マモンだね
宜しくお願いします。
「お前名前は?」
「私?私はプエルト国の....」 [ バキッ! ]
俺は、耐えきれずに縮地を使い左の肩を殴りつけた。
何故か顔は殴れなかった...
「せっかちね♡」
左の腕がダラリと下がり、肩が外れた様だが気にもとめずに、女が突っ込んで来た。
(速い!)
低い姿勢からモーニングスターを振りかぶってきたので、膝蹴りを顔面に打ち付けようとしたが、何故か身体が上手く動かなかった。
[ バキン ] 辺りを霧の様に血飛沫が舞う....
左胸にモーニングスターをモロに食らった。
「グッ」 (痛ってーな!)
更に振りかぶり左腿に打ち付けられ、回転しながら、右顔面に棘だらけの鉄球が打ち込まれ俺はなすすべがなく、吹き飛ばされた。
「お前は、フォリナー族なのか?」 口から血混じりの唾を吐きながら女に話しかけた。
「プーーーックスクス」
「貴方バカなの?あんな作り物の筈が無いじゃない」
「私は貴方と同じよ!」
「俺と?」
「良いわ、教えてあげる私は神族よ」
「神気を余り感じないな」
「ふふふ、それはそうよ、私は元神族なのよ」
「元 ねぇ...」
「私の得物に貴方の血を吸わせて更に進化が進みそうだわ、ありがとうね。お礼に見せてあげる圧倒的な魔神の力を!」
女は更に纏っていたオーラが神気に変わっていく.....神々しささえ感じる程の金色のオーラを纏っていたがだんだん赤く染まって行き、赤黒く醜悪な神気に変わった。
「ん?どうした」
「おかしい......何よ!この小汚い神気は...」女は少し戸惑った。
「何故?」 その疑問は女の右手に持っていた得物を見て納得した。
女の得物がまるで生きているかの様に脈打って赤黒く染まっていったのだ。
モーニングスターは真っ赤な鮮紅色から暗赤色になり、鉄球の棘は無くなりタダの丸い玉になった。
「なんなのこれ、こんな事初めてだわ....でも何だか分かる、分かるわこの底知れない力が......たっ滾るわ」
「あははははははははは、さあ消滅させてあげる♡」
「私がアスモを超えるわ、そしてベルすらも.....そして財を持ってアルゴ様の最も近い側近に......」
暗赤色になった鎖に繋がれた玉を一振りすると、船の壁は吹き飛び、甲板が見え濃霧の空が広がった。
リィパルシャン [ 障壁魔法 ]を展開させて、黒い玉を受け止めるが即座に霧散する。
女は更に加速させて得物を振り回す。俺は防御に徹した。
(......未だか....)
「ほらほら、どうしたのかしら?鬼神とはそんなものなの?」 女は醜悪な表情で勝ち誇っている。
俺の懐からサラちゃんが顔を覗かせて、Qちゃんからの報告を受けた。
(やっとか.....)
「なぁ、お前の名前を教えてくれないか?」
「ひつこい男は嫌われるわよ」
「ふふふっでも気が変わったわ、この世界の最後に教えてあげる♡私は魔神アルゴの眷属マモン」
美しかった女の顔に亀裂が入り、2つに裂けた。
黒い霧が発生して女を包み込むと、鶉ソックリな顔が霧の中から現れ、限りなく黒に近い暗赤色の鎧を着たスレンダーな女の身体だった。
「トットリ頭だと.....」
(やってる事が、チープだとは思っていたが、マジでトリ頭とは.......マンマやんけ!)
マモンは、更に速度を上げてモーニングスターを振り回して迫って来た。
(動きが単調なんだよな....)
俺は一歩下がり躱すと。
「何!」 マモンは眼を見開いた。
更に得物を振り回す。
完全に射程を見切った俺は躱す。
「お前、今まで本気じゃなかったのか?」
「さあね」
俺はプラズマを纏い神気を解放した。
「おっお前....」 マモンは明らかに動揺しだした。
モーニングスターがプラズマを纏った俺の身体に接触した瞬間.......鉄球は爆ぜ、そして爆散した。
「ふふっフハハハハ....フハハハハハハハハハハハハ」
「面白い、私も本気を出させて頂く」
マモンに神気が集まりだした。が........
俺はマモンにバウンダリゾーン [ 結界 ] を張ると神気は霧散して消えた。
「なっ何で.....」
「俺は鬼神だ、神気のコントロールは得意なんだよ。お前の神気は結界に吸収させてもらった」
「そんな事が.....」
「ならぼ....」
マモンの身体に呪印が浮かぶ。
「私はアルゴ様の寵愛を受けし者」
足元に魔法陣が、浮かぶ。
「ほぅ」 結界内に魔法陣が出せるのか?
マモンは右腕につけていた、ブレスレットを砕くと大量の魔力の濁流に飲まれた。
鶉の頭から、鶏の頭に変化した。
「にっニワトリだと.....」
鶏は白では無く矮鶏の様に茶色く染まっていた。だが、魔力は留まるところを知らずにどんどんデカくなり、俺の結界が......
[ ピシッ..... ] 亀裂が入った。
バウンダリゾーン [ 結界 ] を解除して、マモンと向き合った。
「コココッコケーー」
既に言葉を発していなかった....
