2回戦その①だね
宜しくお願いします。
黒い燕尾服を着た紳士が壇上に立ち両手を広げ
「さぁ、グループ毎の勝者も決まり、まもなく二回戦が始まります」
「今年も残念ながら棄権者が数名出てしまいました.....去年よりは減りましたが、大変残念な事です」
「ただし!今回勝ち残った選手を見れば、実は英断だったのかもしれません。それ程までに今年の選手のレベルは高く本当に素晴らしい」
「それではご紹介いたします」
「Bグループを勝ち抜いた肉食獣の獣人"ベンガール2世"選手!その強靭な肉体は他を寄せ付けませんでした」
「EとFグループを勝ち抜いたのは鬼人のお二人で、やはり持って生まれた天性なのでしょう勝ち上がって当たり前とでも言わんばかりの余裕の態度です。Eグループ勝者"50"選手、Fグループ勝者"36"選手と何故か番号での登録です」
「Gグループの参加者全員を瞬殺してしまった"超無敵の赤マント"選手」
「Hグループ勝者"親衛隊ワンドラ"選手攻守バランスの取れたテクニシャン」
「Iグループ勝者"ウン"選手強力な魔法は見応えがありました」
「Jグループ勝者"デ"選手この方もウィッチとの事ですが実力は計り知れません」
「Kグループ勝者冒険者の"シルバーストーム"選手仮面をつけても伝わる闘志は本物の証次の試合が楽しみです」
「Mグループ勝者"アサイー"選手微笑みながら参加者全員を蹂躙していく様はまさに闘神そのものです」
「Nグループ勝者"フェ"選手あまりの美しさにファンクラブができてしまっている様です」
「O Pグループを勝ち抜いたのはまたまた鬼人のお二人です。Oグループ勝者"8"選手短剣を使ったあの技はカオカ様も注目しているようです」
「Pグループ勝者"33番"選手控え目ながら確実に相手を倒していくキレッキレの動きはダンスのようです。ここに入ってきた情報によると、名前を番号で書くのが鬼人の間で流行っているそうです」
「Qグループ勝者"ブラン"選手はっきり言って実力は未知数です。ラッキーだったのか実力だったのかは二回戦でわかります」
( 何だよ、コイツも観てなかったのかよ....... )
「Rグループ勝者"親衛隊ツドラ"選手、今回親衛隊と名乗る選手は2名いますがツドラ選手も攻守のバランスが良くやはりテクニシャン」
「Sグループ勝者"トロワ"選手Tグループ勝者"カトル"選手が残りましたお二人もウィッチであり、その実力は計り知れません」
「さあ、16名の猛者達の紹介も終わり、間も無く二回戦を始めたいと思います」
闘技場は歓声に包まれた。
試合の組み合わせは、闘技場の上に映し出されたのだ。
[ ベンガール2世対アサイー、50対フェ、36対8、無敵の赤マント対33、親衛隊ワンドラ対ブラン、ウン対親衛隊ツドラ、デ対トロワ、シルバーストーム対カトル ]
ベンガール2世とアサイーがサークルの中へ入り軽く腕を振るだけで、闘技場が声援で揺れる。
4つのサークルにそれぞれ選手が入ると、レフェリーがいるのだが、デメララが作り出したゴーレムだった。
開始の合図と共に、試合は始まった。
ベンガール2世とアサイーの試合
ベンガール2世は生まれ持った身体の能力が元々高いのだが、更に魔法で強化してアサイーに襲いかかる。
しかしアサイーは避けようともせずにそのまま打撃を受ける。
アサイーは頬を少し染めてとても楽しんでいるかの様だった。
「おい!デカ女俺は女をいたぶる趣味はネェんだ」
「うふふ、うふふ、うふふふふ」
「気持ちの悪い奴だ」
「だがよぉ、次で終わりだ」
「あら、次は全力なのかしら?」
「はっ、全力出したらお前を殺しちまう」
「あらあら、その一撃で倒せなかった時の言い訳?」
「テメェ....」
「私の一撃を受け切ったら、貴方の全力を受けてあげるわ」
「なっ!なんだとぉ」
「怖い?」
「おもしれえじゃねぇか、やってやるよ」
「うふふ、流石だわ2世♡」
「では、行くわね♡」
アサイーは自分の巨体を屈め闘気を込めていく。
全身から放たれる闘気で上昇気流が生まれ、砂や落ち葉を巻き上げていく。
「へえ、やるじゃねぇかよ」
「ざあ、いぐわよぐぉわぁああああああ」
愛らしい顔が真っ赤に染まり、かなり怖い顔に......
