捨てる
リヴァ・ヒューイットは幼くして両親に育児放棄され、スラムに捨てられた。リヴァが2歳の時である。
その時のスラムのボスであったマルゴネットは、孤児のリヴァを引き取り育てる。理由はただの道楽。元来子供を育てたり家族を養ったりする人間ではなかったマルゴネットは、酒に酔いスラム内をフラフラしている際に発見した赤子を、酔った勢いのまま拾い上げた。
裕福とは縁遠い当時のスラムでは、口減らしの為に幼子を捨てる事はよくある話で、しかし何故かマルゴネットはリヴァを献身的に育てた。といっても放任主義だった為、主に側近達の間でたらい回しにされていた。しかしマルゴネットは何かにつけリヴァを気にかけ、リヴァが10歳になった頃、スラムの人間として受け入れてくれた。
その頃からリヴァはマルゴネットや側近達の手解きで銃の扱い方や戦闘の方法を覚えていく。そして幾人の人間に揉まれる中で戦術や対人の掌握術を身につけていく。
リヴァが15歳になったある日、まだ弱かったマルゴネットのスラムに、他のスラムから襲撃を受けた。
抗争は3日3晩続き、スラムの人間のほとんどを殺された。マルゴネットは相手のスラムに連れて行かれ、連日の拷問の末、死亡した。
リヴァはマルゴネットの側近数人により逃がされ、スラムから1000キロ離れた土地で一年間過ごした。リヴァはその間、義父や仲間の復讐だけ考えていた。
相手のスラムでは、マルゴネットの唯一の家族であるリヴァを探していた。マルゴネットのスラムの関係者を完全に根絶やしにするつもりだった。
リヴァはそれを逆手に取った。
3ヶ月かけ相手のスラムの内情を調べ上げ、生き残った数人の幹部達と共に、自分を探して手薄になった瞬間を狙って乗り込んだ。
数人の命が散ったが、リヴァは相手のスラムのボスの頭に鉛玉を撃ち込んだ。更に実行犯達を捕らえ、義父がされたであろう拷問を1ヶ月間与えた末、首をはねた。
それからリヴァは義父のあとを継ぎ、歴代のスラムで最も若く、初の女性のボスに君臨する。生き残った幹部のワッカと、ビンセントの父親のボールド、ヤンの両親のウー夫妻と共にスラムを大きくする。時には女の武器を使い、リヴァはやれる事は何でもやってきた。その結果、リヴァは州最大の勢力を誇るグラムセイスを造り上げた。もう敵はいない。
しかし、義父の仇を討ってから10年が経ったある日、新たな敵が現れた。
それは人間ではなかった。人間を捕食する化け物だった。
その日はリヴァが隣の州の小さなスラムに遠征に行った時だった。そのスラムはグラムセイスから旅立ったリヴァの友人が作ったスラムで、ようやく形作った記念に友人に会いに行くところだった。
数人の男を伴い、その地に着いたリヴァが見たものは、変わり果てた友人や住人と、崩壊したスラムの姿だった。それらは全て灰色の目と狂気に駆られた化け物達によるものだった。しかもその化け物達はスラムの住人達だった。
リヴァは自分のスラムにすぐさま戻り、スラムを囲むように急ピッチで塀を作らせ、周辺の街や村から大量に物資と武器を仕入れて、やがて来る脅威に備えた。事実、その脅威はすぐにグラムセイスの州にも訪れ、近隣の街や村は壊滅状態になり、来たる嵐に備えていたグラムセイスはその激流を何とか回避した。壊滅した街や村から難民が押し寄せ、そのほとんどを受け入れた。
それが一夜にして崩壊しようとしている。
悪夢だった。
「───さん! 姐さん! しっかりして下さい! 姐さん!」
