町へだね
宜しくお願いします。
「ジョー君、ジョー君こっちこっちだよ」
「あっああ」
町に向かう為、城の門を出た所だった。
少し離れた所から見たラムの住うお城は見れば見る程 サン レパ○ート大聖堂 の様で美しい。
ラムの髪の色にも似た外壁も、俺好みだ。
そして、美しい城と意匠を凝らした城門を背景に佇む一人の美女。出来過ぎである。
(俺はこの世界を選んで本当に良かったと思えた瞬間なのである)
「う〜〜〜〜〜〜〜ん」
いつの間にかラムを眺めながら顎に手を当てて唸っていた。
「ジョ...ジョー君........どうしたの?」
「頭痛いの?」
「いや、何でもないよ」
「ふ〜〜ん」
「なら良いけどね」
「じゃあ先を急ぎましょう」
「ああ」
町まで歩いて向かった。
本当は、セスさんも護衛として付いて来たかった様だが、朝の修練でかなり体力を消耗していた為、ラムと俺は休んでいてくれとお願いをした。最終的には「ジョー様が居れば安心だろう」と言って渋々送り出してくれたのだった。
1キロ程歩いただろうか、町までの道はとても歩き易く、すぐに着いた。
意外と人通りが多く皆んな元気で笑顔が多い。
(キビ爺が言っていた鬼人狩りの雰囲気は無いな)
町人は、多種多彩な人種が多く俺の想像した町の姿と大きく異なっていた。
「ラム、とっても良い町だね」
「うん!私は、この町が大好き♡」
(あ〜その顔だ、幸せそうなその笑顔を俺はずっと見ていたいな)
「そうか.......」
(ふむ....その内、他国にも行って確かめないとな)
「さてと、ラム何処から行く?」
「そうだね〜〜先ずはお茶したい!」
「ほえ?」
(変な声が出てしまった)
「だめ?」
「いえいえ、お供いたします」
俺は態とらしく、片膝を立て敬意を示した。
「やだ〜もう、ジョー君たら.....」
「さっ行こう」
[カララン]
洒落た重厚な木作りのドアを開けお茶屋に入った。
「いらっしゃいませ!」
元気な声が聞こえて来た。
(おっ!この店のお客は獣人が多いな)
「あっ二人で」
「どうぞ、お好きな席をお使い下さい、只今の時間は全席禁煙です」
(おおお、前の世界で聞き慣れたフレーズに驚いた、この世界も禁煙てあるんだな)
「禁煙かぁ....」
思わず、口走ってしまった
「えっ!」
「ジョー君って禁煙知ってるの?」
「ん?ああ、普通に知っていたよ」
「やっぱりね」(ラムさん?何故か納得?)
「ご注文宜しいですか?」
「はい、僕はコーヒー」 「ハイ」
「私は、ん〜〜レモンスカッシュで」 「ハイ」
「では、少々お待ちください」
ラムは、チラリと俺を見た。(ん?なんですか?)
「へぇ〜レモンスカッシュなんて懐かしいなぁ」
「やっぱり!」
ラムの声が突然大きくなったので俺は驚く。
「は?」 (ラムさんどうされたのですか?)
突然!ラムは立ち上がり、俺の顔を覗き込んできた。
「ジョー君!」更に、ラムは大きな声が出てしまったが気にしていない様子で興奮し始めている。
「ハイ!」
「正直に話してね」
「ハイ!何でございましょうか?」
「ア・ナ・タ・は!鬼神様!いや私のお爺ちゃんと会った事があるでしょ!」
「へ?」
何だか周りのお客様がみーーーんな此方をみております。
「お爺ちゃんは、何処にいるの?」またまた、大きな声で詰め寄られた。
言葉を出そうとしたら
「オイオイ オマエラ サッキカラ ウルセーンダヨ シズカニデキネーノカヨ」(ですよねー!すんません)
「オマエラ ケンカ シテンノカ?」にやにや (ん?何か急に態度が変わったぞ)
「キレイナ オジョーサン オレガマモッテヤロウカ? ブヒ♡」にやにや にやにや
何だか、片言の言葉で獣人(多分カバっぽい)に絡まれた。(なんなんだ、このありがちパターンは!この手のイベントはマストなの?ねえキビ爺さん?)
「貴方は、関係ないでしょ黙ってて!」
(あらあら、温厚なラムさん何故興奮しているの?)
「ズイブント エラソウナ タイドダナ オメエハ オレオ ダレダト オモッテイルンダ ア?」
(あらら〜〜ラムさん今度は完全に無視を決め込んでおられます)
「ハンター ノ オレオ バカニシテルノカ アア」
[ガタタ]
ハンターと聞いて他のお客が席を立とうとしていた。
無い首からぶら下げているプレートを見せびらかしてきた。(コイツ子供か?)
