ジェノサイド アンゲロスだね
宜しくお願いします。
デメララはジョーに背負われながら王都ザグロスの王妃であるタミアに念話を送り連絡を取り合い、王都付近の小高い丘の上で待ち合わせる事になった。
待ち合わせの丘の上でデメララと共に腰を下ろす事 数刻。朝日と共に豪華な装飾が施された真っ黒な馬車が3台と護衛の騎士と思われる者達が連ねて王都より近付いて来たのだった。
先ずは黒馬に跨り朝日がプラチナ色の鎧を嫌味なほど輝かせている騎士が駆け寄り俺達に話し掛けて来た。
「私は王都ザグロスの王女直轄近衛隊のウェルと申します。貴殿らは、グヤナ国の方々ではございませんか?」
とても、低姿勢に尋ねて来られた、とても好感が持てる騎士だった。
「隊長、こんなコ汚ねぇ鬼人のコゾー共が要人の筈ねぇっすわっ!」
(コイツ!.....まぁこんな奴も居るのが騎士団なんだろうな)
「おい!ナータス!口を慎め、確認中だ!」
「ちっ! おい!何か喋らねぇーか」
「大変失礼いたしました。もう一度お聞きしてもよろしいでしょうか?」
「俺は、プエルト国のジョー・タカオカです」
「あっあっ貴方があの.........」
「しっ失礼致しました。タカオカ様はもっと大きな方と思っておりましたので....」
「ああ、別に構わないよ」
「はぁああ?アンタがあの、ジョウなのか?ヒョロいし....嘘クセェなぁ」
「おい!ナータス、お前は さっきからなんなんだ!失礼だぞ!良いから下がれ!」
「へいへ〜い」
何だか俺の背後に居るデメララからとんでもない殺気が........近衛隊の癖に気が付かないのか?
「ジョウ、やっちゃいますか?」
「はっ?やっちゃうって、あの殺っちゃうって事?」
「YES!」
「ってちが〜〜〜〜う!でしょ」(たぶん)
追いついて来た馬車は停車し、黒い馬車の戸が開かれ中から美しい手が手招きをした。
デメララと俺は馬車の中に招かれると、タミア王女が少し緊張した面持ちで座っていた。
「余りの速さに驚いたわ」
「朝早くに、すまんのじゃ」
「.........まぁ良いわ...」 少し呆れが入った顔で、流された。
「所で貴方の話は本当なのですか?」
「そうじゃ、かなり不味い事態と思うのじゃ」
「そう.....デメララ様がそう仰るのならば、そうなのでしょう」
タミアは御者に伝え王城へ向かったのだった。
俺は馬車の中で連絡を取り合える手段として白い魔石をタミヤに渡した。
「あら、綺麗ですね...」タミアは嬉しそうに、胸元へそっとしまった。
「ちっ!面倒くせぇ奴が来やがったか....」
俺とデメララはタミアが用意してくれた漆黒の祭服を纏い城内に入り、タミアの自室へ通されたのだった。
「そのフードを身に付けていれば問題無いと思いますので、ゆっくりと寛いでいて下さい」
「助かるのじゃ」「ありがとうございます」
「所で、俺達に絡んで来た近衛隊がいたけど大丈夫なのか?」
「えっ?そのような事が....分かりました直ぐ確認します」
そしてタミアは自室を後に出て行った。
[ コンコン ]
「失礼致します」
可愛らしい、メイドが入って来て軽食と飲み物を持って来てくれテーブルへと並べ退室して行った。
「あんな子供が、メイドをしているのか」
「何じゃ、ジョウはあんな子供が好みなのか?」
「いやいやいやいや、無いでしょ!いやマジで.....」
「彼女はああ見えて、100歳は超えておるぞ」
「はぁ?」
「タミアと共に魔族じゃからな」
「そっそうなのか.....」 (ロリバ◯ア....)
「何じゃ、失礼な事を考えておるな」
「ふぁっ?」 (ヤベエ....)
デメララは頬を膨らませて少し怒った顔をしていた。
(うっ!可愛い......)
無言で頭を撫でると、機嫌は良くなってくれたようだ。
(異界の魔族共の襲撃はレヴィの情報だとあと3日後位か.....)