体を揺すられ、リヴァは我に帰った。周囲の家屋が燃えている。側近達が周りを囲み、自分を守っている。銃撃で頭を砕かれた捕食者の山が築かれていた。それらは全て知った顔だった。グラムセイス・スラムの住人達だ。
血液と炎と臭気が蔓延する地で、あまりにも無力を掲げる自分がいる。ボスだ姐さんだとはやし立てられていたのが恥ずかしい。こんなにも動けないものなのか。
「ヘンリー! ブレンダ! トムス! 姐さんを連れていけ! 『通路』に向かうんだ!」
側近の1人が叫ぶ。男女がリヴァの手を引く。建物の裏手に回り、『通路』と呼ばれた緊急避難通路の扉を開ける。後ろから捕食者が迫る。ブレンダが拳銃を取り出し、先頭の化け物の頭を撃ち抜いた。
「ヘンリー! 姐さんを頼む!」
ブレンダがリヴァとヘンリーを通路に押し込む。
「トムス! この入口はアタシ達が守っ───」
ブレンダに捕食者がしがみつき、頭頂部に歯を突き立てた。噴いた鮮血がトムスの顔を濡らす。トムスはブレンダごと捕食者をマシンガンで蜂の巣にする。
「トムス! 無事か!」
トムスを見て走り来る数人の影がある。
「ミッシェル! マイク! ランドル! お前らも無事だったか!」
「もうここを離れよう。『武器小屋』に行って武器を調達しないと」
トムスはミッシェルにライフルを渡す。
「『通路』に姐さんがいる。ミッシェル、ランドル、後を追え! 姐さんを守れ!」
「トムス、オレ達もここを───」
「今姐さんについてるのはヘンリーしかいない。姐さんさえ生きてればスラムは死なない! 分かるか? グラムセイスを絶やしちゃダメだ!」
「……分かった。マイク、トムスを手伝ってくれ」
「任せろ。姐さんを頼んだからな」
ミッシェルとランドルは頷くと、通路に入っていった。2人が入ってすぐトムスは扉を閉め、その前に立ちふさがる。もう周りには化け物が集まり始めていた。マイクが扉に閂をかけて、ブロックを敷き詰めた。
「姐さん守りゃあ御の字だ。オレ達ゃあよくやったと褒めてもらえるからな。トムス」
「当たり前だ。やってやる」
しばらく響いた銃声の後、叫び声が2つ増えた。
狭い通路はリヴァが屈んで通るほど低い天井と人1人の幅の壁に囲まれ、薄暗い先は所々光が漏れている。家屋の下を通るように掘られた通路は、床板の隙間から砂と光が降っているのだ。
先に進むヘンリーが中継点の小部屋の戸を開けた。かび臭い空気が逃げていく。忘れられた非常食の箱と古びた毛布以外、この部屋には何もない。
先には更に扉があるが、ヘンリーはリヴァを床に座らせ、腰から拳銃を抜いて弾数を調べた。
「ここで少し様子を見ましょう。幹部達が救出にくるはずです」
「……だ」
「えっ?」
「ダメだ……外に出なきゃ……」
「ダメです姐さん! 外に出たら、武器もないのに───」
「ボスが逃げ隠れしていいわけないだろ! アタシは皆と一緒に死ぬ!」
「そんな事まかり通るわけ───
ヘンリーは拳銃をリヴァに向ける。
───ないだろ」
「ヘンリー……?」
ヘンリーの拳がリヴァの頬を叩き、リヴァは床に転がった。
「何してんだ……どういうつもりだいヘンリー」
「刺客はジュエルだけじゃねえって事だ」
「ジュエル? あの独房に入れたヤツか。そうか、アタシとした事がみすみす敵をこのスラムに住まわせていたってのか」
「牙を仕舞い込んだ雌犬を騙すなんざ、簡単な事だ。じゃあな、リヴァ」
ヘンリーが引き金を引くより早くその額に穴が空き、ヘンリーはゆっくりと崩れ落ちた。振り返るとミッシェルが全身を赤く染めながら、銃を構えていた。
「姐さん、無事ですか?」
「ミッシェル!」
