終えて部屋に戻ると、何故かギンがいたのだ。
「どうしたんだ?」
「ああ、センとお嬢が風呂に入りに行ったよ」
「ギンは?」
「ジンが帰って来るまでの留守番だ。俺も一っ風呂浴びてくらぁ」
「ああ朝風呂は気持ちよかったよ」
(う〜ん、平和だ)
その後、朝食を済ませて俺とキュラはギルドへ向かおうと用意していたのだが?何故かギン&センも一緒に付いて来る事に...
(おいおい、ギンは俺達の保護者なのかな?まぁキュラリンから離れないセンの保護者という事にしておこう)
[ カララン ]
「おう 待ってたぜ!コッチだコッチ」
非常に人相の悪い隻眼の大男が、歪んだ笑顔を作りながら手を振っていた。
ギルド内の冒険者達は一斉に入り口に立つ俺に一瞬視線が集まったが、俺の後ろに立つ大剣を担いだ大男に視線を移すと、成る程納得って感じで視線を外し各々の話題へと戻っていった。
(まぁ、そうなるよね)
「おおい、ジン!ここの個室を貸してくれるんだとよ!付いて来い」
「ああ、分かった」
「ん?ギンまで付いて来たのかよ!」
「ああ、俺達の事は気にしないでくれ」
「へっ?」俺達から一番近くで座っていた奴が反応した。
「今の会話聞きたかよ」ヒソヒソ
「あの白髪実は凄ぇ人なのか?」 ヒソヒソ
「あの隣にいる人、俺の彼女に似てる」
「ばぁ〜か!お前の彼女は夢の中にしかいねぇだろ」
「だから、その夢で出逢ってた人なんだよ!運命なのだろうか」
「お前、いっぺん死んで来い!聞いてるこっちが恥ずかしい...」
(何だ?ギルド内が騒がしくなったな)
「ジン、何ぼ〜っとしてんだよ、早く来い」
「ああ、分かった」
俺とキュラリンはカンザンの後に続いた。
ギンはギルド近くの雑貨屋を見に行くと言ってセンを連れて出て行った。
個室に入るとギルドの外観とのギャップに驚いた。高級そうな調度品が並べられ内装も凝っておりとても豪華な作りだったのだ。
聞けばこの個室は貴族様御用達の特別待合室らしい。
「んじゃあ、依頼内容の説明だ、一応言っておくが他言はするなよ!お前らの命を守る為でも有るんだからな」
「ああ、分かった」
「さて、始めるぞ」
「今回の依頼は、バジリスの討伐と素材の回収だ」
「只のバジリスクなのか?」
「おっ!察しが良いな。この度の依頼のバジリスクは只のバジリスクじゃねぇんだ」
「ジン、あの大きな蜥蜴のこと?」
「ああ、そうだよ」
「ガハハハハハハ、バジリスクをデカイ蜥蜴って言う奴は中々いねぇけどな」
「そのバジリスクだが、俺の仲間が希少種を、見つけたんだよ」
「どう違うんだ?」
「そいつは玉蟲色をしてやがんのさ」
「へぇ〜、俺は見た事無いな」
「あったりめぇだ、俺だって伝記で知った位で、過去にそんな個体を見た事ねぇよ」
「それが見つかったと」
「そうだ、それでこの事が他の奴らに知られたら争奪戦になり、素材がボロボロになっちまう」
「とっとと行って狩って来いって事だな」
「まぁ、そう言う事だ」
「ちなみに、いつ発見したんだ?」
「2日前の晩だカンテラに来る途中少し寄り道してな、まぁ用を足しに.....なっ!まぁそう言う事だ」
「 了解した。その依頼受けるよ」
「ありがてぇ、くれぐれも素材として回収して欲しいから傷が少ないと助かる」
「素材って何処が必要なんだ?」
「捨てるような部位は無いんだが、特に注意して欲しい部位は背中部分の皮だな」
「成る程な、丸ごと持って来る方が良さそうだな」
「出来んのかよ?」
「捨てる部位は無いんだろ?ならば持ち帰って来てから解体するよ」
「一応、前金で金貨10枚、後は回収後に支払うが良いか?」
「ああ、構わないよ」
「よし、成立だな!」
俺とキュラは カンザンと固く握手をしたのだった。
「一応秘匿の件もあるからよ、悪りぃがこの魔術契約書にサインをしてくれるか?」
「ああ、構わない」
そうして俺とキュラリンは署名した....
その契約書にサインした直後黒い尺取虫の様なモノが飛び出し俺とキュラリンの身体に入ろうと......身体に触れた瞬間黒い煙になって霧散した....
「ん?なにか変だな?そんな霧は出ない筈なんだが???まぁ良いか」
「ジンそしてキュラ、頼んだぜ」
「エヘヘ、ジンとなら だいじょうぶ♡」
「早速、具体的な場所を教えてくれ」
「そうだな....」
カンザン.....まぁ何となくは分かるが凄ぇテキトーな汚い絵を渡されたのだ。
(5歳児かよ!いや5歳児の方が上手いかもな...)
その地図?...イヤ....絵?...イヤイヤ絵に失礼だ!そうまるでペンの試し書きをした紙の様である。
「まぁここだ!会場から馬車で10時間足らず位の距離だな」
「方向だけ教えてくれ.....後は....馬車の速度と途中休憩したのかだけ教えてくれるか?」
(俺達であらかたの場所を割り出すしかねぇな.....コリャ......」 はぁ〜〜
概ねの場所を理解した俺達は早速出発する事になったのだ。
ところが.....
