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遭難だね

宜しくお願いします。

さあ、バルバド帝国へ!と思ったのだが、俺は海を渡る為の魔法とか、魔獣とかが何にもない!

さぁて、困ったぞっと思ったのだが、そうです俺は原料さえ有れば物を作り出せるのだ。

デメララに、許可を貰って大きめの木を3本切り取らせて貰って筏を作った。

まあ見た目はショボいけど、俺の魔法や自力があれば何とかなると思いそのまま出航した。


(快晴で、チョー気持ちが良い)


グヤナ国に来るまでの道中は召喚魔獣の口の中でハッキリ言ってどれ程離れているのか何て考えずに出航していた。しかも行きは眠らされたんだっけ........俺の探知を使ったけど、グヤナ国から王都のある大陸までは途方もなく離れているのだろう、大陸まで探知出来なかった。(鬼人モードになれば分かるんだろうけど、体力は温存しないとね)

な・の・で・今!大海原で1人俺は...........遭難していた。


ダイちゃんも方向音痴らしく、アテにならなかった。


そして遭難する事 6日目の夜お決まりの嵐が来てしまった。寝ていた為、鬼神モードになるのが少し遅れてしまい、20メートルを超える荒波の前には成すすべが無くチャチな筏は完全に破壊されてしまった。海に飲み込まれたのだ。


チュン、チュン、チチチチチチ、チュン、チュン


小窓から差し込む朝日で目を覚ました。


「ん?」


全身が何かに殴られたかの様に痛い。


身体を起こし上げると、小ざっぱりした小屋の中にいた。


「俺は......一体.....此処は.....」

突然の頭痛が襲った。

「痛っイタタタ」


そのまま暫くボーーーーーッとしていると。


[ ギィイイイイイ ]

小屋の扉が開いた。


「おっ!目が覚めたか?鬼人の男」

「鬼人?」

「アンタは誰だ?」

「おい、人に物を聞く前に、まず自分の事を話せ!」

「ああ、俺は.....俺は......ん?......何だ?....言葉は分かるが、俺は誰だ?」

「はぁ?お前、自分が分かんねーのか?」

「ああ、言葉しか分からん....誰なんだ?」

「オラは、お前の事なんて知らねーよ!」

「しょーが、ねーなーこんな物騒な所に来ちまって、お前とは短い付き合いになると思うが、まぁ宜しくな」

「オラは、チャコってんだ」

「チャコ、宜しく....俺は......ジ....ジ???」

「ジ?って何だよ?名前も、分かんねーのかよ」

「歳は?」

「18歳だ」

「ふ〜〜ん........そうだな、ジ〜兄ィでジニー、なんか長いな....ジニ...違うな........ジン........ジンで良いか!」

「ジン?」

「だってオラ、16歳だからジ〜兄ィで色々呼びやすさを考えて.......ジンだ!どうだ?カッコイイだろ?」

「ジンか、まぁ良いかぁ...ありがとう」

「おう!」

「所でチャコ、此処は何処なんだ?」

「さぁな!オラもデカい船で何処だかの国に武器を運んでいる最中に嵐にあって海に投げ出されたんだ」

「そんで、この島に流れ着いてから3日目の朝に浜を歩いていたら、ジンを見つけたんだよ。ちなみに、更にそこで5日間も寝っぱなしだったんだぞ!」

「そうか....5日もか...」

「俺、普通死んでね?」

「ああ、オラが寝続けているジンに食い物を流し込んでだからな」

「チャコは、命の恩人じゃんか」

「大袈裟だよ!」

「他には、誰かいないのか?」

「オラはそこら中仲間を探したけど誰も居ねえ、多分オラとジンだけだ」

「早く脱出しないと不味くないか?」

「この島はちっちぇけど自然が豊かで食うには困らないぜ」

「そうか....」

「ちょっと待ってな」

チャコは海に飛び込んで魚を捕まえて来た。

「後は火なんだけどよ」

「ああ、火なら此処にある」

俺は指先に火を出した。

「うお!凄え、ジン凄え!美味い焼き魚なんて何年かぶりで食えるぜ!サンキュー」


チャコと火を囲んで魚を食べた。美味いご飯を食べていると何だか、会話が進んでチャコの色々な話を聞いた。

チャコは2歳の時に奴隷市場で買われて5歳の時に買われた主人の家が戦争で消失し、森に逃げ込んで妖精と暮らしていた。食事は常に葉っぱや木の皮キノコ等の生食ばかりでウンザリだと話した。そして、7歳になった時、その森で妖精狩りが行われ、チャコはまた奴隷として港町の家に買われて、肉体労働を中心に現在に至ったと言った。

「大変な人生たな」

「だけど、死ぬ前にこんなに美味いもんが食えてオラ幸せだ。しかも叩く奴ももう居ないしな」

シャツの袖をから痣が見えた。

その後、一週間この島でマッタリと2人で過ごす時間はとても心地良くすっかり親友になった。

海から、黒くて丸い形の物が流れ着いた。

「何だ?コレは.......」

「コレならば......出来る、出来るぞ〜〜〜!」

「何が?」

「フッフッフ」

「それは」

「それは?」

「それは........風呂だ!」

「はぁ?」

「まぁ〜見てろっての」

海から引き上げた黒い物は、まるでドラム缶のデッカいやつだった。

山に入って行き川の水をたっぷりと入れて又浜辺へ戻って来ると......