「あーもう、大事な話の最中に!」
(あらあら、ラムさんどーしたの?怒っているのかな?)
「少し落ち着きましょ」(ラムさんあなたがですよ)
「ああ、そうだね」(ラムさん俺は落ち着いているよ)
獣人は、前屈みになって俺の顔を覗き込んできた。
「ナンダ コノ クソ ヨワソウナガキハ ..............ペッ!」俺の座っているテーブルに、唾を吐き出した。
(ハイ!俺キレたー!キレましたー!コイツ バカ決定ー!)
立ち上がろうと腰を浮かしかけたその時
「貴方、カバじゃなくて、バカなの?」
「ラム、それを言っちゃあおしめーよ!」(古過ぎたか?)
「プップギギギギギギィィィィィィ」
カバ人間が怒ってらっしゃいます。
(凄い!俺達より鬼の形相です)
ラムの発言で、俺は自分の手で頭を押さえた。
直後にカバの手は俺の大事な大事な、ラムのあろう事か胸座へ掴みかかってきた。
(ヤバッ!)
すかさず、全力でカバの腕を掴みに行った
「間に合え!」
グチャッ!
「へ?」思わず気の抜けた声が漏れ出た。
何だか、凄〜く不快な手応えがあり、鳥肌が立った。そして拳を見ると、カバの腕が、結紮されたかの様に握った部分が潰れていた。
少しして、カバの顔が真っ赤になったかと思うと青く、とても青くなってきた!泣くのか?泣いちゃうのか?と思い、何だか今にも大声で叫びそうになってきたので、思わず店の外へぶん投げた。丁度店の扉も開いていたしね。
[カララン]
ゆっくりと店の扉が閉まり、静寂が訪れた。
「ふぅ」 手をパタパタ振って息を少し吐き出した。
寸刻して赤子が泣き叫ぶ様な声が聞こえたが、俺とラムは無視を決め込んだ。
後ろの席の二人も何故かそそくさと出て行った。
多分カバの連れだろう。
何だか、とっても気不味い雰囲気だ。
何故か目のやり場に困り、ウエイトレスを見やり小声で
「飲み物未だ来ないね」
と小声で呟いた。
パリリーン!
「ん?」
厨房から二つグラスが割れる音がした。
その5秒後に物凄い速さの摺り足で、飲み物を持ってきてくれた。
「おっお待たせいたしゅました」(噛みましたね?まあ突っ込みませんが)
カタカタカタカタ、少し震えながら、コーヒーと、レモンスカッシュをテーブルへ並べてくれた。
「ありがとう」
「ハッハヒ」
(...............)
俺とラムは、お互い飲み物を一口飲んで落ち着いた。
自分の手をグー・パーしながら、眺めて力のコントロールの事を考えていた。
「はぁ〜〜やっちゃったね♡」
「ああ」
ゴクゴク
「びっくりしたね♡」
「ああ」
ゴクゴク.......
「......ジョー君、もっと冷静に対応してね♡」
「「「「「「「「「は?」」」」」」」」」
店の中の人の大多数の心が一つになった瞬間だった。
店内を見渡すと皆の顔は此方を向いていないが、獣人の耳が、そう耳が、あらゆる耳が此方を向いている。ピーーンって音が聞こえてきそうだった。
(俺は、獣人の耳の可動範囲の広さに感心した)
(って!ちがーーーーーーーーう)
「あーーーっゴッホン」
少し大きな咳払いをした。
獣人の耳が一斉に元の位置に戻ったようだ。
「ジョー君、どうしたの?」
「いっいや、何でも無いよ」
「あっ!さっきの話の続きをしたいけど良い?」
「ああ、良いよ」
「ジョー君、お爺ちゃんと会った事があるんでしょ?」
「ああ、キビ爺さんだろ」
「そう、やっぱり知ってるんだ」
「お爺ちゃんの居場所も知っているの?」
「いや、分からない、けど心当たりはある」
(あああ、遂にこの時が来てしまったか、ラムとの生活も終わってしまうのか........)
「そうなんだ..........」
「元気だった?」
「とても、元気だったよ」
「そうだ、お爺ちゃん何か変な物作ってなかった?」
「え?作ってはいないと思う。キビ爺さんって良く何かを作っていたのかい?」(流石に、ゲームを改変して俺がこの世界に飛ばされて来ました!何て言えないよね)
「うん」
「実は、あのドールお爺ちゃんが作ったの」
「何それ、凄い!」
(見掛けに寄らず、凄い人なんだ......)