ミッシェルはフラフラとリヴァに寄り、その腕の中に倒れた。体力を消耗しているようだったが、傷は何処にもなかった。全身を濡らす血は返り血のようだ。
「よかった、間に合った」
「大丈夫かミッシェル。ありがとう、命を救われたな」
「姐さん、あの化け物の他にスパイがいたんです。ヘンリーもそうだったんですね」
「ああ、アタシがいながら分からなかった。すまないね」
ミッシェルは肩で息をつくと、拳銃のマガジンを代えた。肩のライフルをリヴァに渡す。
「来る途中で通路が破壊されてて、化け物がなだれ込んでました。それにスパイも何人かいて、あいつらが水に化け物の肉を混ぜたんです。グラムセイスを潰す為に」
「ふざけやがって……あんた1人なのかいミッシェル」
「ランドルも一緒だったんですが……」
そこまで言って俯くミッシェルの手を取り頭を抱きしめる。ミッシェルの肩が震えた。
「先へ進むよ。まだ戦ってる者を助けるんだ」
「……姐さん」
ミッシェルがリヴァから離れ、土下座をした。声を詰まらせ泣いている。
「どうしたミッシェル」
「姐さん、オレ、怖くて怖くて……怒られるのを承知で言います! オレ、もう死ぬかも知れないから、こんな事になって、オレはきっと死ぬから、だから、オレ、オレ……男になりたいんです! こんな事、姐さんに頼むなんて、殺されても文句言えないけど、オレ、姐さんじゃないと嫌なんです! 姐さん! お願いします! オレを男にして下さい! お願いします!」
泣きながらミッシェルが頭を床に擦り付ける。
「女を知らないまま死ぬなんて、死んでも死にきれません……姐さん! この場で撃ち殺してもらっても構いません! でも、もし許してくださるなら……」
リヴァはミッシェルを抱きしめた。
「バカな事言ってんじゃないよ! 簡単に死ぬとか言うなバカやろう! お前は死なない! 死なないんだよミッシェル!」
「すみません! 姐さんごめんなさい! バカな事言いました! 忘れて下さい! オレ、どうかしてたんです!」
「こんな死体が転がるとこで……全く」
ヘンリーの遺体を横目で見ると、リヴァはタンクトップを脱いだ。豊か過ぎる房が2つ、揺れて現れた。ミッシェルが驚く。
「あ、姐さん、何で」
「大の男が泣いて頼むんだ、アタシだって応えてやらなきゃね。アタシが男にしてやるよ。その代わり、必ず生きるんだ。いいね」
「姐さん……」
呆気にとられるミッシェルを余所に、リヴァはブーツとパンツを脱ぎ、下着も降ろしてミッシェルの前に足をなげだして座った。
「何してんだい、早くおいで」
ミッシェルは泣きながら服を脱ぎ、何度もリヴァに感謝の言葉を告げた。
「5分で済ませな」
ミッシェルはリヴァの足を割って入り、リヴァの胸に顔をうずめた。
業火の勢いが止まらず、捕食者の数が増える一方で、火を消している暇がない。それぞれの家に置いていた銃や弾丸だけでは対処しきれない。
次々と状況は悪化していく。また1人住人が倒れた。その肉に何人もの捕食者が一斉に群がる。
ビンセントがリヴァの元に駆けつけると、すでに彼女の姿はなく、側近達も数を減らしていた。武器小屋に走り、生きている者に中の武器を残らず渡す。その中にはクレイヴンやエブリン達の姿もあった。
「とんだところに居合わせたな」
「同情する暇があったら逃げ道を教えてくれ。車もいる。何処にあるんだ」
「大型車両は全部スラムの入口に置いてある。ついてこい」
家々を抜け、狭い道を駆け抜ける。途中で店のカウンターに隠れていたワッカを拾い、更に斜面の道を走る。道中何匹かの化け物を撃ち殺したが、数が減っている様子はなかった。明らかにスラムの人間よりも増えている。
