イオって〇〇だね
宜しくお願いします。
サバナ国を後にした月華メンバーと他三人は馬車を走らせて一路王都を目指した。
キャンプを繰り返し、4日目にやっと大河が見えて来て、早速 河沿いに広場を見つけ少し早いがキャンプをして明日に備える事になった。
月明かりが河に反射してとても美しい光景に目を奪われていたトゥルスが水浴びをしようと河に足を入れた瞬刻....
「危ない!」
ゲッちゃんが飛び出して来てトゥルスを河から突き放した。
「きゃっ」
尻餅をついたトゥルスは何が起こったのか訳が分からない様子だ。
「トゥルス、離れて」
「うっうん」
トゥルスの声を聞いたデメララが駆け寄って来た。
「何があったのじゃ」
「分からない」
「河に、悪意のある魔獣が居るよ」
「ふむ、そうか」
デメララは胸元から魔石を取り出して傀儡を召喚した。
そしてその傀儡を河に投げ込み探索して行く。
月華も集まり何事かを尋ねてきた。
「おるようじゃな!」
「何が?」
「魚人に似ておるのぅ」
「えっ?また魚人なの?」
「マジかよ!アチシの出番だな!」 アレスは意気揚々と河に向かった。
河の中からユックリと月華の眼前に現れた青髪の女性。水面を滑るように移動してトゥルスの元に近付いて来た。
「オホホホ、貴女は?この世界の魔神の眷属なのでしょう?」
水面に浮かぶ女性の発言にトゥルスは何を言われたのか戸惑っていた。
「貴女、私の言葉が通じていますか?」
「何か勘違いをしているんじゃないか?」ルクリウスは女性に言葉を発すると...
「私は、此方の貴女に話しているの!黙りなさい!」
「僕達は、魔神の眷属では無い」
「あらあら、そうなの?」
「ならこの者をご存知では?」
「おやおや〜皆さんお揃いですねぇ〜」
「げっ!あの気持ち悪い奴!」
「あっあの〜ぅ....その物言いわぁ〜傷付くんでぇすがぁ〜私はエノシですぅ〜」
「お前は何しに来たのじゃ!」
「そこの赤い女にぃ〜用があるんだぁ〜よ」
「アチシかよ!」
「後は向こうにぃ〜居る男だぁ〜ね」
「男?まぁ良いぜ!アチシが相手してやる!」
「ふ〜ん、あの赤髪の女も中々のものね」
「やっぱり貴女達は魔神の眷属のようね」
「はたして何をもって我々がそう決めつけられるのかは分からないが、魚人を使って襲って来たのはそちらだろう」
「さっきから、貴男 私達の話に割り込んでくるわね」
「鬱陶しいから、貴男を排除するわね」
ルクリウスへ魚人を集中させて行く。
「面白い!私に対する明確な殺意を持って、貴女達を迎え討たせてもらうぞ」
ルクリウスは、魚人に向き合い鞘に納めてある長刀に手をかけ、姿勢を前屈みになって構えを取った。居合の構えだ。
ルクリウスは闘気を纏い、一回り身体が大きくなったのかと錯覚を覚えるほどだ...
