GEKKA 初の討伐依頼だね
宜しくお願いします。
この度の依頼は、魔物の数が不明である。情報では相当数の魔物が出るようだ。その為、囮役が居ないと始まらない。そしてギルド長自ら冒険者に依頼を打診したのだが依頼内容の確認すらする者も無く結局集まったのは我々のたったの4人だった。
私達 [ 月華 ] が誘っても実績が無いので冒険者達に相手にされない。
話し掛けると、話は聞いてくれるがその後に飲みや食事に誘われ下心見え見えの奴等はデメララが診療所送りにした。真面目に聞いてくれた者達も依頼内容の受諾の話になると、のらりくらりとはぐらかされて集まらなかった。
結局ルクリウスが考えたのは我々4人で討伐する策だった。
「しょうがない無いな!我々だけで依頼を完遂しよう」
「そうですよ、私達ならやれるわよ」
「妾も、そう思うぞ。やる気のない者を連れて行っても餌になってもらう位じゃろしな」
「僕も頑張るよ」
「但し、人手が足りないな」
「妾を忘れてはいないじゃろな」
「妾は、傀儡使いじゃぞ!まぁ戦力として使う傀儡を作る場合は希少な魔石が必要なのじゃが、囮の船を動かすだけの傀儡ならば、土や木材で充分じゃろな」
「そうか、そうだったな、デメララ助かる」ルクリウスは、心底ホッとした。
「任せるのじゃ」
先ずは船を調達となった。囮として使う船と我々の移動として使う船を用意した。元々アルマニャック島は漁の盛んな街なので御役御免となりそうなボロ船が結構あったのだ。
囮用なのでなるべく目立たせる為にも中型船を買い取った。更に、機動力重視の小型船を更に2隻用意し出航したのである。
結局揃えられた船は7隻で、中型サイズのボロ船が5隻我々を乗せる為の船として2隻を用意した。
デメララは傀儡の制作に取り掛かり、トゥルスは得意の土魔法で粘土を作り、更に木人形を作るなど手際も良く量産していった。
「デメララ、ちょっと良いかしら?」
「ん?なんじゃ?」
「相談があるんですけど」 うふふふっ
『ゾワリッ』
デメララは何かとてつもない寒気に襲われた。
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ディアはどうせ囮として噛まれ食べられるのであればと傀儡を即死系の毒物を練り込む事を提案した。
「デメララ、どうかしら?」
「あっああ、良いのではないかな?」
「ふむ、数を減らせるかも知れないな」ルクリウスも納得した。
「しかし、何処からその毒物を?」
「うふふ、この島の森に自生していたのよ」
「そっそうなのか......さっ流石だな.....」
その毒物はアルマニャック島に自生していた常緑高木から採取しストリキニンだけを抽出し濃縮した劇薬を作り出した。その効果は口内に含むと魔獣だとしても口に含めただけで、およそ30分で死に至らしめるとの事。その名も『マジコロリ』
素となるストリキニンは口に含むだけで直ぐにでも毒物と分かる苦味があるのだが、そこで終わらないのがディアクオリティ.....海の魔獣用に改良をして魚類にはたまらない海老系の味と匂いの付加に成功させたのだ。
『マジコロリ』のせいで、この海域の生態系が破壊される事を一応恐れてディアは『マジコロリ』は海水に溶けることはなく、効果時間は外気に触れると約四時間で毒素は消える。毒素が残っていると浮き上がって来るのだ、同時に中和剤も作り、浮いてきた『マジコロリ』に散布する事により無害化して海水に溶けて無くなるとの事でもあり、文句のつけようが無いシロモノである。 この短時間で作り上げるディアの優秀さに舌を巻くルクリウスだった
何故そこまで?と謎ではあったが、ルクリウスは深く考え無いように努めた。
トゥルスは、以前に藍鬼に毒を盛られたせいだと勝手に思い込んだのだ。
デメララは毒物を練り込むディアの姿を見て、全身に寒気が走った。魔族の女王の自分より、魔の者ではないか?妾って普通じゃね?等と思いを巡らせたのだった。
ルクリウス、トゥルス、デメララは...
(((全く...マッドサイエンティストだな...)だよ...)じゃな...)
