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キャラバンだね ①

宜しくお願いします。

チュン、チュン、チチチチチチ、チュン、チュン


本日は依頼を受けずにのんびりと過ごす日と決めていたので堂々と寝坊をしまくっていた。


隣のベッドを見ると、キュラは既に起きたのだろう、ベッドは綺麗にされ冷たくなっていた...


「何処に行ったんだ?」


のそのそと起き出した俺は顔を洗い着替えて食堂へ向かった。

「おや、起きたのですね、おはようございます」

「おはようございます。私の連れを見ませんでしたか?」

「さぁねぇ〜見ていないよ」

「そうですか....ありがとうございます」


(昨夜は泥酔していた筈なのに....元気だな....)


何時もより少し遅い時間になったが、日課の修練を始めたのだ。

草原に出てからの修練は清々しくて気持ちが良い...この世界に戻って来れた事を本当に感謝する瞬間である。

ひと汗流したついでに軽く村の中を探す事にしたのだが、見当たらなかった.....今まででこんな事は一度も無かったので少し不安になった。

考えだすと、突然あの空間に囚われていた事を思い出し絶望と孤独が押し寄せて来た.....


俺は村の中を駆け回り探し回ったが、収穫無しだった。

(朝早くから、やけに人も多いな...)

一度宿屋に戻って、少し装備を整えてからもう少し遠くを探してみる事にしたのだ。

宿屋の前に着き部屋に入ると......サラッサラの黒髪が綺麗な少女ギンの娘センが居たのだ。

「おや?センちゃん?」

「あっジンお兄ちゃん、お帰りなさい」

「お帰りなさいって....所でキュラはみなかった?」

「キュラ姉ちゃんなら、お風呂に入ってるよ」

「お風呂?」

「うん、昨日酔いつぶれて寝ちゃったから身体を洗いたいって言ってたよ」

「そうか...じゃあ朝から一緒だったのか?」

「そだよ」

「何でまた」

「エヘヘ、ヒ・ミ・ツ♡」 (くそう!可愛い)

「秘密かぁ....」 (しかし無事で良かったよ...)


「センちゃんは朝御飯たべたのか?」

「まだだよ」

「なら、一緒に...「良いよ、お邪魔だろうしね。私帰りま〜す」

「あっああ分かった、送って行こうか?」

「えっ?大丈夫だよ、私達ここの3階に宿泊してるんだよ?」

「へっ?マジで」

「本当だよ」

(はぁああああ?ギンの奴、昨晩の『またな!』は何だったんだよぉ!めっちゃ近くに居るんじゃん)


ウインクをして、センは部屋から出て行った。

暫くすると、キュラが帰って来た....


「ただいまぁ、ジンはさっきどうしたのぉ?何だか走り回ってたよね」

「何でもない」(恥ずかし過ぎる)

「ふぅ〜ん........」


「そっそろそろ、朝食食べに行くか?」

「うん♡」


やけにウキウキしているキュラが少し変だが、美味しい朝食を楽しみながら、朝の件を聞いてみたのだが....

「う〜ん.....」 エヘヘ♡

(答えてくれよ!)っと心で叫んでみた...


何だか、こうしていると九尾狐って事を忘れてしまう....つぅか俺も人では無く亜人種だったんだから変わらんか......


キュラが今日は、お買い物に行きたいと言い出したので商店をブラブラする事に決まった。


村に出ると....

「なぁ今日はやけに人が多くないか?」

「そだねぇ」

「何処の店に行きたい?」

「えっとぉ〜」


「あっ!ジンお兄ちゃんだ!」

「ん?」

黒髪の美少女が大剣を背負った野獣を共に従えて歩いて来た....


「おい!誰がお共だ!だぁ〜れがぁ!」

「よお、ギン。冗談だよ」

「全く....」

「ところで、今日はやけに村が騒がしいが何かあるのか?」

「何だよ、知らねぇのかよ」

「今日は年二回ある人気行事なんだが、キャラバンが来んだよ」

「カンテラ村がこの辺りで一番規模が大きくなるからな、良い商品を買う為にもカンテラ村に来ていたってのもあるんだぜ」

「へぇ〜そうだったのか。なら丁度良いやキュラリン、キャラバン会場に行くか」

「行く、行くぅ〜」


ギンとセンとキュラと俺4人でお祭り騒ぎになっている、キャラバン会場へと向かった。


村にある憩いの広場の広大な敷地に色や形が様々なテントが並び、圧巻の一言だった....


