ブルボンだね
宜しくお願いします。
デメララは、黙ってさえいれば白く透き通った艶かしいまでに美しい顔を持ち合わせているのだ。しかし、年齢はきっとラムのお母さんより上でレオン陛下の直轄パーティメンバーのバルタさんよりも歳は上だと思われる.....本人を前に言えるはずもないが....
その年上の余裕なのか?慣れてらっしゃるのか?そうとても大胆なのだ。煽情的な仕草で俺はドキドキが止まらない。酒でも入っていたら、間違いを犯してしまうかもしれない程に.....
そんな取り留めのない妄想を抱いていると、遂にラム、ルクリウス、アレス、何故かチャコまでもデメララに抗議を始め出していた。
(よし、皆んな頑張って欲しい。俺の理性が保たれている内に...)
「デメララさん」
(ん?やけにヒソヒソ声だな....)俺は聴覚の感度を上げた。
「なんじゃ?」
「その....」
(頑張れラム!)
「その....可愛い下着はどこで買ったんですか?」
(ふぁ?)
「おお、これか?」
「はい、だってジョー君の視線が下着に釘付けなんだもん」
(はい!バレてました〜〜・・・恥ずい......だって男の子なんだもん....)
「ふむ、今度王都へ行ったら案内しよう」
「はい、お願いします。お姉様」ウフ♡
(おっお姉様?)
「オラも」「アチシも頼むぜ」「まぁ、私も興味はあるな!」 (ルクリウスまでもかい!)
(いかんな、今後俺の理性が保てそうに無いな...)
俺は、少し先程の会話を聞いてしまって後悔をした。だってサプライズにならないからだ。
だけれど、正直彼女達の気持ちは嬉しかった。記憶を無くしてはいるが、俺が元々この世界の住人で無いのはもう分かっている事だ。異界から一人で来て、仲間も身内も居ない得体の知れない男を皆んなは受け入れてくれて、あまつさえ婚約までしてくれている。しかも更に増えそうだ.....
俺はかなり我儘なんだと改めて思う。俺の心の中では今居る全員と家族になりたい。そして誰も手放したく無いのだ。鬼神だからじゃない俺自身がそう思っていて、瑞獣達もずっと一緒にいて欲しいそれが本心なのだ。ただどう伝えれば良いのか語彙力の無い俺はいまいちはっきりしない態度に写っているんだろうと思うのだ。
(ん?トゥルスが何故かウィンクをしてきた.....)
「ジョウ君は、ジョウ君のペースで僕達と接してくれれば良いのです。だって皆んな長寿ですから」
「ほぅわ?」 変な声が出てしまった。俺の心が読まれたのかな?
「ジョウ君、顔に出ていますよ」
トゥルスが俺の首筋に抱きついて来た。ふわっと良い匂いがして俺の悩みが一瞬で晴れた気がした。
(トゥルスは、絶対良いお嫁さんになるな!)
俺達はテントを片付けて、ホセイド組の皆さんと朝食を済ませた。ホセイド組の女性メンバーからはテントに移した事を感謝されて男性メンバーは結界と結界内の温度管理をしていたのを知ると驚きと敬意の念を向けられて何だか俺はむず痒かった。
(本当に気にしなくて良いですから.....)
程なくしてホセイド組のメンバーと共に漁師町のブルボンを目指し遺跡を後にした。
馬車での移動中にホセイド組の頭をしていると言うダイモスを馬車に招き入れブルボンの街の事や船の事を打ち合わせた。ルクリウスは交易をしに何度かブルボンに来たこともあり、ラムとディアと共に船の手配そして船員や航海士を見つける話になった.....
「なんだよ、水臭い!航海士なら、彼処にブルボンのナンバーワンがいるしよ、それに船員ならば俺達がなって送り届けるぜ」
「それは助かる。ちなみに船も有るのか?」
「ああ、しかし俺の持ってる船じゃあ小せえなあ...」
「街に着いたら、領主のホセイドに聞いてやるよ」
「頼んだよ」
「ああ、命の恩人だしなそのくらいはさせてくれ」
とても気の良い人で好感が持てる感じの人だった。
ブルボンの街の事を色々と聞けた。どうやらこの街は大陸の東の海域にある聖域と呼ばれる我々や魔獣すら立ち入れない場所が出現して漁に出れなくなりやむなく漁師達はその土地を捨てて南に下り漁港を作り、今の街になったとの事だった。
あの海域の謎は誰も解明出来ておらず、ただし伝説は残されている様だ。
詳しくは、『オババ』と呼ばれる予言者から聞いてくれとの事だった。
我々は夕刻にブルボンへ到着した。
ダイモス達は、遺跡でのゴブリン討伐の時に2人が帰らぬ人になっており、その家族の元に報告をしに行くとの事だった。
(もしも、俺の家族が居なくなるなんて想像も出来ないな.....でも彼女達はお飾りじゃないし....もっともっと、結界のアクセサリーを強化しなくっちゃ)
「ん?」
何故か、またトゥルスが [ メビウスの帯 ] のペンダントを大事そうに手で包みながら、ウィンクをしてきたのだ。
(やはり、心が読まれちゃってる?)急速に恥ずかしくなって、俺は鳴らない口笛を吹いて、挙動不審者になっていた。
「どうしたの?ジョー君?」
「なっ何でもないよ.....」 (余計に恥ずいわ!)