「失敗も多いけどね.......」
「それと、禁煙席やレモンスカッシュのある国はどんな所、ジョー君は直ぐ行けるの?」
「いや、直ぐには行けないな、 実は他国とかの話では無いんだ。僕はラムの居る世界と全く違う魔法が存在しない世界から来たんだよ」
「どういう事?違う世界???」
「お爺ちゃんが、今居る世界にどうすれば行けるの?」
「僕が力のコントロールを完璧に出来なくては行けない様なんだ」
「そして僕は、力のコントロールがダメダメなんだ、これから僕は力のコントロールを本気で身に付けなくてはいけないんだよ」
「あははは だよね〜〜〜」
「修練場での竜巻やさっきのアレは、かなりやり過ぎだよね〜〜〜♡」
(どうしよう、とても良い笑顔なのに、この不安な気持ち.........ラムさんがガチな戦闘大好きっ子になってしまったら...........不味いな!)
「はっはははは.........すいません........反省してます」
「キビ爺さんに早く逢いたいかい?」
「うん、早く逢いたいよ」
「本当にラムは、お爺ちゃんの事が好きなんだな」
「うん」
(この見た目のギャップが、堪らないなぁ)
「そうか、なら早いとこ僕が力のコントロールを完璧にして、逢いに行かないとな」
「うん!」
ラムの顔がパアアアッと明るく輝いた。
(さてと、もう誤魔化さないで話そう........ケジメつけるぞ)
「ラム、先ずは謝らせてください」
「ん?何を??」
(もう少しだけ、もう少しだけ時間が欲しかった......)
「......僕の事さ......」
「ちゃんと話さなかった僕が全て悪いんだ」
「何を言っているの」
「実を言うと僕は、違う世界では大人だったんだよ」
「しっしかもラムに、とってはおじさんとしか思えない27歳だったんだ!」
(終わったな、ふざけんな位言われるかな?)
(ああ、この素敵な子との夢の様な異世界生活、今思えば、姑息な手段で一人称を変えたりって思われるだろうな、あーー自分が嫌になる)
「そんな事より、力のコントロールを何とかしなくっちゃ」
「そうだね、これ以上物を壊したり、必要以上に人?獣?を傷つけない様しなくちゃな、それに世界を超えてキビ爺さんをって・・・・・っておいおい!」
「僕は、物凄い決意の下告白したのに.......そんな事って.......」
「うん、そんな事だよ」
「ジョー君、お爺ちゃんから聞いてなかった?」
「ああ、聞いた....けど.....」
(聞いたさ、聞いたけど俺は未だ信じられないよ...)
「なら、何で?」
「私達、鬼族はとても長寿で10や20年の年の差は気にならないんだよ」
「でも、ラムはまだ12歳だよね」
「うん」
「でもでも、もうすぐ13歳だよ来年にはケッ・ケッ・ケッ・........」
「分かった、分かった、納得したから」
「改めて言わせて欲しい事があるんだ」
「なあに」
「違う世界で僕は27歳のおじさんだったんだ、それでも僕を.................友人として見てくれますか」
「うん........友人........以上だよ...」
(マジでか!ヤッタ!何これ!ヤッタ!未だこの先もラムと一緒に居られるぞ)
凄い幸福感と倦怠感、脱力感に襲われた。鳥肌が治りません........
「更に、厚かましいお願いだけど、これからもセスさんとの、修練を一緒に続けたいんだ」
「うん、此方こそ宜しくお願いしま〜〜す♡」
(本当によっ良かった〜〜〜〜〜〜キビ爺ありがとう)
「ラム、ちょと気になったんだけど」
「ん?」
「禁煙席やレモンスカッシュはどうやって知ったの?」
「えへへへ、念話だよ」
「何それ、凄くない」
(成る程、念話か.....)
「あれは、お爺ちゃんが2年前に行方が分からなくなった時から何故か私にだけ聞こえ出したんだよね」
「当時の私は、お爺ちゃんの声が聞こえて来るから、近くに居ると思って皆んなにも無事だよって伝えたら、余計に大騒ぎになっちゃって........何処だ何処だって........私も場所まで分からなくってそのまま.........皆んなを振り回してしまったの」
「はっきり分からないのに、ベラベラ話すのは良くないなって思ったから.....」
うっすらとラムの瞳が潤んだ、(辛かったんだろう....)
「でもね、4ヶ月程前から遂にお爺ちゃんと会話が出来る様になったんだよ、それで3ヶ月前にお爺ちゃんが教えてくれた、変わった文化や美味しいジュースが有るって知ったんだよ」
「それから、禁煙席とか、レモンスカッシュをお店のメニューとして作ってもらえるようにセスと一緒にお願いしたの。そうしたらすぐOKがもらえて、ここでしか飲めないレモンスカッシュが完成したんだよ。何時かこの不思議なルールやジュースを知っている人が現れたら、お爺ちゃんの事が聞けるのかなっと思って.......」
「そうだったのか..........」
(2年前といば、キビ爺、俺が自転車事故に遭って鬼神の核が少し反応したとか言ってたな........う〜む)
「うん.........それでね、それでね、8日前にお爺ちゃんの核を持った鬼神様がその内現れるだろうって言ってもいたし.......」
(俺がゲームを買った日じゃん。キビ爺さんは、未来視ができるのかよ...)
