2回戦その②だね
宜しくお願いします。
2回戦が始まり、サムとエイトの試合で盛り上がりを見せた直後にも別会場では一際大きな歓声が沸いていた。
「へぇ、外は凄い盛り上がりだな」
ジンは選手の控え室で軽くストレッチをしながら次の試合に向け念入りに身体をほぐしていた。
「よお、オマエ人族なのか?」
「ん? ああ、アンタか」
「ワンドラだ。本当に人族なのか?」
「まあ、そうだが」(その質問何度目だよ....)
「へぇ、人族にもオマエらみたいな奴も居るんだな」
「どう言う意味なんだ?」
「ハハハハッ、人族にしてはまぁまぁやるって褒めてんだよ」
「そりゃどうも」
「他種属との混血か?何処の出身なんだよ」
「俺はあんたと友人になったつもりはないが?」 ( 何だか、馴れ馴れしい奴だな... )
「......そうか、まぁ今回はお祭りだからな殺し合いじゃあ無い。お互いベストを尽くそう」
「ああ」
ジンは控え室から外に出て盛り上がっている試合を観戦する事にした。
ジンが観戦を始めるとまさかの笑い声が響いていたのだ。
その会場は赤マントと鬼人ササの闘いだった。
「なんとぉ、この様な光景を誰が想像したのでしょうか?」
開始早々にササは無敵の赤マントを結界に閉じ込めてしまったのだ。
「くっそぉ、出せコラァ!」
「貴方は猪か何かですか?真っ直ぐ飛び込む事しかできないなんて...アホらし....」 両手を上げ呆れたポーズをとるササがいた。
「お前ってマジでムカつくな!何なんだよ、闘わねぇのかよ」
「ふぅ....仕方が無いですね....」
ササは結界を解除させたのだ。
「だぁっははははははは、オマエ死んだわ!ゼッテェ死んだわ!」
仮面を被っていても分かるくらいに高揚していた。
飛び込む赤マントは一直線にササの元へ。
[ ゴキンッ! ]
鈍い音が響く。
「いってぇ〜〜っ」
又アッサリと結界に閉じ込められた赤マント.....
「貴方は..........知能があるのですか?」
「んだとぉ! こらぁ!」
「そうやって唸るだけだなんて、まるで知性の無い魔獣ですね」
「テメェ、ふざけてんのか!....いや、アチ、オレが怖えのか?逃げてんだろ」
「なっ!逃げって....貴方状況を理解していますか?」
「今貴方の生殺与奪権は私が握っているのですよ」
「何だよその、盛大な大盛り券ってぇのは」
「はぁ〜、貴方には言葉も通じないのですね」
「ほぉ〜ら」
又々、ササは結界を更に解除したのだ。
「へへっ!アチ、オレの罠にハマりやがったな!」
赤マントは地面を蹴り付ける事で、砕き、砕いた破片をササへ向かって蹴り付けた。
その見事な足捌きに歓声が上がる。
ササは一瞬で砂塵に埋もれ見えなくなったのだ。
「へへ、どぉ〜よ!」
「カッキィ〜ゾ、赤マントぉ」
「すっすげぇな....」
「アタシ、見逃しちゃったわよ」
等と、歓声が上がった。
砂塵が晴れてくると....
