GEKKA 人生初のオークションだね
宜しくお願いします。
宿屋を出発した月華達は、サイゴウが入院中の医療施設に向かった。
寸刻して医療施設へ到着した月華達は、早速サイゴウの様子を見に病室へ向かった。イオ、アンフィの姿は無く、看護士と共に病室に顔を出した。サイゴウの病状に変化は無いのだが、異様な状態のサイゴウを見ることとなった。というのは身体の大きさが、イオ並みに大きくなっていたのだ。着ていた服は明らかに手足が伸びて無理矢理子供用の服でも無理に着ている様にも見える程だった。
「何が、起きているんだ?」
「私達も、この様な症状は初めてで理解できません。
私達が言えることは、検査の結果身体の何処にも異常は無く唯寝ているだけとしか.....」
「まるで、冬眠じゃな」
「そうなんです、正に野生動物が寒い冬を越す為の状態としか....」
「まぁ、それだけならば、危険は無い.....か....」
「まぁ、イオもアンフィも強いですからね」
「そうか....そうだな....」
「イオ、アンフィに挨拶出来なかったが、よろしくと伝えて欲しいのじゃ」
「はい、畏まりました」
「なぁ、早くプエルトへ向かおうぜ!」
「そうだな」
「プエルトへ出発じゃ!」
「「「「おー!」」」」
王都を出発した月華達は、サバナ国へ立ち寄った。
「あっ!」
「何じゃ?」
「あの塔は、ジョウ君が作ったんですよ」
「ほぉ〜!慰霊の為か?」
「うん...年に一度お祭りもあるらしいよ」
「ジョウはその事を?」
「覚えて無いみたい.....」
「ジョウの記憶の謎は深まるばかりじゃな」
「そうなんだよね.....」
「ん?何じゃこの街は...ジョウの気配を感じるのじゃが?」
「そうだったね、ここの獣人族は再三盗賊達に狙われて人族の奴隷として売買されていたんだ」
「人族は業が深いんじゃな...」
「そこで、ジョウ君はここの獣人族全員にリィパルシャン [ 障壁魔法 ]とバウンダリゾーン [ 結界 ]の付与された、ビーズを作って配ったんだ」
「はぁ?全員なのか?」
「そう...今も獣人が増えた分は追加しているし、出産の報告と同時に、進呈している筈だよ」
「呆れる程の、お人好しじゃの」
「まぁ、ジョウ君ですから......」
更に街を散策していると.....狐顔の人族で背は190センチはあるヒョロイ男が現れ話しかけて来た。
「少々お時間、宜しいですか?」
月華の皆んなは、通常であれば即答でお断りしているのだが、その話しかけて来た男は、身なりは正装を着て更に慇懃な態度で接して来たので、何処かの貴族の執事かとも思い、無碍にも出来ず話だけは聞く事にしたのだ。
「貴女様方は、もしや貴族のご令嬢様では無いですか?」
「あら?分かるのかしら」調子に乗るディアだった...
