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選択だね

宜しくお願いします。

俺は突然の睡魔に襲われた後

気が付けば大きなソファーの上に横になっていた。


「あっなんだ帰って来られたんだ」


「しかし......ログインとログアウトの方法だけでも、調べなくてはな...」

ひとり、呟いた。


ソファーから身体を起こして立ち上がると、部屋は真っ暗だったが、周りには機器から発するような微弱な光で壁は何となく認識出来た。


よろよろと、壁まで歩き電灯のスイッチを探した。


「あれ?、あれ?、無いな」


ゲームの世界の時の様に、手に意識を集中させ、とても小さな火をイメージした。



何も起こらなかった。

(当たり前か)



(なぜこんなに暗いのか?さあ困ったぞっと)


そろそろ、目が慣れてきて辺りが見えてくると思うのだが、未だ視界が悪く何も見えない。


馬鹿馬鹿しいと思いつつも、もう一度もう少し強めの火が出る様に右の掌に意識を集中させた。

すると、右手全ての指先からロウソクの様な火が出た。

驚いた俺は、思わず誕生日ヨロシク息を吹きかけ消していた。


(おいおい・おいおい俺ってば未だゲームの中なん?)


もう一度火を恐る恐る出してみると、今度はすんなり出せた。



「よし!」


「って!ちがーーーーーーーーう!!」



(俺はまじで、異世界に来ちまったんだろうか?)

などと考えながら、指先の火を頼りに部屋の内部を見渡した。

出口を探す為に壁伝いに歩き、角まで来たところで、振り返ると


「おっとぉーーー」

誰かが部屋の隅に居た。


俺は、その何かを指先の光を頼りに凝視した。

壁に寄りかかり腕組みをした、最近出会ったばかりの電気街の店主が立っていた。


「おい、なんなんだアンタは、勝手に人の家に上がり込んで!」


[パチン!]

店主が指を鳴らすと、部屋全体が明るくなった。


周りを見渡すと、ソファー意外何もない30畳程の黒い正方形の空間だった。


俺は店主に近づくと、目線の高さに違和感を覚えた、(あれ?この店主こんなに背が高かったか?)


そして、自分の身体を手で叩きながら確認した。


「えっ?」「えっ?」「えっ?」


(おい、これってゲーム内の身体そのまんまじゃあないか!)


「俺の身体やこの部屋は、一体全体どうなっているんだよ!」


店主は、ゆっくりと話し出した。


「ここは、貴方の家ではありません、そして私の家でもありません」

「ただ、幸か不幸か貴方は、元の世界では決して手にする事の出来ない力を持ってしまいました」

「よって貴方は、元の世界にとってバランスブレイカーとなってしまったのです」

「貴方は世界の均衡を保つ為、選択しなければならない、ゲームだと思っていた世界か、あるいは、あの電気街に行った後の記憶を完全に無くし、以前までの貴方になって、当然身体も元に戻し週末をすごすのか。まぁ過ごせると言ってももう土曜日は、帰って来ませんが...」


「お選び下さい」


「おおい!ちょっと待て!待て!」

(関西人じゃ無かったんかい!一応心でつっこむ...)


「アンタ頭がおかしくなったのか?元の世界とか、記憶を無くすとか、言っている意味が全く分からない!」


「だって.........」





「コレはゲームだろ!」






「わっはははははは」店主は笑った。






「そうです、但し私が少しだけ手を加えた何処でも売っている只のゲームだったんですよ」

(おい!何勝手に加工してんだよ!)


「そして私の核を宿していた貴方は、あの世界を知って頂かなければならなかった」


「ガキの頃に観ていたTVアニメから、こうなる様に仕組まれていたのか?」


「あっそれは偶然です」(ばっさりと否定された、メッチャ恥ずかし!)


「貴方は、2年前の夏に走って来た自転車とぶつかりませんでしたか?」


「2年前?覚えて無いな」


「だと思います」

「結果として大した事故になっていなかったからです」

「実はあの事故、たいした事が無かったのは私の核が寸秒だけ僅かに解放されたのですよ」

「そのおかげで私は貴方を探し出す事が出来ました」



そう言いい終わったと同時に、店主の髪の毛が炎に包まれた。

見た目も少しだけ顔にシワが増え20歳位老けた感じにな見えた。(しかし、ベースがカッコイイと爺さんになっても意外とカッコイイままだな)


「今の俺と同じ力なのか?」


店主はニヤリと笑って頭の炎を霧散させ、肯定した。



店主に色々とこれまでの事を聞きたくなった。いま俺に何が起きているのか?ラムの事など沢山そう沢山だ。


店主は、基本的に穏やかに話しを進めてはいるが、俺は混乱しているし思考が追いつかないので理解が出来ていない。


そんな中で選択を迫られている、二択の返事待ちだ。


「暫く考えさせてくれってのは、出来るのか?」


「実は、もう余り時間が無いんじゃ、君だけならばこの空間にいつまででも居られるんじゃが、核の大半を失っておる儂には余り時間が無いのじゃ」

(おっ口調が変わったな)


「ラムのいや、あの世界に行ったらもう戻って来れないのか?」


「いや、戻り方はあるぞ、しかし君が戻って来れるだけの魔力コントロールが出来ればじゃがな」

「そのコントロールは簡単ではないぞ」


「今の君が、そう “力をコントロール” する事が出来ないまま無理に元の世界に行ったとすればな、その小さき姿で転移したは良いが、直ぐさま体は成長していっての、異形の者になるのじゃ。さすれば、日本もしくは他国の組織と呼ばれる狂人集団にUMAだとか、謎のウイルス感染者として捕らえられ、どこぞの研究施設で検体として間違いなく死ぬまで幽閉生活になるじゃろなぁ」


俺の背中に冷たい物が走った........