暫くすると、タミアがウェルを連れて部屋に戻って来たのだが、浮かない顔をしている。
「どうしたのじゃ?」
「それが....ナータスが消えた.....」
「あの暴言野郎が?」
「はい、申し訳御座いませんが、城内くまなく探したのですが....近衛隊が持つ所在を知らせる魔石にも反応は無く....」
「魔石?」
「はい、我等は王妃の近衛隊である為、不敬を働かぬ様に体内に魔石を呪印と共に埋め込まれ行動管理されているのです。その魔石にも反応が無いとなると、死んで破壊されているとしか.....」
「ナータスってどんな奴なんだ?」
「はい、問題行動が目立っていたアプルトン家の三男であります」
「アプルトン伯爵家の血筋じゃと?」
「はい、ですがナータスは伯爵家の再興を懇願し、今まで非常に勤勉でタミア殿下に尽くして来ていたのですが」
「ふ〜ん」 (勤勉ねぇ〜あの態度でか?)
「あっ唯 最近では少し言動がおかしく、模擬試合では相手を瀕死の重傷に負わせたりと......」
何か引っかかる.....それに、別れ際のあの呟き......
[ ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ ]
城が揺れだした。
「ん?地震か?」
「最近多いのです」
俺は索敵を使ったが、特に異変は.......
「たっ大変です!」
タミアの自室の扉の前から、男の怒鳴り声が聞こえ....
「どうしたの?」
「そっ空が........」
タミア、ウェル、デメララ、俺は部屋を後にして、中庭から空を見上げると、赤紫色をした亀裂が空一面に広がっていた。
「何じゃこの、波動は」
「魔力とも少し違いますね」
[ ブブブブブブブブブブブブブブブブブブブブブブ ]
「この 羽音は.....」
しかし俺の索敵にも反応があり、それはこの城の地下だった。
[ タカオカさん、ヒデオです...... ]
[ 何だよ!予定よりかなり早いじゃないか! ]
[ はい、我々側の総大将ルキフェルの眷属がザグロスの王城に居る様なのです ]
[ それで? ]
[ タカオカさん達が、魔神の核の件で城へ来た事を知っていました ]
[ そうか.......ザグロス内部に内通者の可能性か......まぁ有り得るか.....]
[そのようです ]
[ 誰だか分かるか? ]
[ 分かりませんが、王に近い奴と思われます ]
[ ありがとう ]
[ 自分も、もう少し探ってみます ]
[ ああ、但し無茶はするなよ ]
[ はい ]
念話を終了させ、考えてみた....
(ルキフェル側に情報が筒抜けなのか....しかし俺達が魔神の核の事で動いていると知っているのは、タミアだけの筈だが.....)
悩む間も無く空一面を覆う程の虫の大群が押し寄せ、王城を月の光も通さない程に空を埋め尽くした。
「ブヒャヒャヒャヒャヒャヒャ!いただきマース」
虫の大群は数万匹が一纏めとなりその塊が30万はいそうだ。
(全く、これだから虫は嫌いだ!群れるし直ぐ増えるし、しぶといしな!)
そんな塊と化した虫は騎士達に襲いかかる。
(城の砦付近に待機していた兵士は虫の大群に飲まれていった.....
「つぅ〜かぁ、この世界にも魔族はいるんだなぁ ブヒャヒャヒャヒャ しっかし弱すぎだろ?」
「我らはお前達の言葉で言うところの禍津日神って所だなぁあああ」
「ブヒャブヒャブヒャヒャヒャ」
「そんでそんでなぁ、うちの大将わぁジェノサイド アンゲロス アルゴ軍団とか名乗るらしいぞ!ブヒャヒャ」
「あっこっから大事な話だぜぇジェノサイド アンゲロスと聞いたら、直ぐに命を差し出せ!そうすれば苦痛無き死を与えて下さるそうだブヒャ ありがたいだろぅう」
(何だか、無性に腹立つな!特にあの喋り方が!つぅーか、アイツらの大将かなり厨二病入ってるな....)
