ドミトリー・ドンスコ氏だね
宜しくお願いします。
俺は今、破壊された船の破片の上に寝転がっていた。そして、お腹の上で、小さな可愛い狐が丸くなって寝ている。
(う〜〜〜〜〜〜ん、俺に一体何が....)
[ モフモフモフモフモフモフモフモフモフモフモフモフモフモフモフモフモフモフモフモフモフモフモフ ]
お腹の上の狐がをモフりまくり、意識が完全に覚醒した。
「チャコ!チャコは無事か....」 チャコの元へ急いで戻った。
結界の中で元気に手を降っているチャコが見えた。
「チャコ!無事で良かったよ」
「オラはなんともないよ、それよりジン怪我したのか?」
「ん?ああ少し油断した」
「結構切れてるな、痛むか?」
「心配してくれてありがとう、でも大丈夫だよ」
「そうか....」
「チャコは怪我なんてしてないよな」
「ああ、ジンがこの丸いドームを作ってくれたおかげで、鳥型の魔族の襲撃が1回あったけど、近寄れないから諦めて、ジンの方へ飛んで行ったんだ」
「そうか....襲われてたんだな......」 (クソッ失敗だな、もっと考えないと....)
「取り敢えず、これからどうするか?」
[ ギィッギィッギィッギィッギィッ ]
人族の男が6人乗ったカヌーが近付いて来た。
「ジン、誰だろ?」
「分からないけど、殺意はなさそうだな」
「あの〜〜恐れながら伺いたいのですが」
「貴方様は、鬼神様では無いのですか?」
「えっ?ジンは鬼神様なのか?」
「はぁ?それは分からない....違うと思うぞ」
「今回は我らの土地をお守り頂き有難うございました」
「ふむ、因みに俺の顔を見知っている者は居ないかな?」
「我が村の村長が挨拶をしたいとの事で是非村に来て頂けませんか?そうすれば村民に話も出来ましょう」
「チャコ、どうする?」
「オラ、構わないよ」
「よし、行ってみよう」
人族のカヌーの後を追って、海岸に着くと本当に村なのか?という位に大勢の人で溢れている。
俺とチャコが船から降りると、凄く歓迎をされた。
(そこまでしなくても) が、正直な気持ちだった。
ワイワイと騒ぎながら、拍手と歓声更に俺達の周りをダンスする人族、とても陽気な民族だった。
海から程近い集会所の大広間に車座になって話を聞いた。
「さて、この度は何故この村を救ってくれたのですかな?」
「俺達も航海の途中に襲われた事もあり、助けるのに理由が必要ですか?」
「そうでしたか」
「あの数の魔族を、幾ら鬼人様の力を持ってしても倒すのは難しいはず、それを単独で倒してしまうとは、とても信じられません」
「と言うと?」
「貴方様は、鬼人様では無いですよね」
「いや、俺は鬼人だ!..........と思う.......」
「ふむ......そう.....ですか.....」 ジロリ
「何か問題でも?」 何故かドキドキ
「いえいえ、気になさらないで下さい」
「申し遅れましたが、私はこのスピルト村の村長をしていますドミトリー・ドンスコです。お救い頂いた貴方様は、お名前を伺っても?」
「ジンです」
「オラはチャコです」
「フムフム、噂の方とは別人の様じゃな........」
「ドミさん別人って?」
「ああ、ハマさん、イヤイヤ、コッチの話じゃ」
「それでは、救世主様には宴の席を一席設けさせて頂いて宜しいですかな?」
「オラ、楽しみだ」
「ハハハハハハハハハ」
「では、本日の17時に村の集会場で用意をしますので、それまでは村でも散策して下さい 」
「えっとお....」
「おっと失礼しました、私はヤマと申します」
「ヤマさん、ではよろしくお願いします」
村長から、結構な大金を頂いてしまったので懐はあったかかった。
「チャコ、どこに行きたいんだ?」
「おら、あそこの林檎が食べたい」
「了解」
八百屋で林檎を買ってそのまま見晴らしの良い丘の上で林檎を頬張った。
「瑞々しくて美味しいな」
「うん!」
「少し歩こうか?」
「おう!」
小さな村に見えるが、人は多く宿泊所や料理屋、武器屋等が立ち並び繁栄している村だった。
更に奥深く歩き林を抜けると、そこはとても悲しげな雰囲気の集団が揃っていて、集団葬儀が行われていた。
葬儀を行なっている場所から少し離れた場所に墓地があった。
其処には、何処かで見た事がありそうな鬼人の像が立っていた。
「何々、キビ・アル・インダストリって鬼人の像だな」
その像には、人を育てよ!力が劣る者は叡智が必要と書いてあった。
「成る程、このキビって鬼人が英雄なのだな....」
「そうなんですよ、この像の方こそが、鬼人様なのです」
「そうでしたか.....って誰?」
「失礼しました、私はタエです」
「それでは、ジン様、お連れ様集会場へご案内します」 とても可愛いらしい女性だった。
「ありがとう」
「おい、ジンあんな感じの子が好きなのか?」
「ん?愛嬌があって可愛いなと思っただけだよ」
「ふ〜ん.....そうか....」
「どうしたんだよ」
「何でもねーよ」 (チャコどうしたんだ?)
