チャコだね
宜しくお願いします。
「お会いするのは、初めてですね、私はアルメア国のピニャと申します」
エルフの国の王女様が衛兵を連れて目の前にやって来たのだ。
「私は、プエルト国のラム・アル・インダストリでございます」
「ふむ、妾は、グヤナ国のデメララじゃ」
「あらあら、魔族の女王様もいらしたのですね」
取り巻きの衛兵の目付きが明らかに変わり警戒をしだした。
「お前達は、何用でこのアルメアに来たのだ!」 衛兵の一人が突っかかって来た。
「あっ俺はプエルト国から来た、ジョー・タカオカです、決して争い事をしに来た訳では無いです」
「勝手に領地へと、来てしまい、申し訳なかった。私はルクリウス・フェトリウスという者です」
「えっ?ユピテル ・フェレリウス様の御息女様なのですか?」
「ああ、父をご存知とは話が早い」
「あああ何と!大失礼致しました」
(そうなんだよね、皆さん名家の出なのです。 俺なんかで良いのか?って何時も疑問に思っているよ...)
「そうですよ、それに私はジョー・タカオカ様がアルメア国に来ることは、私の友人である妖精 のエリイからも聞いていました」
ピニャ姫、超整った顔立ちをしている。ふんわりとした雰囲気の中にも、何か筋が一本通った強さも感じる女性だ。
「さて、こんな場所で挨拶も何でございますから、どうぞ我らの城にご案内いたしましょう」
「はい、分かりました」
「「「じぃ〜〜〜〜じぃ〜〜〜じぃ〜〜・・・」」」
「「「じぃ〜〜〜〜じぃ〜〜〜じぃ〜〜・・・」」」
「「「じぃ〜〜〜〜じぃ〜〜〜じぃ〜〜・・・」」」
「「「じぃ〜〜〜〜じぃ〜〜〜じぃ〜〜・・・」」」
「「「じぃ〜〜〜〜じぃ〜〜〜じぃ〜〜・・・」」」
何でしょう、俺の背中に悪寒を感じるのですが.........
アルメア国の城は大樹の根の間から入るのだそうだ、そうしてその大樹の内側に入ると....街が出来ていた。
「驚いたな、壁面に家がくっ付いてるよ」
「なぁ、この大樹ってこんなに大きかったか?」
「本当だね、中はこんなに広いんだね」
「うふふふ、驚かれましたか?」
「ワタシ知ってるよ、この大樹は世界樹って呼ばれていて、この大地が生まれた時より芽吹いた樹木でしょ。ここからが凄いんだけどね、この世界樹は世界の核に繋がっているって言われていてエルフ達はこの大樹から生まれたとまで言われているのよ」
「うふふ、よくご存知ですね、でも世界樹ガイアから生まれたと言うのは私達も本当なのかは分からないわ」
「ディアは博識だね」
「どう?凄いでしょ」 ウィンクしながら、胸を張った。
「流石は、鬼神様のお連れ様です。ではこの世界樹の話をしましょう.....」 ピニャは一呼吸おいてからゆっくりと話し始めた。
「この世界樹ガイアは既に300年程前から弱っていて魔素は微量しか生み出されなくなりました」
「それって.....かなりマズイのでは?」
「いいえ、ガイアの種子は世界中に広がり芽吹き各地で魔素を生み出しておりますので安心してください」
ふぅ〜〜っとため息をついたのは、ラム、トゥルスだった。
「その飛来した種子が多く集まり、数千年をかけて森となり、さらにその中心にガイアが成木の頃と並ぶ程大きな生命力を持った聖なる木が生まれ育ちました。その聖なる木を私達エルフがこの世界樹ガイアと同じように守護しているという訳です」
「成る程、だから同じ名前の国が大陸にもあるのか」
「うふふふ、そなのですよ」
「ですので大陸にございます、聖なる木も我々エルフが守護してております」
「最後にこの世界樹の中に入ると世界樹の中が大きく感じたと思いますが、実は皆さんが少し小さくなったのですよ」
「「「「「えええっ!」」」」」
「マジ!」
「驚かれましたか?でも安心してくださいね、皆さんが世界樹ガイアから出れば直ぐに戻りますよ」
皆んな一斉に、息を吐き出した....
(まぁ、普通驚くよね)
俺達は、ピニャ姫と護衛について行き、アルメア城に入っていった。
迎賓館に通されて、何だか来賓扱いだった。
アポなしで完全に押し掛けただけなのに.....とても温かく迎えてくれた。
食事も出されたが、まぁ予想通り木の実、茸、野菜ととてもヘルシーな料理だった。
アレスが暴言を吐きそうになったので、すかさず手刀で意識を刈り取ったのは言うまでも無いよね。
食事も終えて、そろそろ本題へ極力自然に移行した。
ピニャは、チャコとの面識は無く驚いていたが、既にチャコはälva (エルバ)として身体に変化が訪れているとの事で、女性として見て欲しいと伝えられた。
「ん?」
「ジョー君どうしたの?」
「ああ、誰かに見られているようだな」
迎賓館の窓の外からこちらを観察していた者を確認した。
だが、こちらが動く前に覗き込んで来た者は迎賓館へと歩を進めてきた。
「おや?マイタどうしたのですか?」
「お話中申し訳ございませんが、少しそちらのお嬢様とお話しさせて頂いても宜しいですか?」
「オラか?」
「宜しいでしょうか?」
「私は構いませんよ」
「オラも構わない」
二人は少し離れた所で会話を始めた。
もう、マイタは一目見た時から確信していた。その目の色髪の色そしてPure bred純血のエルフと言う事で、間違いなく私の友人であった弓の名手リブの子供に......