大河が渦巻き出した瞬刻黒い水棲人達イプピアーラは一斉に飛び上がった。数は一面を覆い尽くす程の数であり、少し距離を取って傍観していたディアが悲鳴を上げた。
「ルクリ!あぶ.......」
ルクリウスは微動だにせず、ただ向かって来る魚人に集中しているようだった。
まさに一閃であった。流麗な動きは一切の無駄がなく余りにもアッサリと.....手を抜いているようににしか見えない流れる動きで、ルクリウスは得物を横薙ぎに払った。
数百のイプピアーラはある者は、腕を落とし、ある者は頭が飛び、ある者は上半身と下半身に刻まれ、瞬刻遅れて盛大に血が舞った。
「ななななっ何なの?貴女は」
「冒険者月華のリーダー ルクリウスだ!」
「ルッルクリウス......ふっふふふ!中々やるわね」
「私も名乗ったのだ、貴女の名前は?」
「私は、アンフィ....貴女達が弄んであるその男の妻よ」
「えっ?」
「アンフィ?」
「ええっとぉ....」
何だが、凄く勘違いされている気がして来た、ルクリウスだった。
「あらあら、戦意喪失したのかしら?」
「あの男の妻なのか?」
「間違えるわけ無いじゃない」
「...................」
ルクリウスは、討伐を優先していたが、捕獲して話をしなければ.....っと殺すのでは無く意識を刈り取る事を最優先事項に変更した。
しかし、ルクリウスはアンフィに巧みに仕掛けるが、アンフィの得物をであるトリティアナを巧みに使いお互い一歩も譲らずに打ち合っていた。
ルクリウスも攻めきれない自分にイライラして来た時...
「おやおや〜、アンフィどうしたのかなぁ〜貴女には勇者の核を与えたのに弱すぎですねぇ〜」
「くっ!」
アンフィは、エノシの挑発に顔を歪めた。
「しかたが無いですね、イプやりなさい!」
大河は静かなままだった。
「もうっ!早く出て来なさい!」
「ええっとお....ここに集まって来ていた魚人達は全滅したかな?」 満面の笑みでアンフィにそう言う栗色の髪の美女はディアだった。
「そっそんな....嘘....」
「うふふふっ♡じゃーん!『マジコロリ light』よ」
「うっわぁ〜〜下流の方がえらい事になってますが?」
「大丈夫よ!だってlightだもん♡」
デメララ、トゥルスの思考がリンクした.........意味が分からない.....
細かい説明は後でしてもらおうと、決めたルクリウスだった。
「すまないが、メド、デメララ手伝ってくれ」
「ええっ分かったわ」
「うむ、どうするのじゃ?」
「とにかく、話をしたい捕縛は出来るか?」
「何じゃそんな事か、しかしあの槍は厄介じゃな妾の結界如きでは直ぐに破られてしまう。考えがあるのじゃが、あの素早い動きを何とか止めてくれぬか?」
「分かった」
「私は?」
「メドはルクリウスと共にあの厄介な槍と彼奴の動きを止めて欲しいのじゃ」
「ええ分かった、やってみる」
ルクリウスとメドは、この数日間ではあるが、修練を繰り返す事で即席コンビではあったが、まるで長年連れ添って来た相棒の様な動きでアンフィの槍を捌いていく。
「2人相手とは、卑怯ですわ」
散々、水棲人を嗾けて来ておいて、自分が不利になってくると、ルクリウスを非難してきた。
「アンフィ、これは試合では無い!」
「つっ.....」アンフィは苦悶の表情になって来た。息も上がって来たのか呼吸も荒々しくなって来た。
メドもアンフィの動きに慣れて来た様で、ルクリウスとメドの完璧な剣技はアンフィの持てる技を完全に上回った。
[ ガキンッ! ]
激しい金属音がして、アンフィの槍は動きを止めた。
「デメララ!今だ!」
「分かったのじゃ」
デメララは、地面を隆起させて金剛力士のウンを作り出した。
ウンはアンフィのトリティアナを強引に奪うと、自分の体の中に収納してしまった。
間髪入れずにウンはアンフィの頭から覆い被さりドロドロに溶けた。
デメララは結界を張り、そして溶けたウンはアンフィだけを閉じ込めるジベットになっていた。
「ええ〜デメララの趣味なの?.....引くわぁ〜」
「いやいや、ディアには言われたくは無いのじゃ」
「う〜ん...僕はどっちもどっちだと思うよ」
「トゥルスったら....」
「おやぁ〜・・・アンフィさん負けちゃったの?しかも捕縛されるなんて....勇者の核は返してもらいますよ」
エノシは、戦闘中にも関わらず余裕でデメララの作ったジベットに向けて手を翳した。