大振りの回し蹴りが放たれる。
ベンガール2世は衝撃に備え呼吸を止め闘気を全身に纏い己の肉体を鋼に変える。
しかし
アサイーの回し蹴りは空を切る。
ただし回転は止まらず2回転目に入る。
ベンガール2世は更に防御姿勢になる。
アサイーの蹴りはまた空を切り加速していく.....
3回・4回・5回転と回り続けた。不規則に動く駒の様に......
7回転目に入った時....
「ぶはぁああああ 息が続かねぇよ」
ベンガール2世の鉄壁防御が崩れた。
「どぉっせぇえええええええええい!」
アサイーの回し蹴りがベンガール2世をくの字にさせ、内臓が潰れる様な音と共にぶっ飛ばされたのだ。
サークルの壁はカオカがほぼ全力で張った結界なのだが......
ベンガール2世はピンボールの様に結界にブチ当たる毎に結界が軋む....
すでに7往復はしたであろうベンガール2世は土埃を巻き上げながらやっと止まったのだ。
「うふふ、どう?」
「あがっあがががが.......」
「おお〜っと、ベンガール2世選手顎が砕けたのか?喋れなぁあああい」
満身創痍になった?ペンガール2世はゆっくりと身体を起こし....
[ ゴキンッ!]
無理に外れた顎をはめ込むベンガール2世
「おっどろいたぜぇ〜」
「なっ!何で喋れるのよ」
「はっ!仕方がねぇなぁ.....まぁ教えてやるよ、ぶっ飛ばされて壁に打ち付けられた時は流石に意識がぶっ飛んだぜぇ」
「しっかしよぉ、女ぁ甘いぜぇ、敵をあんなに飛ばしたまんまにしちまったら、何かしらの対策する時間を与えちまうだろうが!だからよぉ一瞬で殺るんだ」
「こぉんな風になぁっ!」
ベンガール2世はアサイーとの距離を一気に詰め、アサイーの顎先を擦る様なパンチを繰り出した。
アサイーは白目を剥きその場で崩れ落ちたのだ。
「まぁ、確認はいらねぇよな」
「しょっ勝者!ベンガール2世ぇえええい!」
観客席からはおしみのない拍手が送られたのだ。
ベンガール2世は意識を失ったアサイーを軽々と持ち上げお姫様抱っこをしながらサークルを後にした。
50選手とフェ選手の試合だ。
鬼人であるゴレとエルフのフェでは普通に考えればエルフが不利なのだが、鍛え込まれた肉体に魔法も得意なエルフ。身体強化することにより鬼人と互角以上の闘いが可能となったのだ。サークルの中央でガッチリと組み合って力比べをすれば、お互いピクリとも動かない。持久力はエルフが少し上回っているようで鬼人が押されだした。
観客席からはフェコールが響く。
事闘いにおいては、手数の多さ技のキレは明らかに鬼人が優勢だった。
しかし......