ビンセントがベンジーと住人のヘイズナーを捕まえ、エブリン達を任せると言った。
「何処へ行くつもりだビンセント!」
ワッカの声も振り切り、ビンセントが元きた道を戻っていく。
「ビンセントさんは何か考えがあるんだ。とにかくついてこい。近道を案内する」
ヘイズナーが言った瞬間、前方から波のように捕食者の集団が駆け上がってきた。
「マズい! 逃げろ───っ!」
波が押し寄せる。皆が散り散りになってしまう。エブリンとヒンチとフェイスにベンジーは右の路地に、ヘイズナーとクレイヴン、カーレンは左に別れてしまった。更に捕食者に追走される。
右の路地の先に何かが見える。それは知った顔で───
「……マシュ?」
エブリンが急に走り出す。
「エブリン! 何処行くのエブリン!」
フェイスが後を追い、ヒンチとベンジーも続く。
角を曲がり走った先に、2つの影があった。その1つはジムであり、もう1つはジムに追われたマシュだった。エブリン達が2人に追いつくと、その姿を見て驚愕した。
ジムは服がボロボロになり、額から血を流していた。マシュは灰色に変わった目を開いて、口から鮮血の粒を飛ばしながらジムを威嚇していた。
「マシュ!」
エブリンが叫ぶ。ジムは振り返ったが、マシュはジムに唸り声をあげたまま、エブリン達の方は見なかった。
「エブリン、お前さんの声は届いておらん。もうあれは……」
「そんな事ない! マシュは分かってるはずだよ! 聞こえてるはずだよ! ねえマシュ!」
「黙ってろ! もうコイツはマシュじゃねえんだ!」
ジムは拳を構える。マシュは歯を剥き出し、今にもジムに飛びかかろうとしている。
「ジム! もうマシュは元に戻らん! 今は逃げる事が肝心だ! さぁワシらと来るんだ!」
「黙ってろって言ったろ!」
ジムはマシュに突っ込んでいく。マシュは鋭い咆哮を轟かせ、ジムに突進していく。
ジムは体勢を低くしてマシュの腕をかい潜り、振り向き様にマシュを思い切り殴りつけた。マシュは家屋の壁に吹き飛び突き破った。
「てめえら先に行ってろ! 邪魔なんだよ!」
「ジム危ない!」
フェイスの悲鳴にジムが反応したが、もう目の前にはマシュが怒りの表情で飛び込んできた。ジムはタックルを食らい、地面に投げ出される。マシュはジムに馬乗りになり、首に噛みつこうと羽交い締めにするが、ジムは体勢を整えて下からマシュの腹に一撃を食らわせ、ぐらついた瞬間体勢を入れ替えて、マシュの顔面を殴打する。マシュは途端に血塗れと化す。エブリンが止めに入る。
「やめてよジム! マシュはマシュじゃない!」
「これを見て分かんねえのか! もうマシュは化け物なんだよ! どいてろエブリン!」
エブリンを遠ざけようとするが、エブリンはマシュに覆い被さり、身を挺してマシュを守る。ジムの拳が手前で止まる。その瞬間、マシュはエブリンの肩に素早く歯を突き立てた。
「エブリーン!」
フェイスが拳銃を手にエブリンの元に走る。ジムがエブリンを引き剥がし、ヒンチもライフルを抱えて走る。全てがスローモーションで動く。
更にジムとマシュが戦う傍の家屋の床下から、リヴァとミッシェルが這い出してきた。ジム達の状況を見て驚く。
「リヴァさん! エブリンが!」
肩口から出血するエブリンの元にフェイスとリヴァが駆けつける。エブリンの顔はみるみるうちに青ざめる。リヴァは傍にあった家屋の瓦礫から火がついた木材を取り、炎を消すとエブリンの傷口に押し当てた。絶叫するエブリン。