「更にじゃ!その様な環境に堪えきれずジョー君が魔力暴走させ、殺戮者になろう者ならば儂が必ず君を殺さなければ、ならなくなるのじゃ」


「マジですか!」 少し大きな声が出てしまった。


「マジじゃ!」


「じゃから、いまの身体のままで元の世界へ帰る事は絶対に考えてはならぬのじゃ」


「俺もこの体で元の世界には帰る事はないな」


「そうか、安心したぞ」

「一度手にした大きな力は、中々手放せなくなるものじや」


「ふ〜ん、そんなものかね?」


「どうじゃ、元の世界に帰りたいならば記憶を無くし、儂の核を取り除いて貰うそれだけじゃが」


「ん?核を取り除くって問題無いのか?」


「ちょびっと、倦怠感が続くが2日程で治るじゃろ」

「今まで核の覚醒はしていなかったでの、周りの者と何ら変わりは無かった筈じゃ」

「それでも今までで、周りの人より少しだけ病気にかかり辛かったりした事がある筈じゃがの」

(そー言えば、俺って風邪ひかないし、水疱瘡すら罹った記憶が無いな、大人になってからでは大変だって事で、親が病気の子とワザと同室にしたりしてたっけ....)


「ちょっとタンマ!」


「あんたの核を取り除く事が可能なら、こんなに回り諄い方法は必要なかったんじゃ?」

「それこそ、俺が寝ている間に、パッと持っていけば済んだんじゃ無いのか?」


「先ず一つ、勝手に核を引き抜こうとすると、幾ら儂の核といっても既に核は君の身体の一部じゃ、防衛機能が働き今の儂なんぞ一瞬で消し炭じゃよ。じゃから、君の領掌が必要なんじゃ」


「二つ、核を覚醒させなければ、君の身体から引き抜く事も、改変させる事も出来ないのじゃ。じゃからしてこ〜んな回り諄い方法しか儂は考え浮かばなかったのじゃ」


「三つ、2年前より、ちょいちょい監査させて貰っていたのじゃが、中々男らしいくせに、親しいオナゴは一人もおらん、儂はそんな君が気に入ってしまったのじゃ」

(コイツ!ぶん殴っていいですか?)




「マジか!.............うむぅ〜〜」




俺は考えた、元の世界の生活は、仕事はキツイがソコソコ良い暮らしも出来ていた。


しかし............それだけだ!



何時も、何かが、足りなかった。



あのゲームに出会い、あの世界で一瞬だけ触れ合ったとびきり美しい女の人の声・笑顔・匂い・仕草全てが愛おしい。


忘れられない、忘れられるわけが無い!


元の世界には特に未練もない!鬼族が居る世界には、ラムが居る!

なんだか凄〜く年の差がある気がするが、俺の気持ちは決まった。



そうだ、もう俺は迷わない。



「先づは店主さんの名前を教えてくれませんか?」

(何となく予想できるのだが、大事な事だ)




「サトウじゃ!」


[ズビシッ!!] ハアハア......

思わず、つっこんでもた!



「いやいや、俺の居た世界で使っていた名前では無く!」

「ああ、そうゆう事か」(この人ワザとだ!)


「ごほん...あー」


「儂の名前はキビ・アル・インダストリ」

「やっぱり」

「君の想像通りじゃよ、ラム・アル・インダストリは、儂の孫にあたるのじゃ」

「して、どうするのじゃ、ジョー君よ」

「はい、ラムの居る世界で側に立ち共に生きて行きたいです」

「あの世界で俺は少年で、年の差もあるかも、ですが一緒に居させて下さい。よろしくお願いします!」



「ん?」



「そうか?ふむ....まだラムから何も聞いてはいないみたいじゃな」





「ラムは、ああ見えて12歳じゃぞ!」








「えっ」




「えっ」




「えっえーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーゼェゼェゼェ」

俺は、今まで生きて来た中で一番おどろいた。

(予想より遥かに離れてた。いや近づいたのか?)




「わっははははははは」




「そうじゃな、鬼族の事を教えようかのう」

「と言うか、ゲームの取説に書いていたのじゃが.....」

あっジト目で、未来のお爺さんが睨んでらっしゃる...