メンバーの1名を除く皆は心が1つになったのだった。
全ての準備を済ませて、アルマニャック島を出港した。
5隻の囮を先行させ、我々の乗った小舟には繊細な魔力コントロールの得意なディアが隠蔽魔法を掛ける。但しこの魔法はあくまで目眩しである為四方八方に魔力弾を投げつけられ当たればバレてしまう。しかも今回は機敏に動ける様な身体だけでは無く、小船全体の為飛来したものを避ける事は難しく海からの飛沫でも直ぐにバレてしまう代物だったのだ。その為に囮のボロ船とは距離を取らざるをえなかった。
メンバーはいつでも戦える臨戦態勢で臨んだ。ディアはいつでも雷属性の攻撃魔法をトゥルスは土属性の攻撃魔法、デメララは金剛力士に持たせていたヴァジュラを小型にしたものを構え、ルクリウスは長刀に手を添えて精神統一していた。
「最後に確認だ!もし我々の叶う相手で無ければま、即座に撤退をする」
「「「了解!」」」
その為にも私達の更に後方に2体の木人形を乗せた小船を用意してトゥルスやデメララが召喚術式を行うまでの時間稼ぎの為であり、メンバーが乗る小船よりも隠蔽魔法を弱めにかけているのだ。
沖に出てから数刻の後に遂に動き出した。海面に少し変化が訪れ出したのだ。
[パシャッパシャパシャパシャパシャパシャパシャ]
小魚のイワーシが海面に湧き出した。
「ルクリ、海面が....」
「よし!いい感じだ。作戦に移るぞ」
デメララは傀儡を操作して5メートルはあろう銛を持つ者や、大斧を持たせ漁師の真似事を傀儡にさせていた。
[ バシャバシャバシャバシャバシャバシャバシャ ]
更に海面は慌ただしく波打った。
[ バッシャ〜〜〜〜〜〜ン ]
イルカサイズの黒い水棲人イプピアーラがゲイ・ボルガの槍を持ってボロ船を襲っている。
海面から飛び上がると、船上を飛び回りすれ違いざまに槍を使って襲いかかってくる。更に傀儡の頭や肩、腕等に噛みつき食い千切ろうとしてくるのだ。
肩を少し食われた傀儡は大斧を手から落とした。
だが、次の攻撃が来ない......
デメララは、視覚を傀儡とリンクさせて海を除き込むと、腕や肩を食い千切ったイプピアーラ達はその腕や肩を取り合い、共喰いを始めた。良く観察すると海が蛍光黄緑色に染まり その中に入り込んだイプピアーラは突然狂い出し 手当たり次第に仲間を襲っていた。
「ディア、なんじゃ?あの黄緑色の液体は?」
「うふふ、少し実験を兼ねて作った幻覚を見せそして痛覚も麻痺させる秘薬です。効果があって良かったわ♡ 」
「デッディア.......こっ怖いのじゃ.....」
海面を覗き込んだ傀儡にイプピアーラは襲い掛かり海に引き摺り込んだのだ。
デメララは別の傀儡に視覚をリンクさせて海中の様子を見ると、傀儡に数百匹のイプピアーラが集っている。
既にイプピアーラは数百匹は死んでいるのだが、漂う海老系の匂いや味で更に引き寄せられ、蛍光黄緑色の謎の薬でイプピアーラから完全に知性を失わせ、もう傀儡を食べているのか、仲間を食べているのかさえ分からなくなっていたのだった.....