「すっすげぇ〜」

「ジン、ジン....すごいよ、目が回っちゃうよぉ〜」

キャッキャ騒ぐキュラは見た目に反して可愛いすぎて、俺がヨシヨシと頭を撫でていると、周りの人も笑顔になっていた。

(何だか俺達目立ってないか? まっ気にしたら負けだね)


屋台が集中している場所から入場したのだ。


「らっしゃ〜い」

「おじさん、肉饅2つ」

「アイヨ!」

「おいおい、朝食食べてたろ」

「良い匂いなんだぁもぉ〜ん」センは早速肉饅をゲットしていた。

「はい、キュラ姉ちゃん♡」

「ありがとう」 チラッ 何故俺を見る?

「ああ、良いんじゃ無いか?貰っておきなよ」

「エヘヘ、良いって♡ いただきまぁ〜す」

無邪気な笑顔がたまりませんね。


その後、女子チームは綿飴を購入して嬉しそうに頬張っていた。


俺とギンは麦酒を飲んだ。


食材を見て回ると、おや?

「何だあれ?」

「ああ、この辺りの土地ではまず手に入らない物が並んでるだろ?」

「ジン、ジン〜、綺麗な実だよ?食べれるのかなぁ?」

「いらっしゃい、それはねゴジベの実ですよ。栄養価が高いので2〜3粒で一食分の栄養が取れます。更に美肌効果もあるんですよ。冒険者さんなら持っておいても損は有りませんよ」

「その赤い実、買いますぅ」(おい、キュラさん....ちょろすぎるぞ? まぁ良いけど)

「ジンは、ランカーの仲間入りしたんだからよ、遠征の依頼とか受けねぇのか?」

「そりゃあ、受ける予定だが....」

「だったら、ゴジベの実も良いが装備も揃えねぇとな」

「そうだな、じゃあ見てくるよ」

「付いてってやろうか?」(何で少し頬を赤らめてんだよ...)

「そんな、悪いよ」

「センの奴キュラ嬢の側を離れねぇんだ、こっちがお願いしてんだよ」

「そういう事なら、有り難くお願いするよ」

そういえば、会ってからセンはキュラの腕に手を回して離れないな....(朝...何があったんだろう?)


ゴジベの実を小袋一杯買って防具を扱ってるテントが立ち並ぶ方へ向かったのだ。


「おっ!あのテントが良いな」


ギンに勧められてオリーブグリーン色したテントに入ったのだ。


「いらっしゃい」

「おう!久しぶりだな」

「おっギンじゃねぇか!何だよ、まぁ〜た壊したのか?」

「何だよ人の顔見りゃそればっかだな!今日は紹介したい奴がいんだよ」

「そうかい」

「そういや、俺らタウンボル村から来たんだが、お前の嫁さん何だかご機嫌ナナメだったぜ」

「マジかよ」

「けっ!尻に惹かれてんのは変わらねぇな」


俺とキュラそしてセンが中に入った。


「今日わぁ〜」

「おい、おい、ど〜いう事だよ。ギンが娘以外の女連れってぇ」

「がはははは、そこのお嬢はコイツの連れだ!」

「ジンです」

「ジン?.....なぁ兄ちゃんは.....そうだちょっと待ってな....」

隻眼の大男はテントから外に出て幌付きの荷台から何やら持って来た。

「なあ、この皮に見覚えあるか?」

「ん?確かにバジリスクは討伐してギルドで買い取って貰った事はあるけど?」

「何か?」

「そうだな、この保管の為のコーティングに見覚えは?」

「ああ、それなら俺達の売った素材も同じコーティングしてるぞ」

「やっぱりか!あんたらこの加工はどうやったんだ?」

「ああ、それはな...「ハイ!ストーップ!なあなあ、カンザンよぉコイツは俺の大事な友人なんだぁよ、そんな大事な事をホイホイ教えてくれとか言って!俺の顔を潰さねぇでくれよ!」

「おっとぉ!そうだったな!そうだよな!いやっすまなかった」

「カンザン、それでよぉ何が違うんだよ?」

「オメェしらねぇのか?獣もそうだが魔獣の素材も狩ったら直ぐに解体して運ぶだろ?」

「ああ、そうだな」

「何処で、解体してんだ?」

「そりぁあ、狩った所だが?」

「だろう?だから土や草の上で解体してんだろ?」

「まぁ、当たり前だろ?」

「この切り口を見てみろよ!」

「うっ!何だよコレ」

「デカイまな板の上で綺麗に切った様にカット面が綺麗だろ?しかもすげぇ衛生管理がされて小石や泥も無く血の染みすらねぇんだ俺達加工職人が素材を購入してすぐに製品化出来るそんなすげぇ素材なんだよ!」