「はっはは.............」



頭を掻いてごまかした。


「鬼族というのは、儂らの世界の中でも非常に特異な部族での、特に頭に生えたツノを生きたまま食らうと50年は生き長らえると言い伝えられておってな、長寿を望むアホな他部族から事ある毎に狩りの対象にされているのじゃ」

「ひでー話しだ」

「長寿の話、本当なのか?」

「事実無根じゃよ、ツノを喰ってもまあ元気になる位じゃしの」


「元気?」


「まっまあ、あれじゃ、君が居た世界のユン○ル並じゃな、すっぽんの方が格上になるの」


「...............」


「誰がそんなアホな事を、広めやがったんだ」

「そうじゃな、儂は概ね掴んでおるが、それは君の目と耳と心で判断して欲しいのじゃよ」


「少し話しを戻そうかの、狩の対象となってしまった鬼族は狙われ易い幼少期を短くする進化を遂げたんじゃ」

「生まれたばかりの赤子は他の部族と何ら変わらないのじゃが、女子は7才男子は9歳でほぼ成人の肉体となるのじゃ」

「エルフ族と同じようにその後容姿はあまり変わらなくなるがの」

「そうじゃ、年の差と言っておったが、鬼族は長寿じゃ!数十年の差は余り気にならないのじゃよ」


「でも俺は?」


「ジョー君は、同じ鬼族となるのじゃが、より上位の鬼神じゃ!」



「鬼神?」



「そうじゃ、ラムの持っていた封鍵と君の中にある儂の核により鬼神になったのじゃが、君の持つ魔力や潜在能力は底が知れん。鬼神の力に魔力暴走が加わってしまうとのう......................まっこの先の話は未だ早いわい」

「じゃからして、こうなってしまったからには力のコントロールが必ず必要なのじゃ」

「覚醒したあの時、あのまま儂がほっといたら、15時間後には、君の暴走が完全に始まっとったの」


(ああ、だからあの時あの世界で、リブレとか言ったか?盗賊女をあっちに行けって思っただけでぶっ飛ばしたのか.............暴走しかけてたのか...........ほんとうにヤバかったな)


「それでじゃ、儂は暴走しかけとる君をこの異空間に転移をさせたのじゃ」

「ただのう、力を抑制する為には鬼神の核と君の身体の29種類の元素ごと押さえつける方法でしか核を改変出来んかった、すまんのじゃ...」


「じゃからして今後もあの姿のままじゃな。うんうん........カワイイ姿じゃろ」


危ない危ない、お爺さんに鉄拳突っ込みしてしまいそうになった。


「そうだ!でも、ラムと初めて会った時は核の改変前だろ、姿は少年だったのだが、どういう事?」


「実はの、先ずは鬼人に身体を慣れさせる為に、あの世界に行った時から、徐々に鬼人化する様にしておったのじゃ」

「だから 俺の体が透けていたのか声も届かなかったし」


「ふむ、それは儂の製作過程のミスじゃな」


[ズビシ!]

はい、手刀でドタマをドツきました。


キビ爺は、涙目になりながら

「すまんかった、すまんかった」

手を合わせて謝って来た


「本当に、気をつけてくれよ」


「あの時はの、完全に想定外じゃが、ラッキーでも在ったのじゃ、別世界から来た君の中にある儂の核がラムの持っておった封鍵と共鳴したおかげで思念体になっておった君が実体化できたのじゃから」


「なぬ?ラムの封鍵が無ければ思念体のままだったと?」


「YES!」


爺さんが、今まで見せた事がない様な笑顔でサムズアップしてきた。

(お母さんお母さん、犯罪者になってしまいそうです)


「あーゴホン...封鍵により突然鬼神の力が解放されたのじゃ、身体が驚き核を抑え込もうとしたのじゃろ、したがって儂の改変と同じ様な効果が現れたのじゃな.........まあ、あそこ迄耐えておったのは流石じゃ」

「その後は、先に話したとおりじゃよ」

「もし俺が、コントロール出来ずに暴走したまま鬼神になっていたら?」

「想像したくはないが、儂らの世界の種族が大幅に減るじゃろな」

「マジでか!そんなトリッキーな力俺に扱えるんかいな?」

「まっそーゆー訳でじゃ君は、あの姿で大人の様なものじゃよ」

「まぁ、魔力の放出量に応じて、身体の大きさは変わるがの」

「何だ、その特異体質は!キビ爺さん?は、以前どうしてた?」

「ん?いや.......................きっ君と同じじゃよ」

(ん?小声で何言ってるか分からん)


明らかに、態度がおかしい、ジト目をむけたが、目を逸らされてしまった。


「そうじゃそうじゃ儂は、幼少の頃より魔力コントロールを叩き込まれて来たからの」

何故か、威張り出した。


まあ色々聞けたしこれ以上つっこむのをやめた。



「そろそろ、儂らの世界に行こうかの?なぁに、ラムがジョー君を導いてくれる筈じゃ」


「あっちょ、待って、また会えますか?」


「どうかのう.............」


とても優しい笑顔だった。

すぐ後でイタズラっ子の様な表情で、ウインクをした。


すると、明かりは消え真っ暗な世界になり。



深ーい深ーい穴にゆっくりとおちていった。



そして、俺は気持ちよ〜〜〜く眠りに就いた。

読んで下さり、ありがとうございました。

次回も宜しくお願いします。

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