GEKKAのチームワークだね
宜しくお願いします。
渦潮は、速度を増してデメララが操る傀儡を乗せた小船を飲み込んでいった。
小船は抵抗もできずに、渦の中心部へと吸い込まれていく......
そうして、最下層に到達すると、やはり触手が現れ小船を飲み込んで....
[ ドッパーーーーーーーーン ]
「何だ?」
白い触手が、黒から茶色そして緑色と目まぐるしく色を変え、渦潮の最下層でバタバタと激しく動き触手の数が増えて行き、遂には7本もの触手を確認した。
苦しんでいる様にも見えたが、怒りに任せて触手を振り回している様にも見えた。
「この化け物は一体、なんなんだ?」
「僕も、初めて見たから分からない。だけど何かの伝記に載っていたかも?」
「ふむ、『エノシ』の伝記を知らんのか?」
「え?『エノシ』の伝記? う〜ん....お父さんから聞いた事がある様な」
「まさか、『エノシガイオス』の事なのか?」
「流石はルクリウスじゃな、その通りじゃ」
「その伝記に出て来た、触手の様な足を持つ化け物といえば......クラーケンなのか?」
「じゃが、何故この海域へ......」
「とりあえず、悩むのは後だ!トゥルス頼む!」
「ルク!りょ〜かい!」
トゥルスは構築していた術式を起動させた。
神気を使った特大魔法により、海底の地形を変化させ隆起させた。青い斑点模様が浮かび上がる。滑滑とした本体が少しずつ見えて来ると、本体の色が目紛しく変わる。白から黒そして赤から茶色へ。
青い斑点模様はまるで豹柄の様に全身にあり、明滅を繰り返していた。
そこでトゥルスは神気を使い過ぎて、倒れ込んでしまった。すかさずディアはトゥルスを抱えて小船に戻り、トゥルスを寝かせ体力が回復するように、回復魔法をかけた。
「デカイ、デカすぎるな」
「そうじゃな、しかし海面から出てしまえば、勝機はあるのじゃ」
「そうだな! それに、毒の影響なのか?動きが鈍い!先ずは邪魔な足から叩き斬ってやる!」
神気を、込めた長刀を振りかざし、ルクリウスはクラーケンへ飛び込んでいった。
クラーケンの足を一本そして二本と神気を纏った長刀は7メートル程の長さになり、一瞬で切り飛ばして行く。
「妾も負けんのじゃ!」
ヴァジュラに雷を纏わせクラーケンの足を刈り取って行く。
「ん?デメララは雷も使えるのか?」
「ふっふっふ♡、ジョウから神気を分けてもらっているのじゃ」
「なっなっ何だとぅ・・・」
「これは、最高じゃの二人の愛の力じゃな!」
「スパスパ切れるのじゃ」
「うっ羨ましい........たが私だって.....」ルクリウスは更に神気を解放させて長刀に込める青白く輝く長刀は妖しくも美しく見る者の心を奪う。最上段に構え飛び上がったルクリウスは音速を超える速度で打ち下ろした。クラーケンの胴体に神気を纏った長刀は30メートルを超える刃となり襲いかかった。
だが、海中から隠していた8本目の足が伸び上がって来たのだ。触手には何かを掴んでいた。
極限まで集中力を高めたルクリウスはゾーンに入っていた。音速を超える剣撃中だというのに、8本目の足が掴んでいる 『何か 』も視覚に捉えられるほどに.....
足で掴んでいたのは、クラーケンが襲った船の船員達だった。泡の様な物で覆われていたので生死は不明だが、自分の斬撃の軌道上に船員達を合わせて来たのだ。
そのクラーケンの陽動は見事にはまり、ルクリウスの一瞬の戸惑いが、隙を作ってしまった。
その隙を、見逃すはずもなくクラーケンは黒い毒霧を噴霧させ既に修復した、足を槍の如くルクリウスに目掛け打ち込んだのだ。
(私とした事が......しくじったな.....)
「皆んな、すまん.......」
諦めかけた、その時ルクリウスの胸元が黄金色に輝き、暖かな心地の良い風が吹き抜けたのだ。
メビウスの帯が輝いていた。
(ああ、これは....そうだったな....ジョ...ウ......)
そう、この光はジョウが得意としていた リィパルシャン [ 障壁魔法 ]その効果によりクラーケンの足は潰れ身体全体が毒を食らった時と同じように激しく色が変わり、明滅を繰り返した。
直ぐに、気持ちを切り替えたルクリウスは、再度神気を纏わせた長刀で8本目の足が掴んでいた物を切り落とす。泡は船員達を包み込んだまま海に投げ出された。すかさず、ディアが回収していた。
その一部始終を見ていたトゥルスはディアの様子を見て、大丈夫と叫んでいた。
「最高のコンビネーションだな!」
ルクリウスが習得した最強の技である10連撃を繰り出し、クラーケンを細切れにしていった。
いくら身体が大きかろうが止まらない斬撃で回復も追い付かずに、身体に穴が空いて行く。しかし、切り落とした足の再生には時間が掛かっている様だが、身体への刀傷は深さにもよるが切られた先から傷が癒えていく....
「全く、キリが無いな!」
「.........身体の再生を優先させておる様じゃな、足の再生まで出来ておらんな!」
デメララが叫ぶ!
