ジンとキュラEランクになる!だね
宜しくお願いします。
ジンは海での戦闘訓練の様な遊びを楽しみながらも、依頼の獲物が集まるポイントや生態の下調べを行いより大型で活きの良いイト魚捕獲を目指していたのだ。
そんな浜辺での滞在が3日を過ぎた頃には、俺とキュラとのボールの打ち合いや修練をする姿は、この短期間で有名になってしまったのか、観光客や遊びに訪れた者達が夜明け前より陣取る姿も見受けられる程だった。参加したがる者は何故かいないが、そこかしこでは、見様見真似でボール遊びをする人達が増えていった。
「そろそろだな」
「大きいの見つけたの?」
「ああ、俺の探知範囲内に限るけど、イト魚の生息域もおおむね調べた。 最も大きい魚体がいる場所も特定したしね」
「了解!『狩りの時間だ!』だね」
「うっうん、キュラリン頑張ろうね」
美しい夕日を眺められる頃には、砂浜に遊びに来ていた人達も数は減り、ジンとキュラはすこし火照った身体を癒すために、水着で入れる混浴露天風呂にて寛いだ。
「しっかしこの露天風呂は最っ高だな」
「うん」
日は沈み、静寂とともに辺りは暗闇に包まれ。
「さてと、 海に出よう!」
「おー!」
小舟に乗り沖に出て行ったのだ。
「ねえジン、場所は何処なの?」
「キュラに吹き飛ばされた時にイト魚の魚影を見つけた場所なんだ」
「えっ?私のおかげなの?エヘヘへ」キュラは胸を張った。
「イヤ、今のはキュラが反省するところだよ」
「なんで?」
「ボール遊びで人を吹っ飛ばしていけません」
「それわぁ、ジンだからだよぉ〜」ニヤリ
「確信犯かい!」
「話が逸れたな.....取り敢えずデカイ奴を数匹捕まえるだけにしておくからね」
「何で?私捕まえるの楽しいから沢山したい」
「キュラそれはダメなんだよ。貴重なイト魚の価値が下がるし、沢山漁れるとなるとイトッと目当てのハンターがやって来てしまい乱獲されてしまう。極端に言うと、この海からイト魚がいなくなってしまっても困るだろう?」
「うん、ここで食べられなくなるのは嫌だよ。また何時ここに来てイト魚食べようね」
「ああ、又来よう」
暫く沖へ進みジンは小舟から海を覗き込んだ。
「ソロソロだな」
「ワクワクするね」
「実は、イト魚の群れがいるポイントの更に深い場所にデカイ魚影を複数見つけたんだけど」
[ ドボン ]
「あっ」
キュラが突然海に飛び込んだのだ。
5分経過......10分経過.....15分経過......ヤバくね?
ジンが海に飛び込もうとした直後にキュラが浮かび上がって来たのだ。
(ん?イト魚とは少し見た目が違うのだが.........デッデカイ!およそ3.5メートルはあるだろう赤黒い魚体は何だか海のヌシの様な風格さえあるのだが.......)
「キュラ....いったいコイツは....」
「う〜ん、とっても美味しそうだったの....でもね暴れるから軽く小突いて大人しくさせたよ」
「うん.......偉いぞ!キュラリン」
一応、魚体が変形していない事を確認しましたよ。
ジンはその魚を直ぐにコーティングを施し小舟に括り付けた。
「さぁ、とっとと捕獲しよう」
「うん」
結局、イト魚を20匹と謎の巨大魚を繋げて戻る事となったのだ。
まだ辺りは暗く月明かりが海面に照らされてとても美しい光景に心を奪われながら船旅も良いななどと考えていると.....
「ねえ」
「ん?何だ」
「船で旅がしたいなぁ〜」
「そうだな...のんびりとな....」
「うん」
(いつか、必ず実現しような...キュラリン...)
ジンとキュラは大きな荷車に獲物を乗せて砂浜からギルドへ向かったのだった。
キュラは荷台に腰掛けながらフンフンと鼻歌を歌う姿は少し懐かしさを感じたジンだった。
(やっぱり、この感じが良いんだよな....)
「ん?どうしたの?」
「いやっ、何でもないよ.....」 (これが幸せってやつなのかな)
ジン達が運ぶ獲物には一応目立たない様に幌タイプの荷車にしたのだが......