集会場に着いた俺達は、80畳程ある畳の部屋で車座になって宴会が始まった。
スピルト村の民謡や踊りが披露されて、とても楽しい宴だった。
チャコもお酒は初めてとか何とか言っていたが、結構イケる口で地元の漁師と酒を呑んで楽しんでいた。
「ジンしゃまぁ〜〜、あなちゃ様わぁ、きし..んっぐぅ様じゃぁ〜」
「おい、この村娘を連れ出せ」
「ああ、気にしないで良いよ!」
「しかし、ジン様....」
「この子は、さっき葬儀の列にいた娘だろ....君の名前は?」
「ほへぇ〜〜ワラシは、リカちやんでぇぇぇすぅ...」
「そうか、リカちゃんか、宜しくな」
「おう、おう」
「ところで、ジン様貴方は本当に鬼神様では無いのですか?」
「さぁ、何でそこまで俺が鬼神だと思うんだ?」
「はい、我が村に伝わる伝記とジン様の戦う御姿が余りにも似ておりまして...」
「そうなのか? でも何隻か逃しちまっただろう、本物の鬼神様だったら、逃しはしないと思うぞ」
「え?今何と?」
「だから、逃したんだよな」
「いいえ、ジン様は魔族船団を全て壊滅させております」
「えええ、マジで?」
「はい、マジです」
「う〜〜ん」
「そうですね、3隻までの戦いは少し時間も掛かり、身体が温まっていない様でしたが、4隻目以降7隻全てを壊滅する様は、もう鬼神様そのものでしたね」
「どんな感じで?」
「はい、私はこの村で最も目が良いので見張番をしていますチョウと申しますまぁチョーとでも呼んで下さい。それでは説明させて頂きます」
「4隻目からのジン様は、全身を紫色の炎で包まれておりまして、身体の大きさ3メートルは越えていたと思います。そして何より、金砕棒をお使いになっておりまして、鳥型魔族を殲滅されている姿はまさに.......鬼神様と思い込んでいました」
(あの赤い棒....金砕棒って言うのか)
「そうだったのか、伝記に出て来る鬼神様は金砕棒を振り回していたんだ....」
「はい、そう伝えられています」
「ちなみに、金砕棒は世界に一つなのか?」
「いいえ、幾つかある様ですが....」
「ならば、俺が金砕棒を使っただけでは鬼神とはならないだろう?」
「はい、それはそうですか....」
村の番人から、全ての魔族船の破壊と殲滅が終わった後、神々しく輝く複数の尾を持つ四足獣が現れて癒すかの如く優しく光で包まれ元の姿に戻ったらしい。
「あの魔獣はジン様が使役しているのですかな?」
「使役しているかは、分からないけど一緒に旅する仲間なんだ」
「所で、その鬼神様の話を教えて頂いても良いですか?」
「我が村に、伝わる伝記ですね」
「はい、お願いします」
「正確な年は不明ですが、石版に記されたのは300年以上前と思われます。その石版には、空が割れ大厄災が突如現れたとあり、その厄災の魔神の名をHARUGOと呼びます。その魔神は空を埋め尽くす程の悪魔の群れを呼び寄せ、そして疫病を振り撒いたとあり、世界は滅びの危機を迎えていた。絶望の最中、鬼神キビは5人の神を引き連れこの地に降臨なされた。失われかけた世界を取り戻す為、神族である6人は剣を取り戦ったのです。そしてHARUGOは破れ我らの世界は守られました。しかし、救世主である神族様達は大いなる力を失いご自身の世界に戻れなくなりこの世界に残られたとあるのです」
「そのHARUGOは、力を失いつつも99年おき彗星が近付くと復活の儀式をする、HARUGO崇拝者がいるようです。今から27に年程前にもHARUGOが現れ鬼神様達が追い払ったと聞きました」
「その、伝記にある話の鬼神が俺だと?」
「はい.....違うのですか?」
「申し訳ないが、違うな!ちなみに俺は18歳だ」
「......ですが、この度我らの村を救って頂いたのは間違い無く、ジン様です。我らがジン様を鬼神様と思う事を許して頂けないでしょうか?」
「何故、そこまで」
「近年稀に見る程に多く、世界各国で魔神復活が囁かれているのです、そしてこの地は魔神を屠った土地の一つとされている場所で、この土地を奪いに来る魔族が後を絶たないのです。その為村を後にする者も多く今の村人には希望が必要なのです」
「俺が鬼神様だなんて......本物がいたらやはり迷惑だと思うから、鬼神様と呼ぶのは辞めて欲しい」
「では、鬼人の救世主様とお呼びしても?」
「まぁ、嘘では無いか.....俺なんかで役に立てれば構わないよ」
「ありがとうございます」
(チャコは何処かな?)
