慰霊祭当日だね
宜しくお願いします。
チュン、チュン、チチチチチチ、チュン、チュン
「ジン....おきて....おきて...ねぇ....」
「ん?.....キュラ....なっ何だ?もう朝か?」
「うん、そだよ〜」
目をこするジンへ向けダイビングをするキュラ。
「ぐふぅっ」
「キュラ、鳩尾に肘が入りましたが.....」
「気にしなぁ〜い♡」
( 俺はするんだが....)
「ねぇ、亜空間に行こぉよぉ〜」
「まっマジで....こんな朝っぱらから.............」
「うん、マジで、マジで、ねぇお願いぃ〜」
「分かった、分かったから」
ジンはベッドから這い出て大きな欠伸と共に亜空間を開きキュラと共に入って行くと....
「なっ何よこれぇ〜」
「あららら、まだ掃除出来ていなかったか.........」
「ジィ〜〜ン〜〜〜・・・」 ジト目で睨まれ
「何してたのよぉ」
「ちょっと実験かな?」
「ふぅ〜〜ん、私に秘密で?」
キュラは、ぷくっと頬を膨らませていた。
「今回の実験は少し危険かなと思って...........です」
(絶対遊んでたと思われてるなんこりゃ....)
「じゃあ、何をしていたのか ちゃんと話して!」
ジンは 何時に無く真面目な目付きで訴えてくるキュラにドキッとしたのだ。
「分かったよ、ちゃんと話すから」
ジンは、先日出会った勇者と名乗る奴らの言動や、強さそして、自分自身が以前に居た世界が実はまだ残っているのではと思いこの亜空間で以前の世界と繋がる方法を模索していた事。モヤモヤした気持ちを発散させる為に自分の分体そして怪物達と手合わせしていたのである。
「ふぅ〜ん、それで、どうだったの?」
「それなんだよな......以前には昔居た世界の風景を見ることぐらいならできていたんだけど今は何にも見る事ができなかったよ...........と言うかどうすれば良いのかすら分からなくなってたんだ」
「えっどうして?」
「う〜ん.....鬼人の時は考えるだけで何でも出来た気がするんだけど、頭の中でしっかりとイメージしないとダメっぽい」
「そんなものなの?」
「それに身体は大きくなってそれなりに筋肉もついてるけど、根本的な部分で全てが弱いんだよ」
「それは、鬼人と人族を同じに考えたらダメだよね」
「まぁそうか.....それに、俺の力だってどの程度なのかもサッパリだしね」
「それなら武闘会とかに出てみる?」
「う〜ん..........武闘会かぁ....あんまり興味が無いなぁ」
「そうなの?」
「何、その疑問は」
「だってぇ、狩りをしている時のジンはとっても楽しそうだよ」
「そうか?」
「うん♡」
「武闘会に参加すれば自分の強さもわかるでしょ?」
「まぁ......そうなのかな?」
「そだよ!私は応援しておくからっね」
「う〜〜〜ん...........考えておくよ」
「ほら、ナ・ヤ・ム・なら、コレがあるでしょ」
キュラがおもむろに取り出したのは、狐の変面だった。
「姿を隠して参加すれば良いんだよ」
「タオ&ハクでって事か」
「そゆ事」
キュラの勧めもあり少しだけ武闘会の参加に心が動くジンなのだった。
「ん?」
「どうしたの?」
「そんなに武闘会を進めるのに、あの街を壊していた連中から何で逃げたんだ?」
「えっとねぇ......あの勇者達はたぶん別格だよ、この世界の理りからかけ離れた存在みたいだし」
「理り?」
「うん、何かが変なの」
「感ってやつなのか?」
「あったりぃ〜」
「........キュラ」
「..................」
「なぁ、キュラ」
「.........なぁに?」
「俺とキュラ2人が揃えば最強だろ?」
「.........うん」
「まっ!あえて勇者に戦いを挑む気もないから安心してくれ」
「........ホント?」
「ああ、本当だよ」
「よかった、ジンは誰彼かまわずだから心配だったの」
「おい!」
キュラは顔をジンの胸に押し当てて安心した表情に変わっていた。
( そこまで警戒すべき相手なのか....つぅ〜か俺は狂戦士か何かと思われてるのか?)
亜空間を出たジンとキュラは朝食を済ませてからギルドへ向かったのだ。
ギルドでは早速ステータスの更新をしたのだが、今までのようにもてる力を隠そうとするわけでは無く今現在自分達がどれ程のものかを知るために.....
