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92話 対峙するもの


「向こうは何人残った?」

「たぶん、二人だろ。一覧でヨシとジニーの二人に強制戻り(デッドマーク)が付いている」

「ちっ、あのデカブツの体力を残り10パーセントまで減らしたのに」


 こっちは四人残っているから、合計六人。アレの体力を最大から残り10パーセントまで減らすのに三十人殺られたのから計算すると、残り六人で殺れるかどうかは判断しづらい。


『やってやれない事は無いが、安牌(アンパイ)にするなら、もう一度村にヘイトを擦り付けたいとこだったが』

 こっちからだと遠いから向こうの奴等にやらせたかったんだがなぁ……ヘマしやがって。



 ドン!



「よし、予定通り罠にかかったな!」

「とりあえずこれで動きは固定できたよな?」

「確実ではないが、な」

「だがこのタイミングならイケるんじゃね?」

「なぁ、そろそろケリつけないか?」


『チッ、焦ってきてやがる』

 こっちのメンツも大分疲れが溜まってきたな。博打を打つのは好きじゃないが……仕方ねぇな。


「おい、無理する分だけ死ぬ確率も増えるが……乗るか?」

 俺の問いかけに残り四人が頷く。


「とっておきを使うがコストがバカ高い。必要経費としてアレから出たドロップは優先的に貰うぞ」

 そういって懐から出すのは、地下で流通しているアンプル。効果は一定時間全能力の大幅な向上。ただし、時間が切れたらHPも含め半減するのが厄介なのともう一つ。


『やや常用性が出る可能性があるが……まぁそこは目を瞑ってもらうか』

 出したアンプルを迷うことなく飲む四人を見ながら、聞こえないように呟く。


 俺も手持ちアンプルを見せつけるように飲み干す。もっとも、中身はただのHPを回復させるポーションだが。


「よし、行くぞ!」

「「「おう!」」」



―――◇―――◇―――



 ドン!



「なに……今の音!?」

 村に来てから聞いていた音は、何かが炸裂するような音だったけど、今のはどちらかと言えば大地に響くような音。


「山神様がしたか、されたか。ただ音的には魔法の炸裂音じゃないから、たぶん冒険者(ハンター)達が仕込んだものか」


「い、急がなきゃ」

「待て」

 わたしが音のした方へ駆け出そうとした矢先、ハルが進路を塞ぐ。


冷静クレバーになれ! 行った先は冒険者ハンター達がいるはずだ」

「わかってる! わかってるけど」


「山神様も神と呼ばれている存在だ、そう簡単に死ぬような輩じゃない。それよりも今が冒険者ハンター共を倒すチャンスだ」

「リアさんが冷静にならないと、勝てる戦いも勝てない。焦ったら自滅するだけ」


 二人にここまで言われるとさすがに何もできないし、言われていることの方が正解なのもわかっているから、反論もできるはずながない。



「ここから先は慎重に行くぞ。場合によっては冒険者ハンター達との対戦になるから、そこも覚悟はしておいてくれ」

「うん」


 ハルの話だと、さっきの音は大型罠トラップの中でも比較的上位な【大地縛り(ノックバインド)】ではないかとのこと。

 ある程度の人数が必要ながらも威力が高く、また成功すれば数分間罠によって、地面に縛りつけることができるから大型の魔物相手には有効らしい。


「じゃあ、それが発動したのなら」

「考えられるのは二つ。一つは罠にかかった相手を遠距離から射つことで被ダメを受けずにする戦法。もう一つは罠にかかった相手を残して距離をとり、次の罠を仕掛けること」


 前者なら山神様と挟み込むことができるかもしれないが、後者ならコチラと冒険者ハンター達が正面から衝突するか、もしくは既に隠れてしまったあとの冒険者ハンター達が、やって来たわたし達をエサにして山神様を釣る可能性があるとハルは警戒する。


 そんな中、ロキシーさんが何かに反応する。


「わたしには周りを警戒するだけの力は無いけど、私が放った巫術の精霊が警戒をしている」

 ロキシーさんの回りに漂う光の玉(ウィスプ)が、ロキシーさん(自らの召喚主)に危険だとシグナルを送る。


「何かいるな……」

ハルはゆっくりと様子を伺うようやに辺りを見渡してから懐に手を入れると、

「そこっ!」



 ガッ



「がはっ……」

 こちらから見ると木の影になった場所に投げられた短剣は、隠れていた冒険者ハンターの額に突き刺さる!

『すごっ』


「ぼーっとするな、後ろだ!」


「クソッ!」

 わたしの背後から現れたもう一人の冒険者ハンターが、ハルの声に舌打ちしながら長剣を前に構えて突撃してくる!


「ありがとハル! 見えてる相手なら……」



《闘衣》



 ガキン



「なっ!?」

 【闘衣】で固めた手刀で冒険者ハンターの長剣を弾け飛ばす。そして相手が硬直した隙に跳ねた腕を右手で掴むと、引き寄せながらガラ空きになった腹部に向けて



《鎧通し》



 強く掌打を入れながら【鎧通し】を重ねて打つ!


「げふっ……」

 硬直していた相手にクリティカル気味で入ったようで、冒険者ハンターはそのまま倒れ込むと、体を震わせた後にポリゴン化しながら消えていく。


 ……って、



「あ、あれ? も、もしかしてわたし冒険者ハンターをポリゴン化させたってことはPK(殺人)しちゃった!?」

 どどど、どーしよう!


「いや、大丈夫だ」

「えっ、でもだって」

 ハルはこちらを見ると、笑いながら大丈夫だと言ってくれるけど……なんで!?



「今回の場合、相手が既に予告なく俺達を襲撃しようてしていたから、その正当防衛にあたるので対象外になる。

 あとは元々コイツらが村に山神様のヘイトを当てていたから、すでに犯罪(パープル)か下手したら殺人(レッド)だったはずだ。そういった犯罪者判定を持っている相手に対しての攻撃も、対象外と判定されているからな。依頼(クエスト)にも生死不問とあっただろ?

 まぁそれでも心配なら、自分のステータスを見れば名前が色に付いているかどうかでわかるぞ」


 な、なるほど。あー、びっくりした。


「でも相手が狡猾な奴らだと犯罪者とノーマルを混合し、反撃をノーマルに当てさせることで、コチラを犯罪者に仕立てる場合もあるから注意は必要だからな」

「うわぁ……」



 何だろ、駆け引きというか色々と手があるんだと思いながらも、言われたことが起きないように記憶する。自分がそうならない為に。





いつも読んでいただいてありがとうございます!ヽ(´ー`)ノ

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