「おっおいお前!何を運んでいるのだ」 警備をしている兵士風の人に声を掛けられた。
「討伐依頼を受けた獲物ですよ、これからギルドへ向かうところです」
「そっそうか......しかしデカイ荷車だな、中を確認させて貰うぞ」
「ええ、構わないですよ。あと一応ギルドからの討伐依頼書はこちらです」
ギルドの依頼書も警備兵に渡したのだ。
「ほぉ〜イト魚か!」
「そうです」
「ちなみに漁れたのか?」
「ええ、まぁ」
何だか疑いの眼差しで見られているのだが....
「随分と大量だったのか?」
「そこまで沢山では無いですが....」
「いやいやいや、車輪の跡を見ればすぐ分かるが、相当な重さがあるだろう」
「あっ!」 (しまったそこまで考えてなかったぁ〜)
警備兵か荷台を確認すると....
「なっなっなんじゃぁああああこりゃああああああああああああああああああああああああああああああ」
余りの驚きの声にキュラもジンも驚いたのだが、警備兵が2人駆け寄って来てしまった。
「何だ、何事だ!」
「貴様ら一体何を!」
物凄い剣幕で荷台を覗き込むと....
「「なっなっなんじゃぁああああこりゃああああああああああああああああああああああああああああ」」
2人はハモってました...
暫く放心状態になっていた警備兵達も正気をとり戻し。
「いやぁ〜、とんでも無いものを見させて貰った」
「あの?通っても?」
「ああ、構わないぞ。ちなみに君達のランクは?」
「ああ、Fですよ」
「はぁああああ?」
何だか根掘り葉掘り聞きたい感じで長くなりそうなので、さっさと通らせて貰いギルドを目指したのだが。
警備兵の1人が。
「よしっ!ついでだ私も手伝おう」
「へっ?良いのですか」
「ああ、構わんとも」
この街の人達は本当に良い人ばかりだった。
「依頼書に書いてあったが名前はジンだったか?」
「ええ、そうです」
「私はキュラだよ」
何故かキュラの顔を見るなりこの警備兵は頬を赤く染めていた。
「おっ俺はケン。まあこの格好を見れば分かると思うが、この領地の警備をしている」
「それにしても、依頼品には驚いたよ。噂は本当だったみたいだな」
「噂?」
「ああ、色々とな」
ジンとキュラが微妙な顔をしていると
「ははは、悪い噂じゃないぞ、門番をしているリュウやタイガは覚えているか?」
「あっそういう事」
「俺はタイガの幼馴染みで親友だ」
「そうだったんだ」
「驚いたか?」
「世間は狭いんですね」
「お嬢さんの話も出ていたぞ。とても美しいが酒の呑みっぷりが豪快だとな」
「ははは」
「へへっ♡」(キュラの照れ笑いもまた可愛いなぁ.....)
雑談をしながらだとギルドまではあっという間に着いてしまったのだった。
「さてと、着いたみたいだな」
「ありがとうございました」
「はっははははは、まぁ気にしないでくれ、俺もタイガ達に土産話ができた」
軽く挨拶をして別れてジン達はギルドの中へ入って行った。
[ カララン ]
ギルドに入り依頼完了の報告をした。
「よぉ、久しぶりじゃねぇか」
「ファンさん、どうもです」
「ヤッホォー」
「ははは、お嬢は相変わらず元気だな」
「さてと、依頼の品は何処だ?」
「表の荷車に、乗せてるよ」
荷車をギルドの倉庫へ回して荷台を見せると。
「この瞬間がたまらんのよな」
ファンが荷台に入り依頼品を確認する。
「こっこりゃあ、たまげた」
「結構デカイだろ?」
「ああ、こんなにデカイイト魚は初めて見たぞ。しかしイト魚も凄いが、その下に埋れてるデカイ奴だよ」
「ん?あの魚の事か?」
「ああ、ありゃあ間違いなくカンナギィだろ」
「俺達、魚に疎いんだよ」
「とりあえずはこちらで預かるけどよぉ、カンナギィは売り先を選べばとんでもない価格がつくぞ」
「マジで?」
「おうよ」
「まぁいいよ、ギルドで買い取ってくれれば」
「いいのか?」
「ああ、任すよ。そうそう一応だけどこのカンナギィの捕獲者が俺達ってのは隠しておいて欲しい」