ルクリウスが以前来た時に使用したおススメの宿屋に泊まった。
受付で、俺は風呂の有無を聞いた。するとこの宿屋から50メートル程先にある露天風呂があるとの事で、早速行く事にした。
「チャコ!」
「ん?何だ、風呂か?」
あっ!と思ったが声にでてしまっていた。
「チャコはこれから女湯に使った方が良いのか?」
「オラはジンと入りたいぞ」
「.......どうしようか?」
「ふむ、ならば貸切の露天風呂を使えば問題なかろう」
宿屋の受付に伺うと貸切露天風呂スペースは今は誰の予約も入ってはいない。一応露天風呂横の受付に再度確認して欲しいとの事だった。
早速俺とチャコは露天風呂へ向かった。
「いや〜〜〜、最高だな!」
「オラこんなにデカイ風呂を見るの初めてだ」
露天風呂の受付に到着し問題なく貸切にしてもらった。早速 体を洗って風呂に入ったのだった....
「チャコ、ここの露天風呂は本当にデカイな!」
「ああ、オラちょっと泳いでくる!」
湯煙の中にチャコは消えていった....
「ああ、おさけ持って来れば良かったな...」
月を見上げて呟いた....
パチャパチャパチャパチャパチャパチャパチャパチャ
帰って来たか....
「なぁ、俺はちょっとチョイ飲みをもらってくるから待っててくれるか?」
湯煙で白い世界から近づいてくると髪の赤い少女だった.....
「って!アレスかい!」
「エヘヘへ、酒はもうすぐ来るぜ」
「ふぅ〜〜・・・皆んな来てるのかい?」
「ああ、アチシだけの方が良かったか?」
「ああ」
「へぁ?...マジ?」 アレスは全身真っ赤にして俯いてしまった。
「冗談だよ!」 (アレスはそのギャップが可愛い)
結局 [ 緋き絆 ] 全員 デメララも含めて8人で貸切となった。
俺自身もだんだん慣れて来ているのが分かる。多分この先この光景が当たり前になるんだろうと確信していた。
楽しく入浴を楽しんだ後、夕食を食べ俺達は部屋に戻って明日に備えた。
チュン、チュン、チチチチチチ、チュン、チュン
朝起きると、右側にチャコこれは見慣れた光景だ。
左側にルクリウスが俺の左腕の服の袖を摘みながら寝ている。 (かっ可愛い、これもギャップ萌えなのか....)
そして、そして俺の上にのしかかって来ているのは、赤い髪の少女?アレスだった。しかも、上着を全て脱ぎ去っていた....
「アッアッアレス、その風呂場と違うから服は着ような!」
「うん?、ふにゃふにゃ.........」
また寝てしまった。そして首筋に抱きついて来た。良い匂いだし、俺も気持ちが良いから放っておいたら....
ギリッ
「ん?」
ギリリッ
「うおっ!」
ギリリリリリリリリリリリリリリリリ
「おいおい〜〜、首が・お・れ・る〜〜〜〜」
俺はアレスに強めの電撃を指先から肩へ目掛けて放った。
「おぼぁああああああぁぁぁぁぁぁぁ・・・・・」
強すぎてしまったようです....
「グハァ〜〜〜」 キョロキョロ
「ジョウ!何しやがる!」
「あのな、アレス上着着てないぞ?」
「エヘヘへ、どうだ? こう....グッっと来るか?」
「そんなことしなくても、何時も来てるよ」
「へ?.....」 昨日に続きのぼせそうな勢いで体までも真っ赤になった。
「俺の首を折ろうとするのはやめてくれ」
「アチシ、そんな事を?」
「ああ」
「ごめんなさい」
「よし、許そう」
アレスは俺に抱きついて来た。
(早く、上着を来てください.....)
頭をヨシヨシしてあげた。
[ ガチャリ ] 部屋のドアが開いた。
「ジョウ君おはよう、さっきすごい呻き声が聞こえたけど?」
「って! え〜〜〜〜〜〜〜っ一番はアレスなの?」
「ん?一番て?」 (トゥルス意味が分からないよ?)
「ななななな、何でもありませんです」
「ちっちちちちち朝食見てきます」
「あっああ」 俺はアレスの姿を客観的に見直した。
下半身は服を着ているが、布団で隠れている。上半身は裸だしかも身体は火照りうっすらと赤みがかっている。これは大きな勘違いを生んでしまったようだ......