動きは更に加速して、瞬刻もかからず俺の背中に立つと魔力を込めた手を翳し掌底を放って来た。
俺はそのまま海に飛ばされて、海底深く沈んだ。
(身体にリィパルシャン を幾十にも展開していなかったら、胸に穴が空いていたかもしれない)
マモンは飛び上がり、2つのトリ頭から黒い玉を無数に飛ばし追い討ちをかける。
その黒い玉は、まるで物体を分解しながら飛んでくるかの様に、散らばった船の残骸を通過し海水を物ともせず真っ直ぐ俺に飛んできた。
(俺の黒炎と似ているな)
身体に纏うプラズマのエネルギーを更に放出する事で、マモンの黒い玉は俺の身体までは届かなかった。さらに、マモンが飛ばした全ての黒い玉を霧散させる事も出来た。
(マモンの奴、無茶しやがる)
拳に圧縮させたプラズマを纏い、海底から飛び上がりマモンへ接近した。
[ バチチチチチ ]
だが、マモンは余裕の笑みを浮かべて避ける。
しかし、マモンが避けた瞬間爆発させる。
マモンの2つあるトリ頭の左側の顔が半分無くなった。
「グギャ〜〜〜」
トリ頭から、黒い玉をメチャクチャにばら撒きだした。(全く、近くの島にはお前達の仲間もいるんだろう。殺す気かよ!ヤッパ.....トリ頭だな....)
バウンダリゾーン [ 結界 ]を今度は全開で展開させて結界内に押し留めた。
玉を回避しつつマモンに近づき拳を打ち付けるが又避けられる。しかし爆発させるとマモンの右足を奪った。
「ゴギャ〜〜〜」
だがマモンの速度は落ちない...
「タフだな...」
遂には巨大な黒い玉を作り俺に飛ばすかと思ったが、明後日の方向に飛ばした。
「けけけっコケ」
「アルマニャック島もおしまいだ」
俺にでは無く、アルマニャック島に向けて放ったのだ。
「このっトリ頭!」
バウンダリゾーン [ 結界 ] も間に合わない。
全力で黒い玉を追い、霧散させると....既にマモンは逃走していた。
「あのトリ頭.....」
鴉の所有していた船はマモンが放った黒い玉を食らい跡形もなく粉砕され、索敵そして探知で生命反応を見たが完全に全滅していた。(まぁ、可能性は低いが、転移の魔法で逃げたかも知れないな)
マモン......攻撃力はたいした事は無かったが、スピードだけは終始負けていた。
(.........速さか.....修練方法を考えなきゃな...)
課題の残る闘いだったが、俺は少しワクワクしていた。 (アルゴの眷属か.......近いうちに必ず...だね)
(サラちゃん、カイちゃんと連絡つけられるかい?)
[ はい、梵天様ここまで来てもらいますか? ]
(頼みたい。アレスも連れて来て欲しい)
[ 了解しました ]
そんなやり取りをした約一時間後には、アレスはやって来た。
「ジョウ、無事だったのか?」
「ああ、申し訳ないけど、乗せてもらえるかい?」
「ああ、良いぜ!でもね......今日も一緒に寝て良い?」
(うっ可愛い.....)
「ああ、構わないよ!」
「ひゃっほ〜〜〜!」
「アレス、ありがとう」
「おっ!おう...」
やけにご機嫌なアレスの背中に乗りサラちゃんのナビで俺達はアルマニャック島へ向かった。
アルマニャック島に到着した俺とアレスは、ラム達が迎えに来てくれ、抱きつくは押し倒されるはで揉みくちゃにあいながら、無事の帰還を喜んだ。
ほぼ同着で、デメララとQちゃんそして、トリトンが港に到着した。
何故か、ブルボンの領主であるホセイドそして、ダイモスが笑顔で迎えていた。.........と思ったら、ホセイドは人を振り払い、トリトンの元へ走って行き.....
「感動の再会だわ」ダイモスの娘であり、フィアンセは呟いた。
[ ドッッッパ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ン ] ホセイドの渾身の右ストレートがトリトンの顔面にモロに入った。
「ぐげぇっ!」
ぴゅーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
美しい放物線を描きながらトリトンは海に消えて行った。
[ ポチャン ]
「コノッッッッアホタレガァ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜」
ホセイドさんブチ切れです。
言葉を発する前に殴り飛ばしてました........
「ああああああっ!ト〜〜リ〜〜ト〜〜ン・・・」
「エリさん、すまねぇ・・・」
「そんな、エリさんだなんて......」
「あんな、どうしようもないドアホですが、何卒宜しくお願いします。なぁに、躾が必要だったら俺が又ぶん殴ってやりますから.....」
「えっ、トリトンとの事お許し頂けるのですか?」
「イヤイヤ、許すも何も.....ダイモスはどう思っているんです?」
「うちも、ホセイドさんの所に嫁ぐ事に反対なんてするわけないです」
「そうか!そうなのか!そりゃめでたいな!」
「おい!酒だ!祝い酒だ!」
「盛り上がっている所すいませんが、私 [ 緋き絆 ] のディアと申します」
お淑やかな所作で見るものを魅了させた。
「私は治療士をしているのですが、トリトンさん到着前よりかなり弱っておりまして、今は海でうつ伏せになったまま動かず浮いていますよ、早く救助に行かないと、婚礼どころでは無くなりますよ」
「きゃああああああああ・・・トリト〜〜〜〜〜ン」
読んで下さり、ありがとうございました。
次回も宜しくお願いします。