「え〜センも、行きたい!冒険者になるんだもん!」
「おいおい、お嬢に迷惑だろう」
「だってぇ〜」 今にも泣きそうな顔をするセン。
「う〜んとね、直ぐに帰って来れるから、帰って来たら冒険に行こうよ、ねっ」
「すぐって何時?なんじ?なんぷん?」
「全く.....」
「まぁ、早くて明日中かな?」
「おい、あんまり無茶するなよ?」
「なぁ、センちゃん」
「なぁに?」 ウルルルル
「帰って来たら、必ず一緒に冒険に行くからな」
「約束だよ」
「ああ、約束だ!」
「エヘヘ〜、センちゃんと約束ぅ〜」
「ゼン」
「何だ」
「依頼の選択任せて良いか?」
「わぁ〜ったよ!」
「よし!決まりだ!」
「行ってきまぁ〜す」
「おう、気ぃ付けてな!」
「バイバ〜イ」
俺達は早速出発したのだった。
(アイツらあんなに軽装で良いのかよ?)
その時ギンは小さな魔石の回収ぐらいだろうと考えていたのだった.....
「何だか、依頼を受けるの久し振りな感じがするな」
「そだね」
「少し身体強化を使って急ぐか」
「うん♡」
キュラが全力ダッシュをすると追いつけないので俺のペースに合わせて貰いながら目的地に向かった。
馬車で10時間の距離を俺達は1時間で着いてしまったのだ。
(よし、サクッと検索で探しますか...)
「あっきっと、彼処に居るよ!」
(早っ!) 俺が検索をするまでも無く、キュラは見つけた様だった。
「ジン、付いて来て」
「ちょっ待っ・・・」
500メートル程先に居るキュラは振り返り...
「おそ〜い!」
「むっ!」 少し意地になった。
俺は、闘気も纏い全力でぇ......
「ここだよ」ピタッ
「おっとぉ〜」 (急に止まらないで下さい....)
キュラにもたれてしまい、背中から抱きつく事になり....
「ジン....ここで....なの?」 ポッ
「ふぁ? なななっなにぶふぉ....」 咳き込みました。
「だってぇ、センちゃんが....」
(センちゃん....何を教えたんだよぉおおお)
こっこほん....「こっこの辺りなのか?」
「うっうん、この穴の中だと思うよ」
発見ポイントから1000メートル程離れた場所の横穴で、確かに何か変な匂いと気配を感じた。
「入ってみるか」
「そだね。ワクワクするぅ〜」
俺もキュラリンも暗視スキルがあるので、暗い洞窟でも余裕で見渡せるのだ。
そして、サクサク入って行くと分かれ道もあるが、蜥蜴の体液なのだろうモノが付着しているので、その目印を頼りに進んで行った。
ドーム状の少し広い場所に出ると、至る所に横穴があいている。
「こりゃあ、バジリスクの巣だな」
「あっ!」
侵入者に気付いたバジリスクが、ワラワラと横穴から這い出てきたのだった。
「こんなに沢山は要らないし、玉蟲色のバジリスクはっとぉ....」
と考えていたが、バジリスクは敵対行動を取りキュラに襲いかかってきたのだ。
「行くよぉ〜」
ハンマーを片手に暴れ出すキュラは、もう止まらなかった....
10体程倒した所で、野生の本能なのかバジリスクは逃げ出した。
[ ドッドドン! ]
地響きと共に一際大きな横穴から、玉蟲色のバジリスクが這い出てきたのだ。
「キュラリン!コイツは俺に任せてくれ」
「うん、良いよぉ〜」
(何だよ、凄えデカいじゃん!)
「おりゃっ!」
雷を纏い、電撃をバジリスクの頭に飛ばして脳だけを焼いたのだ。
何が起こったのか全く理解も出来なかっただろう。玉蟲色のバジリスクはその場で崩れ落ちた。
「何だかな、もう終わっち待ったな」
「うん....何かつまんない」
「おい、それは危険な思考だぞ!」
「しこう?」
「ジン、対戦しようよ」
(かなり熱くなっていたキュラリンを、宥める為には仕方がないか...)
亜空間を作り出して、約1時間みっちり闘ったのでした....
バジリスクの前に立ち...
「はぁ〜楽しかった、今日一番楽しかった♡」
「俺は疲れたよ」
バジリスクをコーティングして、ついでにキュラが倒したバジリスクもついでにコーティング更に確認の為大穴の中に入ってみると、玉蟲色のバジリスクの抜け殻があったのだ。メチャクチャ軽かったので壊れない様にコーティングをして抜け殻も回収したのだ。
後は洞窟から運び出し、倒木やらを集めて荷車を作り....
「デッデカイな.....」
「そお?私なら平気だよ」
「う〜ん....せめてバジリスクを少し食べてくか?」
「わ〜い、食べるぅ♡」
(この娘は...可愛すぎっ!)
小さなバジリスクをその場で解体して調理を始めた。と言っても焼いて塩を振る位のものだが......
「ジン、美味しい!美味しいよ!」
「どれどれ、うっ美味い!」
小さいバジリスクだったが、体長は1メートル位ある。ただ無心になって食べ続け.....
二人で三分の一は平らげていた。
「どうするよ、まだまだあるんだが....」
まぁ同じ味を食べ続ければ、いくら美味くても流石に飽きてきた....
「ソロソロ、行くか?」
「そだね」
余ってしまった捌いた肉をコーティングして荷車に乗せて出発した。
馬車で10時間の距離......無茶をすれば大事な依頼品がどうにかなっても困る....
「無計画過ぎたな....」
「キュラリン、どうしよう....」
「ゆっくり帰ろ♡」
「だな」
今は12時位かな?結構早く事が片付いたからな。
カンテラ村には夜には着くか....
俺が荷車を引き、キュラリンが荷台に乗っかって鼻歌を歌いながら帰りました。
読んで下さり、ありがとうございました。
次回も宜しくお願いします。