結果からすると
測定不能
王都かプエルト国にある特殊な機材ではないと測定できないとの事だった。
サバナ国のギルドに設置されている測定器は簡易型であり、能力値が高い為計測不能という事では無く、スキルを複数持った者の測定が出来なかったのだ。
「残念」
「プエルト国へ行く理由が出来たね」
「そうだな」
「でも、今日は慰霊祭だよ」
「ああ、音楽祭も観に行かなくちゃな」
「うん♡」
キュラの満面の笑みに心癒されまくるジンだった。
街は賑わい、昨日とは比べものにならないぐらいの人の数で、大通りに並んだ屋台にも人が並び、たこ焼きを買うまで20分以上待たされたのだった。
( たこ焼き.....美味いけど....この味は鮹じゃ無いよね..... )
「キュラ...この中身って.....」
「私もわかんないよ」
たこ焼き屋の店主に具の素材を聞くと、ニコニコ顔で素材を見せてくれたのだ。
がっ!
見た目がグロテスクな体長25センチ程の蜘蛛だった.....
( 聞かなきゃ良かった......... )
人だかりの中で一際大きなサイの獣人が
「おお〜〜〜い!カオカ様が闘技場に来るらしいぞ!」
「エレファン獣王もいらっしゃるらしいってよ!」
「「「「「「「「マジかぁ!」」」」」」」」
「「「「「「「「急げ!」」」」」」」」
身体のデカイ獣人の集団がこぞって闘技場へ走り出したのだ。
ジンとキュラはその波に逆らう事は出来ずに闘技場へ押し流されていったのだった。
「キュラ、無事か?」
「うん♡何だか急流下りみたいで楽しかったね」
( 流石はキュラさん、たくましい.....俺は...踏み潰されそうになって怖かったんですがね)
闘技場に連れて来られてしまったのでしかたなく入場門をくぐり客席へと座ったのだった。
何人収容出来るかは不明だがジンの記憶にあったサバナ国の闘技場と比べると軽く3倍は巨大になって設備も充実していた。
「何だこりゃスゲェな!」
「とぉっても大きいね」
絵描き、吟遊詩人などもいて楽しませてくれる。
一番驚いたのは、トイレが清潔に保たれ水洗の様になっていた事だった。
ホットドッグを売りに来た可愛らしい兎人の娘が場内を回っていた。
ジンは懐かしさを感じながら、ホットドッグを五個購入。受け渡しに来た兎人の娘からジンが受け取ろうと席を立つ。
たまたま通りかかった人と兎人の娘がぶつかり手に持っていたケチャップたっぷりのホットドッグをジンの胸にぶちまけてしまったのだ。
「きゃっ!」
「おっとぉ、大丈夫だよ」
ホットドックをブチ撒いた兎人の娘は目を固く閉じて震えていた。暫くして娘は恐る恐る頭を上げて目を開くと...
「えっ?ウソ......ピョン」
「はぁあ?ピョン?」
「あっ!」 慌てて口を塞ぐ兎人の娘
何事も無かった様にホットドッグを、受け取っていたジンが目の前にいたのだった。
まるでマジックでも見るように目をパチパチさせながら。
「なっ何で????あっごめんなさい」
「本当に気にしなくて良いよ」
「あっあっありがとうございました」
料金を受け取り、そそくさとその場を後にした。
どこからか熱い視線を感じるジンだったのだが、その視線の先を追うと....キュラさんの目が笑っていない氷のような笑顔が......................コワイ............
どうやら、遊廓の兎人は語尾にピョンを、つける者が多いらしい.....
キュラとジンはホットドッグを食べながら、カオカ様の登場を待つこと30分。
[ ピュルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルル ]
どこからとも無く聴こえてくる風切音と共に、真っ赤な炎の玉が降り注ぐ。
小さな炎は客席にも降り注ぎ、場は一時騒然となったが、とうやら幻で出来た火の玉だったようだ。
一際大きな炎は闘技場の中心に落ち地響きと共に炎は霧散した。
そこには真っ赤な竜が現れ翼で何かを大事そうに包んでいる姿がとても印象的だった。
[ バサァアアアアア ]
大きな翼を広げると燃える様な真っ赤な髪の青年が立っていた。
「うぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおカオカさまぁああああああああああああああ」
カオカの登場だった。
「「「「「「カオカ〜〜」」」」」」
「「「「「「カオカ〜〜」」」」」」
「「「「「「カオカ〜〜」」」」」」
「「「「「「カオカ〜〜」」」」」」
読んで下さり、ありがとうございました。
次回も宜しくお願いします。