そこには、三体の可愛らしい熊の人形が立ちはだかっていた。
「ふぅ、驚きましたよ」
「おおっと、ササ選手何やら使い魔を呼び出したのか、何と無傷だぁ」
「なっなっなんだそりゃあ」
「ははは、僕の可愛い守護天使達ですよ」
「天使って、ぬいぐるみじゃねぇ〜か! カワイイけど....」
ササが召喚させた3体の熊はササを護るように立ち並び結界を展開していたのだった。
「私は魔法が苦手でしてね、敬愛なるデメララ様より賜ったこの愛らしいゴーレム凄いでしょう」
「へっへぇ〜 その結界から出て来ねぇ気かよ」
「いえいえ、私は魔法が苦手と言ったでしょう、身体強化するのに時間が掛かるんですよ」
「その時間稼ぎも終わりです、ソロソロ行きますよ」
「へへ、そお来なくっちゃな」
ササは右手の薬指にはめている指輪をかざすと3体のゴーレムは消えたのだ。
「セイッ」
ササは縮地を使い赤マントの懐へ入り肘を鳩尾へめり込ませたのだ。
「グホォッ」
前屈みに蹲る赤マント。
ササは更に顎へ向けて膝を蹴り上げる。
[ ゴキッ ]
赤マントの顎が砕ける音が響き身体は伸びきって浮き上がった。
[ ズドンッ ]
伸びきった身体の中心部、心臓部へハートブレイクショットを決めた。
赤マントは、糸の切れた人形のように飛ばされてサークルの結界まで転がっていった。
ササは勝ちを確信したのか、両腕を上げて観客へとアピールをした。
歓声が巻き起こり、実況やレフェリーの声はかき消されていた。
[ ガンッ ]
激しい鈍痛を感じたササは2メートル程飛ばされた。
「なっ」
振り返ると、赤マントが立っており今まさにササの頭を殴りつけていたのだ。
「何故動けるんです」
ササは赤マントの胸に視線を向けて、納得したのか、
「へぇ、ドラゴンアーマーですか」
「あひはひきいはへ」
「顎は砕けたままですね」
「ひひふふは」
フラフラと動き出した赤マントは、闘気を纏いより赤く輝きだしたのだ。
身体が一回り大きくなり、全身から放たれる威圧は観客達を黙らせた。
[ ズドンッ ]
地響きと共に姿が消えた。
「またですか」
ササは結界を展開した。
しかし
[ バリンッ ]
一瞬赤マントを閉じ込めた結界はガラス細工の様に粉々に砕け足止めにすらならなかった。
[ ドカンッ ]
赤マントの渾身の一振りがササの胸に突き刺さった。
そこはまさに、心臓の位置。ハートブレイクショットがモロに決まったのだ。
ササは、目を見開き驚いた表情のまま力なくふわりと地面に倒れたのだ。
「おい、あの倒れ方やばくないか?」
「ああ、死んじまったんじゃあ....」
「ママァ、ママァ、あのおじちゃん大丈夫なの?」
「どっとうかしらね....」
会場中が動揺した。
レフェリーがササに近寄りササの顔を覗き込み、顔を左右に振って手を振り、ササの試合続行不能を告げた。
「勝者、無敵の赤マントぉおおおおおお」
大歓声の中、哀れ顎を砕かれた赤マントは無言でサークルを後にしたのだ。
4箇所あるサークル内の試合が全て終わり、2回戦の残り8名の試合が始まった。
親衛隊ワンドラ対ブラン、ウン対親衛隊ツドラ、デ対トロワ、シルバーストーム対カトル
注目度されたカードはウィッチ同士の試合だった。
デ選手対トロワ選手の戦いは熾烈さを極めていた。
デが詠唱を唱え始めるとトロワが発動前にキャンセルし、トロワが詠唱を始めるとデもキャンセルさせてしまう。
詠唱が中々唱えられないのが分かると、今度はマジックアイテムを使用して即効性のある魔法に切り替えるが、お互い手の内を知り尽くした中なのか、異常なまでに濃度の濃い魔力が飛び出すのだが、ぶつかり合う度に霧散してしまう。
お互い全く引かずに打ち合う魔法戦は飛び交う色とりどりの光線と共に観衆を巻き込み魅了していった。
一段と大きな光線が破裂した後だった。
別の会場で勝負が決まった様だった。
ツドラ対ウンの試合だ。
ツドラ選手は魔法の耐性が高くウン選手の魔法攻撃では傷一つ付ける事が出来ずに完敗。
ウン選手が倒れた時被っていたフードが外れて素顔が露わになったのだ。
金髪が艶やかな色白の絶世の美少女であり、ツドラは放心状態となった。
「なっなっ何ですと! 女性でしたか.....」
その時、ツドラも被っていた仮面の紐が切れてしまい...ツドラがドラゴニュートとバレてしまったのだ。
誇り高きドラゴンの血を継ぐドラゴニュートそして圧倒的な実力差があるにもかかわらず拳で殴って気絶させてしまって事実は隠しようもなく、会場はツドラへのブーイングの嵐が吹き荒れたのだ。
そして、レフェリーから勝利宣言を受けると、ツドラは無言で会場を後にした。
「あれれれ?あの人って............ジンに伝えなきゃ」
読んで下さり、ありがとうございました。
次回も宜しくお願いします。




