ココは何処?だね
宜しくお願いします。
チュン、チュン、チチチチチチ、チュン、チュン
朝日と共にジンが目を覚ますと...何やらテンションの高いキュラがベッドの上でピョンピョンと跳ねていた。
「ジン、やっと起きた!亜空間へ行こ!」
「マジ?今起きたばかりなのに?」
「修練、しゅうれん!お・ね・が〜〜い♡」
目をキラッキラさせているキュラの頼みを断る術を持ち合わせていない俺は少し引き攣った笑顔を見せつつ顔だけ洗ってから亜空間へキュラと共に包まれていった。
(ここまで亜空間に行きたがるなんて珍しいよな.....)
この亜空間も殺風景だった空間に少しづつ手を加えていたので、快適になったのだ。しかし亜空間の時間の流れは同じでは無く、しかも不安定でありおおよそ亜空間の1時間は元の世界の2〜5時間位の時が経過しているのを確認している。時間の流れさえコントロールが出来れば、野宿がわりに亜空間の家に泊まったりと修練以外にも使えるのだがそこまでに至っていなかった。
ジンとキュラが亜空間に降り立つと全身が黒く染まった異形の魔物2体が走り寄って来た。
2人の前までやって来た魔物はまるで主従関係が確立されているかの様に片膝をつき頭を下げていた。キュラが見様見真似で教えたのだが、それ以来守り続けており堂に行った所作になっていたのだった。
「まったく、こいつら何でこんなにも俺達に懐いたんだ?」
「怪物くんって修練相手もそうだけど、後片付けとか何でもしてくれるんだよ」
「そっそうなの....まぁそういえばキレイだな....」
(こんな異形の魔物が掃除をしている姿....シュールすぎる.......)
「さてと、いつも通り組み手か?」
「う〜ん・・・もっと実戦的な....」
「実戦?」
(キュラさん、何と戦うつもりなの?)
「キュラに任せるよ」
「はぁ〜い」
笑みを浮かべながら何やら物騒な獲物を取り出して四方に設置して異形の魔物と向かい合うのだった。
「さぁ、はじめましょ」
ルールは簡単、体術や魔法のみで戦っても良し、四方に置いた道具を利用しても良し。相手を戦闘不能にした方が勝ち。
先ずはキュラ対魔物1体での本気バトルの開始である。
「クゥカカカカカカカカカ」
魔物は、奇声を発して魔力を放出し青紫の靄が掛かる。
「いっくよぉ」
キュラは右手に白い光を収束させて細長い光の針を投げつける。
魔物は靄をより色濃くさせたかと思うと、キュラの針の軌道を難なく曲げて地面に突き刺す。
少し驚いた顔をしたキュラは魔物との距離を踏み込みで一気に詰め寄る。
「おりゃぁあああ」
キュラは拳を振り下ろした。
青紫の靄は霧散したが、魔物の姿は消えていた。
キョロキョロと辺りを見回すキュラは魔物を見失ってしまった様だ。
キュラを囲んで地面から青紫の靄が又発生。
同時に四方に置いた道具の一つである斧が回転しながらキュラめがけて投げつけられた。
(身体のデカさに似合わず素早いな!)
青紫の靄に包まれているキュラは視覚を奪われている為回避がまにあわない。
青紫の靄に高速で回転する斧か飛び込み靄が薄くなった所にキュラの服の一部が一瞬見えたのだ。斧はキュラを完全に捉えた。
[ バチンッ!]
斧が回転をやめ柄が靄の中で浮いている。
靄が晴れていくと両手で斧を挟む様にして止めているキュラの姿があった。
両手を斧から離すと掌で押さえていた部分が砂の様にパラパラと崩れ斧として役目を終えた鉄屑とかしたのだ。
「へへへ、やるじゃない」
「クゥカッカカ」
(驚いているっぽい感じだけど表情が分からん。キュラ相手に結構頑張ってるな)
一言発したキュラは姿が一瞬ブレだかと思うとその場から消えた。
[ ドゴン ]
魔物は両手でキュラの拳を受け止めた。
(マジか!キュラのあの攻撃を止められんのかよ!)
しかし押さえきれずに自分の手の甲が魔物の顔にめり込み吹き飛ばされた。
「良くキュラのスピードについて行けるよな」
飛ばされた先に青紫の靄を展開してからキュラに向き合った。
「まだまだ行くよぉ〜」
(キュラ、すぐに畳み掛けなければ相手に反撃の隙を与えてしまうぞ.....)