王城の砦を守るべく集まって来た兵士は約1000人程で魔法師と共に肉壁となり虫の大群に立ち向かった。
「また虫かよ」
俺は、城を囲む程のリィパルシャン [ 障壁魔法 ]を展開させてこれ以上の虫の侵入を防ぎ、結界から飛び出して金砕棒を振り抜き斬撃を飛ばして虫達を切り刻んで撃ち落として行く。
以前の反省を踏まえて炎や雷では又爆発させてしまう事を警戒してだ。
斬撃だけではやはり時間がかかるばかりで思うように殲滅させる事が出来ないでいた。
(つぅ〜か数が多過ぎでしょ!)
何とか一箇所に集めなくては......
目の前に集まって来た衛兵や剣士達に思念を飛ばし一時撤退をする様に伝えた。
(最悪、俺の結界も破壊しないとも限らないしね)
結界内の虫は優秀な兵士達がほぼ殲滅した様なので、兵士達の避難を確認してから、俺は金砕棒をプロペラの如く回し始めると、俺を中心に台風の如き風が起こり、その風に魔力を流し巨大な竜巻が発生した。結界を張った以外の城内に建設されていた建物も幾つか巻き込みながら竜巻は成長していく........邪神族の虫共の身体は大きいが所詮は虫であり軽く、空を埋め尽くしていた虫達は竜巻に飲まれてドス黒いまるで、一本の海苔巻き状態になった。魔力を流すと竜巻は思いのままにクネクネと右に左に曲がりどんどんと虫達を食らっていく。暫く竜巻で掃除をすると現在空を飛んでいた虫は全てが竜巻の中に閉じ込められたのだ。
竜巻内部では.......想像したく無いですが......ただ、ただ臭いです!竜巻から漏れ出る臭いは最悪でした......
竜巻を維持したまま俺は飛び上がり高度にして1000メートル辺りまできたところで、黒炎を作り竜巻に投げ込んだ。
ドス黒かった竜巻は紫の炎を吹き上げ虫達の脅威は去ったのだった。
地上から眺めていた兵士達は紫色に燃え上がる龍が天に昇っていくかの如く美しい光景に見えた様だった、後日この光景を目にした者達はザグロスには龍神様がおり守護していると御伽噺が流行り数年後にはケイボロス教とか言う団体が設立したとか......
虫の脅威が去った後デメララに念話を送り、既に敵は城内に侵入している事を伝えた。タミアにも早急に対応をしてもらうのだが......
タミアとデメララが核の保管場所へ向かおうと歩き出した刹那....
[ ズブッ ]
タミアの背後から銀色の刃が襲い貫かれたタミヤは大きく目を見開き口を陸に上がった魚の様にパクパクとさせながら痙攣を起こしやがてピクリとも動かなくなったのだ。
「まさか、お前が.....」
「へへへっすいやせんねぇ〜」
豹変した、男が長刀に付着した真っ赤な血液を長い舌でベロリと舐める。
「お前は何なのじゃ、近衛隊では無かったのか?」
「なぁ〜にを言っているんですかねぇ〜」
「 私はアラストル、総大将ルキフェル様の刑執行長官ですよ」
「さぁ〜て、これで核の保管されている部屋は分からなくなりましたね。では御機嫌よう」
「あっそうそう、あなたにも死んで貰いますかね」
アラストルは煉獄の炎をデメララに浴びせた。
完全に炎に包まれアラストルは満足気に姿を消した。
「ジョウのネックレスに救われたのじゃ....」
煉獄の炎がおさまると、無傷のデメララがその場に立っていた。
「タミア....」
石の様に動かない、タミアが横たわる。
俺がデメララの元に着いた時にはデメララがタミアを抱き寄せポロポロと涙を流しながら泣いていた....
「何故タミアが死なねばならんのじゃ」
「何故妾だけが助かるのじゃ」
「何故妾.....」
「何故.....」
「..........」
やり場の無い怒りは俺に向かい出し
「ジョウ、何故妾だけに.....タミアに同じ物を渡してなかったのじゃ....」
ジョーは悪く無いと頭では分かっていても、デメララはジョーを責めずにはいられなかった.....
読んで下さり、ありがとうございました。
次回も宜しくお願いします。