「ああっ? 名前を売るチャンスなのにか?」
「今で、十分だから」
「分かったよ。このカンナギィの捕獲者はアルマニャック島から送られて来たとか言っておくよ」
「助かるよ」
「だがなぁ、今のFランクって訳にはいかねぇんだよなぁ....」
「ん?どゆこと?」
「まぁ、イト魚の依頼が達成した場合、とっととランクを上げろと上からの御達しがあってな」
「上?」
「まぁ俺も含めてカンテラ村のギルドマスターそしてCランク冒険者の吟風の推薦もある人物が何故未だにFランクなんだと」
「そんな事で、問題になるのか?」
「あたりめぇだ!カンテラとチェンジュのギルドは冒険者ランクを正しく評価出来ない。なんて噂がたったらこんなちっぽけなギルドに誰が来るんだよ」
「そんなもんか?」
「噂ってのはこぇ〜ぞぉおおお」
「ジン、良いんじゃない?」
「だな! わかった、宜しく頼むよ」
ステータスカードを預けて、晴れてジンとキュラは冒険者ランクがEランクになったのだ。
ついでに、自分達のカード残高を確認したのだが桁の多さに驚きお互いの顔を見合わせたのだった。
ジンとキュラはファンにお礼をのべてギルドを後にした。
「これからどうするの?」
「そうだな、アルメア国に行く必要も無くなったし、チャコの捜索もかねてプエルト国でも行ってみるか」
「プエルト国?何で?」
「エルフ領が近くにあって、たしか....聖なる木もあるんだよな」
「ふう〜ん」
「それに、ドワーフ達にも会いたいしな」
「わかったぁ」
「ははは、楽しい旅になると良いな」
「うん♡」
「あらら?地震か?」
「地面が揺れてるね」
「珍しいな」
チェンジュの街最後の夜に着替えた俺達は街に繰り出し、夕食は『キョクフ』キッカさんの所で美味しい料理を食べに行った。
席に座り、本日は肉料理を中心にオーダーをして美味しい夕食に舌鼓を打ちつつ地酒をオーダーした所で、声を掛けられた。
「よお!お二人さん」
「あっ!ファンさんだぁ」
「ファンさん、今晩は」
「おっ!酒を飲んでんのか?」
「まぁ、これからですがね」
「一緒に飲まねぇか?」
「うん、飲むぅ」
「あははははは、お嬢は本当に何時も元気が良いな!」
ギルマスのファンと一緒に飲む事になったのだ。
会話の内容は、本日達成した依頼の話になるかと思ったのだが、実際は海辺での珍事件に話は集中して、俺達かやっていたボール遊びにルールを作り娯楽として発展させたいとの事や砂で作った城が、商人達にも噂になり観光スポットになった等々・・・
遊びから地元のスポーツや観光資源になりそうな話に驚いてしまった.....まぁ酔っ払いの戯言だろうと軽く流したのだった。
レッカの救出劇には『緋き絆』の活躍をわざとらしく凄いを連発していた。会話会話の間でチラリと視線を俺達に向けるのだが、違和感しか無かった。予想だがギルマスは完全に俺達が絡んでいると疑っている様だった。
「ファンさん、変な勘ぐりを入れるならばプライベートでは会えませんよ」
「うへっ!そう来たか!分かった分かった....」
「楽しくお酒を飲みましょうよ」
「だな!」
キュラにはダークヒーローの話を沢山聞かせていたので、裏事情がある話には口が堅くなる為安心してはいるのだが......酒が入ると....ね...
ファンとの談笑は深夜まで続いたが、キュラが船を漕ぎ出したのでおひらきとなった。
「なぁ、ジンよぉお前は神族の血をひいてたりしてねぇよな」
「神族ぅ?なんだそりゃ、美味いのか?」
「だはははははは、まぁ違うわな!」
「最後にだ!お嬢を幸せにしろよ!」
「幸せだと思い続けてもらえるように!だろ?」
「分かってんじゃねぇか」
最後に握手をしてキョクフを後にした。
宿屋のタイザンへ到着して部屋へ入るとそのままベッドに飛び込み一瞬で意識を手放したのだった。
読んで下さり、ありがとうございました。
次回も宜しくお願いします。