「なぁ、ジン....軽々やってるけどね、普通はそんな事出来ないと思うんだ」

「そうか?」

「ジンて、鬼人の王なんじゃねぇ?」

「まさか」

「あははははははははは」

「だよな!オラもどうかしちまってた。そんな汚ねぇシャツに短パンの王がいたらビックリだ」

「ハハハハハハハハハ!そりゃそうだ」


夜になって、焚き火を囲んで星空を眺めた。

月夜に照らされて、大きな鳥が一直線に飛んでいくのが見えた.....


「さてと、風呂も湧いたし入ろうぜ」

「あっああ.....」

「ん?どうした」

「ジンから先に入って良いぜ」

「分かった」


[ ザブン ]


「最高だ!」


満点の星空と風呂そして、仲間だね。


「はっ入るぜ」

「おう、何だよ遠慮なんかしてんのか?」

「だってよぅ、風呂といえば、高貴な奴しか許されなくって、オラにとっては初体験何だよ」


[ チャプン ]


「ハハハハハハハハハ」


「こんな、風呂でもか?」


「ああ、ありがとう。ジン、オラを普通に扱ってくれて」


「だから、普通って何だよ!俺はその考え方は凄え嫌いだ」


「悪かった」


「俺と、チャコは仲間だろうが。風呂も一緒に入って裸の付き合いってな」


「ハハハハハハハハハ」 プヨン


(ん?プヨン???)


「結構大胸筋があるな!」

「はぁ?........」

「鍛えてるんだな」

「ああ、船に乗せた荷物の整理をさせられてたからな」

「そうか、細く見えて力があんるだな」

「ジンに言われると、オラは幼児だけどな」


2人は大笑いをした。 (何だか、スゲー幸せだな...)


朝が来て、朝食を取りに海に入ろうとした時リュックが流れ着いていた。


「何だ?」


拾い上げて中を見ると、魔法が付与されたバッグだった。そして中には沢山の食料が入っていた。

「ラッキー」

「おーーーい! チャコ!」

「何だ?」

「パンが入っているぞ」

「マジかよ!」

「ああ、今日の朝食はパンだね」


早速、美味いパンを2人で食べた。

「ん?」

「どうしたんだよ!」

「いやっこのパンの味....何処かで....」

「マジで?」

「それに、この中に入ってる服はきっと俺のだ」


[ ポンッ ]


白い煙が立ち登り何かが飛び出してきた。


それは、とっても綺麗な黄金色の毛をした、狐だった。


[ パパ ]


「ん? パパ...だとぅ...」

「えっ何々...この可愛い狐ちゃんが、何て?」

「俺の事をパパって....」

「へ?」

「ジン.....狐だったのかよ」

「絶対違うと思うぞ」

「だよな!」


[ パパ.... ]


「あっオラにも聞こえたぞ!」


「マジ?」

「ああ」 耳が見えるように髪をかきあげた。


「あっ!」


「えっ......何だ?」


「チャコって、人族じゃなかったのか?」


「え〜〜〜〜今更かよ!」

「オラ、エルフの森でのくだりの話し聞いてなかったのかよ」


「暮らした話は言っていたけど、まさかエルフだったとは....」

「何だ!じゃあお互い長生き出来るし、ずっと一緒に居られるよな」


「本当かよ!」


「ああ、ずっと一緒だ!って鬼人なんかとは嫌か?」


「オラ、嬉しい.....ありがとう」


「良いって事よ!心の友よ!」


「えへっえへへへへ」


「チャコ泣いてんのか?」


「えへへっ今まで一杯泣いたけど、オラこんなに、暖かい気持ちになる涙なんて初めてだぜ」


「俺も何だか、泣けてきちまった」


しばらく、俺達は泣きまくった。


少し落ち着いた俺達は一心不乱に、狐の赤ちゃんを....

