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8話 トレードと言う名の

やっと動き出せたような、いまだに大したことが何もできていないような……


評価ありがとうございます(^○^)

※1/15 文頭部おかしいところを修正しました

※1/21 誤字・脱字修正しました


 ルナさんからのフレンド申請を承認すると、次にトレード申請のマークが。

『なるほど、こうやってトレードするんだ』

 

 とりあえずトレード申請も続けて承認すると、視界の角に《トレードウインド》と表示され、お互いが渡したいアイテムを入れられるボックスが現れる。

 

『遠慮しないで貰っておいて』

 ルナさんは鞄から取り出した幾つかアイテムをおもむろに投げ入れながら話しかけてきた。

 

『PAWの世界は意外にトレードが厳しいの。知らないプレイヤー同士のプレゼント行為は禁止されてるし、低レベル相手に価値が高そうな物の譲渡も制限されてるわ』

 

 ゲームの難易度的な事ではなく、犯罪行為になりかねない配慮から禁止されているのは最近のVR世界事情だと聞いたことはあるけど、本当だったんだ。

 

『じゃあ、今ルナさんがわたしに渡そうとしてるのは』

 

『そ、私にとっては、ほぼ価値がない物ばかりよ』

 そう言いながら入れているアイテムは衣類の他にニンジン、ジャガイモ、玉ねぎ……って野菜!?

 

 

『とりあえず、それだけの容姿にその初期服のままだと無用なトラブル招きかねないから、今渡したものに着替えておくといいわ』

 

『正直、衣類はうれしいですけど……なぜか野菜が入ってるような気が?』

『何よ、料理するなら素材が必要でしょ』

『それはそうですが……実際のところは?』

 

『使わない、食べない、重い』

 まぁ、キッパリとしたお答えで。

 

 

 トレードウインドにはジャガイモとニンジン、玉ねぎが。しかも結構な量があります。

 で、

 

『確かに料理するのには材料が必要ですが、道具も場所もありませんからまだ……』

『それぐらい頭使ってなんとかする!』

 

 ピシャリと言われたその一言で、結局野菜一式はそのままわたしの鞄の中へ。

 

 肉無しカレーやソーセージなしポトフだったら作れそうだけど調味料が無い。というかカレー粉とか香辛料ってあるのかな?

 ま、とりあえずは包丁とか調理セットでも買っておくことにしよう。

 

 

『さて、リアはこれからチュートリアルをするのよね』

『はい、そこで貰える初期装備とかもあれば使えますし』

 

 まずチュートリアルをこなし、装備他ゲームスター時のお役立ちアイテムを入手してから、ルナさんが教えてくれたスキルを教えて貰えそうな場所へ行ってみるつもり。

 

『だとしたら、【クロススキル】については他人に話さないほうがいいわよ。知られていないスキルというのは変な憶測を呼ぶし、不要なやっかみの元になりかねないから』

 

 うーん、元々自分のスキルを見せびらかす気はなかったけど、よくわからないとは言えルナさんでも知らないレアスキルなら、確かに他人から見たら興味以上に面倒事を呼ぶネタにしかならないよね。

 

『じゃ、とりあえず私はこれで一旦落ちるわ。まだ生徒会の雑務が残っているからね……チッ、あの入院生徒会長ザ・エアーめ』

 

 さすが入院した生徒会長の代わりにすべてを掌握、じゃなかった切り盛りする副会長。わざわざわたしの為に学校からログインして……ん、ちょっと待って。

 

『どうして学校からVRMMOにログインできるんですか!』

 

 VRMMOにログインする装備一式を持ち歩くなんてとてもできない。

 だとしたら、

 

『あー、学園長と交渉したのよ。生徒会長の仕事一式を引き受ける代わりに、学園での行事資料や各種確認の際に有用だからVRMMOセットを生徒会長室に設置するようにって』

 

 ……さすが女皇エンプレス

 

『よければ明日の昼休みに生徒会室に来なさい。今日のことも含め色々話もしたいし』

 

 ルナさんはニヤニヤとしながらそう言うと『じゃあね』と言ってレシートを持って部屋から出ていき、お会計を済ませるとそのままログアウト。

 フレンド表示画面を見るとすでに名前の部分が薄いグレーに変色していた。

 

 うん、明日生徒会室に言って『昨日はごちそうさまでした』と言いに行かなければ。

 

 

   ・

 

   ・

 

   ・

 

 

「とりあえず貰った服を出して確認っと」

 鞄を整理してから目的の服を出すと、目にも鮮やかな色彩を放つものが。

 

「なにこの山吹色の作業服ツナギ……」

 今装備している布の服よりも思いっきり目立つんですけど!

 

『あのニヤニヤはこの事だったのね』

 してやられたとは思ったけど、こうなったら意地でも着てやる!

 

 仕切りがあること良い事にわたしはその場で作業服ツナギに着替えると(あ、窓には目隠ししました)部屋に設置してある鏡で自分を見ると……うん、案外似合ってるわ。

 

 ちょっと胸回りがキツいけど、タダで貰ったものだからそれぐらい我慢しないとね。

 

「うん、なんだか新鮮な感じ」

 鏡に写った自分の姿に違和感を覚えるけど、それは嫌な感じではなく、どちらかと言うと知らない自分の一面に触れたような感覚。

 

『ま、フレリアさんのメイクが良かったから、どんな服装でも似合うという結果でしょうけどね』

 せっかくいただいたものですから有効に使わせてもらいましょう。

 

 

 とにかく今はチュートリアルをしないことには今後の進路も見えません。

 とりあえずは予定通りに【冒険者ギルド】へ向かうことに。

 

【冒険者ギルド】は街の中央、かなり立派な背の高い建物で多くの人達が出入りをしている。

 

 建物に入るとすぐの所にあるカウンターには受付嬢が三名おり、次々やってくる冒険者の相手をしていた。わたしは一番近い窓口の列に並び、自分の順番を待ちながら建物の内部を観察していると「次の方どうぞ」と受付嬢から呼び声が。

 

 受付のお姉さんの名前はシャーリーさんと言って、年齢は二十台後半ぐらいかな?

 ブロンドの髪を後ろで束ね、キリっとした表情はすごく頼もしく見える。

 

 あと、受付の服を着ていても無駄なお肉が無いどころか抜群のスタイルをしているのがわかるから、現役の冒険者なのか、それとも引退して受付係をしているのか……

 

 

「本日はどうされましたか?」

 

 あ、つい見とれてた。

 

「はい、今日この街にやって来ましたコーデリア・フォレストニアと言います。冒険者登録と初心者講習(チュートリアル)を受けに来ました」

 

 シャーリーさんは「では少々お待ちください」と言って手元の紙の束に目を通すと「あらっ」と予想外の声を上げる。

 

「すみませんコーデリアさん、確かに冒険者登録はされていないのでこれから行いますが、初心者講習(チュートリアル)は受付不可となっています。どうやら先天的なスキル構成か何かが影響しているようですが……」

 

「えっ?」

 まさかのチュートリアル不可。さすがにこれは想定外ですよ!?

 


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