『マジコロリ』によって死んだ仲間を食べて死に、傀儡の身体を喰い千切ると更に海に海老系の匂いを巻き散らかせて更に集まって来る。
デメララは傀儡を通してその地獄の光景を目にして気分が悪くなったようで、顔面蒼白になっていた。
ディアは、何やら得意になって胸を張っていたのだ。
その胸を張っているディアを目にしたデメララは、邪神の血が流れているのだと勝手に決めつけたのだった。
ボロ船周辺は泥やイプピアーラの死骸と血で染まり徐々にではあるが、イプピアーラの気配が無くなり出し、そして静寂が訪れた。海面も穏やかで、海も波はおさまり、海水も澄んできてしかも風すらも止まった。
突然海は凪になったのだ。海中を覗き込むと透明度が上がり海底まで見通せた。
「終わったのか?結局囮の船は全て残り被害はデメララの作った傀儡2体のみか....私の出番が無かったな」
「うふふ、私は私の作ったとっておきの『マジコロリ』の効果を知る事ができたしね♡」
「うん、味と匂いの付与の効果は凄かったね。..........僕はディアがマジ怖くなったよ」
「あらあら、トゥルスったら....あんな事で怖がるなんて、ジョウ君の本気の戦いなんてこんなものじゃ無いのよ。それに今後ジョウ君のサポートするんだったらトゥルスも強くならなくちゃね」
「えっ!本当?」
「ええ、本当よ。怒った時のジョウ君は凄いんだから」
「妾もそう思う.....ハンパ無いのじゃ...........」
「そうか、私は何時も話ばかりで実際の所を見た事が無いからな、いつの日か見れる事を楽しみにしておこう」
「僕、頑張る」 両手の拳をを胸の前に持ってきて気合を入れた。
結局、魔獣が現れてから3時間程で決着がついてしまった。
「何じゃ.....終わってしまえば呆気なかったのう」
「そうだね」
「うむ、但し終わったからと言って警戒は怠らない様にしないとダメだ!」
「は〜〜い.....ルクリは堅いなぁ〜」
ディアは毒による海洋生物の被害を起こさない為に『マジコロリ』の中和剤を海に振り撒き無害化させた。
今回の討伐依頼の完遂を報告をしにアルマニャック島へ船首をむけたのだった。
海面に巨大な黒い影が写り、大きな沈み根があると思ったルクリウスは座礁しないように気を使いながら慎重に沈み根を避けて航行していると........
ゆっくりとそして大きな潮の流れが発生して渦を巻き始めた。
「いっいかん、我々の船はこの場を離れるぞ」
「何かしら?」
巨大な渦は速度を速めだしたので、皆んなが乗っている小型船だけでも風魔法を駆使して大きな潮の流れの外へ小型船を非難させる事が出来たのだった。
渦は更に高速回転し、海面がすり鉢状に凹み出す。
中型船は渦に飲まれながら、すり鉢の中心部へと引き寄せられていく。船が中心部近くに到達すると、蛇の様な触手が幾つも現れて船を飲み込み出した。
「何だ?魔獣なのか?」
「超・・・大きい」
触手の太さだけでも、2メートル位ありそうだ。
「ディア、あの毒は?」
「あらあら、不味いわね今襲われてる傀儡の『マジコロリ』も無害化してしまったわ。もう一隻の小型船の傀儡2体は『マジコロリ』をまだ中和していないわよ」
依頼の完遂を聞いた時、ディアはボロ船に乗った傀儡にも中和剤を振り掛けてしまっていたのだった。
「そうか、しかしゼロで無ければまだ戦い様もあるな」
「ううう、僕あの触手の動き....嫌い!...気持ち悪い〜.....」
「しっかりしろ、トゥルス!お前はジョウの横に並び立ちたいと思わないのか?ただ護られるだけの存在で良いのか?」
「う〜〜〜〜・・・護られたいけど、ただ護られるだけはイ・ヤ・ダ〜〜!」
「そうだ!その意気だぞ」
「必ず、倒しきろう」
「「「お〜!」」」
「トゥルスは土魔法であの魔獣を海中から引っ張り出せないか?」
「う〜〜ん....そうだね、じゃあ僕を彼処に見える磯場に下ろしてくれるかな?大地に立たないと上手く発動出来ないから」
「分かった」
「後は、召喚獣を呼び寄せておいてくれ」
「了解」
「ディアはあの毒物の効果を高められるか?」
「そうだね、まだあの毒団子残っているし追加しておくわね」
「デメララは、私と一緒にあの化け物が海から出た所で、一気にかたをつける!」
「ふむ、了解したのじゃ」
「よし皆んな準備は?」
「「「良いよ〜」」」
何だか、緊張感の無い返事だったが皆の実力は知っている。だからルクリウスは確信していた。あの化け物を海面へ引きずり出してくれる事を.....
「僕も準備が出来たよ!あの小船を渦に!」
「分かったのじゃ」
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「ねぇ、ジョー君?皆んな大丈夫かなぁ?」
「ああ、問題無いと思う。それにいざとなったらアレスと直ぐに駆けつけるよ」
「う〜〜ん....羨ましいなぁ〜〜」
「ん?何が?」
「だって、だって、ジョー君たら、Qちゃんと一緒になって、ずっとずっとず〜〜っと心配してるんだもん」
「ラムは、平気なのか?」
「う〜〜ん......信頼してるからね♡」エヘヘ
(まぁ、彼女達の実力ならば、大丈夫だろうけど......)
読んで下さり、ありがとうございました。
次回も宜しくお願いします。