「ええ、ええ、貴女様達から漂う気品は隠しようが有りません」
「ふ〜ん、それで貴方は?」
「失礼致しました。私はリブレイ様に仕えておりますウーロと申します。本日このサバナ国に訪れたのはとてもラッキーな事なのですよ」
「うふふ、どの様な事がラッキーなのかしら?」
「大陸で最も有名なコレクターであり貴族でもあられるリブレイ様がオークションを行います」
「オークション?」
「はい、レアアイテムや、珍しい装備更には貴女様の魅力が更に引き立つアクセサリーやドレスの数々です」
「魅力が増す.....ですって...」
「あっアチシは行ってもいい...良いかな...」
「あら?奇遇だねぼっ僕も...行こうかな...かなぁ...」
「仕方がないのう...まぁ何事も経験じゃな」
完全に釣られた月華達は、オークションの会場内で見た物品等は口外してはならない契約魔術に基づく羊皮紙にサインをさせられた。
少し違和感を感じた、月華メンバーではあったが、魅力が増すアイテムに心は踊っていた。
「所でリブレイ様とは何処の貴族なの?」
「王都と伺って居ますよ」
「ふ〜ん.....王都ねぇ〜・・・」
「皆んな、聞いた事あるか?」
「僕は無いよ」
「私も無いなぁ.....」
「アチシ?アチシは...王都に来たのが数回だぜ?知るわけないぜ」
「妾も聞かぬ名じゃな」
「.........怪しいな....まっオークションの品を見てからだな」
「何だか、ワクワクするね」
「トゥルス...実わ....妾もじゃ....」
「はぁ〜〜・・・問題だけは起こさない様に」
「「「「はーい!」」」」
サバナ国の西にある大きな草原にグランピングされており、テントだけで、500坪はあるであろう程の大きさだった。
「随分と大きいな」
ルクリウスとしてもここまで立派なテントは初めて目にした様だった。
月華メンバーはデメララ指導の元ドレス姿にベネチアンマスクという出で立ちでテントの中へ入った。
目の前には美しい大樹を模ったガラスの彫刻が目に飛び込みライトアップされ幻想的な空間となっていた。その脇にオークション会場の受付があり、既に20名程の来場者がドレスを纏い、やはりベネチアンマスクをして雑談を楽しんでいる人達が目に留まった。
「既に、集まって来ている様だな」
「うん、人気があるのかな?」
大樹のある受付を抜け会場内に入ると、会場の最奥がステージになっていて、ゆったりとした空間があり150人程が座れるだけの円卓と椅子が各所に配置され番号毎に別れる様だ。
月華達は、受付で7番を渡されていたので、円卓の7番に案内され腰を下ろした。
円卓で寛いでいると、メイド服を来た方達が現れ注文を伺いに来たので、手に入らないとされている希少な葡萄酒をオーダーした。ケータリングも美味しく、更にはここ最近冒険者としての生活が長かったので、久方振りの優雅で落ち着いた雰囲気に月華メンバーは大満足で心は既に浮かれていた....
「ドレスなんて着るもんじゃ無いなんて思っていたけど、偶に着る分には良いもんだな」
「あはははは、アレスも女性になってきたって事だな」
「んなっ!」 ルクリウスの指摘に顔が真っ赤になってしまった....
「所で食事はどうしますか?」ディアが聞いてきた。
「アチシは肉!」
「アレス....魚も美味しそうだぞ」
「アチシは、肉が良い!」
アレス、デメララ、ディアは肉料理、ルクリウス、トゥルスは魚料理をオーダーする事になった。
寸刻して、食事が並び楽しく食べていると...
「さぁ〜間もなく始まります」
明るかった会場は真っ暗な漆黒闇に包まれた。
会場からは、若い女性の叫び声が少し聞こえた。
瞬刻して一筋の光が射すと、その先には真っ黒なドレスを着た女性とタキシードを着た初老の男性が立っていた。
壇上にて司会者は挨拶をし、今日の出品物の大まかな説明と秘匿に関する注意事項を説明した。
司会は出品物を紹介し説明を始めた。
始めの出品物は、ニードホッグという御伽噺でしか聞いた事が無い程の竜である黒龍の鱗だった。
身長3メートル以上の巨漢のガーディアンがアダマンタイト級の大太刀を持って、その鱗に斬りかかるデモンストレーションを行った....
本物と証明する為なのだろうが、その光景だけでも見応えがあった。
鱗は当然無傷であり、魔法の耐性もある万能防具の素材になるそうだ....
落札は、最前列に並んでいた、如何にも豪商の雰囲気を醸し出した団体が落札していた。
その後は、宝石やコカトリスの雛・絵画等が出品された。
遂に、女性の為の超レアアイテムとの触れ込みで、女神ウェヌス・コルティア様製作の女性の魅力が倍増される『女神のバングル』が出て来たのだ。
「ん? ウェヌス・コルティア?」 ルクリウスは気付いた様だ。
「妾は落札するぞ!」
「ちょっ!待っ・・・」
暫く値の張り合いは続いたが、最終的に....
「........他に入札者はおられませんか?」
「おられないようですので『女神のバングル』は7番テーブルの方が落札致しました」
会場からは、少しだけ歓声が上がった。
落札者は、デメララと思いきや、意外にもアレスが落札しいた。
本人曰く、何か負けたく無かったとの事だった....