「リヴァさん、これは───」
「応急処置だ。あの化け物に噛まれた傷に効くかどうか分からないけど、傷口を殺菌して、もしかしたら感染を遅らせられるかも知れない」
「ホント? ホントに?」
「分からない。そもそも噛まれた人間への対処法なんてないから」
「頭をぶっ飛ばせよ」
起き上がるジムが荒い息をする。マシュはエブリンの血液が垂れる口を拭い、ゆっくり立ち上がる。
「何言ってんの?」
「頭をぶっ飛ばせば済む話だろうがよ!」
「できるわけないでしょ!」
「やれよガキ!」
「ガキはあんたの方でしょ! いつまでマシュに構ってんのよ! あんたとマシュに何があるんだよ!」
「うるせえ!」
ジムはフェイスの言葉を切り、リヴァを見る。
「コイツら連れてけ……さっさと連れて行け!」
リヴァはジムをじっと見つめ、ミッシェルを呼ぶと頭を撫でた。
「ミッシェル、あんた皆を連れていきな。入口のトラックがあるだろ。あれなら全員乗れる。それでスラムを脱出するんだ」
「何言ってんだ姐さん! オレは姐さんと一緒に───」
「アタシの言う事が聞けないのかい!」
リヴァの怒号にミッシェルは体を強ばらせた。
「アタシを自分の身も守れないほどひ弱だと思ってるのかい? 『男』になったんだ、皆を守ってみせろ」
「姐さん……分かりました。先に行って待っています。姐さん、絶対にきて下さい!」
「もちろんだ。さぁ! 行け!」
ミッシェルが先導し、エブリンを抱えてフェイス達を連れて行く。あとにはリヴァと、マシュと睨み合うジムが残った。しかも2人の喧騒に捕食者が集まり始めた。
「最悪な状況下だな。何でてめえまで残ってんだババア」
「殺すぞガキ。アタシはまだ26歳だ。こんなビューティーグラマラスな女が一緒にいてやるんだ。ありがたく思えよ」
「殺されるのはてめえだ。オレはガキじゃねえ。武器もねえ状態で、何するつもりだよ」
「武器ならほら、これをやるよ」
リヴァは腰からナックルガード付きのナイフを抜いて、ジムに渡した。
「ナイフは扱えるかい? 坊や」
「このナイフをぶっ刺してやろうか? 刃の部分が邪魔だが、もらっといてやるよ」
「お前格闘技か何かやってたろ」
「ああ……ボクシングのスクール代表だ。そこの化け物バカと一緒にな」
ジムはマシュを顎で指した。
「なるほどなぁ。どおりでいいパンチをしてると思った。刃を下に向けて握りな。ボクサーならその方が使いやすい」
「そりゃどうも」
ジムはナイフを逆手に持って構えた。リヴァは弾のなくなったライフルを捨て、リボルバーの拳銃を取り出し、弾数を数えて首を鳴らした。
このスラムは終わった。父さんの作った、アタシの作った街が終わる。
別れる時がきた。
「さぁて、準備はいいか? ガキ」
「てめえを殺すのは最後にしといてやる。だが必ず殺す」
「おお、そのいきだ。それまで死ぬんじゃないよ!」
背中合わせだった2人が一斉に走り出す。マシュや捕食者が輪を縮める。
この街ともお別れだ。いつかは離れる時がくると思っていた。遅かれ早かれ、アタシは外の世界に旅立っていくつもりだった。
何もかも捨てる事になっても、いつかはそうしないと前に進めないと思っていた。
しかし気づいた。捨てるのではなく、抱きしめて前に進んで行かなきゃならないと。
それは別れではない。捨てるのではない。
拾って、再生するのだ。
リヴァは高らかに叫んだ。
このスラムの『全て』は捨てさせない。アタシが必ず守る。
グラムセイス・スラムのボスはアタシだ。誰にも好き勝手はさせない。
絶対に。