「おい!何で笑ってやがんだ?」
激しいパンチを繰り出すゴレ
「はぁあああん♡」全てを身体で受け止めるフェ
「遊んでんのか?」
「あはぁははははは。 鬼人の力はそんなものなのか?」
「マジで殺ってやる!」
鬼人は遂にキレてしまった。
美形だったエルフの面影は無くなり、顔はパンパンに腫れ上がり、鼻血を出し目蓋も切っているのにもかかわらずに、笑いながら打ってこいと責め立ててくるのだ。
鬼人も正気ではいられなくなったのだ。
闘気を纏うと、緑色の光を放ち出し髪の毛が逆立った。大気が震えて砂塵が舞うと視界も悪くなった。
フェに向かい渾身の一撃を打ち下ろした。
[ ゴキャッ・・・メシャッ ]
砂塵が晴れていくと、ゴレの背中が見えてくる。
「決着かぁあああ」 司会者が叫ぶ。
更に視界が開けていくと...
[ ドサリ ]
鬼人はピクリとも動かず背中から倒れ込んだ。顔の中心部を陥没させて、白目を剥いていたのだった。
「おおっとぉ!コレわぁああ、フェ選手が勝利をもぎとったぁあああああ・・・何て事だぁああ大番狂わせが起きましたぁああああ」
フラフラになりながらも何とか立っていられる状態のフェではあったが、レフェリーのゴーレムに腕をかかげあげられると満面の笑みで両手を振った。
観客からは称賛の声が多く聞こえたが、中にはドン引きしている女性も多く見られた試合だった。
36と8の闘いは開始の合図から僅か15秒でサムは崩れ落ちたのだ。
8の居合い抜きの様な太刀筋で決着した。
サムは地面に転がりピクリとも動かない。
レフェリーは即座にサムの近くに行き様子を伺っていた。だがエイトは勝利を確信してサークルの壁へと歩き出したのだ。
普通に歩いていたエイトが突然横に飛ばされたのだ。
「ちっ!浅かったか.......」
「サム、お前ぇえええ」
「おい、エイトぉ 残心だ、残心 レオン様に教わったろぉが」
「ちぃっ!」
エイトは腰の短剣を抜き、サムとの距離を縮地を使って詰め寄る。
エイトは絶妙なタイミングで短剣を振り抜きサムの腰から左腕を切り裂いた。
サムの切断された左腕が宙を舞い空高く飛ばされた。
しかし、飛ばされた腕もサムも陽炎の様に霧散したのだ。
エイトは左右を見ながら警戒したが、エイトの背後にサムが現れ羽交い締めをされてしまったのだ。
もがくエイトだが...
「ブワァハハハハハハハハ、無駄無駄ぁ」
「エイトの筋力じゃあ外せねぇよ」
「くっそぉおおおお」
「エイトぉ、何度も何度もお前と闘ってきて、癖や弱点は知り尽くしてんぜ」
「サム、お前のあの消える技は何だ」
「ああ、あれは最近できるようになったんだよ、だから知らなかったろ」ニヤニヤ
「ああ、やられたよ」
「ん?お前のナイフは?落としたのか?」
「ふっ...」
[ サクッ ]
「うぎょよよよよわぁあああああああああああああああああああああああああああああかかああかかああ」
「いってぇえええええええええええええええええ」
サムの左肩には先程エイトが手にしていたナイフが刺さっていたのだ。
組み合う前にナイフに不可視の魔法を付与して上空に投げていたようだ。
「俺は、お前のその異常なまでの痛がりをよく知ってるしな、それに今している羽交い締めは俺に誘導されてたんだよ」
「くっそぉ....つぅか、痛ぇ....」
「さぁて、ここからはしっかりとコロ...........仕留めさせて貰おうかぁ」
「へっ?...........................」
「えっとぉ......あのぉ、レフェリーさん......ボッボク棄権しちゃいます......」
「はあ?」
「エイトってマジ悪魔なんだもん........」
「エイトぉ、ごめんね、ホントにぃごめんねぇ〜」
「許さん」
「いやぁあああああああああああああああああああ」
自慢のマントが紅に染まり試合終了となった。
「勝者ぁ、鬼人のエイトぉおお」
流石は草食といえども獣人の国だけあり、闘技会が大好物なのだろう観客のボルテージは天井知らずで盛り上がっていった。
読んで下さり、ありがとうございました。
次回も宜しくお願いします。