しかしマイタは、その当時リブの娘は死んだと陛下に伝えてしまっていた。
ただ、その当時の陛下も女王もその後に起こったエルフ狩りで命を落としてしまった。今王族で残っているのはピニャ姫ただ一人なのだ。
正直に話すのが怖かった、だがチャコの目を見ていると........
「何だか、知らないけどオラ今凄え幸せなんだ、言いたく無いなら言わなくて良いぞ」
「うっうぐぅ....」 マイタは、何故か呼吸が出来なくなり、胸が締め付けられたのだ。(伝えなければ....)
「ピッピッピッピニャ姫様............よろしいでしょうか.....」 蚊の鳴くような声で声を掛けた。
「そうですね、しっかりと伝えて下さいね」
あああ、そうなのだ姫様は既にお気付きなのだと、マイタは理解した。 まだ何も伝えていないのに、目から涙が溢れてしまいもう誰に向き合っているのかも分からない状態になっていた。
「ごめんなさい、チャコ様はどちらに?」
「おら、マイタさんの目の前にいるぞ?」
「あっあっあの、あのですね...これ..から..お話し..する..事は..真実です」
「ん?真実?オラの事か?」
「えっええ...」
マイタは、涙を拭いチャコに向き合い、話し始めたのだった。
「この子いえこの方は、アルメア国随一と言われた弓の名手リブのお子様で間違いございません」
「そう...貴女の態度で薄々感じていたわ、でも私は殺されたと聞きましたが?」 ピニャ姫は少し冷たく言い放った。
「はい...私は嘘をついておりました....今から16年前になりますが、私とリブそして仲間達と共に山菜を採りに出ていました。安全な領地だったので抱っこ紐にリブの子供も連れて.......山菜採りに夢中になる余り警戒を怠っていました。そこでエルフ狩りに襲われたのです。仲間は全て殺されるか、拘束されてしまい気が付けば残るはリブと私だけになっていました。逃げている時に同胞の弓が落ちていました。そこでリブは私に子供を預けて逃げろと言って来たのです。リブは弓で狩人達を足止めすると言って....私は預けられた子供と共に森をかけました」
「ここまでは、当時の私の報告通りです」
「........」 チャコは黙ったまま聞いている。
「私は暫く森の中を走っていると、狩人と思われる人影を見つけました。完全に逃げ切れないと思った私は子供を木の根に隠して、囮になる事にしたのです狩人に近づくとそのもの達は狩人では無く樵夫達でした。屈強な男達は森で起こっている異常に気が付き様子を見に来てくれていた様です」
「安堵した私は慌てて木の根に戻ろうとした時、樵夫の一人がエルフが行くのは危険だと諭され彼は子供の元へ向かってくれました」
「........」 チャコは黙ったまま聞いていたが、目には涙が溢れていた。
「そうして、私は樵夫の人達に囲まれながら、待ちました。しかし何時間待とうと樵夫も子供も戻っては来ませんでした。その後樵夫達と木の根に向かうと、そこら中に鮮血がは飛び散っていて、地面には血濡れの抱っこ紐だけが落ちていました。その後の私は気を失ってしまった様で、気がつくと私は樵夫が拠点にしているキャンプ場のテントの中にいました」
「本当に、本当に、ごめんなさい」
「オラ、オラ、良い人に買われたみたいで、苦労なんてあんまりしてないよだから、もう気にしないで」
(珍しく、チャコ嘘ついてるな!...しかし、やはりチャコいい奴だよ....ヤベエ俺も泣きそうだ....)
「それにオラ、ジンから弓の稽古をつけてもらって結構得意なんだ、親も上手かった聞けてオラ.....上手く言えないけど...嬉しかったよ」 チャコは照れ臭そうに鼻先を手で擦った。
「あっ貴女は.......偉いわね」 ピニャも泣いている。
俺はメンバーを見ると、全員泣きすぎて、過呼吸になっている....アレスも.......アレス、顔が涙と鼻水でハッキリ言って汚ねぇ......
「チャコさん、もし宜しければ貴女はこのアルメア国に何時迄もいて良いのよ、それに私の側近にもできますよ?」
「えっ?」
(うっ!俺は心の中で、反射的に全力で...嫌だ!等と思ってしまった......すまんチャコ....)
「オラ、ジンの側を離れたくない。きっとオラみたいな者には信じられない程のお申し出だと十分分かるけど.........ごめんなさい」 チャコは、全力で頭を下げた。
「うふふふ、良いのですよ。貴女はもう自分の居場所を見つけていたのですね」
「はい」
「あっ、後マイタさんの事は許してあげて....」
「そうね、でも今は亡き陛下への虚偽については罰を与えます」
「マイタには、これから大陸へ赴き1年の間聖なる木の守護者達の身の回りの手伝いそして、森の木々達の健康診断をして来なさい。さすれば咎はないとする」
「あっありがとうございます」
俺たちは、それぞれ用意して頂いていた部屋へ行き、明日プエルト国へ戻る事にした。
読んで下さり、ありがとうございました。
次回も宜しくお願いします。




