2回戦その③だね
宜しくお願いします。
ツドラと試合をしたウンは半身を焼かれ炭化してしまっていた。
一命は取り止めたのだが、自分の足で歩く事が出来ない身体になってしまったのだ。
デとトロワの試合は、接戦の末トロワが勝ち残った。
トロワご最後の最後に放った魔法は外れたのだが裏をかいてデはデコイを作りその影に潜んでいたのだが、運悪く外れた魔法をモロに食らって戦闘不能となった。
親衛隊ワンドラ対ブランの試合はワンドラの一方的な蹂躙劇に見えていた。
防戦一方のブランだったが、ワンドラの溜めの無い素早い攻撃に徐々にではあるが追いついてきていた。
永遠にも続くかと思われた、連打もブランの放った死角から飛んでくるアッパーを紙一重で交わしたワンドラが後ろへ飛び距離をとったのだ。
「お主、中々楽しませてくれる」
「そりゃどおも!」
今度はブランがワンドラに仕掛けた。
しかし、ワンドラは翼を広げ空へ飛んだのだ。
「甘いわ、人間」
「飛ばれちゃどうしようも無いってか」
ワンドラは太陽を背にブランへ飛びかかった。
( 気配でバレバレだっつうの )
ワンドラが飛んでくるであろう場所に拳を打ち込む。
[ ドカッ ]
打撃音が響き、一人が飛ばされサークルの結界に叩きつけられた。
「ごはぁっ」
防御が間に合わず、血を吐くブラン
「ちっ、何が起こった」
「かっかっかぁ、シロートめ!タイミングが合わなかったか?どうだ、そうだろう」
「全く、厄介だな」
「我ら種族が最も得意とする戦法よ」
「なるほど、勉強になる」
「まぁ、次で終わりだがな、ニ・ン・ゲ・ン・」
今度は超低空飛行でブランに襲いかかった。
ブランも認識阻害をされていると直感で感じたが対策までは思い付かなかった。飛び込んでくるワンドラを回避する事に集中した。
しかし
ワンドラを避けたつもりが目の前に現れブランの視界には爬虫類特有のボコボコとした質感のデカイ拳が
[ ゴンッ ]
鈍い音が響く
ブランは意識が飛びかけたのだ。
地に両手をつき、何とか立ち上がるがフラフラと足元がおぼつかない。
( やべえ、コイツマジで強い )
初めて味わう激痛そしてあらためて痛感する人族の持つ肉体の弱さを
「いやいや、ブランと言ったか?人間にしては素晴らしい肉体の持ち主って事か」
頭の中で、ガンガン、ガンガン、ガンガンとけたたましい音が響いている為、ワンドラの言葉は聞こえていなかった。
「まぁ、弱者を痛ぶるのは趣味では無いのでな、ソロソロ終いにしようではないか」
ブランの首を掴み大きく振りかぶって地面に叩き落とした。
会場では悲鳴にも似た声が聞こえたが、すでにガッツポーズを決めたワンドラが観客席へアピールしていた。
「こぉ〜らぁあああああ、遊んでないで真面目にやれぇ!」
( げっキュラか.....真面目にって....俺は本気も本気大真面目だ!....大真面目?)
「そうか、そうだった」
「ん?ブランとやら、まだ動けるとは感心感心」
ブランは掌で自分の頬を二度叩いた。
「目が覚めたよ」
「負け惜しみか?」
「アンタは強い、俺は平和ボケしちまってたみたいだ」
「言ってる意味がわからん」
「まぁこっちの話だ」
「リミッターを外させてもらう」
「ああ、かかって来い」
( さぁてと、亜空間でも無いこの世界で初めてだな )
ジンは闘気を纏い出した。
赤から青そして黒いオーラに包まれたのだがその黒いオーラを掻き消す様に白いオーラが立ちのぼった。
「おっお前は...「どっせぇええええい!」
ワンドラの言葉を遮り縮地をと言うより瞬間移動としか見えない動きで懐に入り、ブランの正拳突きが放たれた。空手のお手本の様な正拳突きだ。
白い光と共にサークルの結界も霧散しワンドラは胸の中心部を陥没させて吹き飛んだのだ。
闘技場をぶち抜き、場外へ飛び出してしまった。
貴賓席ではジョーやエレファン獣王そしてレオン前国王そして一部の実力者達は、驚愕の表情でブランとワンドラが闘っていたサークルを見下ろしていた。
「やば、やり過ぎたか」
ブランは慌てて闘技場に大穴を開けたその穴に向かって又瞬間移動の様な動きで外へ逃げ出したのだ。
「バカな、消えた、だと」
「おおっと、コレは予想外ワンドラ選手もブラン選手も居なくなってしまった」
ざわつく会場は、大穴から警備兵が入って来るのを見た途端静まりかえった。
ワンドラが警備兵の3人に連れられて運び込まれたのだった。
ワンドラは完全に気を失っており、胸の陥没した跡が痛々しく残っていた。
しかし、腰のベルト部分に何やら小瓶が3個挟んであった。
その小瓶は回復薬そして手紙が挟まっておりそこには、『気付きをありがとう、そして加減を間違えちまった、悪い』とだけ書かれていたのだった。
司会者も何故サークルの結界が消失したのかのコメントは無く、ワンドラが一命を取りとめた事の報告をしたのだった。
ジョー・タカオカは再度サークルに結界を張り大会は再開したのだった。
◇
ジンはと言うと、索敵を使い近くに誰もいないのを確認して、仮面を外し、いそいそと着替えそして落ち着くためにお茶屋さんへ向かった。
[ カラララン ]
3人がけの小さな丸テーブルに腰を下ろし、一息ついたのだ。
「ふぅ〜」
自分の手を握ったり開いたりしながら自分の力を再確認していた。
[ カラララン ]
「もう、勝手に一人でお茶屋さんに入るなんて」
「キュラ、よく分かったな」
「えへへへ、それは当たり前です」
「ありがとう」
「何を頼んだの?」
「あっまだオーダーしてなかった」
二人はハーブティーを頼んだのだった。
「ジン、終わっちゃったね」
「ああ、でも収穫はあったよ」
「力の解放の事?」
「おっ、流石だね」
「だってジンたら力を抑え込み過ぎて解放の仕方を忘れてたでしょ」
「ああ、俺の思い込みでここまでって勝手に線引きしてたよ」
「亜空間はこの世界と全く違う所だから解放しても問題無いのだろうけど、この世での解放はたまにやらなきゃ、いざって時にジンの身体が壊れちゃうんだよ」
「そうなの?」
「それだけ今の身体、肉体の組織が弱いってこと」
「キュラ、難しい言葉を知ってるんだな」
「ジンに怪我して欲しく無いから、私も勉強してるの」
「ありがとう」
「うん、よろしい」
「あっ!だからかあの異世界から来たあの、勇者とか言ってた奴らとの交戦を避けたのか?」
「えへっ、バレた?」
「しかし、あの時のキュラの怯えようは驚いたよ」
「だってあの時、今日以上に力を解放する事になると思ったの、しかも全力なんか使おうものならジンの身体はバラバラになってたよ」
「怖っ、本当に?」
「きっとね」
「キュラ、止めてくれてありがとう」
「うん、私を一人にしないでね」
「ああ、約束だ」
読んで下さり、ありがとうございました。
次回も宜しくお願いします。