「だぁ〜っはははははははははは」
相変わらず、漁師達と楽しんでいた。
「チャコ、呑み過ぎて無いか?」
「ふぇ?らいじょうぶらよ」
「へ?.....ら?」
「ん〜〜〜〜〜〜っジンこっちゃ来い!」
「あっああ、そうだよ」
「ん〜〜〜〜〜〜っジン何処行ってた?...のら?」
(絡まれている....)
「おい〜〜ジンとにかく呑め〜〜〜〜〜〜・・・」
「おう!」
屈強な漁師達とまるでオトーリと同じ作法の宴会が始まった。
グルグル、グルグルと回しながら呑む酒は、村の人達がどの様な人物だとか、何を大切にしているだとかを知る事が出来る機会だったそして友になれた気もしたのだが、酔っ払ってしまい、殆ど覚えていない。
(ふむ、この村の人は酒が大好きで、気の良い人ばかりって事だね)
チュン、チュン、チチチチチチ、チュン、チュン
窓から差し込む朝日と小鳥のさえずりで目を覚ました。
体を起こしあげると、横にはチャコが半裸で寝ていた。チャコの体を改めて見ると、線は細く色は白く透き通る様な肌だった。
「エルフって皆んなこんな感じなんだろうか?」
「さて、チャコ朝だぞ!」
「ふぇ?......アタタタタ......頭がズキズキする」
「あはははははは、昨夜呑み過ぎたな」
「そうか、呑み過ぎって......きゃっ!」
「ん?どうした?」
「いや、何でも無い」
チャコは慌てて衣服を着直した。
「朝食にしよう」
「あっああ、そうだな」
集会所の仮眠室を使わせて貰ったのだが、チャコは記憶が無いらしい.......(酒の呑み方を教えないとな...)
部屋を出ると、ヤマさんとタエちゃんが待っていて、食堂に通された。
スピルト村の食事は魚介がメインでとても美味しかった。
「ドミトリー村長、毎回私達を客人対応するのも大変でしょうから、今日までで良いですよ。それに此方も、まだ滞在したいので気が引けますので.......ちなみに、この村にもう暫く滞在しても良いですか?」
「暫くと言わずに、永住して頂いても結構でございますよ」
「そういう訳には...」
「この先旅立たれても、いつでも帰って来てください」
「何から何まで、ありがとうございます」
「この村の娘達は如何でしたか?」
「皆んな元気で、好感が持てました」
「そうでしたか、宜しければ我が村から1人貰って頂けないですか?」
「はぁ?イヤイヤ、俺は鬼人だし、しかも本人の同意も無しに、そんな事軽々しくは出来ませんよ」
「失礼しました。伝記の鬼神様はこの土地の女子を好いて下さいまして、1人だけ嫁にしたとあったので..」
「あっそういう事ね.....」
(鬼神様って一体どんな感じの人物だったのだろうか?そして何人嫁がいたんだろうか?)
「お話中すみませんが、少し宜しいですか?」
「どうぞ」
「あのう、ジン様が来られてから遺跡で何やら音がすると言って、村人が怯えているのです」
「へぇ〜〜」
「ふむ、気になりますな!申し訳ないがジン様、一緒に着いて来てくれないだろうか?」
「俺は、構いませんよ」
「では、我らの住居へご案内します」
(あっそうか、ここはあくまでも集会所と仮説住宅なのか...)
チャコと一緒にスピルト村の住居へ向かった。
海から寸刻程歩いた所に1000メートル級の岩山があり沢山の穴が空いていて、そこが住居になって居る様だった。家の中は、マテ○ラの洞窟住居その物で簡素だがとても快適な空間だった。
そして圧巻なのはその穴の数であり、吉見百穴の様であるが、1000メートル級の山の片側全てに穴が空いていた。
空いた口が塞がらないとはこの事であった。
「凄いですね」
「これも我ら弱者が生き残るための知恵で御座います」
「鬼神様の案なのですか?」
「はい、その通りです」
岩山の麓を暫く歩くと.....