「お前!戦う気あるのか?」
「んんん〜?貴女の本気は今ぐらいなのでしょう?相手になりませんね」
「はぁ?」「お前はバカなの?」
「ん?それはどう言う意味なのかなぁ〜」
「お前の技を待っているんだよ!」
「ほほ〜う、負け惜しみもここまで来ると不快でそねぇ」
「仕方がねぇなぁ〜お前は直ぐに終わるなよ」
アレスはエノシに飛びかかって行った。
エノシは難なく躱し、アレスの腕を掴みアレスの勢いを生かして地面に叩きつけた。
アレスは突然 体を回され何が起こったのか理解出来なかったが、常人を超えた脊髄反射によって地面に叩きつけられる寸瞬に身体を捻り無傷でやり過ごした。
無傷のアレスを見てエノシは少しだけ表情を強張らせた。
「やっやるじゃねーか」 ドキドキ
「ほぉ〜あそこから反応出来るとはぁ〜流石魔神でぇすね」
「はぁ?」
「じゃあ、そろそろ終わりにしようかぁね」
ルクリウスにしかもう見えない程のスピードで攻防は続く。
イオは遠目でエノシを眺めていたが、いつになく険しい表情でエノシを眺めていた。
エノシは水属性の攻撃を繰り出すが、アレスには全く攻撃は通じない。アレスの火炎弾が少しづつエノシに当たり出し、エノシは苦悶の表情になって来た。
エノシは、遂に膝を地面につく事になる。
全身が震えて、雄叫びを上げる。自分が追い詰められたことを認めていないようだ。エノシは見るからにプライドが高く他の者達を見下して来たのだが、今やアレスと言う可憐な乙女に見下されて居る事が堪らないのだ。
エノシは纏う闘気の質が変わり出した。
「やはり、お前が魔神なのだなぁ」
「ああっ?何をいってんだ」
「お前達が消滅させた者の同族だぁよ」
「ベリアルってぇ名前は知っている筈だぁね」
「ベリアルだと?」 (そう言えばジョウから聞いた名だ)
「ふははは、やはりその顔知っている様だな」
「其奴がどうした?」
「まぁベリアル何ぞはどうでも良いが、ベルの事は?」
「ベル?」
「お前達がぁ、勝手に呼び出しておいて消滅させただろうがぁ〜」今まで人を食ったかの様な喋りだったが、突然雰囲気が変わった。
「理由も無く、消滅させる事は無いはずだが....」
「ベルは私と食事中に召喚術式によって強制的にこの世界に呼び出されたはずだぁ」
「んん?其奴の名はアセディでは無いのかの?」
「何だぁ、アセディ?」
デメララはグヤナ国で起こった召喚術式やアセディと名付けた魔物との出来事を掻い摘んで言って聞かせた。
「ふはははは、まさか!本当にベルが殺られるとはなぁ」
「まぁ事実じゃ」
「この世界を滅ぼすのは決定事項だぁけど、お前達だけは、苦しみぬいて殺す!」
「男の癖に良くしゃべりやがる」
「アチシがどう関係あるんだよ」
「お前のその力、その黄金に輝く有鱗目!身体から発する波動、どう考えてもこの世界の頂点の一角だろぅ?」
「ふん、バカバカしいとっとと、かかって来ねぇか!」
「ふははははは、時間稼ぎさせて貰ったのは、お前の攻撃、動きを俺の肉体に宿すためなんだぁね」
エノシは見る見るうちに身体がふたまわり肥大化して優男の雰囲気では完全に無くなった。
エノシは大河の水を操り水球を作り出し宙を舞った。
「へへへっアチシも本気を出させてもらうぜ」
「馬鹿か?ハッタリだぁね!」
「死ねぇ〜」
山ほどもある水球を空に浮かべ アレスに向けて打ち下ろした。
「りゅ〜うじん!ふぉ〜む!」
アレスの背が伸び肌には鱗が浮き上がり、目は有鱗目そして背中には竜の翼が生え、煽情的な体形となった。その美しい姿は何時ものアレスとは想像も出来ない程の神々しさを漂わせていた。
「かかかかかっ!虚仮威しだぁ〜ね」
「アチシの最大にして最高の技だ」
迫り来る水球にアレスは飛び込んで行った。
「ちょっ!アレス!貴女まさか?」 ディアは動揺した。
「何じゃ!そう言う事か!」
「全く、アレスらしい.....」
「僕でも、出来るよきっと........丸投げアレス.....フォームチェンジの意味が分からない....」
そしてアレスと巨大な水球はぶつかり合う。
「はははは、馬鹿だねぇ〜」
「天叢雲剣!」
エノシの胸から一振りの剣が顕現した。
アレスの首元が黄金色に輝く。
余りの光量にエノシ含め、月華もメドもイオも視界を奪われた....放射光が発せられ障壁を展開した。
放射光により、巨大な水球は霧散して行く...