朝の修練を終えた俺は何だか気まずい雰囲気の中朝食を食べるのであった......
領主のホセイド氏に会いにラム、ルクリウス、ディアの3人は早々に出かけた。
デメララ、アレス、トゥルス、チャコと共に漁港の市場を見学しに行った。
「おい、あれ見ろや」
「何や!女はべらして夜ちゃうぞ!」
「ん?」 (何だかテンプレ的な暴言が聞こえてきた)
「あの青紫色な女は色っぽいな」
「ああ、俺は赤い髪の小柄な女が良い」
「俺はあの栗色のエルフが良いなぁ〜」
「俺は、俺は、あの黒髪を嫁にしたい!」
「ええ加減にせえや!ワイはどれでもエエ!」
(何だか好き勝手に言ってやがるな)
少しは聞こえているはずだけど、皆んなは動じずに俺の横をすまして付いてくる。いや、より挑発的に俺の腕に更にくっ付いてきて離れない.....
「はぁ〜〜」
「ジョウどうした?」
「皆んなあいつらの戯言聞こえているんだろうな?」
「当たり前じゃ」
「オラもバッチリ聞こえてる」
「問題だけは起こさないでくれよ」
「「「「は〜い」」」」
「何だ、あの赤い髪のコゾーは、殺っちまうか?」
「そうだ、そうだ、見せつけやがって!」
「あんな弱そうな奴は瞬殺だな」
「当たり前や!」
「あの赤い髪の男たぶん鬼人じゃね?」
「鬼人かよ....まっまぁ、二、三発殴っちまえば逃げるだろうよ」
「もうちっと仲間集めて来い」
「おう!」
そんな会話が聞こえた瞬間、俺の背筋に悪寒が走った。
「なっなっなっなんじゃとぅ!」 (デメララさん落ち着いて)
「おい、コラ!そこのクズ!」 (あっアレスさん?)
「ヴォラ!」 (あららら?チャコのキャラが.....)
「..............」 プチッ (へっ?トゥルスさん何やら頭からプチッと音が.....)
「ごほん! え〜っと皆さん落ち着きましょう」
「「「「はぁ〜〜〜?」」」」
(こわっ!)
俺はとりあえず、皆んなを落ち着かせる為にお茶屋さんに入った。
「こほん、え〜〜もう一度言いますよ、皆さん落ち着きましょう」
「ジン、もし私達があんなこと言われたら?」
「ん?まぁボコるかな?」
「だろ?」
「イヤイヤイヤイヤ、そうじゃない」
(う〜〜ん、難しいね)
「まぁ、ケーキでも食べて落ち着こうね」
「「「「は〜い♡」」」」
気分が回復した皆んなを連れて街に出た。
アクセサリー、防具屋、洋服屋、食材屋とハシゴをして、船旅に備えた。
既に空は赤く染まり夕暮れ時となっていた。そして宿屋に向かおうと足を向けた時、路地裏から聞き慣れた声が聞こえて来た。
「貴方達、やめてくれませんか?」
「かぁ〜〜、空気の読めない奴だな」
「俺達とチョコっと酒飲んでいいことしようって言ってんだよ」
「いい加減にしないと、痛い目を見ますよ?」
「はぁ?何言ってやがる」
「聞き分けが悪いなら、売り飛ばすぞ!」 コラ!
何だか、相手は18人くらいいたが、女性は2人だけで揉めているようだった。
「もう、ジョー君が来たら大変な事になるんだからね」
「ガッハハハハハハハハハハ、ジョー君って、ジョー君って.....ガハハハハハハ、お前らバカだろ、武装した男がこれだけ集まっているんだ、ビビって出てこれるはずね〜〜だろ」
「はぁ〜〜・・・ラムとディアじゃないか」
(もう、何だかテンプレとしか思えねぇ〜〜)
「「ジョー君!」」
「はい、ジョー君です」
「てめえは、さっき女をはべらせてた!コゾー」
俺は鬼神になり、闘気を解放して親玉っぽい奴の右腕を潰した。
[ ぐちゃぁ〜 ] (うわぁ〜〜嫌な手応えだ)
「うっうっうぎゃ〜〜〜〜〜〜俺の俺の腕がぁ〜〜」
「はい、まだ闘りますか?それとも、もう一本いっとく?」
周りを見ると、闘気にやられて、数名が失神して、倒れていた。彼等達は突然土下座をして猛省したかと思うと、脱兎の如く逃げていった。
「やれやれ、ラム大丈夫かい?」
「うん♡」
「.........おい、ジョウさっきアチシ達への言葉をそのまんま返すぜ」
「あっ!」
そしてブルボンの1日は過ぎていった。
読んで下さり、ありがとうございました。
次回も宜しくお願いします。