[ モフモフモフモフモフモフモフモフモフモフモフモフモフモフモフモフモフモフモフモフモフモフモフ ]

モフりまくっていた。


そして日々の生活をより不満なくする為に洗濯、食事、狩り、風呂の準備等の役割分担を決めて、過ごすと更に快適になった。

夜になると、お互い大好きな風呂を沸かし入るのが当たり前になっていた。


そして時は流れて、春風の気持ちの良い日になって来た。そうなのだ春が訪れたのだ。

そんな春風が気持ちの良い日の夕刻に、何だか分からないが、胸がざわついた。


沖合にとても大きな船が黒い煙を吐き出して航行しているのが見えた。

チャコはサッと俺の背中に隠れててしまった。

焚き火の煙を見つけたのか、段々近づいて来ているように見えた。


すると、空から何やら鳥の様な物が30羽程飛んで来ている。

「何だ?」

その鳥にはカラスの様な風貌ではあるが、人の様な脚もあり、腕も生えているそして手には、マチェテを持っていた。

「何なんだよ、コイツらは」

「おい、ジン逃げよう」

「いやっもう遅い!見つかってるよ」

浜辺に降り立った、カラスを見て...

「コイツ、魔族だ!」

「魔族だと?」

「獣人系って奴か?」

[ グワワワワワワワ ]

「こら、鬼人何してんだ?ああっ!何処に雇われた?グワッ」

「何を言ってんだ?」

「まぁ、どうでも良いがなグワッ」

「死ねや!」


「いやいやいや、挨拶は大事だろう?」

俺は片手でマチェテを受け止めた。

「お前何モンだ?何でその指が切れないんだよ」

「さぁな?」

「俺からもお返しだな!」

[ バチコーーーン ]

強めのビンタを放った。

するとカラスは、美しい弧を描いて浜辺に突き刺さった。


「ぎゃっ!やめろよ!離せ」

振り返ると、チャコが魔族に押さえつけられて、マチェテを突きつけられていた。


「ヤメロ!ハナシテヤレ!」 ビリビリビリビリビリ


この島に来て初めての感情だった。

身体中が熱く、身体の中から何かが吹き出してくるのが、単純に力なのだと理解した。


チャコに危険な刃物を突きつけている奴らが、憎かった。そう殺してやると思ったのだ!


そして、身体から溢れ出てくる力を心から欲した......



「オマエラ、コ・ロ・ス・・・・・・」


そこからは、あんまり記憶が無くなっていた。

チャコも何故無事だったのか分からない様子だった。

着ていた服がヨレヨレになっていたのと、狐ちゃんが大きくなっていて、尻尾が沢山ヒラヒラと揺れていた。

暫くすると、狐は....ウインクをして、白い煙と共に萎んでいき、何時もの可愛い狐の赤ちゃんに戻った。


落ち着いて辺りを見渡すと........


「何じゃコレーーーーーーーー」


「山が、山が.......」


山の山頂辺りが丸く削れて、無くなっていたのだ!


「大きな船も何処に行ったんだ?」


「さぁ〜〜・・・」


「まっいっかぁ〜〜」


「魔族も居ないな」


「オラに襲い掛かってきた魔族は、ジンがやっつけてくれたんだよ」


「マジ?」 (ヤバイな、全然記憶が無い....)


「オラ、嘘はつかない」


意識を集中させると、海底に船が沈んでいるのが分かった。(まぁあの船なのかは不明だけどね)


(それにしても、何なんだよ!この能力は.....何となく魔法が使える感覚はあるんだが、あの時感じだた力は別物だった...)


「さて、何だか此処に居ると厄介事が起きそうだ。ソロソロ何処かの国に行ってみないか?」

「オラ、快適だし此処にずっと居たいな」

「今までは、そうだったけど、あの船が気になるんだ、きっと又この島に来ると思うぞ」

「そうだろうけど.........」

「怖いのか?」

「オラ、少し怖いし又奴隷になるのは嫌だ!」

「大丈夫だよ、何があっても守ってみせる。それに俺達はこの先ずっと一緒だろ」

「...............ああ、そうだよな.....ジンに任せるよ」


「よし、そうしたら船を作ろう」


俺とチャコは、この島の山に入り船の材料と食料水を用意した。

そして船の製作に取り掛かった。

俺は単純に丸太を何本かくっ付けた筏にしようとしたところ、流石は元船員のチャコは色々と提案してくれて、意外と立派な船が出来上がった。


「ジン何だよコレ!どうやったらこんな風にしっかり形成できるんだ?」

「多分昔からできたんだと思う。頭にイメージするだけで形を変えられるんだよ」

「ヤッパリ、ジンは凄い奴だと思うぜ......」

「でも.....色んな事を思い出しちまったら.....オラの事なんて....」

「ん?チャコ何だ?何か言ったか?」

「いやっ何でもない」


夕刻になり、今から出発しようとなった。

大変世話になった、小屋を掃除して、小屋の周りを少し2人で歩き、思い出に耽った。


「さあ、行こう!」

「どっちに向かう?」

「こういう時のお決まりは、シリウスに向かって!だな」

「了解だ!」


そして、数ヶ月を過ごした、この島を後にした。

読んで下さり、ありがとうございました。

次回も宜しくお願いします。

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