「妾が、再生途中の足を全て切り落とす!同時にあの目玉の間に穴を開けるのじゃ」
「分かった」
寸瞬だった。デメララは8本あった足の内 3本が再生され始めていたのだが再度根元から切り落とした。
ルクリウスはクラーケンの身体を長刀で切り裂きながら頭上へと走って行く。クラーケンは身体の刀傷の修復に集中している様であった。
足を全て切り落とし終わったデメララは、ヴァジュラを両手で掴み胸元に抱え込みながら詠唱を唱えている。ヴァジュラもデメララも黄金色に輝き出して、ルクリウスもデメララに膨大な魔力が集中しているのを感じて、身震いをした。しかもルクリウスの髪の毛が電気によって逆立つほどであった。遠目で見ているトゥルスやディアもデメララの魔力の奔流を感じて身構えた。
クラーケンの頭上まで駆け上がった後、デメララの指示通りに飛び上がったルクリウスは長刀に神気を纏わせ最大にして最強の技10連撃をクラーケンの眉間に見舞った穴を開ける。
「ルクリウス!どくのじゃ!」
眉間に開いた穴に目掛けてヴァジュラを突き刺し、雷を見舞ったのだ。
大脳を焼かれ、各足の根元にもあった脳を切り刻まれ回復すら許されずに、完全に絶命したのだった。
「ふぅ〜〜・・・」
「ふん、まぁまぁの相手じゃったな」
「終わったのかな?」
「勝っちゃった?」
「まぁ、そうじゃな」
「「「「ヤッタァ〜〜〜〜〜!」」」」
[ 月華 ] は初依頼を、完璧な形で完遂させたのだった。
「あのクラーケンってさ、大きな蛸だったんだね」
「ああ、だがディアの作った毒物を食べても死ななかったな」
「そうね、あの毒を吸収して自分の毒と混ぜ合わせていたのかもね、だからもっと戦闘に時間が掛かっていたらあの毒霧に私の毒物が混ざっていたかもね♡」
「おおい!それは不味かったのでは?」
「ええ、か・な・り・ね♡」
「直ぐにでもあの毒物の無害化をして欲しかったが...」
「あら?でも動きは鈍くなっていたでしょ?」
「まったく........だが何とかなったから良いものを.....」
ルクリウスは嬉しそうに、胸のメビウスの帯のペンダントをそっと握りしめて目を閉じた。
「さて、アルマニャック島に戻って依頼完了の報告をしよう」
「あと、お風呂にも入りた〜い!」
「「おー!」」
ギルドへ依頼完了の報告をし、クラーケンが盾代わりに使ってきた未だ意識が戻らない冒険者を引き渡し、報酬を受け取って無事に、月華は依頼を完遂したのだった。
数時間が経ち意識が戻ったとの報を受けたので、冒険者の元を訪れ襲われた経緯を聞こうとしたが、『突然起こった渦潮に飲まれて沈没した』とだけしか話は聞けず有益な情報は得られなかった。冒険者達はかなり深手を負っていたので後数日間は安静にした方が良いとのディアの見立てだった。彼達はブルボンから派遣された冒険者との事で我々が翌日にはブルボンへ向かうと知ると、同行を懇願されしかも、依頼料まで払うと言って聞かないので、同じ船に乗り共にブルボンへ向かう事となったのだ。
「ねえ」
「なんじゃ?」
「気になったんだけれど、あのジョウ君の神気をどうやって受け取ったの?」
「ああ、あれはだな...妾が傀儡を大量に作る事でマナが不足するであろう事を心配してな、妾の魔力と同調させたジョウの神気を内包したブレスレットをくれていたのじゃ」
「ええっ!良いなぁ〜〜・・・私も欲しいなぁ〜」
「では、今度会った時にお願いしよう、ふっ不公平はいかんからな!」ウンウン.... 力強く頷くルクリウスだった。
「最近のルクって素直になって来たよね」
「ふっふん、私だって少しは努力しているのだ!....あっ愛されたいと思うのはふっふっ普通であろう!」
「だね♡」
「うふふ、ルクリは私達の前では女の子で良いんだよ」
「そっそうだな」
「なんじゃ、せっかく女だけのパーティじゃ、次にジョウに会う時にあの奥手をドキッとさせたくはないか?」
「あっ面白いかも?」
「僕、そういうの良く分かんないから、教えて欲しい」
「おお、私もだ!」
「何じゃ、情けない....ならば妾が服選びから、仕草まで少し知識をつけてやろう」
「「あっありがとうございます」」
何故かディアもノリノリだしこの4人組パーティは更に意気投合して、旅を楽しむのだった。
船はブルボンに着き、同行した冒険者と共にブルボンのギルドへ行き、冒険者達が顛末の報告をしている間ロビーで待ちながら、軽く飲み物を飲みながらブルボンで売っている、可愛らしい服のコーディネートを話し合っていた。
「お嬢さぁん達? ブルボンは初めてですか?」
「「はぁ?」」
何だか、金髪のヒョロイ、優男が髪をかき上げながら声を掛けて来た。
((((うっわぁ〜〜・・・メンドクサイ感じの人だ))))
月華の心が1つになったのだった......
読んで下さり、ありがとうございました。
次回も宜しくお願いします。