「間もなく遺跡です」
大きな洞窟があった。
「先ず村人が入って行き村長が遺跡に入って行った」
「ジン様、どうぞ入って来て下さい」
「はい」 何だか暖かい空間で、とても心地が良い。そんな洞窟は初めての経験だった。
洞窟内に入ると....
[ ゴウン ] 大地が揺れた。
「なっ何だ?」
洞窟に光が灯り村長達の顔が良く見える様になった。
「おおお〜〜」
「コレは、ジン様が?されたのですか?」
「いいえ、ただ洞窟に入っただけです」
「驚きました、こんな事は今まで一度も無かったのです」
「そうですか......」 (まぁ、偶然でしょう...)
中に入って行くと、何やら古代の遺跡らしき物が見えて来た。その形状がどうも機械にしか見えなかった。
「コレなのですか?」
「はい、一体何なのかは分かりませんが、この村を守る為の重要な物の様だったのです」
「この遺跡の事も、石版に?」
「いいえ、神族5人の内の御一人でサタ・ウェルティと申される農耕神様がこの土地に来て、食料の自給自足方法をお教え頂いた時にこの遺跡の話をして下さったのです」
「いつ頃の話ですか?」
「それでも、100年以上前の話ではございます」
「そうなのか...」
「少し見せてもらっても良いですか?」
「どうぞ、どうぞ」
その遺跡は、高さ10メートル位の大きさで、特に動き回る感じもしない、この遺跡の上部には、無数の丸い穴があり、何かが飛び出す仕掛けかもしれないな。
遺跡をぐるりと回って見ていると、金砕棒と同じ龍の彫り物が遺跡に見えた。
(あっコレってもしかして)
「あの、ドミトリーさん」
「何でしょうか?」
「この石に彫られた龍と同じ装飾をされた物を持っているのですが、此処で出しても良いですか?」
「本当ですか?是非お願いいたします」
「では、失礼して...」
右手の掌から金砕棒を出現させた。
「何と、この装飾は...やはり金砕棒は金砕棒でも鬼神様が使われていた金砕棒の様ですね...」
「そうなの?」
「はい、石版にその装飾と全く同じ物が描かれていましたから....」
[ カッ! ] 村長と話していると、突然遺跡が光り出した。
[ ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ ]
遺跡が震え出し、遺跡からは細かい小石や砂が落ち、遺跡上部がゆっくりと回り出した。
「ジン様、その龍の彫り物に金砕棒を押し当てて下さいませんか?」
洞窟内は、目も開けていられない程光り輝き出した。
俺は何とか、遺跡の龍の彫り物の場所を特定して、金砕棒の龍の装飾を合わせてみた。
[ ガコン ]
「ん?」
金砕棒を差し込むのに丁度良い穴があき、そこへ差し込んだ。
「ふぉっほほほほ、儂の核を継ぎし者よ!よう来たの」「この装置はこの島の人族を守る為の結界を発生させる為の装置なのじゃ。そして一度起動させると20年は動き続けるのじゃから、手間要らずじゃろう」
(自慢かよ!)
「この土地は、邪悪な異世界の悪魔供の親玉の肉体を屠った場所なのじゃ、親玉の核を破壊したのは、此処から離れた場所なのじゃがな.....ああ、いかん話が逸れたわい」
「肉体を、屠った場所じゃからして、悪魔の親玉を信仰している魔族達に、いつ又襲われるやもしれんので、この装置を作ったのじゃ」
「今が、その危機的な状況であればお主の魔力いや神力を流して欲しい、なぁにいきむだけで良いのじゃ、頼むぞ」
(まあ、そういう事なら...)
「この村の女子はみな、スタイル抜群で可愛いじゃろ♡」
「あっそうじゃな!もしお主が無知ならば、教えとかねばならぬのじゃが、儂の知識と力の制御方法を、頭に送っとくから、知識として活用して欲しいのじゃ、出来る出来ないは、お主の修練次第じゃの」
(何だか、頭にあの爺さんの経験した事なのか?頭の中にパラパラと映像が入って来る、そして言葉、文字が絶え間なく入って来た...........)
(はぁ〜〜終わったか......酔ったみたいだ....)
(さて、ちゃっちゃとやってしまいますかね)
(神力ね!)
[ ぐわわわわわわわ〜〜〜〜〜〜ん ]
俺は意識を失った........
読んで下さり、ありがとうございました。
次回も宜しくお願いします。