子宝に恵まれる壺は、トゥルスが落札し、対象になる遺伝子情報を組み込む事で、その対象そっくりになる抱き枕数は3個出品されていたのだが、落札金額を釣り上げてまくったのは7番テーブルの5人だったのは言うまでも無いだろう.....金貨3枚を超えた所で7番テーブルだけで競り合っていたのだ....結果金貨78枚迄跳ね上がり会場を沸かせたのだ。
「ずりーぞ!」
「ふはははは、アレスこれはこの日の為にお金を貯めていた者のみが獲得することが出来るのだ」
「くっそぉ!ギルドでもっと持って来れば良かった!」
このオークションでの支払いは現金の取引だけであり、落札後その場で即時支払わなければならないのだ。
アレスは物理攻撃のダメージが半分になる、インナーを落札。
デメララは種族を任意で変える事ができる認識阻害効果のあるチョーカーを落札。
胸が大きく育つ下着がでてきた。流石に黒魔術が施されていないかチェックして問題無しとなったのでディアが無事落札。
月華達は、ホクホクで戦利品を手に各々のバッグに収納した。
オークションも終盤に突入してきたのか、本日の目玉が出品された、それは『ダグザの棍棒』だった。
[ ガタッ ]
「おい、あれ!」
「本物なのか?」
呆然とダグザの棍棒を眺める月華達.....結果落札金額は金貨780枚という途方も無い金額で落札された。
未だオークションは続きそうだったが、会場の客達は席を立ち更に奥の部屋に入って行ったり、帰る者もいた。
奥の部屋では、魔獣や珍獣といった出品物で月華達の興味の無い物であったが、ダグザの棍棒を見てしまった以上確認しなくてはいけないと思い部屋を移動した。
司会者は1人で魔族の男だった。額から羊の様な角を2本生やして、慇懃な挨拶をしてオークションを進めた。
「非常な珍しい、ヘルハウンドでございます」
人族でも十分に飼い慣らせる様に、奴隷の首輪がされており、言葉も理解するらしい...
その後、一際目立つ大きな声で...
「それでは、皆様の給仕をさせていただきます者達を召喚いたします」
会場各所に魔法陣が浮かび上がり、メイド妖精のシルキーが呼び出された。
会場の男達や綺麗なドレスを着た女性達も驚きと歓喜の声を上げていた。
会場を見渡すと、サバナ国内なのだが獣人は殆どおらず人族が中心となっていた。
シルキーが月華達のテーブルに来て葡萄酒を注ぎに来た時は目のハイライトは無く、首のチョーカーに目をやると、奴隷の術式が施されているものだった。
そして更に魔族の男は召喚を繰り返し、風の精霊であるシルフを呼び寄せた後、遂に獣人達に及び出した。
兎獣人、豺獣人、猛狒獣人などが続々とステージに出された。
そしてオークションが始まったのだ。
「おい!何だよこれ?」
「アレス、騒ぐな!」 何時もと違いルクリウスの目は真剣だった。
「これは.....完全に灯台下暗しなのだな...これだけの数の獣人達を連れ出してしまうと直ぐにバレてしまうが、人族が1人に一体ずつ持ち出せれば、先ずバレないだろう。しかもネックレスやアクセサリーにしか見えない奴隷の首輪ならば余計にな!」
「ジョウ君のアクセサリーは?」
「ジョウの作ったアクセサリーでは物理攻撃や攻撃魔法に対する時にしか展開されないのだ」
「盲点をつかれたな」
「ゆっ許せねぇ.......」
オークションとは名ばかりで、メインは奴隷売買を何とサバナ国内で堂々と行っていたのだ。しかもこの会場のチケットを購入後テントに入るとその中で見聞きした事を外で話そうとすると、テント内での記憶が消える呪いまでかけられる念の入れ方だった。
だが、月華にはメビウスの帯のペンダントがある為呪いは反射するのだ。そう術者の練度にもよるのだが、術者に跳ね返る事となる。
読んで下さり、ありがとうございました。
次回も宜しくお願いします。