エノシの身体も光に飲まれ消えて行く...
その光にイオは飛び込んで来る。
「なっ!」慌てるアレス
「頼む、核は...核は残してくれ〜〜〜〜〜・・・」
「えっ?」
慌てて、デメララは消えかけのエノシに結界を張り。アレスは水球が消滅したのを確認して、エノシから距離をとったのだ。
「イオなのか?」
「彼奴の体の中には俺の核が...核が....」
イオの叫びに、即座に反応したのは、デメララとルクリウスだった。
「はぁ?」アレスは未だ理解していなかった。
エノシは完全に意識を失っていた。そして身体の皮膚は爛れて瘢痕組織が過剰に増殖していた。
「死んだんじゃない?」
「エノシの鱗?とんでもない硬さだな」
「ディア、頼む」
「うん、イオの核を先ず取り除かなくっちゃね。皆んなの神気を貸してくれない?」
「「「「分かった」」」」
ルクリウス・ディア・トゥルスの神気が淡いピンク色の光となってエノシを包み込んだ。
エノシの体から真っ赤なクリスタルの様なそれでいて歪な形の核が取り出された。
「イオ、どう言う事なんだ?」
「ああ、俺実は東の海域の守護者をしていたんだが.....」
「ん?どうしたのじゃ」
「いっいやぁ〜何というか....そのぅ....」
「何じゃ、ウジウジと!」
決まりが悪そうに、イオは自分の核を眺めながら、ポツリポツリと話し始めた...
「俺はこの星が生まれてから大地と海の管理をしていたんだ、まぁその当時は俺より強い奴なんか先ずいなかったから、調子に乗って嫁さんに内緒で...その浮気を....」
「最悪じゃ!」
「浮気がバレると、俺の得物で浮気相手を殺し、妻はそのまま自害してしまったんだ...その事を聞いて俺は東の海域に引き篭もり全てを閉ざしたんだ....神族だから死ぬと記憶を消されて異界に飛ばされるし...だから死にたくないし...」
「キッキモい!」
「うっ! 言葉に出して言わないで...」
「では何故東の海域はあれ程までに他を拒絶する魔の海域なんだ?」
「俺にも良く分からん」
「今の話....イオお前はエノシガイオスなのか?」
「何でその名前を?」
物凄い勢いで、メドが走って来た。
ルクリウスは身構えたが、殺気は感じられずメドを静観する事にした。
メドは大きく振りかぶり...
[ バチコーン ]
「「「えっ!」」」 あまりの出来事にデメララ・アレス・トゥルスは目を見張った。
イオは美しい放物線を描きながら大河に呑まれていった....
「お前、私と気がつかなかったのか?」
「えっとお.....メドさん、イオは流されてますけど?」
「ああ、彼奴なら問題無い筈です」
「私から、東の海域の件を含めてお話しをさせて頂きます」
メドが、イオとの話を始めた。仮面を被ったままなので表情まで分からないが、結構大事な話の様であった。
読んで下さり、ありがとうございました。
次回も宜しくお願いします。