「そ・こ・で・出逢ったのがジョー君なの」
「どうして僕がキビ爺さんの鬼神の力を受け継いだと思ったの?」(ラムは何故か最初から俺の事を全面的に信用していた様に見えたからな)
「え?」
「あっ!そうか、私ったら大事な話をして無かったね」
「ん?どういう事?」
「私は、ジョー君が鬼神様だって知っているんだよ」
「何故?」
「だって先ずはジョー君が我が家に代々伝わる鬼神様の紋章から出てきた事、そして炎から出てくる時、おデコに私達一族の紋章が浮かんでいたの」(なっ何ですと.....)
「ん?今は無いぞ」(俺はつい先程、自分の顔をマジマジと見たばかりだ)
「そっそれは........」(ん?ラムさん、何故か顔が赤くなってますよ)
「私も見間違いかと思ったの........」
「でもね、ジョー君が初めて家に泊まった時..........服が汚れていたから私が...........着替え........させたの」
(だんだん掠れる声になってきた)
「そしたらね、ジョー君のお尻に...蒙古斑の様な
...紋章の.......」
「あ〜〜〜〜う〜〜〜ゴホッゴホッゴホッガホッゲホッ」
何だか物凄く恥ずかしくなってきたので、変な声と咳で誤魔化した。
(他のお客様うるさくして、ごめんなさい)
「後はね、鬼神様としか思えない力で盗賊をやっつけた姿を観て、もう迷う必要なんてなかったわ」
「本当に、僕はラムに助けられてばかりだ.ありがとう」
「えっはっひっ......こっ此方こそ.......」
ラムさん、俯いてしまった、またまたお顔が真っ赤になっております。
「ところで出会った日、紋章が盗賊に狙われてたけど、良くある事なのか?」
「う〜ん.........あの紋章は、鬼人族の宝ってだけでは無くて鬼神様のお祭りにも使われてるから様々な種族の方達にも広く知られているの。紋章には鬼神様の核の一部が入っている事や、鬼神様の封鍵にもなっている事は、秘密だけどかなりの人に知れ渡っているし、百年に1回程度勘違いした盗賊が狙ってくるらしいの」
「勘違い?だってその紋章があれば誰でも鬼神の力が手にできたりしないのか?核も入っている様だし」
「ざ〜んね〜〜ん」
「紋章だけ持っていても、鬼人も含めてどんな種族であっても、力は手に入りません」
「少しだけ元気になる位です、何て言ったかな?あっそうそうユン○ル並じゃっ!て言ってたよ」(はい!キビ爺の発言決定)
「ただ時が経つと、大した効果も無い紋章が何故か実は不死になる力があるって噂が立ち出して紋章が狙われてしまうようなの」
(また、命が延びるとかのこじつけか)
「鬼人はエルフと同じ様に長寿だからって......」
「今回、紋章がとられちゃったのはね」
「お父さんやお母さんが居ない時に狙われて、宝物庫の管理者が精神支配の魔法で操られていたみたい」
「あの紋章は鬼族にとっては宝であり、戴冠式にも必ず必要な物だけど、他部族には余り必要が無い物だと思うんだけど......」
「封鍵が無ければ鬼神が覚醒出来ないならやっぱり大切な物じゃないか?」
「そう思うでしょ、本当は鬼神様の核が体内にさえ有れば気持ちだけで封鍵が無くても鬼神様は覚醒するんだって、お爺ちゃんが言っていたよ」
「何だ、そりゃ」
(まっ俺はあの時あの場所で封鍵があったおかげですんなりと、思念体から実体化出来たんだよな)
(ん?待てよ?うむむむ...........)
(ラムの紋章の効果も無い時、そうあのデカイ犬と、ラムの雷が俺の所にブチ当たって来たとき、俺ってば思念体だった筈だ!なのに俺はどうしたんだっけ?.......そうだ、こっちに来るなーって強く念じたらからぶっ飛ばしたのか!)
少しだけ自分の力の発動条件の解析をした
「そもそも?鬼神って何をするんだ?」
「私も、知らな〜〜〜〜い」
イタズラ好きな子の顔になっていた。
[カララン]
店を出てギルドへ向かった。
読んで下さり、ありがとうございました。
次回も宜しくお願いします。