「クゥカカ」
飛び込んで来るキュラに対して魔物は地面を足で踏み叩く。
[ ドンッ ]
地面は盛り上がりキュラの突進を阻む。
「なんのぉ! えいっ!」
盛り上がった石壁をキュラは渾身の蹴りで打ち砕く。
「クゥケェエエエエエエエエエエエエエエ・・・」
あきらかに動揺している魔物は砕かれた石壁が弾丸の如く発射され魔物の全身に直撃したのだった。
ボコボコになった異形の魔物は完全に沈黙したのだった。
「はいっ!キュラの勝利!」
(やり過ぎの様な....気が......穴があいているようにも見えますが.......)
「やったぁ〜」
「凄く強くなったな」
「エヘッありがと♡」
(キュラさんは俺より強いと思う......)
「アドバイスって偉そうなもんじゃ無いけど、常に相手の攻撃の先を読んで残心を忘れちゃいけない」
「はぁ〜い♡」
「さてと、次は俺だね」
(こりゃ、無様は晒せないな)
2体目の魔物は赤紫色の靄を展開して同じパターンで仕掛けて来たので靄に向かって砕けた地面の残骸に炎を纏わせて投げ込んだ。
やはりその場から消えていたので、索敵で感知すると魔物は地下から反応があり、ジンは魔物がしたように地面を踏み砕いた。
「グゲェエエエエエエ」
ちょうど俺の直下を通過するつもりだったのだろう。砕いた地面にいた為に衝撃をモロに受けて2体目の魔物は堪らず地面から這い出てきた。
ふらつきながら起き上がった魔物は突如縮地をを使いジンとの距離を一気に詰める。
[ ゴガンッ! ]
魔物の一撃を顔面にモロ入った。
「おっほぉ〜痛え! でも!捕まえたぜ」
少し鼻血を出しながら魔物の腕をガッチリ掴んだのだ。
暴れる魔物は手足をバタバタと振り回してジンを襲うが、ジンは動じずに魔物を振り回して地面に叩きつけ、すかさずマウントを取り拳の連打を浴びせる。
[ ドガガガガガカガガガガガガガガガガガガッゴガッ」
完全に魔物は沈黙.....
「えええぇ〜〜、早すぎ!」
「すごぉ〜い!流石はジンだね」
「いやいや、魔物達をキュラみたいに捕まえられないから、相手からの物理攻撃を受けなきゃならないぶんリスクがあるんだよなぁ〜」
「ふぅ〜ん、そうなの?」
「ああ、しっかし、キュラは強いな」
「でしょ♡」
満面の笑みで喜ぶ姿はとてもじゃないが、完全に強さと逆行していた。
「そうそう、早く魔物を回復させないと」
「うん♡」
いつもの如く、キュラが魔物2体に回復魔法を施したのだった。
異形の魔物二体の体が淡い白い光に包まれていく。
そこまではいつも通りだったのだが.......
「何だ?今回は、上手く再生しないな、俺も手伝うか?」
「うん、お願い」
2人の回復魔法が折り重なり怪物は淡い白い光から青い光に包まれたのだ。
[ パキパキッパキパキッパキパキ ]
魔物から変な音が鳴り出したが。
暫くすると、何食わぬ顔で歩き出し、ジンとキュラの前に立ち片膝をついて忠誠を誓っている様な姿勢をとっていた。
「よしっ!問題無さそうだね」
「うん、回復が遅いから心配したよ」
( まぁ、変な音も気になったけど、いつも通りの魔物達っぽいし気にし過ぎかな?)
魔物との対戦後は、何時もの鬼ごっこをして修練は終了した。
(いやぁ〜、対戦よりもキュラとの追いかけっこがキツイ、キツ過ぎる.......)
「さてと、部屋に戻ろうか?」
「うん、そだね」
いつものように亜空間から元の世界に戻ったのだった。
「おやっ?」
「あらっ?お部屋じゃ無いの?」
宿屋に戻ったと思ったら、ジンとキュラは見渡す限り草原が広がる場所に立っていたのだ。
「ココは何処だ?」
「私も分かんなぁ〜い」
「ふむっ..........場所がズレたのかな?」
「何だか今まで居た国と違う感じだね」
「だよなぁ.......辺りには動物やら昆虫しかいない感じだしね」
「うん......それに人の気配が全く無いよ」
黄昏ていたジンとキュラは、大きな深呼吸をして。
「しかし、ココの空気は美味いな!」
「そお?」
「おれ、芝生の匂いが好きなんだよな」
「ふぅ〜ん、そうなんだぁ」
クンクンクン
「本当だぁ、良い匂い」
「だろぅ」
「ねぇねぇ、ゴロゴロしようよ」
「おっ良いね!」
緊張感の無い2人は、小一時間程芝生でまったりと過ごした後再度空間を転移して元の宿屋に戻ったのだった。
「キュラ、又来ような!」
「うん♡」
読んで下さり、ありがとうございました。
次回も宜しくお願いします。