「まぁ下地を作るのが一番大変だとは俺も聞いた事が有るけどよぉ、そんなに違うのか?」

隻眼の大男はコクリと頷き。

「あとはこのコーティングだ!バジリスクの皮は加工する前の鮮度が重要なんだよ。防具としての性能はそれ程変わらないが鮮度が落ちると鱗が...ほれそこに掛かってる皮鎧を見てみろよ」

よく見ると、鱗が所々禿げている。

「なぁ?分かるだろう。だからこのコーティングのお陰でしばらくほっぽらかしても鮮度が落ちねぇんだよ!ちなみにこの素材は1週間前に買ったやつだぜ」

「そんなにすげぇのかよ」

「この素材を仕入れたお陰で、今度王宮に防具を納入する事にもなったんだよ。しかも指揮官クラスのお方のな!」

「明日ギルドへ行って依頼を出そうと思ってたんだが、依頼を受けてくんねぇか?素材が山程必要なんだよ」

防具を買いに来たのに、依頼をされてしまった....

「構わないけど、今は防具を見せて欲しい」

「だよなぁ!いや、ジンと聞いてテンションが上がっちまった!ゆっくり見てくれ」

「ああ、そうさせて貰うよ」

「おいジン、お前らってヤッパリただもんじゃ無かったんだな」

「んな事ねぇよ」

「ジン、コレ着たい」

「お父さん、私も着て良い?」

「「ああ、良いぞ」」 (まさかのハモリ...)


試着を終えて出て来たキュラとセンはその場でクルリと回りポーズを決めた。

(よっしゃ!買ったぁあああああ!)と心で叫び声を上げる程似合っていた。

「おっ!似合うじゃねぇかよ」

「エヘヘ、ジン....どう?」

「ああ、似合ってる。ところで防具としてはどうなんだ?」

「コレはなぁ、動き易さを重視した奴だが、皮は海龍を使っているから少し高いぞ」

「海龍?」

「ああ、薄くしなやかだが鉄製の鎖帷子の3倍の強度を持ってるシロモノだ!」

「キュラリン、どうだ?」

「動き易いしぃ、気に入ったぁ〜」

「じゃあ買うか。コレ下さい」

「はいよぉ〜」 すげぇ笑顔だ....

「お父さん.....ダメ?」 (うっこの子は.....センちゃんってアザトイ?のか)

「キツくないか?」

「うん、大丈夫だよ」

「う〜ん.....「ギン、森の近くを連れ歩くだけでもいい装備を着せといた方が良いぞ、それに小さくなったらちゃんと買い取ってやるからよ」

「仕方がねぇな!よし買おうじゃねぇか!」

「毎度あり!」

俺の皮鎧も動き易さ第一でキュラとセンが選んでくれた。魔法が付与されたショルダーバッグは高価だったが店主のいるカウンターへと運び、ついでにブーツと手袋を購入したのだった。


「2人とも着ていくのか?」

「うん♡」

「着るぅ〜♡」

何だか、姉妹みたいで和みますな......


「ところで、そのそこのお嬢さんは貴族とかじゃねぇのか?」

「ああ、俺もそうなんじゃねぇかと思ってたんだが?」

「それは無いから」

「うん、私はジンと何時までも一緒だよぉ」 (嘘では無い)

「「...................」」何だかオッサン2人が頬を赤らめてるのだが.....何故だ?

「ほらぁ、ジン兄ィ、キュラお姉ちゃんが告白してるよぉ」

「そう......なのか?」


「ボクネンジン........」 誰かがポツリと呟いた.....


(誰の事?まぁ気にしたら負けだな)


先程購入した装備や脱いだ服を買ったばかりのバッグに詰め込んだ。依頼の件は明日ギルドで打ち合わせる事に決まり、俺達はテントを後にした。


「次は武器だな」

「ああ」


暫く歩くと黒一色で一際豪華な金縁が施されたテントが見えた。


「ここだ、ここだ。入るぞ」

「いらっしゃ〜・・・ギッギン〜〜」

「おう、久しぶりだな」

「アンタ、この間私の誘いをブッチギリやがったな!」

「ああ、あの時か」

「そうだよ、アタシはそのままワイン3本空けちまったんだからな!」

「そっそうか....すまな...「お父さん誰?この綺麗な人」

「あっああ、腕の良い鍛治師だ....です...」

仁王立ちしたセンはギンのライフをゴッソリ奪ったのだ。

伝家の宝刀、お母さんに言いつける的なカードを切ろうとしている事は長く共に暮らすギンは即座に理解したのだ。しかもその発言をもしこの鍛治師が聞いた場合間違いなく面白半分で嫁さんにチクる事は自明の理であった。

読んで下さり、ありがとうございました。

次回も宜しくお願いします。

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